■ ピナレロ GAN S に乗り換えたら早く走れるようになるのか

ピナレロ GAN S に乗り換えてからひと月以上が経過しました。
出だしは雨に祟られたりしてなかなかロングライドに出かけることができなかったのですが、10月の中旬以降は毎週末がっつり走れるように。

そこで、タイトル通り「私は早く走れるようになったのだろうか」という点を検証してみたいと思います。

それまでエントリーモデルのアルミロードに乗っていたローディー2年生が、ミドルグレードのレース向けカーボンバイクに乗り換えたら早く走れるようになるのか、というお話になります。


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人は機材頼みでどこまで早く走れるようになるのか興味があります。





ちなみに、私は普段体を鍛えるようなことはしておりません。
筋トレもしていませんので、もし私の体が鍛えられるとしたら、それはライドの積み重ねしか考えられません。
それは裏を返すと、「それほど劇的に変わっていない」ことでもあります。

私の筋肉や心肺機能がそれ程変わっていないだろうことを前提に、過去のライドとタイム比較をしてみようと思います。

なるべく走り慣れた道が良いな、ということで尾根幹経由、津久井湖往復ルートで比較してみることにします。


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ホイールを替えた後や、ブランク明けなど、「今の走りはどんなもんじゃろ」と確認したい時に必ずと言ってよい程走るルートです。

距離にして約85kmほど。尾根幹走って津久井湖を周回しますので、獲得標高もなんだかんだで800m前後になります。


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速度比較をしようと思いついた時に、サイクリングロードだったり、それこそ尾根幹往復で比べた方が単純かな、と思ったりしましたが、1〜2時間程度のライドになると、「頑張ってしまう」とその分誤差が大きくなるうよな気がしまして、頑張らないことを前提に、フラットに長めの距離を走って違いを確認してみようと思いました。


で、経過をすっ飛ばして結論となります。


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前回も今回も、特に「頑張って」走っていません。
週末の楽しみながらのライド、となります。
ですので、パンパティに立ち寄って補給もしています。

微妙に走った距離や高度が違うのは、橋本駅を過ぎてから津久井湖にアクセスするまでの一般道路のルートが少し違った為かと思います。
パンパティに立ち寄る時のルートが少し違った、ということですね。


続いて、ラップ毎の違いです。


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全般的に速度上昇が確認できます。
唯一5ラップ目で速度が落ちていますが、この辺りは橋下駅を通過してからの一般道、並びにパンパティで休憩した辺りになりますので、信号待ちや車の通過待ちの影響が特に大きい箇所になります。
最後の11ラップ目も自宅近くになって信号待ちが多い箇所になりますので、この辺りは無視しても良いかと思います。


■ どのように変わったのかを分析してみる

以下、できあがった数字をもとに、走ってみた実感と合わせて分析してみたいと思います。


1. 平均速度が約8%アップ

まず、ライド全体を通して平均速度がアップしています。
これがライド前半だけなら「新車だ嬉しいなー」という興奮から来る「ついつい漕いじゃった」で片付くのですが、ライド全体を通して速度上昇が確認できます。

レース向けとして位置づけられるバイクに対する印象として、高速度域での巡行が維持し易くなる、「踏み込んだ」時の応答性が上がって、速度上昇し易くなる、といったものがありしまた。

実際に走ってみると、とにかく乗り味が「軽い」です。
これは以前の1stインプレッションの際にも書いた通りですね。


おそらく今最も需要のないレビュー(ピナレロ GAN S) : 昔チャリダー今ローディー


で、実際の平均速度を見て頂ければ分かる通り、この「軽さ」の恩恵は私のようなごく普通のおじさんが走る速度域(25km/h〜28km/h)でも、十分に恩恵を受けることができました。
「ミドルグレード、レース向けとなると週末にファンライドで乗るようなおじさんにはあまり関係ないんじゃないか」という懸念については、見事に払拭してくれました。

軽さが見事に「スピードアップ」にもつながってくれたわけです。

そこでもう一つの懸念です。
スピードアップするということは、「脚を使っている」もしくは「スタミナを使っている」のではないか、という点です。
こればっかりは数値化が難しいのですが、ライド後の疲労感、脚の疲れについては特に違いは感じられませんでした。

うん。
こりゃすごい。


2. ケイデンスが約8%アップ

これも同上、といったところでしょうか。
とにかくペダルが軽く回る印象がありましたが、そのまんまケイデンスアップにもつながっているようです。
と言っても、頑張って回している印象はそれほどなく。

今回は、「今までと同じような力の入れ方、走り方で走ってみよう」ということを意識しました。
同じような力を入れて走っているつもりが、ケイデンスアップという結果が出ていることからも、ペダリングが軽くなったという印象は間違っていなかったかと思います。

それでいて「くるくる回して疲れたなー」という感覚がないのですから、素晴らしいですね。




3. 平均速度は、フラット、上り、下り関係なく全体的にアップ

では、レース向けフレームということでフラットに強いのかというと、そうでもないようで。
今回は斜度10%を超えるような坂はなく、せいぜい7〜8%程度の斜度しかないコースではありましたが、その程度の坂であれば、フラットと同じようなスピードアップが期待できる、ということになりますね。

これは今まで乗っていたバイクよりも重量にして1kg近く軽くなったことも影響しているかと思いますが、坂道を登ろうと踏み込むと、その力が逃げることなくダイレクトに推進力につながってくれる感覚がありましたので、フレームやBB周りの剛性アップの効果かな、と思います。



