シュワルベのチューブレスタイヤをまとめてみた(2020年版)
これまでIRC、ハッチンソンと調べてきましたが、今回はシュワルベ編となります。
今回は自分が今後購入する為の予習として、チューブレスタイヤを調べてみようと思い立ったわけですが、ことここに至ってようやく気づきました。
サイクルスポーツの3月号で「最新ロードタイヤインプレッションやっとるやん」と。
思いっきり被ったー!!と焦ったわけですが、いざ購入して読んでみると、今まで調べたIRCとハッチンソン のタイヤは一本も取り上げられておらず・汗
それはそれで何か悲しいですが。
結果オーライ(?)ということで、気を取り直して行ってみましょう。
今回はシュワルベ編となります。
ちなみに。
先のサイクルスポーツの特集では、シュワルベのプロワンがエントリーされており、なかなかに高評価なようです。
しかも。
今回新しくなったシュワルベプロワンは、私がとっても重要視する「タイヤのはめやすさ」に関しては最も高い評価(素手でもはやめすい)となっていました。
これは最有力候補じゃね?ということで、ノリノリで調べていきたいと思います。
SCHWALBE
シュワルベはドイツのタイヤメーカーとなります。
ですのでドイツ語読みだと「シュヴァルべ」と読むのが正解ですね。
前回のハッチンソンが仏語読みだと「ユッチンソン」になるみたいなもので。
これがハッチンソン だと「ユッチンソン」で検索してもゴロゴロ引っかかってくるのに、シュヴァルべで検索すると全くヒットしないのが解せません。
知ったかぶりするなら、どこまでも徹底して欲しいものです。
ま、日本語読みで統一するのが一番ですよね。
ちなみにシュワルベの意味は「ツバメ」です。
ツバメ、早いですもんね。
プロワンも英語で言うと「sparrow pro one」になるわけですね。
なんかイマイチ。
与太話はこれくらいにして、早速調べて行きたいと思います。
ちなみにシュワルベではチューブレスレディータイヤのことをチューブレスイージータイヤと呼称しています。
チューブレスレディーの位置付けになりますので、公式のQAでもシーラント剤の使用を推奨しています。
1. シュワルベの製品ラインナップ
まずはチューブタイプ、チューブレスタイプ全て合わせて、ロードバイク向けのラインナップは以下のような3種類に分類されています。
(1) エヴォリューションライン(レーシング)
新たに開発されたカーカス構造「スープレス」と新コンパウンド「ADDIX RACE」を採用し、軽量化と転がり抵抗の低減を実現。レースシーンに適したモデルとなっています。
- プロワン チューブレスイージー / チューブタイプ
- プロワン TT チューブレスイージー
プロワンはチューブタイプとチューブレスタイプが用意されていますが、プロワンTTに関してはチューブレスのみラインナップされています。
(2) パフォーマンスライン(オールラウンド)
新コンパウンド「ADDIX」を搭載。耐パンク性・耐摩耗性・グリップ性に優れ、レースやトレーニング、ロングライドなどにも適したオールラウンドに適したモデル。
ワンのみチューブレスが用意されていますが、それ以外は全てチューブタイプ。
- ワン チューブレスイージー / チューブタイプ
- デュラノDD
- デュラノプラス
(3) アクティブライン(スポーツ)
改良されたシリカ配合の新コンパウンドを使用した、トレーニングや街乗りに最適のエントリー用にオススメのバランスの取れたモデル。
こちらは全てチューブタイプとなっています。
- ルガノ2
- ルガノ2 エンデュランス
2. シュワルベのパンク対策技術
シュワルベはパンク耐性を7段階でランク付けしています。
トレッドやサイドウォールの内側に強靭なラバーや繊維(ファブリック)を配し、鋭利な突起物などによる穿刺やカットによるパンクを抑 制します。また、タイヤの用途別に最適な素材を選択することにより、耐パンク性能のレベルを作り出しています。
オールラウンドモデルについては大外のラバー自体をパンクしにくいものにする一方で、よりレース志向の高いタイヤについては柔軟性やグリップ性能を犠牲にしない為にもファブリックレイヤーでパンク耐性を高めるという思想のようです。
(1) Smart Guard
自転車用タイヤの中で、もっとも効果的なプロテクションベルト。高品質なゴムを使用した5mm厚の柔軟なレイヤーは、路面の突起物からも強靭にタイヤを守ります。
ラバーレイヤーで最も高いパンク耐性を誇る技術となっています。
(2) V-Guard
カットに強い高度な技術を使用した繊維は、軽量タイヤにおいても並外れた耐パンク性を発揮します。
こちらはファブリックレイヤーでの耐パンク技術ですね。
ランクとしては7段階中の「5」。
