【製品レビュー】Wahoo ELEMENT ROAM v2 サイクルコンピューター

この記事は約20分で読めます。

6年近くブログを書かせて頂いていると、有り難いことに製品レビューの依頼を頂くことがあります。

そもそも依頼を頂いた製品に対して興味が持てないものであれば、限られた時間を割いてレビュー記事を書こうとは思いません。

ちょっと言い方が偉そうですね・・・汗

ただ、私の製品レビュー記事は、実際に内容を理解し、持ち出して使用し、帰宅してから記事を書いてと一連の作業を進めると、短くても3〜4時間、長いと平気で10時間以上時間が取られるんです。

まったく興味が持てないものに、そこまで時間は割けませんよね・・・。

で、今回の話。

有り難いことに Wahooさんから「Wahoo ELEMENT のレビューを書いてみませんか」と持ちかけて頂きました。

Wahoo はスピードプレイのペダルを使っていることもあり、サイクルトレーナー、スマートウォッチ、サイクルコンピューターと製品が出る度に色々と注目していました。

後段の記事中でも触れますが、実は Wahoo のサイクルコンピューターは以前から気になっていた製品でもあったことから、今回喜んで記事を書かせて頂くことになりました。

とはいえ、思ってもいない褒め言葉を書くこともできませんし、文学的な抽象表現で賛辞を送ることもできない性格ですので、思ったことをそのまま書かせて頂こうと思います。
(投稿前に記事をチェックさせてね!という話もありませんでしたので、無検閲となります。後で怒られたらどうしよう・・・)

■ Wahoo ELEMENT ROAM V2 サイクルコンピューターをレビューしてみた

1. はじめに

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まずは折角の機会ですので、駄文にお付き合い頂ければ幸いです。

私は Apple ユーザーです。
PC もMac ですし、タブレットはiPad。スマホは代々iPhoneを使っています。
イヤホンも当然 AirPods Pro。
ロードバイクには AirTagをつけています。

理由はアップルというブランドに惹かれたからではなく、アップルが UX を重視する会社だから。
スマホもタブレットもPCも、全てを一体として考え、ハードウェアを跨いだユーザ体験を統合的に考えて設計している為、とにかくストレスフリー。
一度この世界に足を踏み入れてしまうと、自社企業の都合で顧客を振り回すマイクロソフトに戻ろうなんて考えは起きません。

そんなアップルも、革新が生まれなくなったと言われて数年が経ちました。
新しいiPhone が発売されても、胸が高鳴ることもなく。
ハードウェアが限界を迎えない限り買い替える必要性を感じなくなって久しく、そんな私のスマホは今だに iPhone11で止まっています。

私はガーミンユーザーです。
サイクルコンピューターはガーミンエッジを使い、スマートウォッチは Vivoactive に始まって今ではForeAthlete745 を使っています。
自転車でもジョギングでもガーミンでログを取り、日常生活においても常時取得されるデータをガーミンコネクトに蓄積しています。

日常からアクティビティまで、生活シーンが変わっても切れ目なくデータを収集、統合管理できるガーミンに魅力を感じており、Apple ユーザであるにも関わらず アップルウォッチには全く魅力を感じていません。

そんなガーミンも、そろそろ進化の限界にぶち当たっており、スマートウォッチであればディスプレイ種類やソーラー充電といったハードウェアの違いで製品ラインナップを広げる一方で、サイクルコンピューターについても細かなソフトウェア機能を拡張し続け、今では機能の全貌を把握することすら難しい状況にまで機能が肥大化しています。

私も仕事柄理解できるのですが、新しい顧客体験、顧客価値を作り出すことはとても難しいことです。
新しい価値を生み出す製品を発売したとしても、世代を重ねる毎に「細かな機能追加」しかできなくなり、最後は作り手の自己満足とも言えるような、利用者が理解するのに時間がかかるような細かなアップデートばかりが続くようになってしまいます。

そうなんです。
今の時代、見渡す限りそんな製品ばかりになってしまいました。
アップルやガーミンに限った話ではないのです。

これは仕方のないことだと思います。

ただ、真の意味で顧客体験を重視するのであれば、機能を肥大化させるのではなく、ユーザビリティを追求して時には機能を統廃合する勇気も必要でしょうし、マーケットセグメントを明確にし、製品に必要な機能を絞り込むことも重要なはず。

