■ キャノンデール システムシックスを調べてみる

先日ビアンキの試乗会に出かけたのですが、そこで店員さんから出てくるコメントにキャノンデールに関するものが多いこと。
「システムシックスが〜」
「スーパーシックスが〜」

挙句に、先月デジタルバイクスケール目当てで購入したバイシクルクラブ1月号の記事にあった、日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2020では、見事スーパーシックスEVO Hi-MODが受賞する、という結果に。

とってもキャノンデールが気になり始めたわけであります。





ちなみに、むかーしマウンテンバイクではキャノンデールに乗っていたこともありますので、もともと個人的には好きなメーカーであります。


実はキャノンデールを調べてみることにしたのも、私がお世話になっているショップでキャノンデールの試乗会が開催され、実際に試乗してきたからだったりします。

本来であれば事前に調査→試乗してみる、というのが筋だとは思うのですが、あまり事前に情報を入れ過ぎて余計な思い込みが入っても良くないかな、ということで、試乗してから詳細を調べていたりします。

ただ、ブログ記事的には順番逆の方が良いかな、ということで、調査記事から先にアップさせて頂くことにしました。



で、キャノンデールのシステムシックスを調べてみたわけですが、詳細なホワイトペーパーが公開されているんですね。びっくり。
他社のバイクでここまで詳細な情報を見たことがありませんでしたが、この辺りは数値にこだわるアメリカならでは、といったところでしょうか。

具体的な数値については、各種レビューサイトで見たことがあったのですが、この辺りの情報はメディア向けに特別に公開されているものなのかなー、と思っていたのですが、一般人でも普通に確認することができました。

ちなみに、私が購入するとしたらアルテグラグレードになるかなー、と思いますのでHi-MODではないモデルになりそうですが。

sys_six_ul


こちらがアルテグラモデル。490K円也。


sys_six_di2


こちらがアルテグラDi2モデル。680K円也。
さすがにDi2ともなるとお高いですが、完成車としてラインナップされているだけでも選択肢が広がって良いですね。

ちなみに、昔乗っていたマウンテンバイクも日本限定カラーのパールホワイトでしたので、白基調のカラーリングもとっても好みだったりします。


さてさて。

システムシックスが発表された時期からすると今更感ありありですが、勉強の意味も込めて気になるポイントに絞って内容確認してみることにしました。


1. エアロロードバイクは登りで不利になるのか



It's faster than lightweight climbing bikes on any climb up to a 6% gradient or more, depending on rider's power to weight. To put that in perspective, most revered HC climbs in the Tour only average 7-8%.



斜度6%までであれば、他社のどんなクライミング専用の軽量バイクよりも早く走れるぜ!
だそうです。
ツールのヒルクラもそのほとんどが平均斜度は7〜8%なんだから、このバイクで十分でしょ?という挑戦的な問いかけですね。

それって、どんな理屈で導き出されたのさ、ということで内容を確認してみました。

fig_02



Figure 5 shows a time saving, in seconds per kilometer, for the SystemSix vs SuperSix EVO. The positive region indicates that SystemSix is faster than the modern lightweight race bike. The negative region is the reverse; the lighter bike has the upper hand. For example, at 0% gradient, SystemSix saves 3 s/km over SuperSix EVO, for this rider (4 W/kg). The horizontal intercept is the gradient at which the two bikes are equal in performance. In Figure 5, the break-even point occurs at 6%, This means that on 
a 6% slope, you would be equally fast on either bike. Only 10 above 6% is there an advantage to riding the lighter weight bike. 


  • システムシックスとスーパーシックスEVOで比較を行った
  • 1キロ走る間に何秒の差が出たかを比較
  • ライダーの脚力は4W/kgで条件を揃えた
  • 例えば斜度0%であれば、システムシックスの方が1キロあたり3秒タイムが早い
  • 斜度6%になると、両者同タイム
  • 斜度10%になるとスーパーシックスEVOが3秒タイムが早くなる
  • 結論として、平坦〜斜度6%までであればシステムシックスが早く、斜度6%〜10%であればスーパーシックスEVOが早いということに
ほほーう。
こういう数字は大好物ですね。
てか、ここまで数字にこだわるところがアメリカン、なんですかね。

