■ TIMEのロード向け新ペダルシリーズ(CYCLOシリーズ)

先日、「ロードバイクでももっとSPDペダルが使われても良いんじゃないのー」という記事を書きました。

現在愛用しているシマノのPD-ES600なんかは、まさにそういった方向性の製品だと思うのですが、タイムでも同じような方向性の製品が登場していたんですね。
知りませんでした。

調べてみるととても良さそうで気になった一方で、例によって国内公式サイトではろくな説明もないようなので、今回はグローバルサイトの内容など踏まえつつ調べてみたいと思います。

ほんとこの手の国内販売代理店の公式サイトが「イケてない」のは、ロードバイク業界のあるあるなんですかね・・・。
翻訳するだけでも良いので、きちんと載せて欲しいところなのですが。

[追記]
当初CYCLOシリーズを「SPDペダル」と表記していましたが、SPDペダルはシマノの商標になりますので記載訂正させていただきました。MTB向け2穴クリート に対応可能なペダルシリーズですね。
TIME公式でも「MTB向けペダル」に位置付けられていますが、内容的にはロードやシクロクロスを意識したクロスオーバーな製品ジャンルになる模様です。
 







1. CYCLOシリーズ

タイムから、ロードバイク「も」意識したMTB向けペダルとして昨年新たにラインナップされたのが「CYCLOシリーズ」。

あくまでも、シクロクロスやグラベルを志向した製品となりますが、レースに出るわけでもない週末ローディーにはむしろぴったりな気がします。

グレードは3つに分けられており、最上位のCYCLO 10、ミドルグレードのCYCLO 6、エントリーグレードのCYCLO 2となっています。

きちんとグレード別にラインナップされているのが素晴らしいですね。


(1) 製品の位置づけ

国内だとポディウムさんが販売代理店のようですが、公式サイトにはろくな説明がありません・・・汗

グローバルサイトだときちんと説明がありますね。




Here's what the gravel market has been waiting for: road pedal performance with mountain pedal functionality. The Cyclo 10 is a road pedal built around a mountain cleat, allowing you to use a mountain bike shoe and have road pedal performance. A secure connection with tight coupling and tension adjustment ensures great power transfer, support, and performance. Using our ATAC mountain bike clamping mechanism and cleat, the Cyclo pedal is perfect for gravel and adventure rides. Our easy entry system and self-cleaning design allows the Cyclo to consistently perform in adverse conditions, while a carbon body and hollow steel axle keep the weight low.


上記はCYCLO 10の商品説明文なのですが、CYCLO 6もCYCLO 2も、少しだけ素材・機構説明が変わっているだけで、ほぼ同じ内容の説明となっていますので、共通する部分についてざっくり意訳してみました。

「グラベル市場においては、MTBペダルの機構を取り入れた、ロード向けペダルと同等のパフォーマンスが求められています。
MTB用のクリートを採用することで、MTB向けのシューズの利用を可能としつつも、ロード向けペダルと同等のパフォーマンスを実現しています。
シューズとペダルを安全・確実に装着させることで、ペダリング時の効率的なパワー伝達を実現しています。我が社が採用するMTB向けのATACクリート を採用することにより、CYCLOシリーズのペダルはグラベルライドに最適なものとなるでしょう。
軽い装着性を実現し、汚れも落ちやすい機構を採用したことで、過酷な環境でも常に安定したパフォーマンスを実現するとともに、カーボン、スチール等の素材を採用することで軽量化を達成しています。」


あくまでもシクロクロス、グラベルを意識した製品になっています。
日本にいるとそこまで実感することはないのですが、日本ほど舗装路ばかりではない海外市場においては、シクロクロスやグラベルの方がマーケットニーズは高いでしょうから、舗装路でのレースを前提とした従来型のロード向けコンポーネントよりも、今後はこういった製品が増えてくるのではないかと思います。

学生時代に1ヶ月以上ニュージーランドを卒業旅行としてツーリングをしたことがありますが、その際はフロントサスが付いていないMTBでした。
8割方は車道を走れましたが、それでも23Cや25Cのタイヤを履いたロードバイクで走りたいか?と聞かれると「NO」と答えますね。
日本では考えられないほど「舗装路」は綺麗ではありませんでした。

加えて、少し道を外れるだけで砂利道や見舗装路が多く存在する環境でしたので、今もし長期休暇を取って海外ツーリングに行っても良いよーと言われたら、迷わずに28Cか32Cのタイヤを履かせたバイクを選択するでしょう。

そりゃ、シクロ/グラベル向けバイクが人気になるわけです。


(2) ラインナップ

先にも書きましたが、CYCLOシリーズのペダルはハイエンド、ミドル、エントリーと3つのグレードでラインナップされています。 


CYCLO 10 CYCLO 6 CYCLO 2
重量(ペア) 256g 268g 293g
標準価格(税抜) ¥18,000 ¥14,000 ¥9,000
マイクロアジャスト機構
ステンレススチールプレート
カーボンボディ - -
中空スチールシャフト -


