■ ロードバイクのジオメトリー(スタックとリーチ)について考えてみる

先日ピナレロ の新生プリンスに関して記事を書きましたが、その際にスタックとリーチについて GAN S とプリンスを比較してみました。

数値で「何ミリ変わった」というだけでなく、実際に図示化してみるととてもイメージし易いな、と思ったもので、過去に試乗したモデルなど含めてみて、実際にスタックとリーチが変わるとどうなるのかを自分なりに考察してみました。










1. スタックとリーチとは

諸先輩ローディーの方々であれば今さらなお話かとは思いますが、いちおう改めて。


  • スタック:BBから引いた水平線からヘッドチューブまでを測った距離。ハンドルの高さを表す指標になる
  • リーチ:BBから引いた垂線からヘッドチューブ上端までの距離。ハンドルまでの距離を表す指標になる

starea



各社フレームのジオメトリーを公表してくれていますし、トップチューブ長を基準に複数サイズが用意されています。
ジャイアントなど一部メーカーでは目安となる身長を添えている場合もあります。

ただ、同じトップチューブ長であっても、トップチューブのスローピング割合が高いと、異なるフレームを比較するのは困難になります。

新たにバイクを買う場合でもフレームを買い替える場合でも、カタログに記載されたフレームサイズを比較しただけでは、適切なサイズはどれなのか判断し辛くなります。

そこで、BBとヘッドチューブ上端を基準としたスタック、リーチを用いることで異なる設計思想のフレームも比較し易くなるわけですね。

今回は、過去に試乗したバイクについて、このスタックとリーチを用いて比較してみようと思います。




2. ビアンキ OLTRE XR3 と比較してみる

まずはビアンキの OLTRE XR3 DISC。

試乗時の記事はこちらになります。





当時は 47サイズで試乗を行なっています。 


サイズ トップチューブ長 STACK REACH
GAN S (2018) 500 525 525 372
OLTRE XR3 DISC (2020) size 47 512 495 375


イメージ図はこちら。
縮尺は合わせています。


gyo-02


OLTRE XR3 DISCのステム長が分かりませんので、実際のハンドルまでの遠さについては比較しようがありませんが、ベースとなるリーチは非常に近い値となっています。

試乗した当時も、特にハンドルが近い、遠いといった感覚はなく、「GAN Sに近いなー」という印象でした。
ただ、こうやって比較してみると、スタックが30mmも違うというのは驚愕ですね。

現在、GAN S ではスペーサーを一枚(10mm)抜いているのと、試乗車のハンドル高がどうなってたのか全く記憶にないのですが、試乗する際にショップの方がリーチ(正確にはサドルからハンドルまでの長さ)をGAN S に揃えるように調整して頂いていたことから、そこまで気にならなかったのかもしれません。

とはいえ、こんなにもスタック、違っていたのですね・・・。



サイズ トップチューブ長 STACK REACH
GAN S (2018) 500 525 525 372
OLTRE XR3 DISC (2020) size 50 523 503 382


そこで比較用に、ワンサイズ上で比較してみました。


gyo-06


ワンサイズ上にすると、スタックの落差は22mmまで縮まりますが、リーチは10mm遠くなることに。

こうやって比較してみると、なかなかに難しいものですね。
サイズ47の方がキビキビ乗れて気持ち良かったのですが、ロングライドを考えるとサイズ50の方が無難なんでしょうか。





3. ビアンキ INFINITE CV DISC と比較してみる

お次はINFINITE CV DISC。


サイズ トップチューブ長 STACK REACH
GAN S (2018) 500 525 525 372
INFINITE CV DISC (2020) size 50 525 539 375


イメージ図はこんな感じ。

gyo-03


試乗した当時は、「大きいな」「かなりアップライトなポジションになるな」という印象で、エンデュランスモデルはかなり違うな、と感じていました。

実際に比較してみると、スタックが14mm高くなっていますが、印象としてはそれよりももっとアップライトになった印象ですね。

ただ、試乗時にサイズ47のOLTRE XR3 に乗った後に INFINITEに乗っていますので、一気にスタックが44mmアップしたことになりますので、そりゃ「ハンドル高くなったなー」という印象になりますよね。

同じビアンキブランドでも、ここまでフレームで性格が違ってくるというのは非常に面白いです。





4. トレック DOMANE SL6 と比較してみる

お次はトレック のエンデュランスモデルである DOMANE SL6になります。





当時はまだジャイアントのエントリーロード(エンデュランスモデル)に乗っていましたので、それほどアップライトになった印象はありませんでしたが、改めて GAN Sと比較してみます。 


サイズ トップチューブ長 STACK REACH
GAN S (2018) 500 525 525 372
DOMANE SL6 DISC (2020) size 52 530 561 371


イメージ図はこちら。


gyo-04


すごいですね。
スタックにして36mmアップになっています。
リーチに関しては、1mm近いだけなのですが、トレックはステム長も公開してくれていますので、ステムも含めた長さを比較することが可能に。

GAN Sに付属しているMOSTのステムは100mm長。
対してDOMANEのサイズ52では、ステム長は90mm。

結果、ハンドルはDOMANEの方が11mm近くことになります。

かなーりアップライトでハンドルが近くことになりますね。

そうなると、DOMANEに関しては GAN S のジオメトリーに慣れた今の体で試乗してみた方が良さそうですね。 

5. トレック EMONDA & MADONE SL6 と比較してみる

せっかくですので、おまけで最新のEMONDA、MADONEと比較してみました。
私が知らなかっただけなのですが、この2モデルに関しては、ジオメトリーは共通だったんですね。

両モデルとも正確は違えどもレース向けモデルになりますので、それはそれで納得です。 


サイズ トップチューブ長 STACK REACH
GAN S (2018) 500 525 525 372
EMONDA & MADONE SL6 DISC size 50 521 521 378


まずはサイズ50で比較してみます。

gyo-05


スタックに関しては4mmですので、ほぼ体感では気づかないレベルでしょうか。
リーチは6mm遠い値になりますが、ステムが80mmと短めということもあり、GAN S と比較すると逆に14mm近く結果に。

ただ、これくらいであればステムを交換すればどうとでもなるレベルでしょうね。



サイズ トップチューブ長 STACK REACH
GAN S (2018) 500 525 525 372
EMONDA & MADONE SL6 DISC size 52 534 533 383

せっかくですので、ワンサイズ上の52でも比較してみました。


gyo-07


スタックは8mmアップ。
ステム込みだとハンドルは1mm遠くなるだけ。

むー・・・。
これ、どちらのサイズを選択すべきなんでしょうね。



今回ふとしたきっかけでスタックとリーチを比較してみましたが、こうやって数値化、図示化してみると違いが分かりやすいですね。

これからは試乗会に出かける際には、スタックとリーチを意識したうえでフレームサイズの向き、不向きなどもう少しきちんと比較してみようかな、と思いました。






















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