面白そうなので仮置きして試算してみました。

  • ライドの距離は100km
  • 斜度10%が1km、8%が2km、6%が3km、4%が5km、2%が10km、残りが平坦と仮定
    (いやいや、下りがねーじゃねーか、というツッコミはご容赦を。計算を簡単にする為ですので)
  • グラフから読み取れるおおよその数字で計算すると、おおよそ4分半、スーパーシックスEVOよりもシステムシックスの方が早い
  • 私の脚力は4W/kgもなく、3W/kg程度ですので、実際にはもう少し差が小さくなりそうな気もしますが

この比較は、PWRが4W/kgのライダーのケースとなりますが、私のように約3W/kgのふつーなおじさんライダーの場合はどうなるの?と思ったらきちんと記載がありました。




This tipping point is affected by the mass and power of a rider. Higher power-to-weight ratio (for a stronger rider) shifts the tipping point to a higher gradient. This is because more power results in higher climbing speed and thus the influence of aerodynamics is more pronounced. For our professional riders that are climbing at and above 5 W/

kg the tipping point is closer to 7%. This effect is shown in Figure 6 below plotting tipping point against power-to- weight ratio. The key takeaway from this is the fact that it is actually possible to climb faster on a heavier bike than a light bike given sufficient aerodynamic improvement.


  • 当然、脚力が強い人ほど、上り坂でもより早いスピードが出ることになるので、脚力が高い人ほどエアロ効果の恩恵を受けることが可能になる
  • 例えば、PWRが5W/kgの人であれば、システムシックスがスーパーシックスEVOよりも有利になるポイントは斜度6%ではなく斜度7%になる

fig_03

じゃあ、私のようなPWRが3W/kg程度の人間だとどの程度なのかなー、と思ってみたら、だいたい4.5%くらいだそうです。

斜度4.5%を超えるのであれば、スーパーシックスEVOが有利です、と。




2. 平坦路であれば、どの位エアロ効果が出るのか




at 48km/h (30mph), SystemSix save you over 50 watts - huge savings considering an average Cat 1 racer's Functional Threshold Power is around 350 watts. And even when drafting, you're still getting up to 60% of that benefit.



時速48kmで走行した場合、通常の軽量バイクと比較して50ワット以上のパワーセーブできるらしいです。
時速48kmかー。私には関係ない世界ですね。




The first is sitting in the wind, either breaking away solo or pulling on the front of the group. On a flat road at 45 km/h SystemSix saves over 40W compared to a modern race bike like SuperSix EVO. That is with the same deep race wheels on both bikes.



時速45kmで走行した場合、スーパーシックスEVOよりも40Wパワーがセーブできるらしいです。




At race speeds SystemSix saves 3 s/km over the modern race bike. This savings adds up significantly over the course of a long breakaway. And it is really important when you consider the run in to the finish. Over the final 10km of a stage that time saving means SystemSix would get to the line 30 sec ahead of the modern lightweight race bike. 



時速何キロなのかよく分かりませんが、「レースレベルでのスピード域」では、従来のレース向けバイクと比べて1km辺り3秒は縮めることができるそうです。レースでラスト10kmというシチュエーションで30秒優位に立てるってすごいでしょ、ということですね。

この辺りはまさに「エアロで早くなるんだぜ」という話なのですが、キャノンデールさんの自信が顕著に現れているグラフがこちら。
こちらのグラフはいくつかのサイトで目にしたことありましたね。


fig_04


ヨー角(yaw angle)とは、風向きと風速に、自転車の移動速度を加味した、相対的な角度だそうです。で、上記はそのヨー角度別の抗力(drag)をグラフ化したものになります。ちなみに抗力とは、漢字からも何となく想像できるかと思いますが、「空気
中を移動するロードバイクにはたらく力の、流れの速度に平行な方向で同じ向きの成分、だそうです。
要するに、この数値が大きいほど空気抵抗が大きい、ということで、それがどんな角度からぶつかってきた時に、どんな強い力が働いているかをグラフ化したものになります。

ここで他社製品を実名入りでバンバン載せているところが凄いですよね。。。
そういう所が、ヨーロッパ諸国から嫌われる点なんだよねー、アメリカさん。


さておき。
実測結果として、キャノンデールのシステムシックスは空気抵抗に優れている、ということがよく分かります。




3. でも、ハイレベルなレース出場選手でしか意味のない数値なのでは?


キャノンデールは、そんなことないよー、と主張しています。




Not only the fastest in the wind-tunnel or just the fastest for a select few riders in a select few scenarios, but the fastest for anyone interested in going faster, just about everywhere you’d want to go faster.



