ガーミンのマーケティングポリシーが変更されたのでしょうか。

突如 Garmin Edge1050 が発売されました。





機能の内容やら何やら、色々と思うところが。





■ ガーミンよどこへ行く(Garmin Edge1050 が新発売)



1. まず初めに

ロードバイクを始めた当初はキャットアイのサイコンだったり、スマホのサイコンアプリを使ったりしていました。

2018年に Edge1030を購入してからはガーミンにすっかり取り込まれてしまい、2022年に Edge1040に更新して現在に至るまで愛用させて頂いています。





スマートウォッチも epix pro を使っていますので、日常生活からライドに至るまで、私のライフログ、アクティビティログは全てガーミンのプラットフォームに吸い込まれている状況でして、こうなってしまうともう抜けるに抜けられない状況だったりします。

ではその状況に大きな不満があるのか?と問われるとそんなこともなく。


ただ、強いて言えば、epix pro やガーミンのライフログ取得機能については満足していますし、ジョギングでのログ取得だったり、交通機関で使用する Suica 機能含めたガーミンペイがとても便利という観点からも、ガーミンのスマートウォッチには何の不満もありません。

当面他社製品に目移りすることもないかな、と思っています。

ただ、サイコンについては、縁あって他社製品(Wahoo ELEMENT)を使うようになってからというもの、色々と思うようになりました。



2. ガーミンのポリシーが変更?

まず初めに。
今回突然の発売発表だったことに正直驚いています。

ちょっと面倒なので過去全てをさらったわけではないのですが、それまでガーミンの新製品については発表、発売に関するマーケティングのポリシーは一貫していました。

  • 製品発売の1週間前から予約受付を開始
  • 新製品の発表(プレスリリース)については、予約開始日以前(予約開始日当日もしくは1〜3週間前)に実施
  • 約1週間の予約受付期間を経てから新製品を発売

少なくとも、Edge1030 plus、Edge1040、Edge830/530、Edge840/540 については上記の流れに従っていました。

それが今回は、発売前日に急遽発表されることに。

そうなるとどうなるか?



国内各メディアが全く対応できない状況になっています。



サイコン業界において、ガーミン社のハイエンド製品の発表は大きなイベントになるはずなのですが、事前に日本国内メディアへのリークを行うことなく、自社サイトでひっそり発表するだけに。


確かに、ロードバイクブームが去ってからというもの、日本の代表的なロードバイクメディアであるバイシクルクラブやサイクルスポーツは、若干元気がないのも事実ではありますが、過去の製品では確実に事前発表を行なっていました。


それでは海外メディアはどうかというと。


きちんと発売発表を追いかけられているメディアもあれば、まだ触れていないメディアも。


日本のマーケットが軽視されている可能性を危惧していたのですが、どうやら突然の発表はワールドワイドで同じ傾向だった模様ですね。


少し心配していたのですが、「日本マーケット軽視」という懸念は杞憂だった模様。

ただそうなると気になるのが、なぜこうも突然の発表に至ったのか?です。

よくある話としては、「他社から競合製品が出る情報をキャッチした為、いち早くローンチしてしまう」というもの。

業界の雄であるガーミン社が恐るほど競争力のある新製品が他社から登場するのでしょうか・・・?

しばらくマーケットの動向を注視したいところです。




3. Edge1050 のアピールポイント

前置きが長くなりましたが、今回の主要なアピールポイントをさらってみたいと思います。

  • 液晶のカラーディスプレイ化。カラー化に伴い解像度もアップ
  • UIの改善。サマリ情報の表示やナビ表示とライブセグメント、パワーガイドなどを同時表示する際の表示割合調整機能だったり、改善を実施
  • スピーカー機能を強化。電子ベルを搭載
  • ユーザーから報告された路面情報(動物、障害物、路面の穴、滑りやすい箇所等)を表示可能に
  • iOSのマップ上で登録したピン情報をガーミンエッジに送信可能に(一足早くソフトウェアアップデートで既存機種にも更新済み)
  • デバイス単独でも、スマホのアプリと同様の感覚でコース作成が可能に
  • クライムリーダーボード、ライドチャレンジ機能(グループライド実施時にゲーム感覚でタイムレースを行うことが可能に)
  • デバイス単体でガーミンペイに対応

さて、皆さんはどのように感じたでしょうか?

