ずっと気になるバイクってありますよね。
私的には、エンデュランスモデルのロードバイクは常に気になっています。
そんな中でも、特にトレックのドマーネとスペシャライズドのルーベは常に気になる存在でして、新型が出るたびにあれこれと妄想を膨らませています。
先日、スペシャライズドから新型ルーベが発表されました。
国内でもインプレ記事がちらほら見かけるようになりましたが、やはり本場の方が情報量は圧倒的に多いようで。
ちょっとファーストインプレッションを集めてみました。
■ 常に進化を続けるスペシャライズドルーベ
1. 新型ルーベSL8の特徴

新型ルーベSL8の特徴については、国内でも各種サイトで取り上げられていますが、まずは軽くおさらいしてみます。
(1) バージョンアップしたフューチャーショック3.0
スペシャライズドルーベといったらフューチャーショック。ハンドルから伝わる衝撃を独自のダンパーが吸収することで、上体に伝わる衝撃を緩和してくれます。
グレードに応じて3タイプのフューチャーショックがラインナップされています。
フューチャーショック3.3は、S-WorksとProモデルに搭載され、油圧ダンパー減衰による滑らかさを提供し、走行中に上部のダイヤルで調整できるモデルとなっています。
ExpertとCompモデルにはFuture Shock 3.2が搭載され、こちらも油圧ダンパーが内装されていますが、走行中に調整する機能はありません。フューチャーショック3.1は最もシンプルで、油圧ダンパーではなくスプリングとワッシャーで調整する機構となっています。こちらはSport 105、Sport Apex、Baseモデルに付属するタイプとなっています。
3.3 の走行中に調整できる機構は便利ではありますが、スペシャライズドによると、多くのライダーは完全に固定される設定を使うケースは少なく、走行中にこまめに変更をかけるライダーは少数派だそうで。
この手のギミックは、最初は面白くてあれこれいじるわけですが、慣れてくると自分の好みにセットしてしまい、以降はあまり触らないことが多いんですよね。
ちなみに、スペシャライズド公式では、競合他社に比べて「衝撃は半分以下になるよ」とかなり挑発的な数値をアピールしています。

日本だとこういった比較は「競合A」みたいな形でぼかすことが多いのですが、さすが米国、強気ですね・・・。
3.3 の走行中に調整できる機構は便利ではありますが、スペシャライズドによると、多くのライダーは完全に固定される設定を使うケースは少なく、走行中にこまめに変更をかけるライダーは少数派だそうで。
この手のギミックは、最初は面白くてあれこれいじるわけですが、慣れてくると自分の好みにセットしてしまい、以降はあまり触らないことが多いんですよね。
ちなみに、スペシャライズド公式では、競合他社に比べて「衝撃は半分以下になるよ」とかなり挑発的な数値をアピールしています。

日本だとこういった比較は「競合A」みたいな形でぼかすことが多いのですが、さすが米国、強気ですね・・・。
(2) シートポストのアフターショック

前世代の骨伝導イヤホンみたいな名前ですが。
シート・クランプは、トップチューブ上に位置する一般的なものではなく、シートチューブの内側に65mm深く収まっているのですが、これにより、シートポストの可動域が増し、よりスムーズで快適な乗り心地が得られるようになっています。
他方、その影響としてシートポストは65mm下の位置でクランプさせるための長さが必要になりますので、どうしても重量増につながってしまいます。
快適性を追求しようとすると、重量が増えてしまうのはフロントのフューチャーショックと同じですね。
(3) タイヤクリアランスを40mmにワイド化
ロードバイクのタイヤクリアランスはどんどんワイド化していきます。日本国内の舗装路であれば、28mmもあれば十分、30mmを超えると重さが気になってきますので、悪路を走らない限りは必要ないと思いますが、路面の舗装状況があまりよろしくなかったり、舗装路であっても日本ほど路面状況が綺麗でない場合、40mmでも「太すぎる」ことはないですから、仕方がないのでしょうね。
