最強の電動ポンプはどれなのか?(電動ポンプ比較)

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本当にお勧めの電動ポンプはいったいどれなのか?

電動ポンプは今やすっかりメインストリーム製品に

ロードバイクのブームも去り、ロードバイクコンポーネントの成熟も進んだこともあり、マーケットに投入される新製品に「真新しさ」が少なくなってきたように感じています。

そんな中ここ数年で最も進化が著しいのが電動ポンプではないでしょうか。

私がロードバイクを始めたばかりの頃は、手動の携帯ミニポンプか、CO2インフレーターか、といった議論が盛んに行われていましたが、今やCO2インフレーターを勧める人はほとんどいなくなり、電動ポンプが最高!という論調に移り変わったように感じています。

保守的な私は今だに携帯ミニポンプ派ではありますが、チューブレスタイヤのビード上げにも使えるという話を聞くにつけ、そろそろ電動ポンプを購入しようかな?という気持ちに。

で、日本国内で各方面漁ってみると、「今ならこれ買っておけば間違いない」というのはCYPLUS製の電動ポンプだったりします。

おそらく、本当に良い製品なんだと思いますが、どうもその背後に「案件臭」を感じてしまう性格の悪い私は、どうも素直に飛びつくことができなかったりして・・・。

こういった話になると海外の方がフラットな比較を行なっているケースが多いことから探していたところ、先日チェーンワックスの記事を書いた際に見つけました。

マニアックな比較検証を行なってくれている Zero Friction Cyclingさん、本当に感謝です。

携帯ミニポンプの比較検証(Zero Friction Cycling)

比較検証を行うにあたって

そもそもこのサイトってどんなサイトなの?という点については、過去に書いた記事なども参考にしてもらえればと思います。

【真のコスパ最強】年5万円はコストが下がるチェーンルブ
ちょっと面白いデータを見つけました。原文に倣うなら、「正しいチェーンルブを選べばメンテナンスコストが10万円は安くなる」という記事になります。本気ですか!? という刺激的なタイトルですよね。チェーンルブ毎の「摩耗率」に基づいた真のコスパ最強...
10,000km走るならSilcaのチェーンワックスを買った方が良い
諸事情で最近外に走りに行けてないもので、色々と妄想が膨らんでしまいます。(主にお買い物関連)Silcaのチェーンワキシングシステムは長い目で見ればコスパが良い(Silca Chain Waxing System)以前から気になっていたSil...

ほんと、マニアックな観点で、手のかかる地味な検証作業を積み重ねてくれているサイトです。日本国内だと、ここまでやっているようなサイトってないですよね。

で、本業(?)はチェーン寿命、耐久性のチェックだったのですが、電動ポンプについての比較検証も追加されました。

個人的な興味による、ちょっとしたサイドプロジェクトだ。この製品カテゴリーは、今や本当に多くの選択肢があり、高級ブランドから安価なブランド、コピー商品まである。トップクラスのポンプとウーン・・・というようなポンプとでは、性能と信頼性、寿命に大きな差がありそうだ。また、大金をはたいて高級ポンプを購入するのであれば、Xポンプが主要な競合他社と比べてどの程度優れているのかを知りたいと思うかもしれない。

はい。

まさにその通りです。

続けて、「ほとんどのメディアでは、5台程度のポンプについて比較するだけで、異なるメディアでの検証結果を並べて比較することも難しく、メディア毎に検証方法も見解も異なる」と続けています。

そりゃそうですよね。その辺りはメディアの限界なんだと思います。

ZFCのテストでは、ミニポンプの客観的な性能測定をほぼすべて網羅したテストを行い、大きなリーグテーブルを作成する予定です。これは、あるポンプの性能と価値を他のポンプと適切に比較したいサイクリストに役立つだけでなく、それが構築されるにつれて、ポンプレビューを行うサイクリングメディアにとっても非常に便利な参考資料となるはずだ。

現時点では比較対象はまだ11台となっていますが、この書き方からすると、今後も各社から新製品が登場する毎に追加してくれそうな雰囲気です。

これは期待できます。

比較検証ポイント

複数の比較観点をもとにポイント化、各社電動ミニポンプを比較してくれています。

以下が検証観点。

  • 設定された最大空気圧に達した場合に、ポンプがそれ以上作動しないか、始動と停止を3回繰り返して確認
  • 70PSI(約4.8bar)に到達するまでの時間
  • タイヤを1回、70PSIに到達するまでに空気を入れた際の本体温度
  • タイヤを続けて3回、70PSIに到達するまでに空気を入れた際の本体温度
  • 持久力:1回の充電で、70BSIまで何回膨らませることができるか
  • 効率性:本体重量対比、どれだけ多くの空気を充填することができるか

日本だとよく行われてる動作音の比較はされていないようですが、それ以外は電動ミニポンプの核心に関わる部分ですので、これは期待できますね。

現時点での最強電動ポンプとは?

