アピデュラはくっきりはっきり名言しています。
「エアロシステムなしで走るよりも、速く走れるようになるバッグです」
グラベルバイクをより速くするバッグシステム(アピデュラ・エアロシステム)

アピデュラ・エアロシステム
アピデュラから新しく発売されたエアロシステムは、トップチューブバッグとフレームバッグから構成されており、セットで使うことを前提に構成されています。
従来エアロに配慮したバッグシリーズは、「レーシング」シリーズとして各種バッグが展開されていました。
私は、レーシングサドルパックと、トップチューブバッグを愛用しています。


今回新たにグラベルレース向けに開発されたエアロシステムは、トップチューブバッグとフレームバッグで構成されていますので、従来のレーシングシリーズで組み合わせるとするなら、以下の二つのバッグを組み合わせる形になります。

こちらの2.4Lのフレームパックと、

こちらの0.5Lのトップチューブバッグですかね。
エアロシステムと各種スペックを比較してみます。
| トップチューブパック(0.5L) | 75g | 0.5L | ¥9,000 |
| フレームパック(2.4L) | 145g | 2.4L | ¥18,500 |
| エアロシステム(S/M) | 305g | 2.2L | ¥36,300 |
| エアロシステム(L/XL) | 335g | 3.2L | ¥36,300 |
重量もお値段も、レーシングシリーズで組み合わせた方がお得な感じにはなりますので、特に「エアロ」にこだわりがなければ、従来のレーシングシリーズでも良いのかもしれません。
レーシングシリーズも十分エアロを意識した設計になっていますからね。
発想の転換
アピデュラのエアロシステムは、遡ること2022年から開発が行われていました。公式の謳い文句をピックアップすると、その思想がうっすら見えてきます。
- 2022年のアンバウンドの単発プロジェクトとしてスタートしたエアロ・システムは、ワットを節約するための苦心の旅へと発展した
- エアロ・システムは、より多くの荷物を積むために作られたのではなく、何を積むかにかかわらず、エアロ・システムなしで走るよりもバイクを速くするために設計されている
- 広範なCFD解析と風洞試験を経て開発されたエアロ・システムは、バイク周辺の空気の流れをスムーズにし、空気抵抗を減らして同じ労力でより速く走ることを可能にする
- レーススピードで平均5ワットの節約*を実現するエアロシステムは、風洞実験とレースで実証された最高レベルのもので、私たちがテストしたすべてのバイクで効果を発揮した
*平均5ワットの節約は、6つのヨー角、36k/mhと44k/mhで4種類のバイクをテストした結果
興味深いのは、「バッグを装着しないよりも装着した方が速くなる」という設計思想です。同社のホワイトペーパーでもその点ははっきり書かれています。
パックの役割を見直したらどうだろう?
グラベルやロードのセットアップの利点はそのままに、バイクの形状を 「埋める 」ために使えたらどうだろう。
タイムトライアルマシンであるかのように風をだますのだ。
エアロ万歳なトラック用バイクは、確かにフレーム内部の「余計な」スペースを埋める形状にっているわけですが、同様の発想で設計しているわけですね。
その為、似たようなサイズ感のレーシングシリーズを組み合わせた時よりも、むしろ積載量は少なくなっていたりするわけですが、これは「積載量を増やすこと」が第一義目的になっていないことを明らかにしています。
ちなみに、2022年当時の試作品については以下の海外記事に写真が載っていますが、正直「いやー・・・」という見た目になっています。
これが、製品化により汎用性を持たせるとともに、見た目もこなれた感じになっていますので、開発スタッフの苦労が偲ばれますね。

風洞実験の結果
詳細は同社のホワイトペーパーを確認頂ければと思いますが、例えばオールロードで比較検証したデータがこちら。

上段が時速44km、下段が時速36kmにおける空気抵抗を比較しているのですが、グラフ上部がエアロシステム未装着、グラフ下部がエアロシステム装着時の抵抗となっています。
明らかにエアロシステムを装着した方が空気抵抗は小さくなっていますね。
ちょっと面白いのが、この時速を選んだ理由。
エアロシステムの製品版を使用した最終テストでは、現実的なレース速度(時速36km
、時速44km)で平均5ワットの節約が確認された。参考までに、時速36kmは
Unbound 2024での優勝平均速度であり、時速44kmは集団から抜け出すために必要な平均以上の努力に相当する。より高速になれば、システムの恩恵は増大するが、エアロ・システムの最も現実的なイメージを与えるため、そしてレーサーにとって目に見える恩恵を与えるため、実世界の速度に焦点を当てた。
グラベルレースを意識した結果、この時速を選んだようなのですが、この辺りは絶妙ですよね。素晴らしいテストデータだと思います。
フレームの装着イメージ
アピデュラの素晴らしいところは、フレームパックの装着イメージをオンラインで確認できる点です。
円安のこのご時世にあっても、アピデュラ製品は国内で購入するよりも海外公式サイトから個人輸入した方がお安くあがるケースが多いので、オンラインで装着イメージを確認できるのはとても有難いです。
その辺りは過去に記事にまとめていますので、こちらをご参照ください。

で、早速今回のエアロシステムについてもイメージングツールを使って装着テストをしてみました。

ツールで早速エアロシステムを選択します。

はい、こんな感じになりました。
ちなみに、サドルパックは実際に装着されている私物となります。
私のフレームがクロモリで細身なもので、トップチューブバッグがちょっと浮いてしまっているのはご愛嬌ですかね・・・。
参考までに、2.4Lのフレームパックの装着イメージがこちら。

サイズ感は似たような印象ですね。
エアロシステム装着イメージについては、公式サイトを見るととてもよくわかるのですが、フレームパックについては、パック側面がフレームを挟み込むようにして、余計な隙間を作らないようになっています。

こんな感じでパック側面から張り出したガワをフレームに差し込む感じ。

ということは、私のクロモリフレームのようにチューブが細身だと逆にパック本体が浮いてしまう可能性もあるかもしれませんね。
グラベルバイクをイメージして作られたバッグになりますので、今時のカーボン製、エアロを意識した一定の厚みのあるフレームにマッチした製品となりそうです。
ただ、この製品思想は、今後のレーシングシリーズに展開されるのだとすると、今後のアピデュラ製品がどのように発展していくのか、ちょっと興味深いですね。
想定されている速度域が私のようなゆったり週末ローディーの走行速度とはかけ離れているのは事実ですが、「装着していない時よりも装着した方が速い」という思想は、とても面白いですね。


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