カラーディスプレイは一見すると歓迎される大きなアップデートではありますが、これによりEdge1040 のバッテリー稼働 35時間から20時間へと大幅にバッテリーライフが短縮化されることになりました。

二世代前の Edge1030 plus の頃と同じようなバッテリーライフへと逆戻りすることになりました。


このカラーディスプレイ化を喜ぶローディーって、いったいどれだけいるのでしょうか?
ガーミンは、先日発表された COROS DURA の120時間というロングバッテリーライフについて、どう考えているのでしょうか?







4. Edge1040 との主要スペック比較

細かなソフトウェア面での比較はキリがないので、主にハードウェア関連のスペックについて、Edge1040 との比較を行なってみました。


Edge1050 Edge1040
サイズ 60.2 × 118.5 × 16.3 59.3 × 117.6 × 20.0
重量 161g 126g
ディスプレイ 3.5インチ 3.5インチ
解像度 480 × 800 282 × 470
メモリ 64GB 32GB
稼働時間 20/60時間 35/70時間



サイズは少し大きくなっていますが、厚みは薄くなっている模様。

ディスプレイのカラー化と高精細化によりバッテリー稼働時間が短縮化されています。
それでもガーミンは「バッテリーの節約モードを使えば60時間使うことができます」と謳っているわけですが、それって Edge1050 の最大のアピールポイントを「捨てる」設定なわけで、大きな自己矛盾を抱えているわけで。

デバイス面のアップデートも、素直に喜ぶわけにはいかない悩みがありますね。



5. 懸念事項1〜設計思想〜

ということで、今回の記事全体を覆う「不満」を感じ取って頂けるのではないかと思いますが、ここからはつらつらと「心配だなー」と思うことを論っていきたいと思います。
(ガーミンからすると素人に偉そうに言われたくもないでしょうが・・・)



画面はカラー化するとともに解像度も上がっていますので、「綺麗」なディスプレイになってきたと思いますが、果たしてサイコンにそこまでの「美麗なカラーディスプレイ」は必要なのでしょうか?

どうしてもスマホと比較したくなる気持ちは分かるのですが・・・。

個人的にガーミンが素晴らしいと思っている点として、デバイスをアップデートしても、ユーザビリティーを犠牲にしない、という設計思想がありました。

スマートウォッチ業界では、アップルウォッチは多機能かつ美しいディスプレイでマーケットを魅了したわけですが、どう考えても「1〜2日しか持たず、毎日のように充電する必要のあるスマートウォッチは、ライフログ取得においても、スポーツ使用においても、どちらにおいても不十分。だとしたら、誰をユーザーと仮定しているのか?」と常々疑問を抱いていました。

対してガーミンは、MIP液晶を採用し、見た目の派手さよりも、ユーザー(アウトドアやスポーツ等ロングライフバッテリーを要望する人々)が求めるものを重視した設計を行なっていました。
その思想はOLEDを採用した際にも大きくブレることはなく、epix pro ではOLEDを採用しつつも1週間以上のバッテリーライフを実現し、妥協しない姿勢を明確にしていました。

ただただディスプレイを綺麗にすれば消費者は喜ぶでしょ?と言うAppleを鼻先で笑い飛ばすことのできる製品を送り出してくれていたのです。


それが今回はどうでしょう?


ガーミンの強みを分析すると、おそらく「豊富なトレーニング機能」「利用ユーザー(マーケットシェア)の多さに起因するグループライド機能」といった辺りに収斂しそうな気がします。

前者はシリアスライダーに訴求するポイントであり、後者はファンライダーにも訴求するポイントですよね。

今回もその辺りは手堅くアップデートしてきています。
また、マーケットシェアが高いからこそできる、ユーザーから情報を吸い上げる仕組み(路面の状況)まで追加してきており、自社製品の強みを伸ばす思想は十分感じ取ることができます。

今回のカラーディスプレイ化は、どちらかというとファンライダー向けにアピールする側面が強いように感じています。
トレーニング機能を重視するシリアスライダーが、そこまでカラー化にこだわりますかね?

