スマホ「単体」でパワー計測が可能になるアプリが登場するそうです。
果たして、スマホですべてを賄えるようになる日は本当に来るのでしょうか。

スマホ単体でパワー計測が可能になる Ride アプリ

オーストラリアの幼馴染コンビ、ディーン・ラスク(Dean Lusk)氏とジョノ・アリソン(Jono Allison)氏によって開発された「Ride」は、専用のハードウェア(パワーメーター)を一切使わずに、スマホ一台でリアルタイムのパワーとケイデンスを計測できるアプリです。
これまで「パワーメーター=高価な機材」というのが常識でしたが、このアプリはスマホに内蔵されたセンサーをフル活用することで、その常識を覆そうとしています。
アプリの仕様詳細
Rideアプリは単なるデータ表示ツールではなく、それ自体が「フル機能のサイクルコンピューター」として動作します。主な仕様と機能は以下の通りです。
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基本計測機能: スピード、標高、エネルギー消費(カロリー)など、サイコンに必要なデータを網羅。
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リアルタイムパワー&ケイデンス: スマホのセンサーから数値を推定し、走行中の画面にリアルタイム表示。
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ポケットパワー(Pocket Power)機能: 最も注目すべき機能。スマホをポケットに入れたまま、推定したパワーとケイデンスのデータをBluetooth(BLE)経由でGarminやWahooなどの外部サイコンにリアルタイムで転送・表示できます。
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外部センサー対応: 将来的に本物のパワーメーター(Favero Assiomaなど)を導入した場合も、そのままアプリに接続して使い続けることが可能です。
私もロードバイクに乗り始めた当初はサイクルコンピューターではなくスマホアプリでライドを記録していたことがありましたが、高価なスマホをそのままハンドルバーにマウントすることって、若干抵抗感あるんですよね。
このアプリのすごい点は、「スマホをポケットに入れたままでも」データを記録して、その内容をGarmin などの専用デバイスに飛ばすことができるという点。
サイクルポーチに入れてバックポケットに入れたままでもパワーメーターなしでパワー計測できるというのは、なかなかにすごいないですかね。
従来も存在した同様のアプリと何が違うのか
「スマホでパワーを推定する」という試み自体は、実は新しいものではありません。しかし、Rideアプリは従来のサービスと明確な違いを持っています。
Stravaなどの「後出し推定」との違い
Stravaもライド後にパワーの推定値を出してくれますが、これはアップロードされたGPSデータや獲得標高、ライダーの体重をもとに後から計算したものです。一方、Rideアプリは走行中にリアルタイムで数値を画面に表示できる点が最大の強みです。
既存のバーチャルパワーアプリとの違い
インドア用の「Virtual Power Meter」や、屋外用の「Cykelstrom」といった先行アプリも存在します。しかし、これらは精度に大きなバラつきがあったり、サイコンとの連携が弱かったりしました。Rideアプリは、単体のサイコンアプリとしての完成度を高めつつ、既存のGarminやWahooのエコシステムにもシームレスに組み込める(データを飛ばせる)点で一線を画しています。
どのようにパワー計測を行なっているのか

ただ、気になるのは精度ですよね。
実際問題、専用のセンサーがないのに、どうやってパワーを弾き出しているのでしょうか?
開発者のディーン氏によると、その仕組みは「秒単位の物理ベースのアプローチ」だといいます。
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使用するデータ: GPSデータ、高度(気圧センサー等)、リアルタイムの気象条件、ライダーの身長・体重、バイクの仕様情報
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秘密のスパイス: これらの要素を秒単位で計算する独自のアルゴリズム
これらを組み合わせることで、ライダーがその瞬間にどれだけの抵抗(重力や空気抵抗など)を克服して進んでいるかを逆算し、パワーやケイデンスを割り出しています。
秘密のスパイス、と言われてしまうとそれ以上は突っ込みようがないのですが。。。
Rideアプリの正確性について
気になるのは「本当に使えるレベルの精度なのか?」という点ですよね。
開発チームが公開した、高性能ペダル型パワーメーター「Favero Assioma」との比較データによると、以下のような結果が出ています。
現時点での制限事項(弱点)
一方で、まだ発展途上の部分もあります。
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集団走行(ドラフティング): 前の人の後ろについて空気抵抗が減っている状態には自動で対応しきれないため、現在は手動の切り替えスイッチでアルゴリズムを補助する必要があります。
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高出力ライダーへの対応: 現在のテストデータはFTP 280W以上のライダーのサンプルが不足しており、パワーのあるサイクリスト向けには今後アルゴリズムの微調整が必要になる可能性があるとのことです。
レースに出るようなシリアスローディーだったり、プロライダーには向いていないアプリかもしれませんが、私のような週末ローディーであれば、上記内容は「制約」ですらないですね。
Ride アプリが目指すポジション(GarminやWahooの競合として)
ディーン氏は、このアプリの目標を「コスパの良い代替品ではなく、市場で最高のサイクルコンピューターになること」だと断言しています。
ハイエンドなサイコン(Garminの最上位機種など)は近年大型化し、価格も10万円を超えるものが珍しくありません。機能面や画面のクオリティにおいて「スマホとサイコンの境界線はなくなっていく」という長期的な視点のもと、「Garmin本体や高価なパワーメーターを買わなくても、スマホ一台で同等以上の体験ができる世界」を目指しています。
まだパワーメーターを持っていない初心者へのエントリーモデルとしてはもちろん、機材へ投資する前にパワーマネジメントを学んでみたい層にとって、完璧な選択肢になりそうです。
費用について
Rideアプリは現在iPhone向けに先行リリースされており(Android版は8月にベータ版・正式版が順次リリース予定)、無料トライアルが用意されています。
長期利用の料金プランは以下の通りです。
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月額プラン: £9.99 (約2,000円)
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年額プラン: £59.99 (約12,000円)
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ライフタイム(買い切り): £199.99 (約40,000円)
買い切りで考えると、なかなかのお値段になってしまいますが、「サイクルコンピューター」と「パワーメーター」双方の大体になるのだとしたら、価格は十分にリーズナブルかもしれません。
逆に、「サイコンは専用品があるので、パワーメーターの置き換えだけできれば良いや」という層には、ちょっと価格面では訴求力が弱そうです。
ルートナビゲーションやワークアウト機能の追加も間近に控えているという「Ride」アプリ。果たしてサイクルコンピューターの置き換えとなるオールインワンのソリューションになることができるのか?
ちょっと興味深いです。

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