(3) RaceGuard
ナイロン素材のダブルレイヤー構造。軽量のロードタイヤに使用されます。
V-Guard同様ファブリックレイヤーでの対パンク技術となります。
ランクとしては7段階中の「4」。
(4) K-Guard
特殊ゴムと50EPIのケブラー繊維で作られたプロテクションベルトは、全てのアクティブラインタイヤをしっかりと守ります。
こちらはSmartGuard同様ラバーレイヤーでの対パンク技術。
ランクとしては7段階中の「3」。
以下が各タイヤが採用するパンク体制技術。
IRCやハッチンソンは、オールラウンドタイヤ、レース特化型の軽量タイヤ、パンク耐性の高いタイヤという区分けでしたが、シュワルベに関してはプロワンTT TLEが「レース特化型」として軽量命、パンク耐性を犠牲にしているようですが、それ以外はむしろレーシングラインの方がオールラウンドモデルよりもパンク耐性が高いようです。
面白い分類分けですね。
V-Guard | RaceGuard | K-Guard | SmartGuard | |
プロワン TLE | ◯ | – | – | – |
プロワン TT TLE | – | – | – | – |
プロワン | ◯ | – | – | – |
ワン TLE | – | ◯ | – | – |
ワン | – | ◯ | – | – |
デュラノDD | – | ◯ | – | – |
デュラノプラス | – | – | – | ◯ |
ルガノ2 | – | – | ◯ | – |
ルガノ2エンデュランス | – | – | – | – |
3. シュワルベチューブレスタイヤの特徴とレビュー
(1) SCHWALBE PRO ONE TUBELESS EASY
こちらが今回刷新されたレースモデルになります。
新たに開発されたカーカス構造「スープレス」と新コンパウンド「ADDIX RACE」コンパウンドを採用したチューブレスイージーのハイエンドモデル。
シュワルベのハイエンドモデルがロゴも新たに劇的に進化。新たに開発されたカーカス構造「スープレス」と新コンパウンドの「ADDIX RACE」により軽量化と転がり抵抗の低減を実現。さらなる耐パンク性を向上させるべくVガードを採用し、より高レベルなコントロール性能と安全性を提供します。
上記が日本サイトの謳い文句なのですが、米国(.com)サイトの売り文句はもっと強気です。
上記のような説明に加えて、以下のような説明があります。
- 新しく開発されたプロワンは、チューブレスロードバイクタイヤのベンチマークとなる存在
- プロワンほどのコントロールと安全性をライダーに提供するタイヤは他にはない
- ライディング特性は、従来のチューブラータイヤの滑らかな挙動に類似
相当自信があるんでしょうね。
ちなみにサイクルスポーツのロードタイヤインプレッションでもかなり高評価でした。
国内サイトだとトップページで「新しくなったぜ!」アピールはしているのですが、それ以上の細かな技術紹介などはないんですよね。
米国サイトに行ってみると、以下のような具体的な情報がゲットできます。
もうちょっと日本国内サイトにも力を入れて頂きたいところですが。。。
- Addix Race Multi Compound only 245 g (25 mm version)
- 13% lower rolling resistance
- 22% more cornering grip
- increased puncture protection
- higher mileage
- optimized aerodynamics
- width adjusted to modern 19C-rims
「転がり抵抗を13%低減」「コーナーリング時のグリップ性能を22%向上」「パンク耐性の向上」「走行距離の一層の向上」「エアロダイナミクスの改善」「リム幅19Cに最適化」といったところが新モデルの特徴となっているようです。
こちらが旧モデルのプロワンと比較したチャート図です。
前とあまり変わってないね、というのはグリップ性能くらいなもので、耐久性、パンク耐性、エアロ性能を向上せさつつ、転がり抵抗、重量を低減させています。
もう、自信まんまんですね。
MANUFACTURING
To ensure consistent high quality in our tires, we have put a strong emphasis on optimizing our manufacturing process. We have made large investments into innovative machinery and the training of our employees.
