■ 5万円のクロスバイクだったら、どれも同じ?

ママチャリではなく、週末サイクリング用にクロスバイクが欲しいな、という人はわりかし多いのではないかと思います。
駅前の駐輪場を見ると、クロスバイクの比率って、そこそこありますよね。

実は今回、知り合いから5万円から6万円程度で変えるクロスバイクでおすすめを教えて欲しいと言われました。

ただ、自転車購入って難しいもので、よくある話として「自転車乗りに自転車の事を聞いてはいけない」というものがあります。

これって、どの趣味の世界にも通じる話でして。

  • カメラに凝っている人に、カメラの購入相談をしてはいけない
  • オーディオマニアに、イヤホンやスピーカーの購入相談をしてはいけない

どれも「あるある」ではないでしょうか。

「既にその趣味に没頭している人」にこれから入門しようとしている人が「最初に買うのに何が良いですか」と聞くと、「そのうちもっと良いものが欲しくなるから、最初から良い(高い)ものを買った方が良い」と言われてしまうわけです。





例えば、一般論として。
ロードバイクに既に乗っている人に「ちょっと週末サイクリングをしてみたいから、5万円くらいの自転車買いたいんだけど、何が良いかな」と聞くと返ってくる答えってこんな感じではないでしょうか。

  • そのうちもっと早く走りたくなるから、折角ならロードバイクを最初から買った方が良い
  • ちなみにロードバイクだったら、コンポーネントは105以上が良いから、安くとも15万円からかな
  • 5万円のクロスバイク? だったらどれも同じようなものだから、色とかロゴとか、自分で気に入ったもの買えば良いよ

はい。
5万円だったら、どれも同じ。
そのように言われる/書かれていることって多くないでしょうか?

そのロードバイク乗りが、「ちょっと良いイヤホン買ってみたいな」とか「スマホではなく、ミラーレスカメラ奮発して買ってみようかな」とか思った際に、同じような事言われたらどう思いますかね?

例えばイヤホン。
エントリーだと数千円からあります。少し良いものだと1万円〜2万円。3〜5万円出すと感動できますし、10万円でかなりのものに。20万円超のものになると完全に趣味の世界。

一度10万円超のイヤホンに手を出してしまうと、「1万〜2万円のイヤホンなんて」と言い出す人がいますが、普段千円程度のイヤホン聞いている人からすると、1万円超のイヤホンを買うのは相当勇気がいるはず。

例えばカメラ。
フルサイズミラーレスだとあっという間に40万円の世界に(SONY α9)
でも5万円の入門用ミラーレス(SONY α5100)でも、スマホよりはかなり綺麗な写真が撮れます。
「いやいやカメラはレンズでしょ」と15万円の単焦点レンズ(Planar 50mm F1.4ZA)を使っている人は言うかもしれませんが、3万円のレンズ(FE 50mm F1.8)でもスマホでは表現できないようなボケを使った浮き上がるようなポートレート写真を撮ることだってできます。
(ま、最近のスマホの画像処理技術を使うと、それなりに綺麗な似たような写真撮れたりはしますが)



誰もがそんな嫌味な奴、というわけではないのですが、自転車の購入を難しくしている理由として、「比較することが簡単ではない」という点もあるかと思います。

オーディオ趣味、カメラ趣味の人で心ある普通の人であれば「視聴するのが一番だよ」「作例見るのが一番だよ」と言ってくれるかと思います。

ただ、自転車は、各メーカーの自転車を気軽に試乗して比較することがなかなかできないんですよね。

これがミドルグレード以上の自転車であれば、試乗イベントなどに参加して比較することもできますが、入門用バイクみたいな利幅の薄い商材の場合、各社入門バイクを一同に揃えて、自由に試乗させてもらうなんて贅沢なことはなかなかできなかったりします。

しかも、きちんと試乗比較するのであれば、上り坂、下り坂、長い直線、少し荒れた路面等、幾つか異なる試乗環境を用意する必要がありますので、まー無理な話なわけで。




■ クロスバイク購入で気にするポイント

新しく自転車を買う際に求める要素って何でしょうか。

  • もっと楽に、早く走れるようになりたい
  • もっと楽に、遠くまで走れるようになりたい
  • 坂道をスイスイ登れるようになりたい

単純に決めつけるのも何ですが、ぐぐぐっ、と凝縮するとこの辺りに集約されるのではないでしょうか。

ペダルを漕いだ力を効率よく推進力に変える為に、自転車の各パーツをきちんと見極める必要があるわけです。
5万円程度のエントリークロスバイクを買う場合に気にするポイントって、ざっくりこんな感じでしょうか。

