ちょっとロードバイクとは離れるのですが、AIにコーチングをお願いしたらどうなったのか、という記事だったので、ちょっと紹介したいと思います。
StravaやGarminに頼るのではなく、ChatGPTに頼ってみるとどうなるのか?という話ですね。

ChatGPTは優秀なコーチになれるのか?

被験者のプロファイル
ちょっと大袈裟ですが、実際に試した方のプロファイルがこちら。
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今回ChatGPTにコーチングをお願いしてみたのは、2時間43分の自己ベストを持つ経験豊富なマラソンランナー
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実際に「人間による」コーチングも経験したことがある
元記事のBikeradarは自転車系のWebメディアなのですが、今回はランニングで試してみた記事となっています。
自己ベストが2時間43分というのはすごいですね・・・。フルマラソンを3時間以内で走るランナーをサブ3と呼ぶのですが、約3%しかいないそうです。
実際のプロンプトとメニュー内容
ChatGPTに実際にお願いしたプロンプトは「16週間でサブ4を目指すマラソン計画(週3〜4回走る前提)」。
ご本人はサブ3レベルなわけですが、実際のメニューはサブ4で試してみたとのこと。
ちなみにサブ4はフルマラソンを4時間以内で走ることで、ランナー全体の上位約20%程度だそうです。
1kmあたり5分40秒で走る必要があるのですが、私なんかそのペースだと10kmと走れないですね・・・。
で、実際に提示されたプランは、期間全体の目標、週ごとの構成、具体的なメニュー説明、ウォームアップ・クールダウン・補給などの一般的アドバイスまで一式そろったものだったそうです。
ただ、経験者の目線から見ると提示されたプランには穴があったそうで。
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内容を細かく見ると、ハードトレーニングのバリエーションが乏しく、テンポ走と5kmペースのインターバルだけが16週間続き、無酸素運動(スプリントや高強度インターバル)、筋力トレーニング、ヒル練習などが欠けていて「単調で退屈」なものだった
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このプランを実践できれば「目標達成はできそうで、大きく間違ってはいない」としつつも、ブロックごとにトレーニング内容を変えたり、徐々にスピード練習の種類を増やしたりする“細やかな設計”がなかった
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また、ChatGPTのプランは「イージーラン」の強度が曖昧で、暑さや疲労度などのコンディションを考慮せず、ユーザーがペース指定どおりに頑張りすぎてオーバートレーニングや怪我に至るリスクがある内容となっていた
- 試しに、「ふくらはぎを痛めた」という仮想の状況をプロンプトとして追加・相談してみると、負荷を落としてクロストレーニングに切り替える・痛みを我慢して走らない・靴の状態を確認する・必要なら理学療法士を受診する、といった常識的で無難なアドバイスは返ってきた
- しかし人間のコーチのように、フォーム・生活リズム・負荷の積み重ねなどから「そもそもなぜ痛めたのか」を見立てて、再発しないようプラン全体を調整する、といった根本的な分析はできない点が限界
まー、そりゃそうですよね・・・。
AIが回答できる内容は、Web上に転がっている情報の総和に基づいたものでしかなく、ケースバイケースのきめ細かなアドバイスを得ようとするなら、それに応じたきめ細かなプロンプトを作らないといけないわけですが、そこはAIを使い慣れていたり、回答の傾向を理解した人でないとなかなか適切な回答には辿り着きづらいものなわけで。
私自身よく感じることではありますが、長かったり、詳細な回答を求めようとすると回答の後半になるにつれAIの回答も「投げやり」で「いい加減」になることって多いですからね。
AIも変なところで人間臭かったりします。
無料で使えるChatGPTに多くを求めてはいけないとは思いますが、ただただ単調なトレーニングプランというのも辛いわけで。
さすがに人間のプロトレーナーの域には到達していない、といったところでしょうか。
ロードバイクでコーチングを試してみると?
では、試しにロードバイクのトレーニングについて聞いてみるとどうなるかを試してみました。
初心に立ち返って、50歳中年が今からロードバイクを始めて、4ヶ月後に100km走るぞ!という場合のメニューを聞いてみました。
50歳で運動習慣が少ない状態から、4ヶ月(16週間)で100kmライドを達成するのは現実的です。週3-4回のローラー台トレーニングで、徐々に強度と時間を増やし、持久力と基礎体力を築きます。心拍数やパワーメーターがあれば活用し、無理なく進めてください。
全体の16週間プラン
トレーニングは4フェーズに分け、ベース作りからレースシミュレーションへ移行します。各週の総時間は徐々に増加し、回復週を4週ごとに挿入。
ですよね。4ヶ月あれば無理なく100km走れるようになるとは思いますよ。
具体的なプランがこちら。
| フェーズ | 週 | 焦点 | 1回平均時間 | 週総時間 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ベース (1-4週) | 1-3 | 習慣化・持久力基盤 | 30-45分 | 90-180分 | 低強度中心、ケイデンス90rpm目標 |
| 4 | 回復 | 30分 | 90分 | 軽めで調整 | |
| ビルド (5-8週) | 5-7 | インターバル導入 | 45-60分 | 135-240分 | 閾値強度追加 |
| 8 | 回復 | 45分 | 135分 | 回復優先 | |
| インテンス (9-12週) | 9-11 | 高強度・長時間 | 60-90分 | 180-360分 | 100kmペース練習 |