お前さんは何が言いたいの?と思いますよね。

一言で言うと、「ガーミンの肥大化した豊富な機能についていけない」と思い始めてしまったのです。
私はおそらく、ガーミンエッジの機能を使いこなせていません。
私はおそらく、ForeAthlete745 の機能を使いこなせていません。

使いこなせていない、というのはちょっと語弊があるかもしれません。
仕様表を眺めては比較記事を書いたりしていますし、机上でレビューをするのではなく色々と使ってみたうえで記事を書くようなこともやっていますので、機能の内容については理解をしているつもりです。

ただ、多くの機能が「使い所がない」と感じています。

そりゃそうですよね。
製品がカバーしている領域は「シリアスアスリート」から「一般的な運動好き」まで幅広いわけで、私のような「運動付き」な人間が使う機会のない機能が沢山眠っていたとしても不思議ではありません。

だとすると、もっとシンプル&コンパクトで、よりユーザビリティの高い製品があれば、そちらの方が性に合っている可能性はないのだろうか?

そんなことを考えていた時に、海外の Wahoo ELEMENT ROAM のインプレ記事を目にして、「もしかして?」という可能性を感じた自分がいました。

そんな折に今回のお声がけがあった為、これ幸いと飛びついた次第です。

2. 外観

ちょっと前置きが長くなりましたが、早速外観から見ていきたいと思います。

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左が Garmin Edge 1040、右が Wahoo ELEMENT ROAM となります。
こうやってみると大分サイズ感が違いますね。

いずれも各ブランドのハイエンドモデルではありますが、エレメントロームと直接比較されることが多いのは、サイズ感、価格感が近い Edge840 かもしれませんね。

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最も厚みのある箇所で比べると双方ほぼ同じになりますが、ガーミンはマウント部分が出っ張っていることから、手に持った時の厚みは Edge1040 の方が薄いです。

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ELEMENT ROAM を純正のアウトフロントマウントに取り付けたところ。
この「流線型・エアロ」な一体感は Wahoo の大きな売りですね。
シンプルに格好良いです。

また、サイコン本体をマウントにねじ止めすることも可能です。
最初は「え? なんで?」と思ったのですが、ボルトで固定しロードバイク本体と一体化させることにより、UCIレースの重量検査でELEMNT ROAMも車重として計測することが可能になるわけですね。
サイコン本体含めて制限ギリギリの車重を狙うことができるわけです。
なんという、ガチ。
ちょっとびっくりしましたが、これぞ「ユーザーの利用シーン」を意識した機能だったりするわけで。
こういった細かな配慮が、私が重視する「顧客体験の最大化」になるわけです。

って、レースに出ない私には全く関係ない機能なのですが・汗

3. セットアップ

Wahoo ELEMENT の売りの一つが「スマホベース」な操作性。
当然セットアップもスマホベース。

Wahoo ELEMENT を起動すると、画面に二次元バーコードが表示されます。

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こちらをスマホで読み込むことでセットアップとペアリングが行われます。

その為には、Wahoo のスマホ用コンパニオンアプリのインストールが必要。

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インストールして二次元バーコードを読み込みます。

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とっても簡単。
その後、ソフトウェアのアップデートも行ってくれます。

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今の時代、スマホの処理性能が上がっていますので、寄せられるものはスマホに寄せてしまうのが正解ですね。

ガーミンも旧機種のガーミンエッジを持っていると、新機種購入時のセットアップが瞬殺だったりしますので、この辺りの思想は両社間でそこまで大きな違いはなさそうです。

ちなみに、起動時間はそこそこかかります。

微妙にその時々で変わるのですが、電源オフの状態から画面が表示されるまで 20〜35秒程度はかかります。

4. ディスプレイ

ディスプレイは64色のカラーディスプレイ。
ディスプレイサイズは当然違いがありますが、画素数もガーミンと同等となりますので、スペック的にはそこまで大きな違いはありません。

コントラストも十分で見やすいです。

画面表示は最大11分割まで可能。

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ガーミンの表示に合わせて10分割で使っています。
表示しているデータ内容もガーミンと全く同じ。

