■ TREK Domane SL6 Disc 試乗レビュー

ロングライド向けロードバイクの本命、TREK Domane SL6 Discに試乗することができましたので、自分の頭の整理も兼ねてレビューにまとめてみたいと思います。

先日、ロングライド向きのロードバイクはなんだろな、ということでうじうじ記事を書きましたが、結論としては「やっぱり乗ってみないとだよね」ということに。
そりゃそうですよね。


ロングライド向きのロードバイクについて考える(各社比較してみた) : 昔チャリダー今ローディー


そこで我が家から走っていけるところで試乗車が置いてあるショップを探したところ、真っ先にDomane SL6 Discが見つかりました。
個人的には今の愛車に履かせている KSYRIUM ELITE UST をいたく気に入っているので、non-Discにしてホイールはそのままキシエリで、と考えているのですが、参考にはなるだろうということで出かけてきました。





今回お邪魔させて頂いたショップがこちら。


SL6_01


BEX ISOYA 成城です。

現在ご近所用に乗っているTREKのクロスバイクを購入したことがあり、馴染みがありました。
店員さんも「距離感が近過ぎず」「それでいて無愛想でも上から目線でもない」ので、個人的に入りやすいお店です。
早速店員さんに声かけさせて頂き、試乗させて頂いたのがこちら。


SL6_02


真っ黒です。

良くも悪くも、近づかないと何のバイクなのか全くわからないですねー。
試乗時間は10分ということですが、「そこまで神経質にならないで良いですからね」と、とても優しいお声かけを頂きました。

そう言われてしまうと、逆にきちんと10分目安で返さないと・・・と思ってしまいます・汗

こちらのショップの良いところは、お店のすぐ近くに野川が走っている為、車を気にせずに走れる道があるところです。
また、ショップ前の世田谷通りを渡って成城方面に北上する道が、ほどほどの斜度の上り坂だったりしますので、10分という限られた試乗時間であるにもかかわらず、フラット、坂道と両方を試すことができる点になります。

私が現在乗っているGIANT Contend SL1はジャイアントストアで試乗させてもらって購入したのですが、そちらのショップも近くに車通りのないフラットな道があるのですが、坂道がないんですよね。
実はショップの近くでフラット、坂道両方試せる道があることってすごいメリットだよなぁ、と思います。

わずか10分足らずでしたので、どこまで参考になるんじゃい、という話はありますが、率直な感想をまとめてみたいと思います。
(試乗終わってショップ離れた後に、忘れないようにメモメモしましたよ・笑)




1. 衝撃吸収性

ロングライド志向ということで、まず気になるのはこちらです。


SL6_03


ここにフロントIsoSpeedが仕込まれているんですね。外観からはちっともわかりません。


SL6_04


こちらも IsoSpeed。シートチューブがトップチューブから分離されているとのことです。
確かに分離されているっぽいですね。

で、ホイールをマビック キシリウムエリートUST(チューブレス)に変えた時にめっちゃ感動した経験から、「タイヤが太くなること」が振動吸収に大きく貢献するはず、と期待しております。

Domane SL6 Discは何がすごいって、タイヤが「700×32c」なんです。


SL6_08



32cですよ!?

今のキシエリが「700×25c」ですが、チューブレスということを考えると、空気のボリュームはクリンチャーの28c以上に匹敵するのでは、と思っているのですが、32cは圧倒的な「太さ」ですね。
私が乗っているクロスバイクのタイヤも700×32cですから、クロスバイクと同じタイヤになります。

これもう、ブロックパターンがないだけで、マウンテンバイク、クロスバイクと同じですって

しかも、ですよ。



SL6_07



ミニマム「3.8 BAR」だそうです。

しまった、試乗した時の空気圧とか確認させてもらえば良かった・・・。

今のキシエリで 5BAR で乗って感動しましたが、3.8BARの世界ってどんななんだろ・・・。

Domane SL6 Discについてくるホイールは Bontrager Paradigm Disc Tubeless Ready。チューブレス対応なんです。
ただ付属のタイヤはBontrager R2 Hard-Case Lite。トレックのサイトを見ると、700×23cと
700×25cしか記載がありませんが、これらはクリンチャーになります。

ホイールはチューブレス対応だけど、最初に付属するタイヤはクリンチャーってことですかね。
でも3.8BARってことは、こいつはチューブレスタイヤ?
この記事書いているときに気づいてしまいました。店員さんに聞けば良かった・・・。