CYCLO10

こちらがCYCLO 10。
唯一カーボンを採用したトップグレードとなります。

カーボンを採用し、シャフトも中空にして軽量化を目指したものの、それでもアルテグラグレードのSPD-SLペダル(PD-R8000)の248gには届かないんですけどね・・・。

そう考えると、デュラエースPD-R9100の228gってのは、軽いんですねー。
クリート分(片側約20g)だけ重量が違いますから。





CYCLO6
こちらがミドルグレードのCYCLO 6。
若干色味が違いますが、二枚並べないとCYCLO10との違いは分からないですね・・・。

素材がCYCLO 10のカーボンに対して、ガラス強化コンポジットとなっておりまして、12g軽量化されています。

12gの軽量化に4000円。

それくらいなら、という意見と、その差ならCYCLO 6で良いかな、という意見で別れそうですね。

私ならCYCLO 6でも十分ですかね。

重量の268gは、105グレードのSPD-SLペダルであるPD-R7000(265g)とほぼ同じ。
税込標準価格が約13,000円ですので、お値段も重量も近いですね。
個人的にもこれは魅力的です。





CYCLO2


こちらがエントリーグレードのCYCLO 2。
銘板が明らかに違いますので、CYCLO 2だけは外観からもすぐに見分けがつきます。

重量は辛うじて300gを切っていますが、この価格帯、重量であれば、現在私も愛用しているシマノのPD-ES600でも良いかな、と思ってしまいます。

いやいやタイムの方が好きなんです、という人にはまずはこの辺りから使ってみる、というのはありなんでしょうね。





2. 特徴

以下、公式サイトの説明を引っこ抜いてみたいと思います。

(1) シクロクロス、グラベルに適したペダル

 

The practice of cyclotourism has existed for many years and many cyclist had to chose MTB pedals, or unsuitable road pedals which made walking difficult. At the same time, with the growth of Gravel bikes, cyclists who practice this discipline have a need for lightness, performance and a large surface area, while having the opportunity to walk with the cleats. That’s why TIME has developed a pedal completely dedicated to these practices and the need of these users. With these new pedals, a cyclist can now ride and walk with their mountain bike shoes, while having a powerful pedal to accompany them throughout their outings.


以下、意訳となります。


「長年、シクロクロスのシーンにおいては、多くのサイクリストはMTBペダルを選ぶか、歩きづらくなるロードペダルを選ぶしかありませんでした。
同時に、グラベル・バイク市場が成長するにつれて、サイクリストは軽量さ、より高い性能、より大きなペダルの踏み面積を求めており、クリート付きのシューズでも不自由なく歩けるようになることを望んでいます。
そこでTIMEはこうしたサイクリングとユーザーのニーズに応えるペダルを開発しました。
これらの新しいペダルでサイクリストはMTBシューズでライドとウォークを楽しむことができ、またライドにおいてはより力強くペダルを回すことができるようになるのです。」


あくまでも主眼はシクロクロス、グラベルに寄せた書き振りになっていますが、「マウンテンバイク 」か「ロードバイク」という従来の二極に対して、その間も必要だよね、という意味においては、「レースには出ないけどロングライドを楽しみ、出先でも不自由なく歩きたい」という週末ローディーに向けた製品とも言えるのではないでしょうか。


(2) New I-clic テクノロジー

ここで出てくる「アイクリック」という技術は、以前よりタイムのロード用ペダルに採用されている技術となります。

シマノのペダルは、ペダルを踏んだ時にクリートを挟む爪のような機構が開くようになっているのですが、タイムのアイクリックでは、最初から爪が開いている為、ペダルを装着する時により軽い力で装着できるようになっているんだそうです。

この技術が今回のCYCLOシリーズにも採用されたわけですね。





  The I-CLIC technology is a patent developed by TIME in 2011. This interlocking system ensures that our road pedals are the easiest and fastest to hit the market. For the development of the new Cyclo-Gravel pedal, we developed a new I - Clic concept for use with MTB cleats, and thus deposited a new patent on the function I - Clic dedicated to MTB. This ensures speed and ease of single footwear.