普通に使う限りにおいては、この辺りの表示項目で不足を感じることはなさそうです。

個人的に面白いと感じたのが画面の表示項目の絞り込み。
本体右側にズームイン・ズームアウトのボタンが縦に2つ並んでいるのですが、上記表示状態からズームインのボタンを押下すると、表示されているデータ項目を減らすことができます。

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フィールド最下部にあった気温の表示が消えています。

もう1回押してみます。

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最下段にあったケイデンスと時刻表示が消えて、残りの項目が大きく表示されています。

更にもう1回。

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ライド時間、走行距離、勾配が消えて4項目が大きく表示されました。

データフィールドに関しては、上から優先順位の高い表示項目、という扱いになる為、ズームインのボタンを押下する度に、下部にある優先順位の低い項目が非表示になり、優先度の高い項目が大きく表示されるようになっています。

元に戻す時にはズームアウトのボタンを押せば戻ります。

走行中に表示項目を絞り込みたい場合にはワンアクションで表示変更が可能ですし、元に戻すのもワンアクション。

走行中にダイナミックに表示項目を切り替えることができるというのは、地味に便利な機能ですね。

5. ルートナビ

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実際にライドに連れ出してみます。
今回は Garmin Edge とダブルマウントで見比べながら走ってきました。

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地図表示もコントラストが高く、現在地、これから辿るべきルートが分かりやすく表示されています。

Garmin Edge も ELEMENT ROAM も、必要にして十分といった感じですが、マップ機能に関してはシンプルに画面が大きい方が見やすいですから、この点は Garmin Edge1040 に軍配が上がるかと思います。

ルートを外れた時、自動でリルートしてくれる点はいずれも同じですが、 Garmin Edge1040 はリルートする必要がない場合にはキャンセルすることができるのですが、ELEMENT ROAM はキャンセル機能がなく、比較的「しつこく」元の位置に戻そうとしてくれます。

これは Garmin Edge1030 でもそうだったのですが、リルート機能は有り難いと感じる時もあるわけですが、意図してコースアウトした場合には煩わしいと感じる時もあります。
この点では、ELEMENT ROAM は Edge1030 時代相当となっていますので、Edge1040 に軍配が上がります。

個人的には、走行中に意図的にコースアウトする時がそこそこありますので、リルートのキャンセル機能は重要だったりします。

コース走行中、次はどこでどちらに曲がるかといった事前のアナウンスについては、ELEMENT ROAM の方が指示が具体的で分かりやすかったです。

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「少しだけ」とか、表現に工夫が見られます。
車のナビに近い印象ですね。

ただ、曲がるポイントまでの距離に関しては、ガーミンの方が正確性は高いです。
全体的に、ELEMENT ROAM は実際に曲がるポイント「プラス10m」で指示を出される傾向が高いです。

交差点に到着すると、「あと10m」と表示される感じですね。

ではガーミンが常に正確かと言われると、ガーミンでも場所によっては10m手前で「今曲がれ」と言われることもありますので、ガーミンが圧勝、というわけでもありません。

どちらのサイコンも「ここだよね」と曲がるポイントを把握することはできますが、正確性でいうとガーミンに軍配が上がります。

6. サミットセグメント

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ガーミンのクライムプロに相当するのが、ELEMENT ROAMのサミットセグメント。
売り文句としては、ガーミンは事前にコース設定が必要なのに対して、ワフーは事前登録なしに自動判定でクライムセクションを検出してくれる、というものになります。

ただガーミンも黙っていません。
Edge840 / 540 発売時に搭載したクライムプロ2.0 で自動検出に対応しましたので、今では両社に機能的な違いはないはずです。

私が使っている Edge1040 がまだクライムプロ2.0 に対応していないこともある為、今回は事前にコース設定をして走ってみたのですが、クライムセクションの判定は、両社ともにほぼ同じでした。

