CANYONは経営不審から従業員の大規模削減を実施

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オンライン販売主軸に効率経営を実施してきたのCanyonですが、事業環境はまだまだ思わしくないようで、昨年米国で実施した人員削減に続き、ドイツ・コブレンツとオランダ・アムステルダムの拠点で、最大320人の従業員を削減するとスタッフに通達した模様です。

しれっと公表されていますが、これってかなり深刻な状況です・・・。

苦境が続くCANYON、2割の人員削減を実施

人員削減の概要

Canyonは、ドイツ・コブレンツとオランダ・アムステルダムの拠点で、最大320人の従業員を削減するとスタッフに通達しましたが、Canyonの従業員数は約1,600人ということですので、今回のレイオフは全体の約2割に相当する大きなリストラとなります。

2025年4月にも米国拠点でレイオフが実施されたのですが、その際の人数に関しては非公開だったこともありどの程度のものかは不明なのですが、今回の20%のレイオフはちょっとインパクト大きいですね・・・。

20%のレイオフが示す意味

参考までに、自転車業界における過去のレイオフの数値を調べてみました。

  • Specialized:2024年 約300人(推定10-15%)
  • Trek:2023-24年 150人(約8%)
  • Giant:2025年 台湾工場で1,000人超(全体の12%)
  • SRAM:2024年 200人(約15%)

どうでしょうか?
今回は「しれっ」と公表されている形になりますが、実は20%のレイオフというのはかなりインパクトが大きいんです。

もう少しイメージが付くように、他の業界の情報も載せてみます。

業界 代表例(レイオフ割合)
テック・IT Google(6%)、Meta(11%)、Amazon(13%)
製造業 Boeing(10%)
小売・サービス 飲食(18.2%)、サービス業(19.3%)
金融 PayPal(9%)
自転車業界 Specialized(12%)、SRAM(15%)、Trek(8%)

どうでしょうか?
20%なんて、なかなかある数字ではありません。

5〜10%程度であれば「コスト削減」や「効率化」といった経営の微調整レベルと受け取ることが可能ですが、10%を超えるようなレイオフになると業績悪化に伴う事業転換という意味合いが濃くなりますし、今回のような20%を超えるレイオフは存続危機が囁かれるようなレベルのものとなっています。

Canyonは非上場企業ですので、いきなり倒産みたいな話にはならないと思いますが、かなり危機感を持たなくてはならない数値であると認識した方が良いでしょう。

人員削減の背景

同社はコロナ禍の自転車ブーム(2020〜2023年)で急成長しましたが、市場環境が大きく変化したことが今回のレイオフにつながったと説明しています。

ま、自転車業界共通ですね。​

加えて、業界再編、米国の関税問題や景気見通しの弱さなどが重なり、組織とコスト構造の見直しが必要になったと説明しています。

会社方針と経営体制の変化

それではコストカットを行なってどうするのか?という話になりますが、あくまでも説明としては「複雑さの削減」と「プロセスの簡素化」の為であり、今後も長期的なイノベーションと競争力を維持する為に必要な再編だと説明しています。

また、今回のレイオフと併せて創業者ロマン・アーノルト氏はエグゼクティブチェアマンとして復帰し、「レースに勝つのは規模ではなくスピードと精密さ、機敏性だ」とコメントし、俊敏な経営への回帰を強調している模様。

同氏は、同社の拡大に伴い社内にサイロ化や官僚的な風土が生まれ、「少し官僚的になってしまった」とコメントしており、企業文化の立て直しを行おうとしているとのこと。

規模が拡大すると、どこの会社も「大企業病」にかかってしまい、スピードが損なわれるというのはよくある話ではあります。

ただ、Canyonの業績不審が本当にそういった理由なのかは、外からはなかなか判断がつき辛いもので。

今後の戦略・注力分野

それでは、今回のレイオフ・構造改革を受けてどのような戦略に転換していくのかという話ですが、Canyonは、自社の「DNA」を研ぎ澄ます再編と位置付け、今後は特にeバイクなどの「戦略的成長分野」に注力していくそうです。

やっぱりeバイクですか・・・。

猫も杓子もeバイクなのですが、日本国内でのeバイクの「広がり具合」からすると、eバイクの売上拡大が世界的な潮流と言われてもあまりピンと来ないんですよね・・・。
ガラパゴス化した日本というマーケットにいる人間なので偉そうなことは言えないのですか、本当にeバイクが今後も自転車業界の売上、成長の源泉になっていくのでしょうか。

アーノルト氏は年間売上10億ユーロ(約1,600億円)規模への成長も視野に入れていると発言しているようで、今回のレイオフは単なる縮小ではなく、次の成長フェーズに向けた体制づくりと位置付けています。

Canyonは非上場企業ということで、業績数値があまり公開されていません。
ちょっと調べた範囲で判明した数値としては、ざっとこんなところです。

年次 情報源 内容
2023年9月時点 Bike News 売上高6.21億ユーロ(前年同期比+23%)
2025年 Financial Times(Arnold氏インタビュー) 年間売上10億ユーロ目標を公言
2025年6月 Cycling Weekly Canyon事業赤字38百万ユーロ

年間売上10億ユーロという目標がどの程度のストレッチで成し遂げられる数値なのかは、何とも判断し辛いですね。
ちなみに、親会社であるPon Holdingsについては、自転車部門としてまとまった数値は公表されています。

Pon Holdingsの「Specialty Bikes」部門(Canyon・Cannondale・Cervélo・Santa Cruz等)の直近5年売上推移は、2022年ピーク後の急落が明確です。

年次 売上高(€億) 前年比 備考
2021 13 Dorel Sports未統合
2022 24 +85% Dorel Sports買収効果+コロナブーム
2023 12 -50% 需要急減・在庫過多
2024 11(推定) -8% Canyonリストラ開始
2025 10(予測) -9% 継続縮小

キャノンデール含めた他ブランド併せた総売上が10億€ということを考えると、Canyon単独の年間10億は、かなり攻めた目標値ですよね・・・。
コロナ渦でのブームを考えると「行ける」と言いたいのでしょうが。

 

苦境とはいえ、Pon Holdingsの自転車部門の中では稼ぎ頭なのがCanyonですので、経営不振だからといって他社への売却だったり倒産に追い込まれるということは「まだ」ないとは思いますが、かなり深刻な状況であることに違いはありません。
また、コロナブームでeバイクが売れまくったことで一時的に急成長を遂げたわけですが、ブームが去ったことで落ち着いてしまったeバイク界隈を「今後の成長戦略の軸」とするのも、ちょっと心配。

何とか自転車業界にはこの辺りで踏ん張って欲しいところですね。

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