別に林道や砂利道を走らなくとも、昔海外の舗装路を走った際には、1.9インチのタイヤ(約48mm)でも時として心許なく感じることがありましたから。
(4) マーケットニーズに合わせたエアロ化と軽量化を実現
エアロ性能の向上は、避けては通れない話題ですから、当然の進化といったところでしょうか。スペシャライズドのアナウンスとしては、「平均PWRを3W/kgで100km走行した際に、17.7秒短縮することができる」そうです。
時速30kmで走った場合で、距離にして147.5mの違いになります。
レースでは大きな差なのでしょうが、エンデュランスバイクのアピール要素としては若干中途半端な気がしないではないですが・・・。
技術が進化することは悪いことではないですからね。
(5) BBのスレッド化
BBがブレスフィット式ではなくスレッド化されました。自分で簡単に交換できるようになりますから、これはありがたいですね。
2. 海外のインプレ記事
ということで、駆け足でバージョンアップされたポイントをおさらいしましたが、海外では早くもファーストインプレッション記事が上がってきていますので、いくつかピックアップしてみたいと思います。まずは cyclingnewsから。
- このバイクはエンデュランスロードの枠に収まっているが、間違いなくパフォーマンスバイク(=レース向けバイク)だ。剛性は高く、平坦路では非常によく走ってくれる
- このバイクはライダーの疲労を軽減し、適度な快適性を加えてくれる
- 新しいフューチャーショック3.0 には幅広い調整幅があり、ほとんどすべてのライダーが、自分のライディングスタイルと要求に合った設定を見つけることができるだろう
- 私が走ったあらゆる地形に難なく対応し、登りでは剛性と能力を感じ、トリッキーな下りを難なくこなし、シッティングでもスタンディングでもパワーを加えるとよく反応した
- 32mmタイヤとフューチャー&アフター・ショック・テクノロジーは、ライド中の疲労を確実に軽減してくれる
どうでしょう。
エンデュランスモデルのロードバイクという観点からすると、絶賛に近いのではないでしょうか。
続いて bikeraderから。
- 最新のスペシャライズドRoubaixは、同ブランドのエンデュランスロードバイクの中で最もバランスが良く、最も高性能なバージョンとなる可能性を秘めている
- フューチャーショック3.3システムのカスタマイズ性の高さを経験すると、Roubaix SL8が一芸に秀でたバイクになる可能性は十分にあると思う一方で、この技術が多くのライダーにとって複雑すぎるのではないかという懸念は残る。多くのライダーは、このバイクで調整できるうちのほんの一部の範囲しか利用しないのではないだろうか
可能性を認めつつも、「そこまで必要か?」という疑義も投げかけている雰囲気ですね。
日本の家電でもありがちですが、「お客様のご要望に応じて色々な機能を用意、さまざまなセッティングが可能です!」という売り文句は、時として「複雑で使いづらい」という結論につながりがちだったりします。
むしろ機能を絞り込んでシンプルにした方が売れる、という話もありますので、実はフューチャーショックについては油圧ダンパーを備えつつも、ある程度の調整機能に留めた 3.2 のバージョンあたりが一番バランスが良いのかもしれません。
続いて Bicycling から。
- 今日の発表会の前に、新型ルーベで42マイル/3時間のライドを行った。ポルトガルのカスカイス近郊の慣れない道を、雨の中(曲がりくねった長い下り坂では大雨になった)、霧の中を走った
- 私の限られた走行の中では、Roubaix SL8は非常にスムーズな乗り心地で、反応性は高く、素早い加速性能、反応の良いステアリングを備えていると感じた。フューチャーショック3.3の走行中に調整可能な機構は便利だと思う
- スペシャライズドが新型Roubaixで成し遂げたこと、特に40mmのタイヤクリアランスに拍手を送りたい。このバイクがほぼすべてのハンドルバーと多くの標準的なステムに対応している高い汎用性についても嬉しい限り
