■ 各社サイクルパンツのパッドがどうなっているのか調べてみた

これまでパールイズミ、カペルミュール(ウェイブワン)のパッドを比較してきましたが、今回はその他に興味のあるメーカーについて調べてみることにしました。





◼️ シマノ


まずはシマノ。
コンポーネントに関してはいつもお世話になりっぱなしですが、ウェアといえばグローブが安くなっていたので一度買ったことがあるくらいで、シマノのウェアは今までろくに目も向けてきませんでした。

シマノパッドについては、ライド時間とペダリング効率の二軸で5種類に分類されています。


pad_hikaku2-01

そのうちの1つは女性用ですので、男性用パッドに限ると4種類ですね。

  • S-PHYRE
    換気と通気性を向上し、振動を抑え、ペダリング効率を改良することで、パフォーマンスと快適性への期待に応えています。さらにボディーとサドルのシームレスな心地よさを高めています。

  • EVOLVE
    グランフォンドのような、長時間サドルからの振動を受ける状況下においても、1日中快適性をキープするよう設計されています。

  • パフォーマンス8パッド
    ロングライド思考のサイクリストのライディングをサポートし、快適性を提供します。

  • パフォーマンス3パッド
    シームレスで解剖学的な機能を備えています。パッドの必要性やメリットを知りはじめたサイクリストのための設計をしています。

面白いと思ったのは、パールイズミではロングライドモデルは「3D MEGA」ということで、ハイエンドモデルの3D NEO PLUSとは別に派生させているのに対しして、シマノはあくまでも上位に行く程にロングライドに適したモデルになっています、と謳っている点です。

パールイズミの3D MEGAで実感していることとして、ロングライド志向でパッドを厚くすると、どうしてもペダリング性は低下せざるを得ない点です。
シマノはクッション性とペダリング性は双方ともに上位モデルが優れているとしているわけですが、正直腹落ちし辛いですね。

いやいやそれだけシマノの技術が高いんだ、ということであれば文句なしなのですが。

pad_hikaku2-02
シマノのカタログでは、各パッド毎の断面も公開されています。
こういった姿勢は素晴らしいと思うのですが、いかんせん分かりづらいです・・・。
この小さな断面図だけ見ても、「違うこと」は分かるのですが、それぞれ色の違うパッドが組み合わされていることくらいしか分からず、しかもその違いがよく分かりません。

パールイズミのように、2層、3層、と明らかに違いを出してみたり、断面図にしてもパッド全体の構成図を出した方が伝わりやすいと思うんですよね。


あとこれは商品説明なので仕方ない部分もあるとは思いつつ、パフォーマンス3パッドを使用している製品で「パフォーマンス3パッドは長時間のライディングにも快適」とか書いてあると、上図の分類分けとの整合性がイマイチになるので、分かりづらいです。

この後に出てくる他のメーカーに比べると、製品情報の公開範囲、内容ともに豊富であるにもかかわらず、伝わりにくいという。
本当にもったいないです。



◼️カステリ

ロゴが特徴的ということもあるのでしょうが、カステリはよく見かけることの多いウェアです。
イタリアのメーカーということで歴史もあります。




castelli のルーツは、1876 年にミラノの中心部にある洋服の 仕立て屋「Vittore Gianni」から始まりました。1945 年、同社 で働いていた「アルマンド・カステリ」が、ジーノ・バルタ リとファウスト・コッピという当時最も優れた 2 人の選手の スポンサーを務めていました。アルマンドは従来使用されて
いたウールではなく、シルクなど素材を見直したウェアを作成し、数々の勝利に貢献しま した。数年後には 12 ものプロチームがウェアを着用し、その選手達が次々と王者になっ ていきました。


仕立て屋がルーツ、というところがいかにもイタリアンですね。
カステリのサイクルパンツ、ビブパンツに採用されているパッドは大きく2種類に分かれています。
厳密にはトライアスリート用のモデルがもう1つあるのですが、いったんロードバイク目的ということで2種類に絞り込みたいと思います。


PROGETTO X2

  1.  4方向にストレッチするマイクロファイバートップレイヤーは、最大限の柔軟性で  身体の動きに合わせます。また、シームレス構造で擦れを防止します。空気が流れる通気孔を設け、湿気を蒸散させます。
     
