先日シナプスカーボンの試乗会が行われていたので参加してきました。
今年ケルビム Sticky を納車したばかりですし、Sticky に不満があるわけでもありませんが、次にロードバイクを買うとしたら必然的にディスクブレーキ車にならざるを得ないだろうな、と感じています。
コンポーネントもそうなのですが、特にホイールに関してはディスクブレーキになることで年々確実に進化を遂げていますので、ブレーキの制動性云々よりも、最新のホイールを満喫する為にディスクブレーキモデルを選ばざるを得ないだろうな、と考えています。

そんなわけで、折を見て試乗できる機会があれば情報収集をしておきたいということで、以前から気になっていたシナプスカーボンに試乗することになりました。

キャノンデールについては以前にも試乗したことがありますが、私が社会人になって初めて購入したマウンテンバイクがキャノンデールだったこともあり、個人的に思い入れのあるブランドだったりします。









■ シナプスカーボン 2RL 試乗レビュー



1. シナプスカーボンの位置付け

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シナプスカーボンはキャノンデールのラインナップ上ではエンデュランスロードバイクに位置付けられています。
楽に遠くまで走ることのできるロードバイク、ですね。

以下が公式の売り文句となっています。



  • So Smooth
    よりスムーズに。リアトライアングルにフレックスゾーンを組み込み、重量を増すこともなく、快適性を向上。シートチューブとシートポストが協調しながらフレックスし、不快な振動を吸収。
  • So Fast
    より速く。軽量なカーボンを構造体に使用し、エアロシェイプデザインをエンデュランスモデルとして初めてフレーム&フォークに採用。サイズごとにカーボンレイアップを調整し、全てのボディサイズに妥協することなくベストな同じ乗り味を提供。飛ぶように走れること間違いなし。
  • So Capable
    万能。完璧にバランスの取れたポジション。ライダーに自信を与える安定したハンドリング。タイヤは余裕たっぷり35mm幅まで対応可能。たくさんのボトルマウントはあらゆる道へいく準備万端。
  • So Brilliant
    視界良好。スマートセンスと連動する前後ライト、リアレーダーが後方から接近する車を感知し、ライダーを守る。ライダーは周囲の状況を把握しながら安全に、ストレスなくライドへ集中できる。
     

今時のエアロも意識しながら、快適に速く遠くまで走ることのできるバイク、ですね。
ライトやリアビューレーダーと連動するスマートセンス機能が売りになっていますが、個人的にはあまりそういった電子機器をフレームセットに組み込むのは好きではありません。

故障した時に面倒になるのと、電子機器の進化速度は速いですから、フレームセットとは切り離した製品選択ができた方が良いと思うのですが。

その他に、BBがねじ切り(BSA)に変わりました。
今はプレスフィットではなくねじ切りに切り替えるメーカーが増えてきましたが、メンテナンス性考えると有難い限りです。

また、ガーミンと共同開発したキャノンデール独自のホイールセンサーも装備されています。 



2. ラインナップ

シナプスカーボンのラインナップは以下となっています。
厳密にはシナプス2 / 3 というシマノソラのエントリーグレードもありますが、個人的な興味範囲外となりますので105以上についてまとめてみます。


        
型番 グレード 価格
3L 105 429,000
2LE 105 Di2 580,000
2RL アルテグラ 517,000
2RLE アルテグラ Di2 770,000
LTD RLE GRX Di2 847,000
1RLE デュラエースDi2 1,320,000


105の機械式でも40万円以上と、数年前と比べると大分敷居が高くなってしまいましたね・・・。
数年前なら30万円台でアルテグラグレードが買えたのですが。 



3. ジオメトリ

ジオメトリについて、現在載っているケルビム Sticky と比較してみたいと思います。 


Sticky Synapse(51)
シートチューブ長 510 443
トップチューブ長 540 533
シートアングル 74° 73°
フロントセンター 579.9 598
ヘッドチューブ長 125 130
フォークオフセット 45 55
ヘッドアングル 73 71.3
チェーンステー長 410 415
ハンガー下がり 68 75
リーチ 385.5 376
スタック 536.8 550