- フューチャーショックがすべてのライダーの好みに合うわけではないことは承知しているが、私はこのシステムのファンだ。(適切にセットアップすれば)快適性だけでなく、コントロール性やトラクションも向上させる、ほとんど邪魔にならないシステムだと思うからだ。だからこそ、私はFuture Shockを搭載したバイクを2台所有しているのだ
こちらのテストライダーはすでにルーベを所有していることもあることから、総じてポジティブな反応でした。
最後に road.cc から。
この短期間という中では、かなり厚めのレビューになっています。
- ポルトガルで初めてルーベSL8を走らせる機会に恵まれたが、自然のままの道は雨に弱く滑り易く、オイルの染みも点在し、あまり良い路面状態ではなかった
- 曇天にもかかわらず、ルーベでのライディングはとても快適だった。私は普段スペシャライズドのターマックに乗っているが、実際は長距離を走るのが好みで、よりリラックスできるルーベに乗る方が向いていた
- フューチャーショック3.0は実際に使えるものだと確信している。さらに重要な点として、スプリングの交換は7分ほど済み、交換作業もそれほど難しい作業ではなかった
- 最初にペダルを回した瞬間から、ルーベ SL8がエンデュランス市場向けとはいえ、決して遅いバイクではないことがわかった。特にルーベには高めの "Hover "バー(シムで他のバーにも交換可能)が付いているので、私は慣れないほどアップライトに座っていたが、すぐにこの伸びすぎないポジションを楽しんでいる自分に気がついた
- ルーベにはダンパーが内蔵されているにもかかわらず、加速時のフィーリングはシャープで、急な上り坂でパワーを出したり、平坦で少し吹いたりしても剛性感に欠けることはない。最初に思ったのとは逆に、フューチャーショックとアフターショックの衝撃吸収機能のおかげで、路面がそれほど過酷でなくても、バイクは安定して速く感じられた。また、路面が荒れたり砂利道になったとしても、段差や荒れた隙間をいちいちよける必要はなく、ただスムーズにペダルを漕ぐことに集中できた。
- フューチャーショック3.3は調整可能で、実際にさまざまなシーンで閉じたり開いたりして、あらゆるモードでテストしてみたが、調整機能は便利だが、完全に固定する必要はないことがわかった
- 今回試乗したフューチャーショック3.3は、トップモデルにのみ搭載されているが、ライド中に調整可能な機能については、急な登り坂で、マウンテンバイクと同じようにシステムをロックしたい時に有用性を感じた位であった
- フューチャーショックは明らかにバイクの重量を増加させるが、それでも私のサイズ49のバイクの重量計が8.5kgだったことにとても満足している
- フューチャーショックは特に下り坂でその利便性に関心した。フューチャーショックのおかげで、バイクに体を傾けることに自信が持てるようになり、スピードが上がってもバイクのフロントエンドがしっかりと舗装路に追従するようになった
- エアロ性能の向上は素晴らしいことだが、正直に言うと、これはエアロバイクではないし、数ワット節約できたかどうかを判断できるほどパワーメーターを使って乗っていない。エンデュランスバイクでは、最小限のエアロゲインがどれだけ重要かは交渉次第だと思うし、スペシャライズドもバイクのフロントでケーブルをむき出しにし、ノーマルのビルドにHoverバーを選んでいる(後でRapideや好きなバーにアップグレードできるが)ので、彼らも同じことを考えていると思う。どこかで妥協しなければならないが、ルーベは速さよりも快適さと多用途性を選んだのだ
- ルーベのラインナップは豊富に用意されているが、私が乗ったルーベエキスパートは、パフォーマンスと快適性のバランスが取れていると思う。最近アップデートされたCanyon Enduraceなど、他の新しいエンデュランスバイクと比べると、用途の多様性をを考えれば、十分に競い合える価格感だと感じている
