今回は、思いがけず試乗することができたケルビムの R-2 と Sticky についての試乗レポートとなります。

今年の春には新しいロードバイクをオーダーしよう!と心に決めているのですが、ここ最近すっかりクロモリバイクが気になって仕方ないということで、先日も Muller の試乗会に行ってきました。





そこですっかりクロモリフレームの魅力に取り憑かれてしまったわけですが、実は私が住んでいる地域で、最も近くにあるクロモリフレームのビルダーさんはケルビム(CHERUBIM)だったりします。

めっっっっちゃ有名ですよね。

そんな有名ビルダーの近くに住んでいるのに、全く見ることなく次のバイクを決めてしまうのも残念だよね、ということで週末にお邪魔して「イメージアップ」をさせて頂こうと思って出掛けたところ、試乗車が準備されていたということで大喜びで試乗してきました。

 





■ ケルビム(CHERUBIM)のクロモリロードに試乗してきた! (CHERUBIM R-2 / Sticky)



1. ケルビムについて

ケルビムはNJS(日本自転車振興会)の認可を受けているブランドとなりますので、競輪でも使われるようなスチールフレームを製作してきた工房となります。

そう聞くと、私のような週末ローディーが門戸を叩くのにちょいと気が引けてしまい、今までもその存在は知りながらなかなか足を運ぶことがありませんでした。

自転車のショップって、どこも「入りづらい」んですよね・・・。
Y'sロードとかの系列店だと比較的入り易いのですが。




自らの手で物を創造する。そこに、物作りの原点があると考えます。そして、互いを信頼しあう人間達が集まる空間も、物作りに欠かせない原動力です。ケルビム号が創られる工房もまたしかり。技、経験、情熱、人間、アート。現代を生きる職人達がともす「燈」は、常に工房で揺らめいています。ハンドメイドという根源的な手法と、人類の特権であるイマジネーションの交差点。それが、東京の片隅にある小さな工房なのです。


こちらケルビム公式にある紹介文になるのですが、めっっっちゃ敷居が高いです・笑
公式サイトは見れば見るほど腰が引けてしまい、なかなか足を運びづらかったのですが、いつまでもビクビクしていては話になりません。

思い切って今回出かけることとなりました。

ショップに到着すると、サイクルラックの横に「試乗車」というタグがぶら下げられた R-2 が置いてあるではありませんか。

逆にこの試乗車があったからこそ、迷いが吹っ切れて入店することができました。
店員さんに開口一番「試乗車に乗せて下さい!」と伝えれば良いわけですから。

試乗車が表に出ていなかったら、ショップの入り口でもう少しモジモジしていたかもしれません。。。

ということで、期せずして試乗することができましたので、自分への備忘を兼ねてインプレをまとめてみたいと思います。 



2. ケルビム R-2

CHERBM-01


まず最初に乗せていただいたのが、ケルビム R-2。
ラグフレームになります。




自転車が持つ伝統美を纏ったケルビムのラインナップ中、最も長い歴史を持つモデル。現在の道路状況や、最新パーツとの相性に想定されるスピード域を反映させたスケルトン。スティールの魅力を継承しつつ、進化を繰り返しモダンなライディングを可能にした“永遠のスタンダード”。


CHERBM-02


スレッドステムにラグ組みのフレームは、確かに「伝統的」そのものですね。


CHERBM-04


佇まいも「いかにもクロモリです」という雰囲気で、とても好みです。


CHERBM-03


パイプはカイセイが標準だそうです。


CHERBM-05


フォークはクロモリのベンドフォーク。


CHERBM-06


チェーンステーがハの字に広がっている形状な為、とにかく「しなり」がありました。


CHERBM-07


試乗車はリアブレーキ用のケーブルが内装されていました。


CHERBM-08


パイプの下側から入って、上側から出てくる形でとても自然なケーブルルーティング。

お店の回りは少し走ると坂道や平坦などバラエティに富んでいる為、色々と確認することができました。
少し距離を伸ばせば斜度10°の坂道もあるのですが、そこまで走るのも気が引けたので、斜度6〜7°くらいの坂道までで我慢することに。


