ピナレロ2023モデル発表!(F/Xシリーズ)

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ばばん、とピナレロの2023年モデルが発表されましたね。
いちおうピナレロオーナーということもあり、ピナレロの新製品発表には毎年どきどきしています。

機能性をとにかく追求しまくる米国のスペシャライズドやトレックとは異なり、トレンドはきっちり抑えつつも、独自路線を突き進むブランドということで。

今回はシリーズラインナップの再統合を行ったわけですが、実際はどんな感じに変わったのかを見ていきたいと思います。

 

■ ピナレロは2023年モデルでシリーズを再統合&がっつり整理

 

1. 新シリーズとしてラインナップを整理(F/Xシリーズ)

ハイエンドのドグマFはそのまま据え置きとしつつ、ミドルグレード以下は2つのラインナップにすっきり統合されました。

  • コンペティション(レース向け):DOGMA F、PINARELLO F
  • エンデュランス向け:PINARELLO X


TT向けのBOLIDEシリーズはそのままだったりしますが、所謂ロードバイクとしてはすっきり統合された形になります。

国内向けサイトはまだ2023年モデルの全ラインナップはアップされていませんが、グローバルサイトを見ると上記に統合されていることが分かります。
PRINCE も PARIS も RAZHAも廃盤ですか。
(日本向けに併売される可能性もゼロではないでしょうが)

個人的には「型番」だけで表現されるよりも、「名称」がある方が愛着が湧いて好きなんですけどね。。。

 

 

2. レース向けのFシリーズ

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レース向けのFシリーズのキャッチコピーは「BORN TO RACE, NO DISCUSSION」。
この辺り、怯むことなく大上段から振りかぶってびしっ、と言い切るのはピナレロらしくて格好良いです。

レースで実績を積み上げてきた凄みですね。

 

 

(1) Fシリーズは3つのラインナップに

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Fシリーズは3つのラインナップから構成されています。
この辺りは今後コンポーネントで細かく分けたバージョンとか増えていきそうです。

  • F9:T900カーボンを採用したFシリーズのトップエンドモデル。フレーム重量がサイズ53で950g、デュラエース完成車で車体重量7.29kgを実現。お値段にして160万円と他社であれば文句なしのハイエンド価格
  • F7:F9と同じT900カーボンのフレームを採用。F9との違いとしてコンポーネントはアルテグラDi2を採用。完成車重量は7.88kgとその差590g。位置付け的には従前のプリンスFX DISCの後継に相当するグレードと思われるものの、お値段は約130万円と約1.5倍にUP
  • F5:T700カーボンを採用したFシリーズのローエンド。フレーム重量がサイズ53で990g、完成車重量は非公表ですが、F7との差はそれほど大きくないのが好印象。従前だとプリンスDISCの後継に位置しそうですが、完成車のコンポは105Di2で約84万円


今まではプリンスFX DISC、プリンス DISCという並びだったのに対して、コンポーネントをデュラエースにしたハイエンドとして F9を追加したような並びですね。

ただ、お値段的には、プリンスFX DISCと新しいF5がほぼ同じに。
ピナレロのレースモデルを狙う人にとっては、かなり「高嶺の花」になってしまった印象です。
噂されている機械式の 105(12s)が登場したら、 F5(105)みたいな形でローエンドが追加される可能性はありますが、それでも今までのように40万円台では買えなさそうですね。

先々、マーケット状況次第では、T600カーボンフレーム&シマノ105のF3が 現行のパリ後継相当として追加されることを期待しましょう。

 

 

(2) 特徴

実は今回のピナレロFシリーズ、「ここがめっちゃ変わりました!」みたいな、分かりやすいアップグレードポイントがないんですよね。
地道に、少しずつ改善させました、みたいな印象です。

以下が公式で語られている、アピールポイントを順に並べたものになります。

 

  • ALL-ROUND PERFORMANCE
    (下りも上りも、あらゆる地形を快適に走れるよ)
  • COMPETITION GEOMETRY
    (歴史と実績のある最高のレース向けジオメトリーだよ)
  • LIGHTNESS WITHOUT COMPROMISE
    (システム全体で最適化した上で軽量化させてます)
  • PRACTICALLY MADE TO MEASURE
    (最適なポジションは重要。他社よりも多く、9サイズもあるよ)
  • WE LOVE SPEED
    (エアロで早いよ)
  • EXCLUSIVE CARBON FIBRE
    (東レのカーボンを最適に活用してます)
  • WIDER CLEARANCE, WITHOUT COMPROMISING RESPONSIVENESS
    (最大30mmのタイヤクリアランスあるけど反応性も良いよ)
  • INTEGRATED SEATPOST CLAMP
    (エアロな一体型シートクランプ使ってるけど軽量化もさせました)
  • ASYMMETRIC FRAME
    (ピナレロといえば左右非対称フレーム)
  • IMPROVED BATTERY PLACEMENT
    (Di2用バッテリースペースをBB内に移植)