- 長距離ライドや様々な路面を走るのが好きなら、追加されたタイヤクリアランス、いくつかのマウント、アップデートされたフューチャーショックによって、スペシャライズドはルーベ SL8を非常に魅力的な選択肢になったと思う。最軽量でも、エアロでも、最安のエンデュランスロードバイクでもないが、オンロードでもオフロードでも、非常にふくよかでプレミアムな乗り心地を提供してくれる。
どうしてもレビューというと、最上位の S-Worksモデルだったり、Proモデルをベースに語られることが多く、私のような庶民にはちょっと馴染みづらいことが多いのですが、こちらのレビューでは SRAM eTap AXSを採用したルーベエキスパートを使っていることもあり、個人的にとても参考になりました。
その独特な機構により悪路に強いというのは当たり前の話なのですが、平坦路や下り坂での乗り心地や安心感、高い加速性などは本当に言葉通りだとするとかなり魅力的ですよね。
また、こちらのレビューでもライド中の調整機構まではなくても十分で、フューチャーショック3.2 でも十分に満足できそうな雰囲気でした。
また、今回色々と漁ったレビューの中でも最も印象的だったものでして、「タイヤクリアランスが広がり、幅広なタイヤを選択できるようになったのであれば、そもそも重量増につながるフューチャーショック機構やアフターショック機構を取り除いて、よりパフォーマンスモデルに寄せたバランスの高いバイクを作っても良いのでは」というコメントでした。
少なくともレビュワーの方は、そんなバイクがあれば即買いする、と言っていますね。
軽量になったとはいえ、56サイズで、SRAM eTap AXS(ホイールは1600gクラス)のエキスパートモデルで8.62kg、シマノ105 Di2 で鉄下駄ホイールのコンプモデルで8.97kgの重量は「そうは言ってもまだ思いよね」と思える重量です。
ホイールやハンドルバーを工夫すれば8.5kgクラスにすることは可能なのでしょうが、各種機構を取り除いてしまえば、8kg近くに持っていくこともできそうです。
フューチャーショックという強みがない分、マーケットでの訴求力は落ちるのでしょうが、正直日本国内であれば、そういったモデルの方がバランスは良さそうにも感じてしまいますね。
タイミングを見て、ぜひ試乗してみたいバイクです。

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コメント
コメント一覧 (4)
その分重量に跳ね返ってきているのは実に惜しい結果なのかも・・・。
米国勢はいつも革新的なバイクを提供してくれるので大好きなのですが
三種ロード比較のきっかけになったのもキャノンデールのアルミです。
それまでアルミと言えば軽い物でも10Kg前後の硬いイメージでしたが
2016年式のCAAD10 WOMAN 44はアルミながら重量は8.1Kgと軽量です。
女性用の44サイズでも合ってしまう昭和体型もどうかと思いますけれど
いまや振動吸収性は 鉄(クロモリ)アルミ カーボンの違いは僅差です。
なるほどです。勉強になります。
ディスクブレーキ化に伴い一気に重量増になりましたが、ここに来て軽量化が進んだかと思いきや、エアロで軽量化が鈍ったり。
何がベストバランスなのかは、本当に難しいですよね。。。
28cを超えたところから、横風やコーナーでの横滑りが一気に減ります。タイヤ重量・剛性比も飛躍的に進歩したのとETRTO規格の変更とで、28Cが昔の20C並の重量なことを考えると、33Cや35Cでの運用も悪くありません。(32C以上だとタイヤの脱着が大変楽なのも初心者お勧めポイントです。)
また、フレーム重量についてですが、ルーベはギミック入れてもそんなに重くないです。低グレード品の重量増はタイヤやチューブ、サドル、ハンドル、バーテープなどに依るので、その辺りを交換するだけで7.5kgになります。
そんなわけで悪くないバイクですが、一点。性能維持には約3年毎にフューチャーのメーカーでのオーバーホールまたは交換が必要になります(1万数千円程度/回)
乗れない時期が出てくるわけで、そこを是とみるか否とみるかは人次第かと思います。
ギミックがある以上、定期的なメンテナンスは必要にならざるを得ないわけですが、仕方ないとはいえその間使えないのは辛いですね。。。