■ PINARELLO PRINCE が刷新!

いやー、ピナレロの2021年モデルが発表されました。
個人的には大興奮ですね。





個人的に「高すぎる&硬すぎる」DOGMAには縁がありませんので、2020年モデルとしてDOGMA F12が発表された時にもまったく心躍りませんでしたが、今回はウキウキしてしまいます。

今回はディスクブレーキモデルがメインとなり、かつジオメトリーも刷新されたということですので、何がどう変わったのかを調べてみることにしました。
 







1. PRINCE DISK 2021年モデルが発表

これまでもピナレロ プリンスは最上位モデルであるドグマシリーズの技術を投入する形で進化してきました。

2015年〜2018年モデルのプリンスは、2013年に登場したドグマ65.1の技術を継承したモデルとしてラインナップされていました。
その頃はプリンスは一種類のみで、現在のようにFXモデルなどは存在していませんでした。

他方、2015年にドグマはF8へとバージョンアップされましたが、プリンスがドグマF8の技術を継承することはなく、2016年に登場したGANシリーズがドグマF8の技術を継承した製品として位置付けられ、GAN / GAN S / GAN RSと細分化されました。

2016年〜2018年もプリンスはラインナップされ続けましたが、ドグマ65.1と2世代前の技術のままでありつつも、価格帯でいうと GAN S と GAN RSの間に位置するという分かりにくい状況でした。

そうこうする内に2018年にドグマはF10へとバージョンアップ。
続く2019年に、ドグマF10の技術を継承したプリンスが登場し、逆にドグマF8の技術を継承したGANは一種類へと集約されました。
そして、ここで初めてプリンスにもディスクブレーキ モデルがラインナップされることに。

現在の愛車である GAN Sは2018年モデル。ちょうど2019年モデルのプリンスが発表されたタイミングで型落ちで購入したものになります。
正直プリンスにも惹かれたのですが、当時のGAN とプリンスは、ジオメトリーは全く一緒で、細かなエアロ性能に違いがある程度でしたので、お安いGAN Sを購入しました。





そして2021年モデルとして、今回ドグマF12の技術を継承したプリンスが登場しました。

何が一番気になるって、ごっそりジオメトリーが変更されたんですよね。
私は身長170cm、ピナレロだとサイズ500がぴったりだったわけですが、今回のジオメトリー変更により、サイズ500はなくなりました。

従来は「465 / 500 / 515」という並びだったのですが、今回から「460 / 490 / 515」という並びに。

とっっっっても気になりますので、今回はいろいろと調べてみることにしました。
と言っても、各種バイクサイトや公式サイトにも情報は乗っていますので、今更私のような素人がうだうだ解説したところで価値ある情報にはなりませんので、今回は海外公式サイトから情報を引っ張ってくることにしました。
国内公式サイトよりも、写真も情報も少しだけ多いので気になる方は参考にしてみてください。




(1) DOGMA F12の技術を継承

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まず真っ先にアピールされているのが、ハイエンドの技術をがっつり投入していますよ、という点になります。



We asked our designers and engineers to transfer the amazing riding experience of DOGMA F12 to the new PRINCE.
The result is a bicycle with technical characteristics and performance standards that outperform many high end Road bikes on the market today, and the reason that the PRINCE  is a real alternative to DOGMA F12
The Prince inherits the DOGMA F12 total cable integration system, called TiCR, which enables a significant aerodynamic advantage.

私たちはデザイナーとエンジニアに、DOGMA F12の素晴らしいライディング体験を新しいPRINCEに移植するよう依頼しました。その結果、現在市場に出回っている多くのハイエンドロードバイクを凌駕する技術的特性と性能基準を備えた自転車が誕生し、PRINCEがDOGMA F12の真の代替品たり得る存在となりました。
プリンスは、TiCRと呼ばれるDOGMA F12のトータルケーブルインテグレーションシステムを継承しており、空力的に大きなアドバンテージを得ることができます。」

ピナレロはプリンスのハイエンドであるプリンスFXに関しては、「ドグマに次ぐハイエンドモデル」と呼んでいるんですよね。ドグマに次ぐセカンドグレードとか、ミドルグレードなんて呼び方はしていません。
であるが故、プリンスFXに関しては「他社のハイエンドと十分に渡り合えるモデル」というアピールをしていますし、自身があるんでしょうね。

プリンスFXのアルテグラ Di2モデルが約70万円ですが、「
他社ハイエンドとも渡り合える」ハイエンドモデルですよ、と言われると「もしかして安いのかも?」なんて誤解してしまいます・・・。

ま、私の場合はFXではフレームが固過ぎる気がしますので、愛車であるGAN Sと同じカーボングレードを採用しているプリンスディスクが最も気になります。

(2) ディスクブレーキモデルとリムブレーキモデルがラインナップ

前回プリンスが登場した時は、リムブレーキモデルが前面に押し出され、「ディスクブレーキ モデルもいちおう用意しました」というアピールの仕方でしたが、今回は逆にディスクブレーキ モデルが前面に押し出され、「いちおうリムブレーキモデルも用意してあるからね」という言い方に変わっています。