実は両社ともにクライムセクションの判定基準が同じだったりします。

  • 距離500m以上
  • 平均勾配3%

この条件を満たすとクライムセクションとして認識されます。
今回は事前に走行ルートを設定して走ったわけですが、ほぼ同じ場所でクライムのスタートが切られました。

微妙にクライムセクションの終点が違ったりしましのたで、両社の間で微妙な違いはありそうです。
その辺りはもう少し使い込んでみて違いを見極めていきたいですね。

今回、クライムを2つのサイコンで比較しながら使ってみましたが、画面の見やすさに関しては ELEMENT ROAM の方が見やすく感じました。

この辺りは個人の好き嫌いがありそうですが、どこまで登ったのかといった視認性に関しては、ELEMENT ROAM の方が上手かな?と思います。

ここで本題からズレるのですが、今回の比較レビューを行った結果、Garmin Edge1040 の不具合事象が明らかになりました。

購入当初から感じていたのですが、Garmin Edge1040 に関しては、上り坂に入ってからの斜度の反映が明らかに遅いのです。

例えば平坦から上り坂に入ったとして、Edge1040 の斜度がプラスになるまでタイムラグがありました。

上り切って下り坂に入った後も、斜度がマイナスになるまでに若干のタイムラグがありましたので、常に実際の斜度とEdge1040 に表示される斜度にずれがある状態。

今までは「ちょっとラグがあるかな」と見逃してきたのですが、ELEMENT ROAM は上り坂になった途端、瞬時に斜度が変わる為、Edge1040 のタイムラグをカウントしてみたところ約5秒のズレがあることが明らかに。

長らくガーミン製品を使ってきた人間なもので、「そのうちソフトウェアアップデートで修正されるだろう」とたかを括っていたのですが、「5秒のずれって、これは尋常じゃないよね?」と考えを改めることに。
気がつけば購入から11ヶ月が経過していましたので、急がないと初期不良での無償修理期間が終わってしまいます。

比較ライドから帰宅した後、慌ててガーミンに修理依頼を出しました。

Edge1030 の頃には、斜度の変化に瞬時に反応していまたので、さすがにEdge1040 の仕様ということはないですよね・・・?
無事修理から戻ってくることを期待しています。

7. 操作性

Edge1040 と ELEMENT ROAM の操作性において、最大の違いは「タッチスクリーン操作かボタン操作か」になります。

Edge1040 でタッチスクリーン操作を行うシチュエーションはこんなところです。

  1. 画面を切り替える時に左右にスワイプする
  2. マップ画面で拡大率を変更する時に、プラス・マイナスのマークをタッチする
  3. この先どうなっているかを確認する為に、マップ画面を動かす
  4. データフィールドをガーミン本体で変更する時に、データフィールドをタップして表示項目を切り替える

まず1の画面表示の切り替えについては、ELEMENT ROAM は本体下部右側のボタンで表示切り替えを行います。
どちらが操作性において優れているかと言われると、「慣れ次第」「その人の好み次第」ですかね。
どちらも特に不満はないです。
先代のELEMENT ROAM は物理ボタンが押しにくいと不評だったそうなのですが、V2にアップデートされた現在のバージョンにおいては、物理ボタンは押しやすいですし、確かなクリック感もありますので、特段不満や不便はありません。
敢えて言うなら、冬場のフルフィンガーグローブでは、タッチスクリーンよりは物理ボタンの方が確実性があるかな、といったところでしょうね。

2のマップ画面の表示率変更についてですが、はっきり言ってガーミンのこの仕様はイケていません。
プラス・マイナスの表示をタップすることで拡大率を切り替える仕様になのですが、決して大きい表示ではない為に、誤タップが多くかなりストレスに感じていました。
この点に関しては、ELEMENT ROAM は本体右側のズームイン・ズームアウトボタンで物理的に操作できますので、ELEMENT ROAM の圧勝です。

3については逆にEdge1040の圧勝です。
物理ボタンでマップ画面の位置を変更するのは、かなーりストレスフル。
ただ、ガーミンがやり易いかというと実はそんなこともなく、「この先のルートどうなっていたっけ?」と気になった時には、スマホを取り出してGoogleマップで確認することが多かったので、個人的にはこの点については「あまり使わない機能なのでどうでも良い」というのが本音だったりします・・・。(身も蓋もない)

4についてはガーミンのタッチスクリーンならではの機能ですね。
ガーミンに軍配。
ただ、両社ともにスマホでデータフィールドのカスタマイズができますので、一般的にはスマホで操作することが多いかと思います。