ということで、以下結果となります。

細かな検証結果については、さすがに私がここで気軽に引用してしまうのは問題ありますので、各検証項目毎のポイントについてはぜひ原典をあたって頂きたいと思います。エクセルファイルでデータをダウンロードすることができますので、本当に有難いです。

第5位 CYCPLUS AS2 ULTRA


おそらく、今日本国内で比較レビューを行うと1位か2位には入るであろうCYCPLUS の最新製品。ZFCでは第5位に評価されました。

では、他社製品と比較して劣る部分があるのかというと、ちょっと見方が違うよいです。

  • このカテゴリーでは、より大型でパワフルなポンプに劣るが、正直なところ、わずか90グラムのこのポンプは素晴らしい
  • これまで100グラム台でテストされたポンプはすべて、120グラム台と比較すると、重量の減少に比例して性能が著しく低下していたがこの製品は重量1グラムあたりの性能出力もとても高い
  • 他のより大きなサイズと同カテゴリで比較するとこの結果になるが、このカテゴリーを2つに分ける必要があるかもしれない。というのも、このポンプは本当は1位であるべきだからだ
  • 他方、サイズの割にはとても高価ではある

ここで比較対象として上がっている各社製品は150g以下の製品となっており、どうしても持久力だったり複数回使用後の本体温度などが低スコアとなっています。

携帯ポンプとして、パンクしたとしても1回タイヤに充填するだけ、という使い方であれば、この製品は1位に飛び出る能力を有している模様。

100gを切るカテゴリを新設した場合には断トツトップになりそうです。

第4位 VIAIR Recon

第4位は日本国内では流通してなさそうな VIAIR Recon。

  • このポンプは高級感もあり、デジタルケージは大きくて見やすい
  • 色味もはっきりしていて認識し易く、ボタンはかっちりとしていて感触が良い。他社製のポンプと「違い」が多くある
  • ケーシングはプラスチックとゴムで通気孔もあり熱管理に優れているがサイズは大きめ
  • ホースやノズルが一体化していない他のポンプと異なり、ノズルのベース部分がゴム製のシールで密閉されている。他社製品はポンプにホースをねじ込む際に根本のOリングが破損するケースが散見された為、耐久性という観点で優れた形状となっている。他方、嵩張る為収納性は劣る

真鍮製のノズルが特徴となっており、サイズ、重量面ではデメリットになりますが、耐久性という点では大きな利点となっているようです。

第3位 Cycplus AS2 Pro

はい。日本国内の比較だと、おそらく1位になるであろうCYCPLUS AS2 Pro。

  • デジタルゲージと自動停止機能を備えた本製品は、現時点で最小・最軽量のユニットであり、とても競争力のある重量とサイズ
  • このクラスではプレミアム価格だが、充填スピード、耐久性、正確なゲージと圧力設定、最後の設定の記憶など、すべてのカテゴリーで非常に優れた性能を発揮する
  • 性能はMuc-Off Airmachにわずかに劣るが、小型軽量であり非常にお勧めできる

どうも、本製品に何かマイナス点があるというよりは、上位製品の方がトータルポイントで上位だったというだけのようですね。

第2位 Muc-Off Airmach

個人的にはちょっと意外だったのですが、第2位はマックオフの電動ミニポンプ。

個人的にマックオフは好きなのですが、ブランド力があるが故に好き嫌いが分かれる傾向にもありますが、比較結果ではCYCPLUS AS2 Proを破って第2位でした。

  • 抜群の空気充填力と耐久性
  • 正確なゲージ、正確な圧力設定が可能で、前回の設定を記憶する機能も搭載
  • モーター、バッテリー、電子パーツ、シールなど、主要な部品はトップレベルの品質
  • 一部の製品レビューではノズルインサートが柔らかく耐久性に難ありとのコメントもあるが、スペアパーツも付属しており、個人的には本製品の使用頻度を踏まえると難点であるとは思えない
  • 少なくとも100回以上の充填を行なっているが性能の劣化は確認できなかった
  • 高価ではあるがその価値は十分にある

空気を充填する為の電子機器として見た時に、基本性能が優れている点が高く評価されているようですね。持久性だったり、複数回充填後の本体温度などはCYCPLUSよりも優れている一方で、本体の重量対比のパフォーマンスだったり、コスパという点ではCYCPLUS AS2 Proの方がポイントは高いので、「より軽量コンパクト、コスパの高い製品を」という評価軸を重視する場合は、2位と3位は逆転しそうです。