ということで、カーボンフレーム、IsoSpeedテクノロジー、32cのタイヤ、どれがどこまで効いているかは分かりませんが、振動吸収性に関して。

最初に感じた点が、路面から伝わる「細かな衝撃」が見事に減っている点になります。
我が愛車はアルミフレーム。
チューブレスタイヤを履いているといっても、アスファルトの路面から細かな凸凹の振動は絶えず伝わってきます。
それが「ゴトゴトしてて疲れるなぁ」なんてレベルではないんです。
普通に走っている分には全く気にならないレベルなんです。

それでも、Domane SL6 Discに乗ると、その細かな振動すらないんです。

ま、おそらく「無い」ことはなくて、比較的減っている、というレベルなんだと思いますが、乗り比べてみると「なくなった」と感じる位にその差を体感することができました。

実は、走り慣れていない道だったもので、ぐるぐる走っていたら公園に突入してしまいました。
ほんとはダメだよなぁ、とか思いつつ、歩行者がいなかったもので、公園内の遊歩道(未舗装)を走ってみたのですが、中程度の凹凸も綺麗にいなしてくれました。
振動が減った、というのもあるのですが、凹凸のある道でも速度を落とすことなく走り抜けることができる、といった方が正確かもしれません。

歩道との大きめな段差も、スムーズに乗り越えることができました。
総じて、凹凸の振動を吸収しながらも、推進力を落とすことなく進み続けることができる、という印象です。

今の愛車と比べて、全体的に「上位互換」と呼べるものでした。
乗り心地についてはフロントサスのないマウンテンバイクと十分張り合えるのではないでしょうか。



2. 漕ぎ出し

思ったよりも軽いかも。
32cのタイヤですし、「よいしょ」という漕ぎ出しになるかと思いましたが、そこまでではなく。
キシエリUSTと遜色ないイメージでした。
Domane に付属しているホイールが、ボントレガーパラダイムディスクTLR(チューブレスレディー)。
ボントレガーパラダイムのラインナップをトレックのサイトで確認してみました。

  • パラダイムコンプ:フロント ¥36,112-(税抜き) / リア ¥45,371-(税抜き)
  • パラダイムコンプ(Disc):フロント ¥45,371-(税抜き) / リア ¥54,630-(税抜き)
  • パラダイムエリート:フロント ¥50,926-(税抜き) / リア ¥60,185-(税抜き)

重量はこんな感じ。


  • パラダイムコンプ:フロンント 675g / リア 910g (前後セット 1585g)
  • パラダイムコンプ(Disc):フロンント 755g / リア 922g (前後セット 1677g)
  • パラダイムエリート:フロンント 655g / リア 835g (前後セット 1490g)



ちなみにキシエリUSTの重量は1490g ( フロント 650g  リア  840g )。パラダイムエリートとほぼ同じスペックですね。

ただ、Domane SL6 Discに付属しているホイールには「コンプ」の表記がないですし、金額的にもおそらくコンプよりも下のグレードなんだろうな、と思います。
そうなるとパラダイムコンプの1677g よりも更に重いと思いますので、ホイールだけ比べると300g以上は重いはず。

その割には、ホイールの重たさはあまり感じなかったのが不思議です。
やはりこの辺りは短時間での試乗の限界といったところでしょうか。



3. 高速巡航

野川沿いの道は歩行者もいませんでしたが、いかんせん車止めと車止めの間が短かった為、ギリギリ30km/hr出せるかどうか、でした。
ただ、一度スピードに乗ってからの巡行速度キープは楽だったイメージです。

これはホイールが重たい分、良い方向に働いていたのかも?




4. ハンドルの取り回し

素人なりにジオメトリーを調べたときに、ヘッドアングルによってハンドルの取り回しが変わる、ということを勉強しました。

角度が小さいほどハンドリングの安定性が増し、振動吸収性が高くなる。姿勢もアップライトになる為、ロングライド時の体の負担は小さくなる。角度が大きいと、安定感は損なわれるものの、ハンドルの反応性が上がる。また、角度が大きいと姿勢も前傾する為、スピードを出し易いポジションになる。」