4. ライド後半になっても「脚」が残っている

フレームの剛性が上がると、ペダルを踏んだ力がダイレクトに推進力に変わってくれますが、「作用・反作用」の法則に従って、踏み込んだ力の反作用が脚に返ってくることにより、脚の筋肉疲労がより早く、より大きく蓄積していくことを覚悟していました。

なのですが、そういったこともあまりなく。
これも数値化できないので感覚論でしかないのですが・・・。

ただ、ラップを見てみると、ライド後半の方が速度上昇率が高い点からすると、あながちこの感覚も間違ってはいないのかな、と思います。



5. 早く帰って来れるようになった

で、その結果。
早く帰ってこれるようになりました。

そりゃ、いつだって頑張って漕い走れば早く帰ってこれますし、休憩時間を削れば早く帰ってこれます。

ただ今回は「特に頑張った感覚もなく」「休憩時間もほぼ同じ」で走ったにも関わらず、15分早く帰ってこれたことになります。

私にとっては、これが一番嬉しいポイントですね。
私はレースに出るつもりはありませんので、そういった意味で早く走れるようになりたいとは思いません。
ですが、「早く」走れるようになことで、より早く家に帰って来れるようになる、もしくはより遠くまで出かけることができるようになりコース選択の自由度が上がるようになる、というのはとても嬉しいことなわけです。

特にこれから日が短くなる季節となりますが、週末とはいえ家族と朝ごはんを食べてから出かけようとすると、良いとこ8時出発になります。
そこから100km〜110kmであれば無理なく出かけられますが、130〜140kmくらいのコースになると、日没の時間が近づいてきます。
そうなると、今までよりも早く走れるようになるというのは、とても価値があるんですね。



6. 首と肩の疲労度もアップ・・・

試乗や短距離走ったくらいでは実感がなかったのですが、やはり GAN S になって少し前傾度合いが増した模様。
50km 過ぎた辺りから、「すこーし肩が凝ってきたな」とは思っていたのですが、走り切った後、今まで以上に肩と首が凝りました。

我慢できない程ではありませんので、このまま乗り続ければナチュラルに肩まわり、首まわりの筋肉が鍛えられるかなー、と前向きに考えています。

ただ、もしこれが「1台目」のロードバイクだったとすると、結構厳しかったかもしれません。

これまで乗っていた Contend SL1 はエンデュランス系のロードバイクということで、前傾度合いは緩めでした。

ですが、それは「ロードバイク」の世界においての話。
クロスバイクやマウンテンバイクからすれば、 Contend SL1 ですらそこそこの前傾度合いです。
その為、最初の数ヶ月は首と肩が結構凝っていました。

それも半年も過ぎた辺りからは全く気にすることになく乗れるようになったわけですが。

私の場合は結果的に「徐々に」前傾度合いに慣らした形になりましたので、許容範囲内ではありました。



■ ちょっと別の角度から分析してみた

ケイデンスもスピートも、仲良く8%アップとなったわけですが、これって何でなんだろうな、と。

そこで、ちょいと違う角度から分析してみました。

今回、バイクを乗り換えたわけですが、実はフレームの剛性云々だけでなく、スプロケットの変更が大きな変化となっています。


  • Giant Contend SL1・・・フロント(50/34T)、リア(11-32T)
  • PINARELLO GAN S・・・フロント(52/36T)、リア(11-28T)

はい。
全然違ってます。

例えば、同じケイデンスで走った場合どうなるか表にまとめてみました。
回転数が80rpmの場合となります。


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めっちゃ小さいですね・・・。
見る気になりませんかね。

で、それぞれ、同じギア位置で走った場合、どの程度の速度差が生じるものなのか、比率化してみました。


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はい。
こちらも小さいですね。
結論からいくと、こんな感じです。


  • フロントアウターの場合・・・全体平均で 9.4% の速度上昇
  • フロントインナーの場合・・・全体平均で 11.4% の速度上昇


どうでしょう?
私が走った時の速度上昇 8% とちょっと近くありませんかね



そこで私の仮説です。

わずか2年とはいえ、走っている時のギア位置ってなんとなく体に染み付いてきているような気がするんです。
そうなると、ロードバイクを新車に替えてからも同じようなギア位置にして走ることが多いのかな、と。

そうなると、自然と速度が上がるわけですねー。

ただそうなると、ギアはそれてまでよりも「重く」なっているはずであり、脚力をより多く必要とするはずではありますが、そこはさすがレース向けミドルグレード。
フレームやBB周りの剛性アップ等により、効率よく推進力に変えてくれることにより、今までと同じような脚力・パワーで走れるようになったのではないかと。

素人考えですが、どうでしょね

トンデモ理論だったりして。


さておき、現時点での結論はこんな感じです。


  • ローディー2年生が、ミドルグレードレースモデルのロードバイクに乗り換えると、平均 8% 速度を上げられる
  • では脚にキツイかというと、そこまででもない
  • スタミナが削られるかというと、そうでもない
  • 前傾度合いがアップとなる為、地味に肩と腰は凝る

で、だいぶ長くなってきたので今回はこの辺りで。
峠を走ったらどうなるか、という疑問についても、既に数回ライドをこなしていますので、そちらも改めてまとめていきたいと思います。



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