  • フレーム・・・固い方が漕いだ力が逃げ辛く、効率よく推進力に変えてくれるが固すぎると乗り心地は悪くなる
  • ホイール・・・フレームと似ていて、固いフレームの方が以下同文
  • タイヤ・・・一般論としては、細いタイヤの方が設置面との摩擦が減るので早く走れるようになり、反面空気圧を高くする必要がある為乗り心地は悪くなる。但し、細すぎるのは良くなくて25cがベストバランスだとか、タイヤ毎の違いが大きいとか、突き詰めると奥の深い世界となり、一概には言えなくなる
  • ブレーキ・・・きっちり「止まる」ブレーキが良い
  • 変速機・・・ギアは多い方が良い? パキパキ変速が決まる方が気持ち良い

フレームに関しては、残念ながら乗ってみないと何とも言えない世界だと思います。
ただ、この金額になってくると、実はフレームの製造元は皆同じ場所だったりして、それほど差別化されにくくなっているのではないでしょうか。

ホイールやタイヤの違いは、乗り心地やペダルを踏んだ時の加速性に大きく影響するパーツでして、本来ならもっとも気にすべきポイントだと思っています。 
思ってはいるのですが、20万円のロードバイクでも付属しているホイールは1万円程度のものだったりする位ですので、5万円のクロスバイクではホイールに違いかでることは少なく、むしろタイヤの太さの方が重要だったりします。
また、タイヤはもともと消耗品でもあり、後からでも交換し易いパーツでもありますので、「クロスバイクで一般的なのは28cの太さ。28cならそれ以上は特に気にする必要はない」とも言えるかもしれません。

で、残るはブレーキや変速機。

ここは世界に名だたるシマノさん。
コンポーネントはきちんとグレート分けされてるんですよね。 




■ 駆動系のコンポーネントは意外と比較し易いかもしれないと思い立つ

ということで、駆動系のコンポーネントについて、価格比較をしてみました。
言うのは簡単なのですが、調べるのが
めっちゃ大変でした・・・泣
グレード別の価格比較ということで、基本的に標準価格ベースで比較しているのですが、この標準価格を調べるのが大変でした。

ロードバイクの105、アルテグラなんかですとすぐに調べられるのですが、クロスバイクのエントリークラスのコンポーネントなんて、どこにも載ってないんです。
(ショップにはあるのでしょうが)
で、様々なショップで公開されている標準価格を調べたのですが、標準価格が載ってないショップもあれば、そもそも取り扱いのないショップが多く。

いったい幾つのショップを彷徨い歩いたことか・・・。
丸一日かかりました。

で、価格調査できたパーツはこちら。

  • シフター(シフト/ブレーキレバー左右セット)
  • フロントディレイラー
  • リアディレイラー
  • クランクセット
本当なら、スプロケットやチェーンも含めた価格調査を行いたかったのですが、コンポーネントによっては用意されていないグレードもあった為、各グレードで共通して用意されているパーツのみで比較してみた次第です。

結果がこちら。


  • SHIMANO Tourney (7s)・・・¥8,600
  • SHIMANO Tourney (8s)・・・¥10,222
    もっぱら5万円以下の完成車に使われることが多い、もっとも低価格な下位グレードに位置するコンポーネント。Tourneyの中でも細かくグレード分けされている。
  • SHIMANO ALTUS (8s)・・・¥11,574
  • SHIMANO ALTUS (9s)・・・¥12,240
    入門向けグレードの中で下位に位置するコンポーネント。完成車では5万円前後のマウンテンバイクに使われることが多い。
  • SHIMANO ACERA (9s)・・・¥17,228
    下位グレード向けの中では中位に位置するコンポーネント。完成車では6万円前後のマウンテンバイクに使われることが多い。
    ACERAについては、マウンテンバイク向け(ACERA M3000)と、トレッキングバイク向け(T3000)が用意されている。トレッキングバイクはそのままクロスバイクと読み替えても良いと思いますが、全般的にマウンテンバイク向けのコンポーネントの方が価格は高め。
  • SHIMANO ALIVIO (9s)・・・¥21,483
    下位グレード向けの中では上位に位置するコンポーネント。完成車では8万円前後のマウンテンバイクに使われることが多い。
    ACERAと同様、マウンテンバイク向け(M4000)とトレッキングバイク向け(T4000)に分かれている。