ピナレロって、米国のメーカーのように「軽量を追求したモデル」「エアロを追求したモデル」みたいな、機能特化させたフレームを作ろうとしていないんですよね。
エアロと軽量のバランスが重要、と常に言い続けているメーカーになります。
「LIGHTNESS WITHOUT COMPROMISE」ではその点を繰り返していますね。

 

 

勝利を掴み取るには、1gの軽量化が非常に重要です。 しかし、フレームの重量だけがメーカーの目指す最大のゴールになってしまうと、パフォーマンスと安全性のそのどちらも損なわれてしまいます。

 

フレームを単独で計量することは、制限的であると同時に単純過ぎるとも言えます。 そのためピナレロでは、フレームだけでなく、シート ポストやフォーク、ハンドルバー、および 3D プリント・チタン・シートクランプなどの、専用アッセンブリーコンポーネントなど、システム全体を考慮することが必要不可欠であると考えています。

 

ピナレロって、見た目や独特のデザインを売りにしているブランドだよね、みたいな印象があるかもしれませんが、実は「分かりやすいアピールポイントを前面に押し出してマーケットにアピールする」タイプのメーカーではないんですよね。
個人的には、その辺りがとても好きだったりします。

あとはタイヤクリアランスを30mmに対応させたり、新しいシマノDi2を念頭にバッテリー収納スペースをBB周りに配置したりと、細かな点を改善させています。

私の愛車、2018年式のGAN Sでも、シートクランプはエアロを意識したものなのですが、今回のモデルでは39gの軽量化を実現しているそうです。
個人的に分かりやすくて良い改善点だと思いますね。

フレームの造形は微妙に変わっているようなのですが、こうやって並べてみると、格別大きく変わった印象はないんですよね。
新しくFシリーズを展開!という割には、地道な改善、という印象です。

ただ、個人的に驚いたのが MOST のホイールでした。

今回のF9とF7については、新たにMOST Ultrafast 40というホイールが用意されたことでしょうか。
ピナレロはハンドルやサドルに独自の MOST というブランドを採用していましたが、今回はホイールも追加されました。

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  • 40mmリムハイトのカーボンホイール
  • チューブレスレディー対応
  • 職人による手組み
  • ペア1590g
  • シマノ11s / スラムXDR対応


今のところ MOST ホイールはこの製品のみ。
これからラインナップは増えていくのでしょうか?
最近、ディスクブレーキ対応のカーボンホイールは軽量化も著しいですから、ちょっとこのスペックだとぱっとしないですよね。

ただ、裏を返すと、F9なんかは今時の軽量ホイールに変更すれば一気に6kg台にすることができるわけですから、そう考えると素晴らしいですね。

 

 

(3) ジオメトリーの変更点

現行のプリンスとジオメトリーを比較してみました。
いずれも515サイズで比較しています。

 

 

F9/7/5 PRINCE
シートチューブ長 485 495
トップチューブ長 535 535
シートアングル 73.7° 73.75°
ヘッドチューブ長 114 124
フォークオフセット 43 47
ヘッドアングル 72° 72.5°
チェーンステー長 408 408
BBドロップ 72 72
フォーク長 373 373
リーチ 378.1 376
スタック 532.3 543

 

分かりやすい変更点はフォークオフセットが小さくなった点でしょうか。
対応するタイヤサイズが大きくなったことを受てなのかは私のような素人には分かりませんが、よりハンドルの反応性を高めた模様。

ヘッドチューブ長が10mm短くなっており、その分スタックも約10mm低くなっています。

ポジションを確認する際に最も分かりやすいのがスタックとリーチ。
今回、前モデルからするとロングリーチ&ロースタック化した形になりますが、実はこれ、プリンス以前のGANのジオメトリーに戻った形となります。

実際に GANシリーズのジオメトリーでは、515サイズのリーチとスタックは、それぞれ378 / 532となっており、ほぼ今回のFシリーズと同様となっています。

GANシリーズだとヘッドチューブ長が130と長いのですが、それ以外のジオメトリはほぼFシリーズと同じだったりしますので、今回のFシリーズは、以前のGANシリーズに戻ったというところでしょうか。

今GAN S に乗っている私からすると、ジオメトリ的には全く違和感なく乗り換えられることができるわけですね。

ま、先立つものはありませんが。

 

 

