フォルクスワーゲン(VW)が、同社のアイコンである「ゴルフ」を引き合いに出した新しいe-bikeを発表しました。しかし、今回の発表はいつもの「自動車メーカーがお遊びで出した自転車」とは少し違った文脈で、世界中から熱い視線(と冷ややかな視線)を浴びています。
今回は、このVWの新型e-bikeのスペックから、自動車ブランドが自転車を作る真の目的、そして今まさに物議を醸している「タイミングの悪さ」について、ちょっとまとめてみたいと思います。
VWの新型e-bikeが物議を読んでいる
「まるで新しいゴルフ」と呼ばれるe-Bikeについて

VWが「これは新しいゴルフだ」と銘打って投入したe-bikeは、都市型モビリティを意識したスタイリッシュなデザインが特徴です。
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洗練されたフレームデザイン: バッテリーを完全にフレーム内に内蔵し、一見すると電動には見えないスマートなシルエット。
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パワフルな最新ユニット: トルクフルな次世代のミッドドライブモーターを搭載し、坂道の多い街乗りのストレスを皆無に。
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スマート機能の充実: スマホ連動のナビゲーションや、専用アプリによる盗難防止のデジタルロック機能を標準装備。
専門メーカーのe-bikeと何が違うのかといえば、それは「フォルクスワーゲンというエコシステムとの融合」です。VWのEV(電気自動車)の充電ネットワークを一部共有できたり、車載キャリアとの完璧なフィット感が計算されていたりと、「VWの車オーナー」にとってこれ以上ない利便性を提供する設計になっています。
時代なので分からないではないのですが、個人的には公式サイトの製品動画が、めっっっっっちゃチープな感じで興醒めだったりします。。。


CGで作成された動画となっており、e-Bike本体だけでなく、ハンドルバー周りの先進性やスマートグラスとの融合などをイメージさせる内容となっているので、コンセプトはとても良く伝わるのですが、やっぱりなんとなくチープに感じてしまうんですよねー。
なぜ自動車ブランドは自転車を売りたがるのか?

これまでもポルシェ、BMW、メルセデス・ベンツ、アウディなど、数々の自動車ブランドがマウンテンバイク(MTB)やロードバイク、そしてe-bikeを発売してきました。彼らの狙いはどこにあるのでしょうか?
おそらく以下のような点なんだろうなー、というのは理解できます。
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ブランドのライフスタイル化: 車に乗っていない時間も、自社ブランドのロゴに触れさせたいというファンビジネス。
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アーバンモビリティ(ラストワンマイル)の覇権争い: 排ガス規制が進む欧州の都市部において、「車を降りてからの移動手段」も自社製品でカバーしたいという戦略。
自転車好きに自動車好きって、そんなに多いのかな?と思わないではないのですが、自動車好きな人が、自分の好きなブランドの自転車を欲しがる、というのはなんとなく理解できるような気がします。
が、自転車好きからすると、「自転車専業ブランドの製品買ってくれよ」と言いたくなってしまうんですけどね。
自動車×自転車の話題といえば、先日も記事にしましたがテスラが「ついにe-bike市場に参入か!?」と大騒ぎになったことがありました。

サイバートラック風のエッジの効いたe-bikeが出るのではと期待の蓋を開けてみたら、結果は「ただのキッズ向けのバランスバイクだった」みたいな話もあり、何となく自転車趣味な人間からすると、「胸がざわつく」ケースが多いような気がしています。
タイミングが最悪?「10万人削減」の裏で囁かれるグリーンウォッシュの影
ここまではよくある「自動車メーカーの新規事業」の話なのですが、今回のVWの発表はタイミングが最悪でした。
現在VWは、歴史的な経営立て直しのために「10万人規模の人員削減」を計画していると報じられています。そんな労働者にとっての死活問題の最中に、キラキラした「エコでクリーンなe-bike」を発表したものですから、当然ながら批判の声が噴出しました。
「これは本業のリストラから大衆の目を逸らすための、新しい形のグリーンウォッシュ(環境配慮をやっているフリ)ではないか」
この取り組みが、未来を見据えた真の「新しいモビリティ事業の展開」なのか、それとも従来の「ファン向けのただのグッズ(小遣い稼ぎ)」なのか、はたまた「大規模リストラを煙に巻くための目眩まし」なのか。市場やメディアでは様々な憶測が飛び交っています。
私自身、公式HP のちょっとチープなCG動画を見てしまうと、「本気で取り組もうとしているのかな」とちょっと懐疑的な気分になってしまいました。
正直に言うと、一人の自転車愛好家として、自動車ブランドがロゴをペタッと貼って出す自転車には「どうせファン向けのグッズでしょ?」「ちょっとした小遣い稼ぎでしょ?」という偏見が拭えません。餅は餅屋、自転車は自転車屋に任せておけ、と思ってしまうのです。今回のVWの件も、リストラのニュースと重なってどうにも冷ややかな目で見てしまいます。
と、ここまで偉そうに批判的なことを書いておきながら、私には忘れられない記憶があります。
1990年代、知人が乗っていたポルシェ製のマウンテンバイク「Bike RS」に試乗させてもらったときのことです。

あの独特なフレームが見せる適度な剛性感、そして驚くほど軽快で吸い付くような走りは、今でも体に焼き付いています。「うわ、これ(値段さえ無視できれば)めちゃくちゃ欲しいな」と本気で物欲を刺激されたものです。
自動車メーカーの本気が詰まった自転車は、乗ると確かに凄い。 ですから今回のVWのe-bikeへの文句も、結局は「高くて買えない貧乏人のひがみ」なのかもしれませんね(笑)。

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