    それぞれのコンポーネントの価格上昇率はこんな感じに。

    corss_comp


    同じコンポーネントのTourneyでも、7速と8速では2割近く価格が違うというのが意外でした。
    TourneyからALTUSはそこまで価格は変わりませんが、ALTUSからACERAにアップグレードすると、一気に価格が上昇することがよく分かります。ALTUSとACERAの壁は高いんですね。

    価格にすると2000円だったり5000円だったりする為、そこまでインパクトがないように感じますが、これをロードバイクのコンポーネント別価格上昇率と比較すると違いが分かるかと思います。

    対象のセットは上記と同様にして比較してみます。

    road_comp

    SORAからTiagra、Tiagraから105にアップグレードするのと、Tourneyを7速から8速にアップさせたり、TourneyからALTUSへアップグレードするのは、価格的には同じようなレベルになるわけですね。

    で、105からUltegraにアップグレードするのと、ALTUSからACERAへアップグレードするのが同じような感覚になるわけです。

    ACERA、なかなかのもんじゃない?と思いませんかね。
     



    ■ 各社5万円〜6万円のクロスバイクの駆動系コンポーネントは比較してみる

    ここまでが前置きです。(長いって・・・)

    ここから本番。
    各社の5万円〜6万円のエントリー向けクロスバイクの駆動系コンポーネントを比較してみました。
    対象はシフター、ディレイラー、クランクセットの他に、カセットスプロケットも含めて比較してみました。

    今回比較したバイクはこちら。

    • TREK FX1 (¥45,000)  / FX2 (¥57,000)  / FX3 (¥72,000)
    • GIANT Escape R3 (¥52,000)  / CORSTAR (¥56,000)
    • CANNONDALE QUICK 7 (¥55,000)
    • SPECIALIZED Sirrs (¥59,400)
    • FUJI RAIZ (¥59,000)
    • LOUIS GARNEAU SETTER 8.0 (¥54,000) / SETTER 9.0 (¥58,000)
    • Bianchi C Sport1 (¥59,800)  / Roma4 (¥75,000)
    • GIOS MISTRAL (¥51,000)
    • MERIDA CROSSWAY 100-R (¥55,900)  / CROSSWAY 200-MD (¥61,900)
    • KhodaaBloom RAIL700 (¥58,000)  / RAIL700A (¥45,000)

    まずは各社バイクに採用されているTourneyの数を並べてみました。

    TOURNEY

    Tourneyが採用されている完成車は、
    最下位に位置づけられるグレードだけあって、¥45,000〜¥60,000に集中しています。

    続いて、もう1ランク上のALTUS。


    ALTUS

    価格帯でいうと意外なことに、Tourneyと同じように
    ¥45,000〜¥60,000に集中しています。


    続いてACERA。
    ロードバイクでいうところの、105→Ultegraへのジャンプアップ相当ですね。

    ACERA

    意外なことに、¥50,000〜¥70,000あたりで採用されています。
    ただ、さすがに1ポイントで採用されることが多いようですね。

    比較表を作ってみて全体的な傾向が分かりました。

    • フロントディレイラーはリアディレイラーよりも1グレード格下のコンポーネントが採用されることが多い(88%)。確かに頻繁に使うのはフロントよりはリアですから、よく使うパーツのグレードを重視する、というのは妥当ですよね。
    • 同じ理由からだと思いますが、最も良いパーツを使う箇所はリアディレイラー(100%)。
    • シフターは下位グレードを採用して価格を抑える場合(59%)と、他のパーツと同等以上で頑張る場合(41%)とに二分される。左右のシフト/ブレーキレバーは合算すると最も高価なパーツ部位となることから、完成車の価格を抑えようとする場合、シフターをシマノのノーグレード品で割り切るケースが見受けられた。逆に、このパーツを頑張っている完成車はコスパが高い傾向にあり。
    • シフターの次に価格が高くなるケースが多いのがクランクセット。その為、クランクセットをシマノ製品以外の別ブランド品にすることで全体の価格を抑えるケースが多かった(59%)。