3. エンデュランス向けのXシリーズ

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続いて、エンデュランス向けのXシリーズ。
キャッチコピーは「TURE CYCLING EXPERIENCE」。

シリーズといいつつ、現時点ではX3の1モデルしかありません。
今後ラインナップは拡張予定だそうですが、上に増えるのか下に増えるのか、どちらでしょう。

 

 

(1) Xシリーズは1モデルのみ

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実は、2023年モデルの一番のサプライズはX3なのでは?と思っていたりします。

スペシャライズドが AETHOS を発表し、「何でもかんでもレース向けではないよね?」とマーケットに問いかけ。
グラベルバイクやEバイクのように、従来の「がんがんオンロードバイクで走りまくるぜ」という層以外に訴求する製品ラインナップも増えてきました。

考えてみると、日本のように道路が舗装されて「オン」ロードバイクでも問題なく走れる国は超少数派なんですよね。

個人的には、むしろ今までの 23cタイヤのロードバイクが米国やヨーロッパで受け入れられていたことの方が不思議でした。

学生時代にニュージーランドを1ヶ月以上走り回ったことがありますが、1.9インチのタイヤがギリギリ許容限界だと感じました。
当然、8割方は舗装路を走っていたのですが、幹線道路であっても路肩は「荒れて」いるケースが多く、とても23cや25cのタイヤで走りたいとは思えませんでした。

日本以外の多くの国で週末にライドを楽しもうと思ったら、ロードバイクでも30cや32cにするのは理解できますし、個人的にはグラベルバイクやマウンテンバイクの方が楽しめる気がしています。

そうなると、今回のX3のように、タイヤクリアランスを32cまで広げたエンデュランスモデルが登場するのは、必然なのでしょうね。

ちなみに、国内で発表されたのはX3の一種類のみですが、グローバルでは異なります。
X3に関しても 105Di2の他にSRAM RIVAL AXSが用意されていますし、その他にX1がラインナップされています。

まだ詳細スペック記載はないのですが、X1は「105」がコンポとして指定されています。
これが旧型の11速105のことを指しているのか、今後登場が予想される12速105のことなのか、これはもう少ししないと分からないのでしょうね。

X1のパールホワイト、個人的にはどストライクです。

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12速対応の105で 40万円台で登場したら良いなー、なんて妄想してしまいます。

 

 

(2) 特徴

Fシリーズでも「軽量とエアロ、バランスが重要なんだよね」という主張をしているピナレロ。
Xシリーズでも「バランス」がキーワードになっています。

 

 

新しいピナレロ Xは、パフォーマンスと快適性を完璧に融合するために作られた、全く新しいフレームです。

 

すべてのサイクリストが、プロレースのプロトンの中で走るために設計されたバイクに乗るために、自分自身の肉体を極限まで追い込んでいる訳ではありません。新たに設計されたピナレロ Xでは自転車を楽しむという初心に立ち返り、伝説的なパフォーマンスのDNAを破棄することなく、一日中快適に過ごすことが出来るジオメトリーを新たに設計しました。

 

ピナレロ Xは、厳選されたマテリアル、独自の形状、真に革新的なリアエンドの組み合せにより、反応性、パフォーマンス、快適性の完璧なバランスを実現しました。

 

いやー、めっちゃ共感できるアピールです。
「次はクロモリかなー」とケルビムの新車納品待ちでなければ、ふらふらっとピナレロX購入に踏み切っていた可能性があります。

レースに興味のない週末ローディーとしては、昔からエンデュランスモデルが気になっていたわけですが、正直いってエンデュランスモデルって、「格好良さ」がイマイチなものが多いんですよね。(失礼)

個人的にどストライクだったビアンキのINFINITO CV もロゴが一気にダサくなってしまいましたし・・・(失礼)

話を戻して。
公式が謳う特徴はこんな感じです。

 

  • COMFORT WITHOUT COMPROMISE
    (エンデュランスモデルでも重く反応性が悪いなんてことはありません)
  • GEOMETRIC PERFECTION
    (快適だけど加速性もあるし下りだって楽しめるよ)
  • PRACTICALLY MADE TO MEASURE
    (サイズは9つ。妥協せず最適なポジション出せます)
  • FLEXY STAYS
    (反応性を低下させずに余計な振動は吸収します)
  • TYRE CLEARANCE UP TO 32MM
    (タイヤクリアランス、32mmは必要でしょ?)
  • THE BEST CHOICE OF CARBON
    (東レのT600カーボンを最適配置してます)
  • AERODYNAMICS ALWAYS COUNT
    (エンデュランスでもエアロに妥協しません。ケーブル内装で5W削減)
  • ALWAYS ASYMMETRIC
    (ピナレロといったらアシンメトリー)
  • INTEGRATED SEATPOST CLAMP
    (エアロな一体型シートクランプ使ってるけど軽量化もさせました)