Edge1030 / 1030 plus 時代には、バッテリーライフを嵩ます為の外付けバッテリーを発売したりして、「ブルぺライダーのことも意識してますよ」とシリアスライダーへのアピールを忘れないようにしていたガーミンなのに、今回の製品がどこを向いて設計された製品なのか、設計思想にブレが感じられるんですよね。

マーケットリーダーであるが故の悩みもあるとは思いますが、製品設計時におけるペルソナ設定(想定される利用ユーザー像)が、ここ数年「甘く」なっている気がしてなりません。

機能のアップデートに目を向けるあまり、その向こうにいるユーザーに目が向いていない、というやつですね。

この辺りは、UXを重視する明確な設計思想が感じ取れるワフーと大きな違いを感じてしまいます。






マーケットリーダーが作る製品は、どうしても保守的かつ装花的にならざるを得ないのは分かりますし、バッテリーライフ20時間あれば、多くのシリアスライダーとファンライダーにとって「ベストバランス」な製品でしょ、ということなんでしょうけどね。


過去からの流れを知っている人間からすると、ちょっと釈然としないんです。




6. 懸念事項2〜重量増とマウント位置の変更〜

今回、重量が約三割増と結構重くなっています。

サードパーティー製のガーミンマウントで初期不良(というよりも仕様不十分)なサイコンマウントを使ったことがある身としては、「これ、マウントの強度大丈夫なんかいな?」と心配になる重量になってきましたね。




で、おそらくその重量バランスを取る為だとは思うのですが、今回デバイス背面のマウント位置が結構変わっています。

比較してみたのがこちら。


edge1050-02



Edge1040 が比較的「中央」に配置されていたのですが、Edge1050 はむしろ「前より」になりました。

これ、結構大きな問題を抱えている気がしています。

現在私が使っているサイコンマウントがこちら。


hndlchg-05



Edge1040 にシリコンカバーをかけているのですが、付け根を見て頂くと分かるように、サイズはギリギリとなっています。
何なら、取り付け時にステムのフェイスプレートにシリコンカバーがギリギリこするくらい。

サイズはどんぴしゃとなっています。

おそらく、今使っているステムマウントのサイコンホルダーは、Edge1050 には使えないでしょうね。





おそらくその辺りを見越してかと思いますが、チェーンキャッチャーでも有名なK-Edge が、Edge1050 対応のマウントについての発表を行なっています。





K-Edge はサードパーティーではあるのですが、ガーミンのオフィシャルパートナーとなっていますので、この辺りの動きが早くできたのでしょうが、既存のガーミンマウントに関しては、今後荒れそうな気がします・・・。





7. 懸念事項3〜マーケティング〜

今回の製品発表が、従来のプレスリリーススタイルと変わった点は先に述べた通りです。
事前のリークを十分に行うことになく、自社サイトで公式発表に踏み切ったわけですが、正直、今のご時世この発表スタイルを取ることにそこまでのメリットはありません。

Apple のように、自社で発表イベントを大々的に行うのであれば当該イベントの注目度を上げる為に事前リークを行わない理由があるわけですが、ガーミンにそこまでの力があるわけでもなく。

可能性としては、事前に予約を受け付ける手間を省く(これはむしろ代理店の手間を省く為だったり、代理店とのやりとり稼働を削減する為だったりするわけですが)という点からは合理性はあるのですが、事前リーク含めて注目度を上げるマーケティング効果を犠牲にしてでも行うべきだったかというと、どうでしょうか。


私が危惧しているのは、上記のような「理由のある行動」なのであれば良いのですが、シンプルに「優秀なマーケティング担当の不在」が理由だったら嫌だな、という点になります。

先の「設計思想、大丈夫かい?」という点も含め、ガーミンの「大企業化に伴う、各種活動の惰性化」があるのだとしたら、これが一番怖いことだと危惧しています。

「とにかく機能を増やせば良いんだよね。」
「分かりやすいアップデート機能を用意すれば良いんだよね。」
「マーケットリーダーなんだし、もう事前リークとかいらんでしょ」


そんなことないと、信じたいですが。




ということで、結論しては「迷うことなく見送り決定」なわけですが、そんなことよりも、ガーミンが「総花的でつまらない製品を作る大企業」になってしまうことを危惧しています。

世界的にブームが去った今こそ、もっと尖った製品を出してくれても面白いと思うんですけどねー。
せっかく Edge Explore というファンライダー向けの製品ラインナップもあるわけですから、うまくペルソナを分けた製品設計をした方が、ガーミンらしくて良いと思います。









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