| 12 | 回復 | 60分 | 180分 | 疲労抜き | |
| ピーク (13-16週) | 13-15 | ロングシミュレーション | 90-120分 | 270-480分 | 実走移行推奨 |
| 16 | テーパー | 45-60分 | 135-240分 | 目標前調整 fotopota.sakuraweb |
■ 典型的な1週間スケジュール(ビルド期例: 7週目)
週3-4回(例: 月・水・金・土)を目安に、平日夜30-60分で実施。強度はLactate Threshold (LT)心拍の70-90%(目安: 最大心拍の75-90%)で調整。ウォームアップ/クールダウンは毎回必須。
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月: 持久力(45分)
10分WU (軽負荷, 80-90rpm), 20分メイン (中負荷, 85-95rpm, LT心拍80%), 10分CD (軽負荷), 5分ストレッチ。
目的: 有酸素基盤強化。 -
水: インターバル(60分)
10分WU, 4x (4分高負荷90rpm LT90% + 4分軽回復), 10分CD。
総メイン24分。目的: 閾値向上 。 -
金: 高回転(45分)
10分WU, 20分 (軽負荷130-140rpm), 10分CD, 5分ストレッチ。
目的: ペダリング効率化。 -
土: ロング(75分、任意4回目)
10分WU, 45分持続 (中負荷85rpm LT75-85%), 15分CD。
目的: 100km耐性構築。
以上。
なるほど。
やってみるとよく分かりますね。
これ、そもそものロードバイクにおける標準的な知識がないと、内容を読み解くことすら厳しいですね。LTとかrpmとか何?という話なわけで。
ま、そのあたりもAIに質問すればどしどし教えてくれるわけですが、「聞かないと分からない」わけで、ゼロから懇切丁寧に、というわけにはいかないわけです。
また、今回のプランニングは心拍数とケイデンスに軸を置いた目標設定をしてくれているわけですが、具体的なプランが提示されたのは7週目だけ。
じゃあ早速1週目はどうすれば良いの?という話ですが、聞けば教えてくれます。
■ 月曜日: 持久力ベース(30分)
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5分ウォームアップ: 心拍85-100bpm(ゾーン1)、ケイデンス80rpm、軽負荷で体を慣らす。
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20分メイン: 心拍100-115bpm(ゾーン2)、ケイデンス85-90rpm、中負荷で安定維持。
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5分クールダウン: 心拍85bpm以下、ケイデンス80rpm、軽負荷で心拍を下げる。
■ 水曜日: 高回転練習(30分)
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5分ウォームアップ: 心拍85-100bpm、ケイデンス80rpm。
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20分メイン: 心拍95-110bpm(ゾーン2低め)、ケイデンス90-100rpm、軽負荷で回転重視。
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5分クールダウン: 心拍85bpm以下、ケイデンス80rpm。
■ 金曜日: ミックス持久力(30分)
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5分ウォームアップ: 心拍85-100bpm、ケイデンス80rpm。
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20分メイン: 心拍105-120bpm(ゾーン2高め)、ケイデンス85-90rpm、少し負荷を上げて持続。
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5分クールダウン: 心拍85bpm以下、ケイデンス80rpm。
で、実践してみて苦しかったり、軽過ぎたりしたら、また追加でプロンプトを投げればプランを補正してくれるのでしょうね。
無料のAIはコーチングに使えるのか?
「ChatGPTにマラソンのコーチを任せたらどうなるか?」「50歳中年男性が4ヶ月後に100km走れるようになる為のプランニングはしてくれるのか?」という命題に対しては、「目的を達成できる現実的なプランは提供してくれる」のは事実だと思います。
この先、Web上のデータ集積が更に進み、AIに投げるプロンプトに皆が慣れてくるようになると、遠からず「そこそこの人間のコーチ」レベルのプランは提示してくれる日が来てもおかしくないでしょうね。
ただ、あくまでも「そこそこのコーチ」でしかないので、トレーニングを受ける側の「質問力」が試される時代になりそうです。
そういった意味では、優秀なコーチはいつまでもその座は安泰なんだろうな、と思いますが、コーチングを受ける側のAIリテラシーが高く、かつ習得する対象のランニングやロードバイクに関するトレーニング知識を自ら学ぶ意欲のある人が増えてしまうと、並のコーチはAIに一層されてしまう日が来るのかもしれません。
裏を返すと、AIが発達したり、AIリテラシーが高くなったとしても、「ロードバイクのトレーニングとかよく分からん。丸投げしたいです!」という人がいる限りは、コーチング業は安泰なのかもしれませんね。
Strava も Garmin も、この辺りの機能をどしどし拡張していくでしょうし、はてさて3年後どうなっているのか楽しみになってきました。
































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