  2. 妥協のないクッション性を提 供します。無限に厚みが変化し、身体の適した部分に適した形状で衝撃吸収します。坐骨の下では厚く、サイドでは薄く、会陰部では薄くなります。
     
  3. 非常に敏感で圧力がかかる陰茎部、坐骨のエリアには、穿孔された粘着性のパッドが加えられています。

KISS AIR2
  1. 短い時間~長い時間、快適性を与える為に、あなたの肌に最も柔らかい生地を届けます。擦れや摩耗を減らすようにシームレスに設計されています。   あなたの動きと一緒に伸縮します。
  2.  厚みが変化する2層のパッドは、あらゆる部分に完璧なクッション性をもたらします。坐骨部に最も密度をもたせ厚くし、会陰部で適度に薄くなり、サイドの縁が最も薄くなっています。
  3.  あらゆるペダリングの動きに、パッドが身体とのインターフェースになり、快適性を強化します。
はい。
いかにも直訳で分かりづらいですねー・・・。
価格帯でいくと、定価2万オーバーのハイエンドモデルのみPROGETTO X2を採用しており、それ以外はKISS AIR2を採用していますので、製品の区分けはとてもハッキリしています。

気づけばハイエンドのパッド採用製品が一番多くなってしまっているパールイズミとは真逆ですね。

パッドの見た目は、KISS AIR2 がパールイズの3DRに似ています。価格帯的にも近い感じでしょうか。ただ、KISS AIR2が2層構造ということですので、むしろパールイズミでいうところの一世代前の3D NEOと同じようなラインかもしれません。

PROGETTO X2 に加えられている「粘着性のパッド」というのがどの程度のものなのか興味津々ではあります。




◼️ビオレーサー(BiORACER)

ビオレーサーはオーダーウェアになります。
もともとはコスパの良いウェアとしてルコックスポルティフを調べようと思ったのですが、ルコックスポルティフに関しては笑ってしまうほど情報がなく、パッドの情報だけ切り出して整理することができませんでした。

どうも標準的なパッドと、ロングライドなどを意識したパッドなど、製品に応じてパッドを変えてはいるようなのですが、特に名前がつけられているわけでもなく、よく分からんのです。

で、ルコックスポルティフもアンダーウェアが自分たちの弱点という点は理解しているようで、ビオレーサーとのコラボ製品を出していたりします

今は売り切れで入手できなさそうな雰囲気ですが。
ビオレーサーはパッドも独自に自社開発しているそうで、強いこだわりがありそうなんですね。

そんなわけでビオレーサーに興味を持った次第です。


1. スムースユニ

私が興味を持ったのが、ビオレーサーにおけるパッドに対する考え方でした。
引用元はこちらになります。



近年のパッドの流行として、「複数素材の組み合わせ」「3Dの立体構造」「吸収性が高く蒸れにくい」などの特長が挙げられています。

しかしこれに対し、バイクフィッティングシステムからサイクルウェア開発へと進んだビオレーサーは、独自に膨大な研究データや、トップアスリートへの実戦投入の結果などから、全く異なったパッドの理論を導き出しました。

なかなか挑戦的ですよね。
最初は要約しようかと思ったのですが、とても分かりやすく勉強になるので、そのまま引用させていただきます。



1)「複数素材の組み合わせ」 ⇒ 単一素材によるパッド形成
ビオレーサーの独自技術によって、複数素材を使わなくても、1種類の素材の密度を部分的に変えることによってパッドを形成することが可能になりました。それにより、次の点が大きく改善されました。
・単一素材なので伸縮率が均一なため、パッドの伸びに偏りがなく履き心地が快適
・つなぎ目の無い一体構造で、大幅な軽量化に成功
・表層に継ぎ目がなく、密度の代わる部分もスムースで摩擦や擦れを軽減
軽量化と履き心地の良さにより1つでもストレスを軽減する事で、サイクリストのパフォーマンスを保つパッドと言えます。

2)「3Dの立体構造」 ⇒ 平面でも伸縮性の高い素材で密着
3Dの立体構造で厚みが出てしまいかさばるパッドに対し、ビオレーサーは伸縮性の高い単一素材で形成することで、サイクリストの動きに追随し、よりサドルに密着する機能を持たせました。4方向への伸縮性がある素材のみを使っているからこそ生まれた機能です。