既に上で説明済みだったりしますが、以下意訳となります。


「I-clicテクノロジーはタイム社が2011年に開発しました。
この機構により、タイム社のロード向けペダルは最も安全かつ素早く装着できるペダルとしてマーケットに認知されることとなりました。
CYCLOシリーズのペダルを開発するに際して、MTB向けのクリートに最適化させるべく新たなI-clicを開発しました。この機構により、素早く、軽い着脱が実現されました」


シマノも、SPDペダルよりも更に軽い着脱を可能にするクリッカー機構を開発していますが、それらはどちらかというとタウンユースを念頭に置いたものかと思いますし、あちらはむしろ「簡単に外すことができる」という技術になります。

その背景には、日本の「どこに行っても信号が多く存在し、特に街中では着脱の機会が多い」という独自性も背景にあったのではないかと思いますが、タイムのI-clicは「簡単に、より安全に装着できる」というものなんですね。
それぞれに各社の設計思想があって面白いですね。


(3) シクロ / グラベル向けとしては初のカーボンペダル

こちらはCYCLO 10のみに当てはまるものになりますが、シクロクロス向けとしては初のカーボンペダルになるそうです。




Many cyclo now exist in carbon to provide both lightness and rigidity. However, no carbon pedal had been created to meet the needs of these disciplines. With a carbon body, the CYCLO 10 is the lightest pedal in its class. It also has a large platform offering a very good power transfer and pedaling comfort.


「軽量性や剛性を追求した結果、カーボンモデルのシクロバイクは数多く存在しますが、未だにカーボン素材を採用したシクロ向けペダルは開発されていませんでした。
CYCLO10はカーボン素材を採用することで、同クラス最軽量を実現しています。
また、大きな踏み面を採用しており、パワーの伝達効率に優れたペダルとなっています。」

剛性の面で違いが出るのかもしれませんが、私のような週末ローディーにはカーボンペダルはやり過ぎかもしれませんね。

CYCLO 6でも十分魅力的です。

(4) ステンレススチールプレートを採用

 

A stainless steel sheet is added to the platform of the pedals Cyclo 10 and 6 to strengthen the areas most stressed by the friction from the shoe.


「CYCLO 10 とCYCLO 6 にはペダルの踏み面にステンレススチール板を採用しており、靴の底面と接触し最も摩耗し易い面の堅牢性を高めています」


CYCLO 2は外観でも明らかに「違い」が分かりますが、その違いがステンレススチールのプレートの有無なんですね。


これは私が下手くそなだけですが、クリートキャッチの失敗を重ねることで、ペダルってすぐに傷だらけになってしまうんですよね・・・汗


pdes600-03


靴の底面と常に触れ、常にストレスのかかるのが踏み面になりますので、ここをステンレススチールで補強してくれているのは堅牢性アップには重要なことかもしれませんね。

それでいて重量は軽くなっているのですから素晴らしいです。


(5) マイクロアジャストメント機構

 

A secure connection with tight coupling and tension adjustment ensures great power transfer, support, and performance. A touring cyclist looking for an easy step-out could choose the low tension position whereas a racer would opt for the high tension to have more security in all conditions.


「ぴっちり、かっちり装着させるための調節機構は、より効率的なパワー伝達の為にはとても大切な存在です。頻繁な着脱を繰り返すツーリストであれば、より軽い力でクリートを外せるようにテンションを軽くすることを選択するでしょうし、シリアスレーサーであればテンションを高めることで安易に外れないような調整を選択するでしょう。」

シマノのSPDペダルでもテンション調節が可能になっていますが、同じような機構ですかね。

ちなみに、PD-ES600ではテンションは「最も軽く」設定していますが、不用意に外れそうになったこともありません。
私のような、「軽量級」「脚力弱め」「スタンディングでハンドルを左右に振るような乗り方をしない」ローディーであれば、常に最弱の設定で何一つ不自由はないんですよね。


最後に一つおまけですが。


ATAC_cr


こちらはタイム謹製のATAC イージークリート 。

アマゾンを覗くと、やはりシマノのSPDクリートよりはお高めですね・・・。



タイムのMTBクリートには特徴がありまして、シマノのように「左右の調節はできない」そうです。
写真を見れば分かる通りでして、ネジ止めの穴は「真円」が二つあるだけ。
左右に調整しようがありません。


cre


シマノのクリート であれば、上記の写真であれば、クリート を取り付ける際にシルバーのクリートの左右内部、好きな場所にずらして位置決めを行うことができるのですが、そういった機構はないんですね。

その分、クリート をキャッチしたあと、ペダル内部で左右にずらして自分の好きなポジションを探ることができるそうです。

この辺りの設計思想の違いも面白いですね。

この機構のお陰か、ロード向けではシマノ製よりもタイム製の方が「膝に優しい」なんて話を聞いたことがありますが、こちらのペダルでも同じなんでしょうか。

そもそもSPDペダルはクリートを装着した後も、少し左右にずらしながらマイポジションを探すことができたりしますので、それほど大きな違いはないのかもしれませんが、逆にタイムのMTBペダルの方が調整余地が少ない、という可能性もあるわけで。


ペダルそのものに関してはとても魅力的な製品だな、と思いつつ、クリートの左右調整余地が少ないという点が少しきになります。
個人的にはCYCLO 6とか、かなりそそられるんですけどね。

シマノさんも、PD-ES600シリーズを上下に拡充して、より軽量かつ魅力的なモデルを開発してもらいたいところです。






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