  • 直進安定性を求めるならば、ヘッドアングルが小さくオフセットの短いフレーム&フォークにするとが必要となりますが、この数値を見るとヘッドアングルはシナプスの方が小さいですが、Sticky の方がショートオフセットとなっており、数値だけからはどちらかに軍配をあげることは難しそうです
  • フロントセンターはシナプスの方が長くなっている為、ハンドルはスローな切り込みになりますが、下り坂におけるコーナーリングは安定する傾向にありそうです
  • シートアングルはシナプスの方が小さく、重心が後方に移りますので一般的には安全に曲がり、安全にブレーキングしやすくなるとともに、しなりからくる地面からの突き上げ緩和が図られることになります。角度が大きい Sticky の方が重心が前に移動しますので、ペダリングに必要な太股の大腿筋を効率よく動かす事が可能になり、スピードが出しやすくなります。僅かな差ですので、そこまで大きな違いにはならないでしょうが
  • ハンガー下がりは Sticky の方が小さい為、ペダリングのダイレクト感は高くなりますが、ハンガー下がりの大きいシナプスよりは安定感に劣る傾向がありそうです
  • シナプスの方がショートリーチ、ハイスタックということで、前傾姿勢がゆるくなりゆったりした乗り味となりそうです

シナプスの方が、ゆったりどっしり、安定感高く直進安定性の高いフレームとなっています。
製品の位置付けがエンデュランスロードですから、その辺りの性格はジオメトリからもはっきりしていますね。

ちなみに、試乗前にジオメトリで先入観を持ってしまうことを避ける為に、この辺りの数値確認は実際の試乗後に行うようにしています。

果たして試乗結果はジオメトリの傾向通りになっているのでしょうか?




4. シナプスカーボン2RLの特徴

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今回私が試乗したのが、アルテグラ(11速)仕様のシナプスカーボン2RL。

R8000アルテグラ(11速)のコンポーネントを採用していますが、ホイールはフルクラムのRapid Red900ということで、公称1950gの鉄下駄がアセンブルされています。
ギアはフロントが50/34、リアが11-34ですので、足に優しいロングライド仕様ですね。
サイズ56で公称9.2kgとなっていますが、ホイールを変更すれば余裕で8kg台に乗せることが可能となっています。

ちなみに、試乗車についてはホログラムR45のホイールがセットアップされていました。
公称1680gですから、この時点で重量は8kg台には乗っていたと思います。

実際にその場で重量計測できたわけではないのですが、それでもペダル込みで7kg台に乗っているケルビム Sticky よりも、手で持った感じで重さを感じましたね。
 



5. シナプスカーボン2RL試乗レビュー

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今回試乗車として用意されたラインナップはこちら。


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準備時間含めてたっぷり2時間の試乗となりました。
人数が集まったからなのか、この日はスタッフもついたグループライドとなりました。
連光寺坂から尾根幹に出る周回コース(約16km)ということで、適度にアップダウンのある試乗に適したコースでした。

試乗する人はそれぞれ乗り方も異なるので仕方ないことなのですが、休憩時間がたっぷりあって、ちょっと物足りなかったですね。
個人的には、もう少し自由に走らせてもらった方が嬉しいのですが、走り慣れたアップダウンのあるコースを1時間以上走らせてもらえるというのは、それだけでかなり贅沢な試乗会ですから文句を言ったらバチが当たりますね。

今回試乗させて頂いたのがビートルグリーン。


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光の当たり方によって表情が変わるカラーリングでして、とても綺麗でした。


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ホイールはホログラムR45。
セミディープとしてはそこまで軽量な部類ではないのですが、コスパに優れた良いホイールですね。


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太さがありつつも独特な形状のチェーンステー。
振動吸収性と剛性とを両立させる絶妙な形状となっています。


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ケーブルは今時のフル内装ではない形状。
個人的にはメンテナンス性の高さから、こういった通常の内装式の方が好きだったりします。