第1位 Magicshine Airro

第1位は Magicshine Airro。いやいや、知らないですわ・・・。ほんと忖度とかない比較レビューですよね・・・。

  • このユニットは野獣だ。おそらく150グラム以下のマイクロ・カテゴリーでは最大かつ最重量のユニットで、その最大サイズと重量を見事に生かし、これまでテストしたすべてのポンプの中で最速の空気充填速度と最大の耐久性を実現している
  • 全体的に高級感があり、個人的には筐体の下半分が金属製で、上半分がプラスチック製で、スモーククリアーな色をしている美的デザインが大好き
  • 他社のノズルと比べ、はるかに小さく軽いので、本体は大きいデメリット対比、とても便利
  • このポンプを入れるスペースが確保できるなら、全体的な性能は明らかに他社製品をリードしておりお勧め
  • 他方、耐久性に難あり。テストを10サイクル実施した後、パフォーマンスは15%低下してしまった

耐久性に関しては、まだ各社のテストサイクル実施数がそこまで揃えられていない為、評価が難しいのですが、その点を差し引くと本製品が最高評価となりました。

結局どの電動ポンプがお勧めなのか?

このサイトの比較検証の良いところは、検証結果が全てデータ化されている点になります。

このサイトの評価軸としては、やはり充填速度だったり充填量、持久性だったり充填後の本体温度など、「電動ポンプとしての基礎的な部分」を重視していることがよく分かりますので、1位、2位の評価結果についてもとても納得感があります。

また、先にも書きましたが、日本人が好む「より軽量でより安く」という評価軸を重視した場合、CYCPLUS AS2 Pro がスコアが高いことからも、「日本国内での評価が高い」というのが、よく理解できる結果となりました。

最後に1位になったものの耐久性に難があるとされた Magicshine Airroですが、CO2ボンベ41本分の空気充填を行なった結果として、パフォーマンスが15%低下するようになった、という評価ですから、受け止め方は人それぞれ、になりそうです。

例えば、空気を充填するスピードに関して言えば、Magicshine Airroは Muc-OffやCYCPLUSよりも、そもそもが20%程度早い充填速度となっていますので、劣化したとしてもまだ上回る結果を叩き出す能力を保有しているわけです。

ちなみに耐久性という観点では、何故か最も大きの回数試験されているマックオフだと、CO2ボンベ340本分のテストを実施すると、18%程度劣化した模様。

18%低下した、という点を重視するのか、340本分重点行った点を重視するかで評価分かれますよね。

ちなみにCYCPLUS AS2 Pro は マックオフほど試験こなしていないようで、ボンベ86.5回分で劣化なしの結果に。同回数の試験実施時、マックオフの劣化は5%でしたので、ここまでのところではCYCPLUSの耐久性は優秀となっていますが、電化製品は劣化がある地点を境に急激に進むものですので、今後の追加試験などを見てみたいところですね。

で、このデータをあれやこれやとひっくり返して確認してみると、日本国内で購入するなら CYCPLUS AS2 Pro が今はおすすめになりそうです。
ライド時に持ち出す際のコンパクトさを重視して AS2 Ultraに手をだすのも全然ありですが、電動ポンプそのものの基本能力としては AS2 Pro に軍配が上がりますので、自宅でチューブレスタイヤのビード上げにも使う、みたいな私の場合にはやはり AS2 Pro の方が良さそうに思えてしまいます。

他方、コンパクトを犠牲にして、自宅でのビード上げの方をより重視するのであれば、Magicshine Airroはアリですねー。Amazonで購入するなら CYCPLUS AS2 Pro の2/3の値段で購入することができます。
他の人と被らない、というのもそれはそれで面白いですし。

もう少しもにょもにょ考えてみようかと思います。

 

コメント

  1. たかにぃ より:

    日本国内では大手ブランドが次々製品リリースした今、Cycplus AS2のブームが去り、実店舗とネット両方で販売しているフカヤ(日邦電機)ELXEED-G01や、TOPEAK E-Boosterが優勢ですね。
    ELXEED-G01は恐らく製造工場から別ブランド向けに複数バージョンが出荷されているので、そっくりな商品がいくつかあります。

    実走で既に6回ほど使っていますが、圧設定を記憶しているので、取り出して電源ONして充填開始すれば自動で指定圧停止、ヘッド付けて圧具合見ながら充填するCO2より格段に楽で疲れないのが良いです。

    • oto-san より:

      >たかにぃさん

      すっかりCO2ボンベは追いやられてしまったようですね。
      電動ポンプに関しては、各メーカーともに個体差(ハズレ個体)があるのか、どのメーカーでもそこそこ不具合の報告・レビューがあるようなので、実店舗で買えるのではあればその方が良いんでしょうね。
      悲しいことに我が家周辺では、近いところからショップが閉店していっているので、実店舗で買うのもそこそこ手間だったりして悩ましい限りです。

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