また、平面でパッドに厚みが無い事で、股関節周りの動きがよりスムーズになり、パフォーマンスの低下を防ぎます。パッドの表面には伸縮率の高い素材を使っていても、パッド内に別の素材を使っている場合、表面との伸縮率が違うために、結果パッド全体の伸縮性が落ちてしまいます。ウェア自体に伸縮性の高い生地を使っていても、パッドが生地に追随できないのでは意味がありません。

3)「吸収性が高く蒸れにくい」 ⇒ より通気性を向上、汗をより早く発散
ビオレーサー独自の「ディンプルコンセプト」に基づき、パッドと表層に穿孔形状(穴)を採用、肌とパッドの表面の接触する点を極力削減して通気性を向上させているため、長時間履いてもドライな履き心地を実現しました。また、穿孔形状が空気の流れを作り出し、汗の発散をより促す仕組みです。立体的で厚みのあるパッドが吸収性を謳うのに対し、より薄く軽量なビオレーサーのパッドは、通気性と発散性能に優れるため、溜まった水分で皮膚がふやける事を防ぎ、肌を清潔に保つ事が可能です。

例えば複数素材の組み合わせ→単一素材、に対する考え方。
カペルミュールが新たにスタンダードモデルとして採用したプルミエパッドでは、ナイロン100%ビーチ起毛、低密度ウレタンフォーム、振動吸収シート、中密度ウレタンフォーム、高密度ウレタンフォーム、形状安定用ポリエステルシートと6種類の素材を組み合わせています。ウレタンフォームについては圧縮率で使い分けているようですのでこれを1つの素材とカウントしても、4種類の使い分けですね。
パールイズミのハイエンド、3D NEO PLUSを見てみると、硬さの違うウレタンを使い、硬いウレタンを柔らかいウレタンでサンドイッチするような構造になっています。
これはビオレーサーと同じように、ウレタンという単一素材を圧縮率で使い分けているんですかね?

新スタンダードモデルである3DRに関しては「パッドフォームの圧縮率を部位ごとにコントロール」とありますので、この辺りの考え方がビオレーサーとも共通してここ最近のトレンドになっているのでしょうか。


2. ベイパー(VAPOR)

近年の傾向として、ロードバイクのフレームのカーボン化、タイヤ(ホイール)のチューブレスレディー化があるかと思います。
日本ではまだまだこれからだそうですが、海外ではグラベルロードの需要が増してきているそうで、タイヤもどんどん太くなる傾向にあるそうで。

つまり、衝撃吸収性がどんどん上がってきているわけですね。

そうなると、サイクルパンツのパッドに求められる要求度合いも変わっくるわけで、衝撃吸収性を求めて厚く、重くなるのではなく、昨今の衝撃吸収性の上がった自転車を前提に、より軽く、薄くしたパッドを用意すべきではないか、という発想に基づいて開発されたパッドがベイパーなんだそうです。

先を見越した開発をしているとというわけですね。
勉強になります。

以下がベイパーパッドの特徴だそうです。

・左右独立形状のEVAフォームパッドを解剖学的形状に一体成型
・『SMOOTH UNI』パッドのわずか30%の素材で軽量化
・薄いパッド高=低いサドル重心による安定した自転車コントロール性を発揮
・薄くても優れた衝撃吸収性を実現
・疎水性素材により常にドライな肌面


こうやって活字にすると途端に他社製品との違いが分かりにくくなる気がしますが・・・。

ただ自社のこだわりを持っているという点はよく伝わってきますね。

ビオレーサーでカスタムオーダーをする際には、一枚からオーダーすることはできませんので私のような週末ローディーにはあまり現実的ではありません。
Amazonやwiggleを除くと、ラインナップは少ないもののVAPOR採用のショーツなどがありますが、ビブショーツばかりなんですよね・・・。

個人的にはトイレでの利便性考えるとビブショーツやビブパンツはあまり好みではないのですが、ビオレーサーのVAPORパッドを採用したロングタイツがあれば試してみたいところです。


天気が悪く、体調もイマイチということで各社調べてきましたが、まだまだその気になればサイクルウェアのメーカーは沢山あるんですよね・・・。

いったんこの辺りで区切りにしようかと思いますが、気が向いたら他も調べてみようかなと思います。

正直、パッド1つでここまで奥が深いとは思いもしませんでした・・・。




 


にほんブログ村 自転車ブログへ
にほんブログ村