どうでしょうか?
カーボンのグレードを変えて剛性を落とし、コンポも105で良いバランスでしょ?という、「マーケットに対して置きに来た」だけのエンデュランスモデルでないことははっきりしていますね。

ピナレロって、今まで一般向けのエンデュランスモデルには力を入れてこなかった印象なのですが、今回は違います。
本気でゼロからフレームを設計し、新しいモデルとしてXシリーズをラインナップさせてきました。

いやほんと、これ欲しいっす。

 

 

(3) ジオメトリーの変更点

新モデルということもあり、正確には「変更点」という話ではないのですが、現行のラインナップの中では、エントリー層を念頭に快適性を意識したのがパリになります。

パリとジオメトリーを比較してみたいと思います。

 

 

X3 PARIS
シートチューブ長 495 495
トップチューブ長 536 536
シートアングル 73.75° 73.75°
ヘッドチューブ長 151 145
フォークオフセット 47 47
ヘッドアングル 71.5° 71.5°
チェーンステー長 415 415
BBドロップ 72 72
フォーク長 373 373
リーチ 368.5 373.6
スタック 564.4 549.2

 

 

あれ?
かなーり近いですね・汗

ヘッドチューブが6mm長くなり、その分をそのままスタックに反映させつつ、リーチ&スタックをパリ対比約5mmほどショートリーチ&ハイスタックに振った感じですね。

カーボンもパリ同様T600カーボン。

新設計で新しい Xシリーズだぜ!と言いつつ、ジオメトリ的にはパリをリファインした感じですかね。

但し、フレームデザインはかなり変わっています。

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上がX3、下がパリ。
トップチューブからリアトライアングルなどはがらっと変わっています。
この辺りが乗り味にどのような影響を与えているのか、興味津々ですね。

ということでピナレロの 2023年モデルを見てきましたが、個人的には X3が気になりますね。
これで乗り味が好みなら、ちょっと欲しくなってしまいます。

近々クロモリロードが納車される予定なんですけどね・・・。

 

 

コメント

  1. たかにぃ より:

    コロナ禍以降、各社ともミドルグレード以上が日を追うごとに高くなっていますね。私のSculturaも購入から1年経っていませんが、フレームセットだけで10万円以上値上がっています。コンポも10万近く上がりましたし…
    機械式アルテグラより105Di2が高いのは良いとしても、エンデュランス系でもアルテDi2の2ndモデルが120万以上、105Di2の3rdモデルが80万以上とコロナ禍前の倍というのが凄いです。
    レクリエーションレベルだと、その下のアルテグラ車種からの選択になりそうです。

  2. より:

    ピナレロのAeroデザイン……特に翼断面のシートチューブ、その真ん中辺りから出るチェーンステー、逆トレール角のついたフロントフォーク
    はロードバイク界で1番クリーンなデザインで綺麗です。 (⌒‐⌒)✧·˚⌖. ꙳次点でサーベロとか、シーポとかも好みです。(⌒‐⌒)/
    フレームsize、自分は約61程なので、最大sizeでもちょっぴり窮屈かも…知れません。
    クロモリロードの時も、無理言って60ほどにして貰いましたが、ヘッドチューブが21cmで、(-_-)横から見ると……24inchのジャイアントMR-4折りたたみミニベロみたいで、空力的にはかなり不利だと思います。 シートポストは、長さ50cmの特注sizeを作って貰い、これがまた、空力的にかなり抵抗になって居ます。今から思えば、フレーム一体型のシートポストにしてもらうべきでした。
    リカンベントは、シートポストの役目をする、フロントブームを切らずに発送してもらいましたが、結局、ギリギリ1センチ縮め、チェーンを7リンク延長で適正sizeになりました。 去年、中古で買ったQTRは、ブームのながさが11cm足らず、鉄工所に持ち込み、同径の鉄パイプを溶接して戴いて、適正sizeになりました。

  3. おとーさん より:

    >たかにぃさん
    シマノコンポの性能が上がったことから、以前の「アルテグラ」は「105」に置き換わっていくのかもしれませんね。
    重量は重いのでそうも行かないのですが。
    ほんとレクリエーション層の置いてきぼり感が半端ないです・・・。

  4. おとーさん より:

    >♪さん
    サイズ61ですか!?
    そのサイズのフレームは拝見したことないかもです。
    ロードバイクに関しては、小さいフレームよりも大きいサイズのフレームの方が格好良く見えて羨ましいなー、と思っていましたが、サイズがないのは困りものですね。。。
    特注品まで出てくるとは。。。すごいです。

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