ほんの一握りの選ばれしシリアスローディーの為だけでなく、早く走りたいと思う全ての人に向けて作られたバイクなんですよ、と主張しております。


とはいえ、今まで見てきた内容からすると、やっぱりシリアスライダー向けなんじゃねーか、と思えてしまいますよね。

ホワイトペーパーを読んで行くと、ありました。
お前のような週末ローディーにも十分メリットがあるんだぜ、と。




Not Just For Racing

Racing provides some clear examples of the performance benefits of SystemSix compared to a modern race bike over a range of different scenarios. But SystemSix is

not just for elite racers and offers serious benefits to riders of all levels. Take a cruising speed of 30 km/h (~18 mph) on a flat road; a comfortable cruising speed for most road cyclists. Compared to a modern road bike with low profile wheels, SystemSix would save that rider approximately 17W just in aerodynamic resistance. This pace equates to a savings of about 10% of your total power. That is not an insignificant amount when you consider a training ride of several hours. And as you ramp this speed up for more spirited riding the savings only increases. At 32 km/h it’s 20W. At 35 km/h it’s 26W.


多くのローディーにとって快適な巡航速度30kmでも、従来のバイクに比べてエアロ効果で17W節約できるそうです。
パワー換算すると、約10%節約できるよー、と。
これが時速32kmなら20W、時速35kmなら26Wだぜ、と。

昔であればこの辺りは全くピンと来なかったのですが、パワーメーター導入してスイートスポットトレーニングとかやり始めると、10Wの差がどんなに大きな差になるかを痛感するようになりました。
17W/10%の節約というのはめちゃめちゃ魅力的ですね。

但し注意すべきポイントとして、比較対象の従来のバイクは "row profile wheels" ということで、ホイールのリムハイトが低いケースとの比較のようです。
ホイールがディープリムになるだけでもかなりの効果があるような気がしますので、「従来のバイクにシステムシックスと同じようなディープリムを履かせた場合」は、ここまで大きな差にはならないんでしょうね。

ま、トータルパッケージでの比較ということですから、あまり重箱の隅を突くような書き方は無粋ってもんですが。



4. 大切なのは重量じゃない。空気抵抗なんだ。


ホワイトペーパーを読んで行くと更に面白い記述がありました。



Acceleration, much like climbing, is a function of

the total system mass. Thus, most of your energy is expended to accelerate your body mass, with the bicycle being secondary. A bicycle that weighs an extra 1 kg requires only an additional 3.5W additional power to perform that 2 m/s2 acceleration. This is 1.3% increase in power. 


いいか、加速時にパワーが必要になるけど、重要なのは全体の重量なんだ。しかも、ここで言う重量ってのはお前さんの体重の方が重要で、バイクの重量なんて二の次なんだぜ。
例えばバイクの重量が1kg増えたとしても、追加で必要になるパワーなんて3.5Wに過ぎないわけで、パワーに換算すると1.3%増えるだけなんだ。

だそうです。

既述ですが、時速30kmでも17W削減できるんだから、仮にエアロ効果を高める為に1kg重くなったとしても、3.5Wしか増えないんだから、差し引きどちらを重視すべきなのか分かるだろ、という話ですね。




When you consider the difference in mass for a wheelset,

it becomes clear that it has little impact on acceleration.

For a 100g increase in wheelset mass, at worst, only 0.7W additional power would be required for this acceleration. This accounts for both translational and rotational acceleration, and assumes all rotational mass is concentrated at the tire outer radius. Remember too that as you accelerate, your aerodynamic resistance climbs rapidly. From 20

km/h to 25 km/h your aerodynamic power doubles. So even for an acceleration on a climb, as modeled here, there is little to no advantage of a lightweight wheelset.


例えばホイールについて考えてみればもっと分かりやすいぜ。
仮にホイールが100g増えたとしても、加速時に必要となるパワーなんてたかが0.7Wに過ぎない。
一方で、時速20kmから時速25kmに上がる時には、空気抵抗は2倍に膨れ上がる。ホイールの軽量性を重視するか、エアロで空気抵抗を低減するか考えたら、どっちが重要か分かるだろ、ということですね。

なかなかに興味深い内容でした。
根拠が数字で説明されているのが素晴らしいですね。

こうやって見てみるとシステムシックス、とても魅力的だな、と。

次回はスーパーシックスについても調べてみたいと思います。



 


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