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当然ですが、ディスクブレーキとなっています。

ということで、以下実際の試乗レビューとなります。

  • 直進時には車体の重さを感じることはない。STIが油圧の紐式アルテグラということもあり、大きくどっしりしている為、ハンドル周りの重さはとても気になりました。ハンドルを振って走ることが多い人には気になる大きさ、重さになると思います。油圧ディスクの場合は、頑張って電動式コンポにしないと、このハンドル周りの鈍重さは解消できないのが悩みですね
  • ホイールも決して軽量ではなかったわけですが、漕ぎ出しにそこまで重さは感じませんでした。信号からのリスタートが軽快というわけではないのですが、そこまで重さは気になりませんでしたね
  • 直進安定性に関しては、とても関心してしまいました。ただ真っ直ぐ走るだけであれば、どこまでも走っていけますね、これ。ショートリーチ&ハイスタックということで、乗車姿勢も楽ちんですし、ほんと長距離を楽に走ることにかけては一級品です
  • 衝撃吸収性もかなり高評価でした。路面の凹凸については上手にいなしてくれます。特にリア側に関してはフレームが良い仕事をしてくれていて、サドルからの突き上げに関して不快感を感じることは全くありませんでした。タイヤ幅が30c、空気圧が4BARということで、チューブドにしてはとても快適性が高いのですが、スルーアスクルによる剛性の高さかホイールの縦剛性の高さからくるものなのか、大きめの凹凸を越える際のハンドルからくる突き上げは大きいものを感じました。全体的な振動吸収性に関しては、クロモリ&チューブレスな Sticky と同等レベルではありましたが、このフロントの突き上げに関しては Sticky の方が快適性は上でしたね
  • おそらく8kg台後半の車重、1680gのホイールという特性を考えると登りは重さを感じるかな?と覚悟していたのですが、思っていた以上にすいすい登れてしまいました。タイムアタックするぞ!というのであればレースモデルに乗り換えた方が良いと思いますが、淡々と登るような乗り方であればそこまで重さを感じさせないですね。ちょっと良い意味で驚きでした
  • 下りの安定性、安心感についてはかなりのものでした。ディスクブレーキの制動力の高さから常にブラケットポジションで行けるという気楽さもありますが、下りのカーブでの安定性に関してはかなり好印象。これはフレームの影響もあるとは思いますが、それ以上にホイールの影響が大きそうです。ワイドリムでタイヤの変形量が少なくなるとともに、スルーアスクルで横剛性も高く、安心して下りでスピードを出すことができました。この点に関しては、カーボンとはいえ細身のフォークを採用している Sticky よりもシナプスカーボンの方が良いですね
  • これはあくまでも感覚的な話になってきますが、シナプスはカーボンでもハイグレードな「剛性命」なグレードではないこともあり、適度なしなりを感じることのできるフレームでした。当然クロモリほどのしなりはないのですが、以前乗っていたピナレロ GAN S よりも適度なしなりを感じることができた為、足当たりが良かったり、ペダリングにおいても「綺麗にペダルを回した分だけきっちり前に進む」というよりは「少しくらい雑に回してくれても、その辺りも丁寧に拾ってあげますよ」という優しさがありました。よくクロモリフレームでも言われる話ですが、「しなりがある為、100の力を110にしてくれる」的な言い回しがありますが、さすがにそれはないと断言できます。ただ、ハイグレードなレースモデルだと、「綺麗に漕がないと100の力は100の推進力にならない」というシビアさがあると思っているのですが、クロモリの場合は「雑にこいでも100の力を100の推進力に変えてくれる」感覚があります。ピナレロのGAN S でさえ、疲労が溜まってペダリングが雑になると「100漕いでも70の推進にしかつながらない」という感覚があるのですが、シナプスはその辺りはもう少し懐が広そうな感じがしました
  • 私のような貧脚ローディーの場合、ハイグレードカーボン&ディスクブレーキモデルだと、「嫌な」硬さを感じてしまうモデルもあったのですが、シナプスカーボンは優しさと適度な剛性を兼ね備えた、とても走りやすいモデルですね

まとめると、「安定感は抜群で直進が超楽ちん。登りも言うほど苦手ではないし、下りの安定感は抜群。適度なしなりもあって、乗り手にやさしいバイク」というのがシナプスカーボンの印象でした。本当に、良いフレームだな、と関心してしまいました。

個人的には、スマートセンスを取っ払って少しでも車重を軽くしてくれるともっと良いのですが。


カーボンディスクを買うとしたら何を買うか?という問いかけに対して、シナプスカーボンはかなり好印象で、個人的にはかなり「アリ」な選択肢だということが分かりました。

いやー、良いバイクですね。


 




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