特にプリンスFXに関してはディスクブレーキモデルのみになりましたし、リムブレーキモデルのプリンスはコンポーネントは105のみ用意されていますので、「いちおう」ラインナップされているだけ、となっています。



IN THE DISK VERSION, THE GEOMETRY OF THE FORK AND THE LEFT CHAIN STAY ARE OPTIMIZED TO SUPPORT THE ASYMMETRICAL LOADS COMING FROM THE DISC BRAKE SYSTEM.
THE CLASSIC BRAKE VERSION USES DIRECT MOUNT BRAKES, FOR A STIFFER BRAKING SYSTEM AND AN INCREASE IN BREAKING POWER.

ディスク・バージョンでは、フォークと左チェーンステーの形状が、ディスク・ブレーキ・システムから送られてくる加速度的な荷重をサポートするように最適化されています。
クラシック・ブレーキ・バージョンでは、ダイレクトマウント・ブレーキを採用し、ブレーキシステムを強化し、制動力を向上させています。」


確かに、ディスクブレーキモデルとリムブレーキモデルではフレームの設計思想も異なるでしょうから、両方用意してくれただけでも有り難いと考えるべきなのかもしれませんね。

(3) ケーブルの内装化



In conjunction with our exclusive parts brand MOST, a new series of TiCR ready handlebars and stems have been created, ready to accommodate the integrated cable routing.

「当社の専用パーツブランドMOSTとのコラボレーションにより、TiCR対応のハンドルバーとステムの新シリーズが誕生し、統合されたケーブルルーティングに対応できるようになりました。」

おそらく、今回一番の目玉はこちらでしょう。ケーブルを完全内装化することにより、ハンドル周辺の空力特性が大幅に改善され、DOGMA F12に匹敵するエアロダイナミクスを手に入れることが可能となりました。


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やはり、ケーブルが内装化されると、それだけで一気に格好良くなりますよね。

ちなみにこちらが内装化されていないパリ。


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私のGAN S もケーブルは内装化されていませんので、むしろ見慣れているのはこちらなのですが、ハンドル周りがすっきりしていると、エアロ特性が向上している云々よりも、見た目が格好良い点で憧れてしまいます。


(4) デザイン性の向上



Even the design of the frame has improved, and the holes for the cable routing have completely disappear increasing the aerodynamics and rigidity of the frame itself.


「フレームのデザインも改善され、ケーブルを通すための穴が完全になくなり、フレーム自体の空力と剛性が向上しています。」


ケーブルの内装化を捉えて「デザイン性が向上しました」という言い方をするのが、イタリアっぽいですよね・・・。


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こちらは GAN S になりますが、ケーブルを通す穴がフレームに用意されていますので、確かにデザイン性が損なわれている、という見方もできます。

私はそんな風に考えたこともないですが・・・。


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確かに、穴が一切ないと、格好良いです・・・。
いーなー。


(5) フォークを刷新



The new Prince fork has undergone significant changes: integration with the chassis as done in the DOGMA F12, more streamlined, improved aerodynamic flow, and fork flaps to decrease drag around the wheel attachment.


「新しいPrinceフォークは、DOGMA F12で行われたようなシャシーとの統合、より流線型化された空力的な流れの改善、ホイール取り付け部周辺の抵抗を減らすためのフォークフラップなど、大きな変更が加えられています。」

私のような素人さんからすると、並べて見ても、「そうなんだ?」と思うレベルなのですが、今回はフォークも刷新されています。


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左側が2019年モデルのプリンスディスク。
右側が2021年モデルの最新のプリンスディスクになります。


確かにジオメトリーを比較してみると違いがあることが分かります。
以下、私が乗るサイズ(旧モデルだと500、新モデルだと490)でフォーク部分を比較してみました。

  • ヘッドアングルが71.4°から72.25°となり、角度が大きくなった
  • フォークオフセットが43から52と大きくなった

以下はただの受け売りですが、一般的にはヘッド角が小さくオフセットが短くなると直進安定性が上がり、逆だとよりクイックで反応性の高いハンドルさばきが可能になるそうです。

ここだけ取り上げると、よりレーシーな味付けに変わった、ということなのでしょうか。

(6) ダウンチューブ



Another important development has been done on the down tube, which is completely derived from Dogma F12.
The use of the concave tube and the new shapes near the bottom bracket are all aimed at canceling the aerodynamic impact of the two bottles.
True to Pinarello philosophy, the down tube is moved to the right to increase the asymmetrical effect of the frame.

「もう一つ重要な開発が行われたのはダウンチューブで、これはドグマF12から完全に派生したものです。
コンケーブチューブの使用や、ボトムブラケット付近の新しい形状は、2本のボトルが持つ空力的なインパクトを打ち消すことを目的としています。
ピナレロの哲学に忠実に、ダウンチューブを右に移動させてフレームの非対称性を高めています。」

前モデルのプリンスにおいてもダウンチューブが刷新されていましたが、今回もよりエアロ性能を追求し、より細身な形状になっているようです。

(7) チェーンステー



Important work has also been done on the chainstay to increase the responsiveness of the frame ... you will especially notice this when you are riding out of the saddle.