ただ、Domane についてはこの数値がサイトに載っていなかったもので、さてどうなんだろうと気になった点でもあります。

結論からいうと、上体のアップライトさ加減については、愛車のContend SL1 とあまり変わらなかった印象。
ハンドルの「クイックさ」も違いは体感できませんでした。
この辺りは、くねくねのクランクとか、ハイスピードでカーブに突っ込むとかでないと、素人には違いは分からないかもですが・・・。

もひとつ気になっていたのが、ホイールベースです。
Domane SL6 が「1003」で Contend SL1 が「979.4」。その差は2.36cm。
なんとなく、ホイールベースが長くなると、Uターンする時の取り回しが悪くなるのでは、というイメージがありましたので、実際に何回かその場でUターンしてみました。

まぁ、違いが分からないこと。

ほんと、ちょちょいと10分乗ったくらいでは、この辺りは実感するには至らないですねー。



5. ダンシング時

私はそれほどダンシングする人ではないのですが、やってみました。
フラットな道と、斜度5〜7%くらい(?)の上り坂でダンシングしてみましたが、両腕をぶんぶん振った時の直進安定性が高いと感じました。

お?

ハンドルの反応が少し鈍目
?かも、という印象。つらつら走った時にはハンドルの取り回しの差を体感できせんでしたが、ダンシングした際には「安定感高っ」と実感。

これって、何に起因しているものなのかは分かりませんでしたが、振動吸収性の違いの次に大きな違いを感じたポイントかもしれません。




6. Discブレーキ

明らかに制動力は高かったです。
ただ、マウンテンバイクやクロスバイクのVブレーキほどではなかったので、ブレーキが効きすぎて怖い、という印象はありませんでした。
好ましい範囲で「よく効くブレーキ」といったところでしょうか。

むかーし、MTBツーリングで、笑ってしまうほどのまっすぐ下り坂で、一切ペダル漕がずに70km/hrまで速度が上がってしまった時にはVブレーキでのブレーキングが難しくて生きた心地がしなかったことがありました。
少しでも強くブレーキかけてしまうと、一気にロックして吹っ飛ぶんですよね・・・。

効きすぎるブレーキは考えものですが、ちょうど良い感じ。

試乗後に店員さんにあれこれ質問させて頂きました。
油圧式のディスクブレーキですので、交換頻度をお聞きしたところ、


  • オイルの交換は1年に1回推奨となっているけど、年5000kmレースでもバリバリ走ります、みたいな人でない限り1年半〜2年に1回程度で十分
  • 長期継続使用でオイルが汚れるのは事実だが、実は「劣化」するほどではないことが多い
  • キャリパーブレーキだと、ワイヤーの伸びに応じて再調整が必要だったり、年1回ワイヤーの交換が必要になったりするので、メンテナンス性はそれほど変わらない。ディレイラーを電動化したりすると、むしろメンテナンスフリーになってめちゃめちゃ楽になります(いやいや、そこまでの予算はないっす・・・)
  • 数年前はディスクブレーキの仕様も乱立していたが、ここにきて整理されてきた。個人的にもディスクブレーキのバイクもキャリパーブレーキのモデルも併用しているが、次に買うとしたら迷わずディスクブレーキで良いと思っている

ということで、ショップに持ち込んでの定期的なメンテナンスは当然必要ですが、そこまで神経質になる必要はないそうです。
正直、「オイルとか、劣化したり漏れたりして効かなかったりで事故になったら怖い」と、超神経質になっていたのですが、店員さんの言い方としてはそこまで心配しなくて良いですよー、とのことでした。

ま、当然営業トークもあるとは思いますが、ディスクブレーキに対する心の壁は低くなった気がします。




7. 車体重量



私が試乗したのはサイズ52でしたが、サイズ56で8.65kgだそうです。(2サイズアップ)
我が愛車はサイズ445なのですが、480で8.7kg。(1サイズアップ)
おそらく車体重量は同じくらいかと。

片手で「よいしょ」と持ち上げた感覚は、気持ちDomane SL6 Discが軽かったです。

そりゃそうだ。

サドルバッグにトップチューブバッグ、ドリンクホルダーにボトルと付属品が勢揃いでしたから。

そう考えると、ほぼ同じ重さ、というスペック通りなんでしょうね。
これが、non-Disc の Domane SL6 になると、サイズ56で7.74kg。0.91kg軽くなります。
ディスクブレーキとタイヤ(32c が 28cに)の違いで、約1kg軽くなるってすごいですね。



