バーチャルライド繁栄の先にはロードバイク業界の衰退があるのか

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これからの自転車業界はどのように変わっていくのか?
bikeradarの記事が少し考えさせられる内容だったので、ちょっとご紹介したいと思います。

内容的には「そうだよなー」と思う内容なのですが、その先に広がる未来は、本当に幸せな内容なのだろうか?と思わずにはいられないんですよね。

Smart-trainer tech has peaked, but experts say all racing below Continental level will be virtual in 10 years | BikeRadar
With hardware nearing perfection, here's why the indoor cycling industry thinks software, AI and realism will define the...

スマートトレーナー技術の進化の先には自転車業界そのものの衰退があるのか?

記事の内容は、スマートトレーナー界隈の技術動向についての予想記事ではあるのですが、内容的には自転車業界全体にも広がりを見せかねないものなんですよね。

ざっとまとめていきたいと思います。

スマートトレーナー技術は成熟へ——次の革新は「AI」と「リアル感」

インドアサイクリングがこれまでにない盛り上がりを見せている。精密なダイレクトドライブ式スマートトレーナーが手頃な価格で手に入り、ZwiftやRouvyといったアプリも豊富に進化。しかし、ハードウェアの進歩は近年わずかな差分を重ねる段階に入り、“完成型”を意識させる局面を迎えている。

ハードウェアは完成形に接近

Zwiftの新型「Cog & Click」コントローラーが仮想シフティングを実現するなど、小さな進化は続いているものの、前世代モデルからの差は微細。ルーヴィーCEOのペトル・サメク氏は「トップレベルのトレーナーはすでに優秀で、次の改革はソフトウェア側にある」と語る。

サメク氏によれば、AIによる個別最適化トレーニングが今後の鍵となる。Rouvyが実世界映像を活用し勾配を再現しているように、屋内と屋外をリアルタイムで融合させる“ハイブリッド体験”が次の目標だ。

屋内ライドが屋外を超える未来

MyWhooshのマット・スミスソン氏も、ハードの成熟を認めつつ「革新の主戦場はソフトウェア」と断言する。交通量の増加や安全リスクにより、屋外走行がますます困難になる中、10年以内に“コンチネンタル級以下のレースは完全オンライン化する”と予測。屋内ライドの進化が、スポーツとしての自転車競技の姿を変えていく可能性を示した。

さらに、従来のサイクリスト層に限定せず「フィットネスコミュニティの開拓」も成長戦略の要になるという。Zwiftがeスポーツから一般ユーザー志向へ回帰しているのはその潮流の象徴だ。

今後の競争軸は「エンタメ性」と「リアル感」

「私たちは自転車業界ではなく、エンターテインメント業界にいる」とスミスソン氏。現実世界を再現する方向性から、ゲーム要素を強化する“マリオカート的イベント”へのシフトが、次世代ユーザー拡大のカギになると予測されている。

VRよりも「体感のリアルさ」が次のテーマ

業界関係者はVRやARを短期的な解決策とは見ていない。むしろ注目されているのは“物理的なリアリズム”。OmniRockerの創設者マーティン・クーパー氏は「視覚だけでなく、体が感じる動きがリアルでなければ脳は『偽物』だと認識する」と指摘する。
こうした課題に対して、側方・前後運動を可能にする「ロッカープレート」や、Muovのように車体自体が左右に傾くスマートバイクが登場。固定的なトレーナーからの脱却が、新たな快適性と没入感をもたらしている。

高価格帯×高体験価値が牽引役に

Muovのアレックス・カッチャ氏は「価格競争ではなく、最高の体験を届けることが次の10年を決める」と語る。
同社のアプローチは“実際に自転車に乗っている感覚”を追求するもので、サイクリストが屋内でも本物の走行感を味わえる環境を目指している。

レースシーンが変わればスポンサーも変わり、フレームメーカーの衰退が始まるのか?

いかがでしたでしょうか?

前半部分のスマートトレーナーの技術変化については「そうだよなー」という内容だったかと思いますが、屋内ライドが屋外ライドを超える未来が本当にやってくるのか?といった辺りからは意見が分かれるのではないでしょうか。

とはいえ、レースシーンが「安全性」の観点からバーチャルに切り替えられる時代がやってくると、これまでレースシーンで重視されてきた「車体の軽量性」や「振動吸収性」「エアロ性能」といったものが、重視されない状況に至るでしょうし、ただただ「反応性の高さ」や「剛性の高さ」が求められるようになり、最後にはバーチャルレース専用の機材へと機材が変わっていく可能性すら出てきます。

そうなるともう、フレームメーカーがレースのスポンサーになる必要性すらなくなります。

スペシャライズドからは TARMAC や ALLEZ のラインナップが消えてなくなり、AETHOS や ROUBAIX だけが残ることになるでしょう。

ホイールのブランドもざくざく消えてなくなっていくことでしょう。

いやいやそんなことないでしょう?と思いたいのは私も同じなのですが、ここ数年夏場の気候がライドに適さなくなってきましたし、今後の少子化、日本が背負う多額の国債(借金)を背景にしつつも老朽化が進む日本の道路事情に目を向けると、ロードバイクに適した道路や環境はこれからどんどん縮小していくことでしょう。

これを10年単位で見ていった場合、「リアルライド」を行う層は縮小していき、「バーチャルライド」を重視する層が増えていくのはあながち誤りでもないのではないでしょうか。

今でこそ無邪気にバーチャルライドと共創を続けている業界においても、10年後には敵対し合う関係性になっていないとも限りません。

外を走ることのできないスマートバイクが10万円台で購入できる日が来たら、それはもうロードバイク業界の衰退の始まりになるのかもしれません。

ちょっと嫌ですね・・・。

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