「フレームの反応性を高めるために、チェーンステイにも重要な作業が行われました。特にサドルから腰を浮かせたスタンディングの際にこの点に気付くことでしょう」

チェーンステーも変更が加えられ、よりマイルドな乗り味になっているそうですので、この点はロングライドや若干荒れ気味な舗装路を走行する時に恩恵を感じられそうですね。




2. ジオメトリーが変更

分かりやすい変更点としては、上記内容になるかと思いますが、逆に私のような素人には分かりづらい変更点として、今回はジオメトリーが刷新されました。

以下、諸先輩ローディーのブログ記事など漁りながら、今回の変更点がどのように走りに影響を与えるものなのか、考察を加えてみたいと思います。

今回は身長170cmの私が乗ることを前提に、旧モデルのサイズ500と新モデルのサイズ490で比較しています。
ちなみに、サイズ表記が500と490で変更になりましたが、フレーム選びの一つの基準となるトップチューブ長に関しては、いずれも525で同じとなっています。

 



(1) ショートリーチ、ハイスタック化

分かりやすい変更点が、ショートリーチ、ハイスタック化ではないかと思います。

サイズ トップチューブ長 STACK REACH
GAN S (2018) 500 525 525 372
PRINCE DISK (2021) 490 525 532 370

ま、数字にしてしまうと僅かな差なんですけどね。

縮尺を揃えて、図示化するとこんな感じになります。


gyo-01


ハンドルが2mm体に近づき、7mm高くなるわけですね。
ハンドルが2mm近くなるのは気づかないような気もしますが、ハンドルが7mm高くなるというのは意外と大きい気がします。

ピナレロで採用されている標準付属のMOSTのコラムスペーサーですが、一枚あたり約10mmの厚みがあります。





スペーサー約1枚分変わるというのは、それなりに違いが感じられそうです。

ちなみに、今回新たに復活したパリに関しては、設計思想としてショートリーチ&ハイスタック化することが明示されていまして、よりコンフォートなジオメトリーを採用することで、長時間のライドでもストレスの少ない姿勢が取れるようになったと宣伝しています。


せっかくですので、GAN S とパリも比較してみました。


gyo-02


こうやって比較してみると、その差は明らかですね。
ハンドルが12.2mmアップになりますので、スペーサー1枚分以上の違いとなります。

今回のプリンスでのショートリーチ、ハイスタック化は、よりオールラウンド性を追求した結果なんですかね。 



(2) ヘッドチューブ長が短く

次に、ヘッドチューブ長が9mm短くなりました。 


ヘッドチューブ長
GAN S (2018) 125
PRINCE DISK (2021) 116


一般的にヘッドチューブ長が長い方がハンドルが安定し、逆に短い方が反応がクイックになるそうです。

また、上記で既に記載していますが、今回はフォークが刷新されており、ヘッド角は多く、オフセットも長くなっていますので、この点からもハンドルの応答性は上がっていそうです。

これらの点からすると、ロングライド向けに直進安定性を高めるというよりは、よりクイックなハンドルさばきができるような味付けになったという理解になるのでしょうか。


(3) フロントセンターが長めに

フロントセンター
GAN S (2018) 575
PRINCE DISK (2021) 577


ほんのわずかではありますが、フロントセンターが長くなっています。
フロントセンターが長いと、ホイールベースが長くなりますので、直進安定性が増し、ハンドルの反応がスローになります。

ここはヘッドチューブやフォーク周りとは逆の特性を持っていますね。
ま、わずか2mmですが、これらが全体のバランスとしてどうなっているのか興味深いですね。 



3. サマリ

今回は雨の休日ということで、思う存分ちまちまと調べまわることができました。(軽く半日潰れましたね・・・汗)

こうやってジオメトリーを比較しても、なかなかその違いを実感できるものではない気もしますが、週末ローディーとしては、「レーシーな味付けに極振り」とかされてしまうと腰が引けるところ、むしろよりオールラウンドな味付けになったのかも?という印象で、むしろ好印象ですね。

GAN Sからすると、エアロダイナミクスも二世代分進化していることになりますので、試乗する機会があれば、是非試してみたいですね。

で、実は一番気になっているのが、フレームカラー。
日本国内だと、今のところ四色展開だそうです。

  • BOB PINK
  • BOB
  • RED
  • BLUE STEEL

ですが、海外ではこれに "WHITE" が加わっています。


prince-02


はい。
めっっっっちゃタイプです。
むかーし、MTBでは限定カラーのパールホワイトに乗っていたこともあり、白って好きなんです。
汚れが目立ちますが。

何かのタイミングで日本にも入ってきますかね?


ディスクブレーキロードの購入にあたっては、やはりピナレロも検討候補に入れずにはいられなくなってきました。
やっぱり格好良いです。 




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