8. その他

その他もろもろ聞いてみました。
  • ブレーキシューの交換頻度は通常のキャリパーモデルとあまり変わらないが、ディスクブレーキだと奥まったところにシューがあって見えづらいのでショップ持ち込み推奨
  • ディスクブレーキだと、輪行のお作法が変わるが慣れ
  • Domane SL6 (non-Disc)についているキャリパーブレーキはとにかく軽量。シマノのデュラエースよりも軽い。
  • キャリパーモデルのブレーキの制動力は、イメージとしてはアルテグラ以上、デュラエース未満。ただし、ブレーキワイヤー等の調整については若干シビアになる
ボントレガーのブレーキとかまったく知識がなかったのですが、アルテグラ以上の制動力、というのはとても以外でした。
高くつくけど、真っ先にアルテグラに変更してしまった方が良いと思っていたのですが、いきなり交換する必要はないかもです。


SL6_13


たまたまショップに納車予定の Domane SL6 があったので許可を頂いて撮影。
確かにコンパクトで軽そうですね。


SL6_12


イヤも28c。
推奨の空気圧ですが、写真は撮り忘れたのですが、6.2〜8 BAR、とかだったような。
28cともなると、クリンチャーとはいえ少し低めの空気圧が設定できるようですね。

ちなみに、トレックのサイトでは
700×28cも見つかりませんでした。
Domane SL6 のスペックを見ると700×25cのクリンチャータイヤとなっているのですが、このオーナーの方は28cに履き替えてもらっての納品なんですかね。

ショップにいる時に気づいてもっと質問すれば良かったと後悔。

ま、速攻でキシエリUSTに履き替えると思うので、使うことはないかもですが。


SL6_11


やっぱり、全身黒よりは赤の方が良いかもです。






■ 買い時はいつなのか


身も蓋もないことを言えば、欲しい時が買い時ですよね。
ただ、モデルチェンジの時期や在庫状況について聞いてみました。

  • Domane SL6 Disc については2019年モデルの発表があったが、Domane SL6 についてはまだ発表がない。
  • 2018年モデルについては、そろそろサイズ・カラーによっては在庫が少なくなってきつつある
  • サイズ・カラーによって何とも言えないが、秋口にかけて徐々になくなっていくと思うので、向こう数ヶ月くらいでの決断がおすすめ。
  • 2019年モデルになって変わる点は、おそらくカラーリング程度だと思う。今のカラーが好きなら今のうちに、次年度のカラーに賭けてみよう、というのであれば焦らないでよい
  • メーカーからは2018年モデルは「さばいて良い」というお達しが出ているので、金額については勉強できる時期になっている

なんとも悩ましい限りで。
さすがに年が明けて2月〜3月になってくると、在庫は厳しいと思いますと言われてしまいました。
じゃあ今の赤 or 黒のフレームがメチャメチャ好きかというとそんなこともないので、(今なら少しだけお安く帰るのは魅力的ですが)焦らずに他メーカーのバイクも試乗して選んでいこうかな、と思います。



■ サマリ

たかだか数十分乗っただけで、よくもまぁあれこれ書けたもんだ、と我ながら思いますが・笑
試乗してみての総括はこんな感じでした。


  • ロングライド前提にみたとき、乗り心地については Contend SL1 + キシエリUSTよりも明らかに1ランク上。もしかして、non-Disc であればキシエリUSTを履かせたら2ランクくらい上に行けるかも、という期待感あり
  • 買うとしたらやっぱり non-Discかな、という印象。乗り味は Disc仕様で全く不満はないし、メンテナンス性に関する不安も減りましたが、せっかくアップグレードを目指すのに車体重量が今と大して変わらないのが引っかかる。 non-DiscにしてホイールもキシエリUSTにすれば、余裕で1kg以上軽くできるのはとても魅力的
  • アップグレードで「今よりも少し早く走れるようになりたい」という希望については、叶えられるような気はするものの、あまり劇的な差は出なさそうな印象。
サマライズすると、快適性は明らかに上がり疲労度が減る、車体軽くなるので上り坂も楽になりそう、巡行速度はもしかすると少し早くなるかも、といったところでしょうか。

無難にアップグレードはできそうですが、無難過ぎるかな、というのも悩みどころの一つ。



というとで、引き続き試乗できるショップを探して他のバイクにも乗ってみたいと思います。(なかなか試乗車がなさそうなので時間がかかりそうです・・・)

 


にほんブログ村 自転車ブログへ
にほんブログ村