  • 試乗車についていたホイールは詳細不明。タイヤはパナレーサーのプラクティス270。ん? これってチューブラー・・・? ちょっと詳しくないので何ともコメントできませんが、重くもなく軽くもないホイール、という印象でした
  • 停止時に持ち上げると、クロモリならではの重さを感じますが、走り出し軽快でした
  • 振動吸収云々に関しては、とにかくクロモリフォークの独特な印象が強かったです。大袈裟に表現すると、とにかく「びよんびよん」としなるんですね。加速する時に平坦路でペダルを回すと「みょーーーーーん」と微振動しながら加速していく。漕ぎ出しは若干フォークのしなりに吸収されてしまいクイックの感じはしないものの、加速していくと独特なしなりとともに徐々にスピードが上がっていく印象。地面の凹凸や段差も「びよんびよん」としなりながら吸収していなしてくれる感じ。振動はするのですが、不快な感じもありませんし、手や腕に衝撃が伝わる感じもなく、「ほほーう。これがクロモリのベンドフォークなんですね」と初めての経験ににやにやしてしまいました
  • 斜度5〜6°の長い上り坂では、ケイデンス90位でくるくる回すと加速はイマイチ。対して、ケイデンス75〜80くらいで重めのギアでぐいっぐいっとペダルを回すとぐんぐん加速していく。ギアとペダルの回し方を変えるとこんなに走り方が変わるの?と少しびっくり。カーボンフレームのバイクよりも、これ位までの斜度であれば、むしろクロモリのR-2 の方が上り易いかも
  • 不思議に思ったので幾つも上り坂を登ってあれこれ確認したところ、BB回りの剛性が自分にぴったり合っていることが判明。極端にペダルを下死点まで踏み抜いても、足に返ってくる反動が柔らかく、足に優しいので上りを重ねても比較的楽に走ることができました

乗り比べてみると、現在乗っているカーボンフレームのピナレロGAN S はBB回りの剛性がしっかりしている為、トルクをかけてペダルを回すと反動で足にダメージが蓄積されていくのですが、R-2 は BB回りの剛性がピナレロよりも低い為に、足に返ってくる反動が少ないんですね。

かと言って私レベルの脚力だと、ペダルを回した際の余計な力が全て逃げていってしまっているという感覚もなく、クロモリ独特のしなりが適度に推進力に変えてくれているようで、平坦も上り坂もスピードが落ちている印象もありませんでした。

クロモリフレームは独特の乗り味、しなりがある、という話をよく聞くのですが、このBB回りの適度な剛性と相まって気持ち良い走りを実感することができました。




3. ケルビム Sticky

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続いて乗ったのがラグレスの Sticky。



スティールならではの“バネ感”と“振動吸収性”を追求した「Sticky」。
ダウンチューブに1inchオリジナルパイプを採用。フレームはバネと化し、ヒルクライムではリズミカルな走りを実現。高い振動吸収性によりロングライドでは疲労を最小限に抑えます。スティールフレームと共に歩むケルビムが導き出した答えがここにあります。


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個人的にはこちらのモダンなロゴの方が好みですね。


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こちらはカーボンフォークが標準となっているそうです。


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Sticky はコロンバスのパイプを使っているようです。
私にはパイプの違いまでは体感できませんでしたが・・・。


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チェーンステーの曲がり具合は R-2 よりは緩やかでした。

R-2 と全く同じルートを走った感想がこちら。

  • ホイールはシマノのRS80。今では見かけないカーボンラミネートのリムとなっていて、前後合わせて1500g程度のホイールとなっています。タイヤは IRC のロードライト
  • カーボンフォークと比較的軽量なホイールのお陰かと思いますが、漕ぎ出しは明らかに R-2 よりも軽快。それこそギア1枚は違うのでは?と思う位明確な違いがありました
  • カーボンフォークの効果で、ハンドルに伝わってくる路面からの振動は全体的に小さくなっており、快適。上体に伝わる衝撃としてはそこまで大きな違いはないのですが、振動の振幅がカーボンフォークの方が小さく、クロモリフォークが「みょんみょん」と伝わってくるのに対して、カーボンフォークは「コトコト」と伝わってくる感じ。現在乗っているバイクがカーボンフォークで慣れていることもあり、Sticky の方が好み
  • BB回りの剛性に関しては R-2 同様の印象で、足に優しく私にとっては必要にして十分
  • フレームサイズが、R-2 は私の身長に合っていたのに対して、Sticky は一回り小さなフレームだったことから、フレーム全体の剛性感は Sticy の方が上。「これクロモリだよね?」という位、踏み込んだ時の反応性が高く、走りはとても軽快。但し、クロモリならではの「しなり」は少なくなってしまう為、これはこれで楽しいのですが自分の身長にあった適切なフレームサイズって重要なんだな、というのも改めて実感。おそらく体格に合わせてもうワンサイズフレームサイズを上げると、より R-2 のクロモリらしいしなり感のある乗り味に近づくんだろうな、と思います

今回の試乗では、フォークがクロモリとカーボンでどう違うのか、フレームサイズの違いからくる剛性感の違いなど、色々と体験することができ、自分の中でクロモリバイクのイメージを大分具体化することができました。

今回の乗り味からすると、R-2 よりは Sticky の方が好みのタイプでしたが、最終的にはオーダー時にどちらを選んでも限りなく好みの乗り味に寄せていくことは可能だそうで、自分に合うフレームって、果たしてどんな乗り味になるんだろう?ととても興味津々でした。


ここ最近の試乗を経た結果、現時点での結論としては次のバイクはクロモリかな、と思っています。
そうなるとコンポをどうするか、ホイールどうするかなど色々と悩むことも出てきますので、もうしばらくあれやこれやと考えて、春前にはオーダーしてしまいたいところですね。


 




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