The greatest precision and tightest production tolerances are essential when making a product of the highest standard. For Tubeless tires especially this is the only way to ensure simple mounting , as well as a long life.
製造工程にまで触れています。
「革新的な製造機械にもお金つぎ込んだし、製造ラインの社員もきっちり研修やって鍛えたよ」と謳っていますが、新製品のアナウンスでここまで宣伝するのも珍しいのではないでしょうか。
【レビューコメントの傾向】
- タイヤのはめやすさ・・・タイヤレバーではめられる
- ビードの上がりやすさ・・・コンプレッサーもしくはタイヤブースターで上がる
正直、まだ新製品ということもありレビューが少なくて何とも、ですね。
サイクルスポーツのレビューでは「ビードは素手でもはめられて、ビードも上がりやすい」となっていました。
Amazonを見ると、まだ旧製品しか並んでいないようですね。
Wiggleとかの海外通販サイトを見ても、軒並み旧製品で、半額近くの叩き売り状態になっています。
その分お値段はかなりリーズナブルになっていますが。
レビューコメントを見ると「タイヤがはめ辛い」「ビードが上がらない」といったコメントもまだあるようで、新製品のプロワンでどこまで改善されているのかが興味深いです。
(2) SCHWALBE PRO ONE TT TUBELESS EASY
タイムトライアル、トライアスロン等の「妥協しない」シリアスレース向けのタイヤとなります。
競技に妥協しないタイムトライアルとトライアスロンに最適な超軽量チューブレスイージータイヤ。
トライアスロンやタイムトライアルの世界にもチューブレスの波が到来。新カーカス構造「スープレス」と新コンパウンド「ADDIX RACE」TT専用コンパウンドを採用し、重量はわずか205g(25C)。転がり抵抗は最も少なく、相反するグリップ力も高めたハイパフォーマンスタイヤ。アイアンマン ハワイ2018では、このタイヤを履いた選手が優勝を勝ち取り、名実ともに頂点を極めることに成功しました。チューブレスタイムトライアルタイヤ、サーキットコースタイヤのベンチマークとしてアスリートの方に決戦用として自信を持ってオススメできるモデルです。
【レビューコメントの傾向】
えー、インプレ、レビュー記事はまったく見つかりませんでした・・・汗
TT TLE に関してはAmazonでも並び出しているようですね。
(3) SCHWALBE ONE TUBELESS EASY
オールラウンドモデルになります。
トップモデルのSCHWALBE PRO ONEをもとに作られた高い走行性能と安全性を備えたオールラウンドモデルロードタイヤ。
新コンパウンド「ADDIX」を搭載。耐摩耗性が高く、真冬のウェットな路面においても滑りにくいなど安全性の高さを誇ります。また、耐パンクベルトにはレースガードを搭載し、耐パンク性と耐久性を備えたオールラウンドモデルとして、季節を問わず安心してご使用いただけます。
【レビューコメントの傾向】
こちらも見つけられず。
Amazon見ても、こちらも旧製品のようです。
4. シュワルベチューブレスタイヤ仕様一覧
表には記載しませんでしたが、耐荷重が「70kg」となっています。
70kgって、なかなか微妙なラインのような気がしますがどうなんでしょうか。
IRCやハッチンソン のタイヤに関しては、耐荷重に関する記載はありませんでしたので少し気になりました。
製品名 | サイズ | TPI | 空気圧(BAR) | 重量 | 定価(税抜) | 実売(Amazon) |
PRO ONE TUBELESS EASY | 25C | 127 | 5.0-7.5 | 245g | ¥11,000 | – |
28C | 127 | 4.0-6.5 | 270g | ¥11,000 | – | |
PRO ONE TT TUBELESS EASY | 25C | 127 | 5.0-7.5 | 205g | ¥11,000 | ¥8,300 |