    調べるのにやたらと時間はかかりましたが、各社傾向は似たようなものでしたので、とても勉強になりました。

    駆動系のコンポーネント限定ではありますが、上記調べた範囲で「グレードが高い」クロスバイクは以下でした。



    ▪️TREK FX3



    FX 3は、ロードバイクのように速く走れ、シティーバイクの多用途さを持ち、フィットネスバイクの快適さを備えた働き者のクロスバイク。軽いAlpha Gold アルミフレーム、カーボンフォーク、高性能のドライブトレインが、通勤・通学からトレーニングまでの全てに、速さ、多用途さ、信頼性の高さをもたらす。

    FX3
    TREKのサイトより拝借

    そりゃそうです。¥72,000と今回比較した中で最も高価なバイクですから。
    フロントディレイラーとクランクセットがACERA、リアディレイラーとカセットスプロケットがALIVIOですので、文句のつけようがありません。

    コスパが良いというよりは、お金を出した分だけコンポーネントも良いもの使ってます、といったところでしょうか。



    ▪️GIANT CROSTAR



    最新技術が生みだした超新星「クロスター」。 クロスバイクに必要なスポーツ性能と日常使いでの耐久性を主眼に、
    フレーム、フォーク、構成パーツまで細部にこだわり、快適性も堅持しながらクラス最軽量※の9.9kgを実現。
    カジュアルな街乗りでも、一瞬一瞬に走りのキレを追求する、アグレッシブなアーバンサイクリストに。


    CROSTAR
    GIANTのサイトより拝借

    お値段¥56,000。8速ではありますが、重量は9.9kgと軽量。
    かなりお得感がありそうです。

    コンポーネントに関してですが、シフターはALTUS。手を抜いていません。フロントディレイらへこそTourneyですが、リアディレイラーとカセットスプロケットにはACERAを奮発しており、コスパがとても良いです。流石のジャイアント。同社主力商品であるEscape R3よりも4000円お高いですが、コスパという意味ではこちらの方がおすすめかもしれません。



    ▪️KhodaaBloom RAIL700




    上位モデルゆずりのフレームを使用したクラス最軽量クロスバイク。高品質のフレームとこだわり抜いたパーツ構成が軽やかな走行感と抜群の走りやすさを両立するスタンダードモデル。
    RAIL700
    KhodaaBloomのサイトより拝借

    ジャイアントCROSTARに次いでコスパが良さそうなのが、KhodaaBloomのRAIL700。こちらはジャイアント以上に軽量となっています。お値段は¥58,000ですのでジャイアントよりも更に2000円お高いですが、こちらは9速仕様で、0.5kg軽量。ペットボトル1本分軽量というのはかなり大きいです。

    コンポーネントですが、サイトを見て分かる通り「ALTUS採用」を前面に出しています。シフター、フロントディレイラー、リアディレイラー全てがALTUSで揃えられています。面白いことに、カセットスプロケットがロードバイク用のSORAグレードを使っています。

    個人的に面白いな、と思ったのですが、先のジャイアントCROSTARも、こちらのRAIL700もいずれもクランクセットにPROWHEEL社を採用している点です。

    また、今回は駆動系コンポーネントということで比較対象からは外していますが、RAIL700はブレーキにALIVIOグレードのBR-T4000を採用しています。ジャイアントCROSTARはTektro RX1ということで、個人的にはRAIL700の方が全体的なコスパは上かな、という印象ではあります。
     



    ■ 結論。価格5万円〜6万円を比較した結果、おすすめのクロスバイクとは

    KhodaaBloomのRAL700で決定。
    もし7万円まで出せるのであれば、TREKのFX3。
    何となくKhodaaBloomってよく知らないブランドだし抵抗感があるなー、ということであれば、安心のブランド、GIANTのCORSTARで決まり。

    今回個人的に意外だったのですが、MERIDAがコスパという面でイマイチな印象だったこと。後は街中で見かけることの多いLOUIS GARNEAUやGIOSがあと一歩及ばず。

    次点になったのが、TREK FX2、GIANT Escape R3、CANONDALE QUICK7、Bianchi C Sport1という定番所でした。
    ほんと丸々一日かかりましたが、良い勉強になりました。





     


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