28C | 127 | 4.0-6.5 | 215g | ¥11,000 | ¥8,300 | |
ONE TUBELESS EASY | 25C | 67 | 5.0-7.5 | 275g | ¥7,800 | – |
28C | 67 | 4.0-6.5 | 295g | ¥7,800 | – |
5. シュワルベによる各ホイールとの互換性
シュワルベで今回素晴らしいと感じたのが、チューブレスタイヤの各ホイールメーカーとの適合性に関する情報を公開している点です。
シュワルベプロワンチューブレスイージーの商品ページを開くと、その下部にずらっと有名所のホイールが一覧で整理されています。
全てを貼り付けるのは面倒ですので、私が愛用しているマビックホイールだけピックアップしてみます。
サイクルスポーツ誌で「素手でもはめられる」「ビードも上がりやすい」と高評価だったシュワルベプロワンですが、この互換性を見ると「タイヤレバーではめられる」「コンプレッサーもしくはタイヤブースターで上がる」となっていますね。
ちなみにサイクルスポーツ誌で使用されていたホイールはマビックキシリウムプロUSTです。
雑誌の方が少しおおげさに表現しているのでしょうか。判断に悩みますね。
むしろフルクラム、シマノ、DT Swissなどのホイールの方が「手で簡単にはめられる」という公式見解でした。
6. シュワルベチューブレスタイヤの総括
とにかく軽量にしたい!!というのであればプロワンTTは魅力的です。
ハッチンソン のGALACTIKでも240g、IRCのFORMULA PRO TUBELESS LIGHTでも280gでしたから、25Cで205gというのは驚異的な軽さです。シーラントを入れてもなお軽いという。
ただ、その分パンク耐性は犠牲にしているようですので、無難に考えるとプロワンでしょうね。
それでも、FORMULA PRO TUBELESS RBCCの290g(25C)よりも軽量で、FUSION 5 PERFORMANCE 11STORM TLRの245gと同レベルですので、この辺りが狙い目なんでしょうね。
ワンもお値段は魅力的ですが、重量が重くなり、その分パンク耐性が上がるかというとそういったこともなく、明らかにプロワンの廉価版なイメージなんですよね。
プロワンはまだまだネット環境だと購入できる先が見当たらないのですが、かなり気になるタイヤですね。
コメント
新聞で商品表記としてヴァは使えない文字ですから、ブランド名や製品名にヴァは入りません。
ハッチンソンは過去にユッチンソンと表記されていた時期がありました。今は業界のカタカナ表記ミーティングでハッチンソンが推奨されています。
ほほー・・・。
たかにぃさんの知識の幅、すごいですね・・・。新聞で「ヴァ」が使えないというのは始めて知りました。
「ヴ」を日本で広めた人は福沢諭吉なんですね。知りませんでした。
シュヴァルべと言う単語を覚えたのは、第二次大戦末期にドイツが開発した世界最初の実用ジェット戦闘機、メッサーシュミットMe262でした。これのニックネームがシュヴァルべです。
アニメ好きの人なら機動戦士ガンダムシリーズの鉄血のオルフェンズに登場するシュヴァルべ・グレイズを連想するかも知れません。
活字媒体は文字数に制限があるので2文字使うヴァより1文字で済むバを使います。あと子供が読めない事がないようにという配慮もあります。テレビのテロップなども同じような理由でヴァを使わない事が多いですが、固有名詞は例外ですね。
日本人はBとVの発音は明確に区別しないのでどちらでも意味が通じるならより簡単で視認性も良いバを使う方が理に叶っているという事なのでしょう。
どのみち原語をカタカナで正確に表記するのは難しいので、その辺りは鷹揚な対応で良いとは思います。
自転車業界は代理店によって違いますね。HUTCHINSONは国内代理店のポディウムが公式にハッチンソンと表記してますし、MAVICは公式にマヴィック表記です。
>>shigeさん
これまた豆知識ですね。勉強になります。
正確な日本語表記は難しい。これに尽きるのでしょうね。
私も考えてみれば、マビックとマヴィック、混在して使っていたような(^_^;)