ということで、つらつら書いてみたところ、個人的には「どちらもあり」という感じですね。
どうしても優劣をつけるとするなら、マップ画面でのズームイン・ズームアウトが圧倒的にやり易い ELEMENT ROAM に軍配、といったところでしょうか。

8. 音

続いて操作音について。
まず前提として、ELEMENT ROAM のビープ音については音量調節はできません。
ものによっては消音設定ができるようなのですが、例えば電源オフ時のビープ音を消すことはできません。

上記に書いたように、修理に出している為手元に Edge1040 がないのですが、確かEdge1040 も消音設定はできたと思いますが、音量調節機能はなかったはず。

Edge1030 を使っていた頃は、コースアウトした時のリルート時に鳴るビープ音が煩わしくて消音で使っていたことがありましたが、Edge1040になってから、リルートをキャンセルできるようになったこともあり、常にビープ音が鳴る設定で使っていました。
それで何か問題を感じたこともなかったのでたかを括っていたのですが、ELEMENT ROAM のビープ音ははっきり言って「爆音」です・汗

例えば電源オフの時にビープ音が鳴るのですが、我が家の犬が驚いてソファから逃げ出しました。。。

顔の近くで電源オフしようものなら、耳が痛いです。

ただ、実はライド中はあまり気にならなかったりします。
どうしても環境音もありますし、ELEMENT ROAM のビープ音は、ライド中はむしろ聞き取りやすくて良いな、と感じています。

ライド中に曲がるポイントだったり、サミットセグメントのスタートポイントだったりと、ビープ音の鳴らし方がそれぞれ工夫されている為、慣れてくると「何の音なのか」の判断もつき易いです。

Edge1040 もビープ音の鳴らし分けをしていないわけではないのですが、正直分かりづらいと感じていたので、この点ではELEMENT ROAMの方が優秀だと思います。

ビープ音が鳴る99%の状況においては ELEMENT ROAM が優れていると感じましたが、ライドが終わって帰宅後、屋内で電源オフする際の爆音で、全てが台無しにされている感じ。

電源オフ時のビープ音を消音にする設定さえあれば、胸を張ってELEMENT ROAM に軍配を上げるのですが・・・。

9.LED

ELEMENT ROAM の工夫ポイントとしては、画面上部並びに画面左側にLEDが配置されています。画面上部については、曲がる方向に流れるような表示がされますので、直感的に曲がる方向が分かるようになっています。

ただ、ルートナビの際には「あとxxm」みたいな形で距離が表示されていますので、「いままさに右だよ」みたいなLED表示はそこまで有用性が高いかというと、そこまでではないかもです。

他方、画面左側のLEDはちょっと面白いです。

このLED表示については、「何に対して」LED表示するかを選択することができます。

こちらがスマホの設定画面。

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LEDがオフの状態の画面がこちら。

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この状態で、スマホの「スピード」を選択すると、速度表示のバックが黒くなります。

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画面上部ですね。

スマホ上では「電源」と誤訳されていますが、これは「パワー」ですね。
こちらを選択すると、パワーの表示フィールドの背景が黒くなります。

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心拍数も同様です。
どれか一つしか選択できないのですが、選択されたものに対して、LEDの色で状況を説明してくれます。

  1. スピード:
    ライド平均と比較して、平均値であれば白色、平均より早ければ青色、平均より遅いと黄色で点灯
  2. パワー:
    パワーゾーンに応じた色を表示。テンポ走ゾーンであれば青、乳酸性閾値であれば緑色といった具合にパワーゾーン毎に色が設定されていて、LEDの点灯もゾーンが上がる毎にLEDのメモリが上がっていきます
  3. 心拍数:
    パワー同様ですね。脂肪燃焼ゾーンだと緑、カーディオゾーンだと黄色、といった具合です。

いやいや、自分のFTPや安静時心拍数を把握していれば、ワット数や心拍数といった数値だけ見れれば十分という人もいるでしょうが、メモリの数と色で状態を表示してくれるのは直感的で好きですね。

色はまだ覚えていないのですが、ゾーンが上がるとLEDのランプが一つずつ多く点灯するようになりますので、直感的に「今何段階目なのか」を把握できるようになっています。

また、このLED表示は、画面の表示が何であっても表示されますので、データフィールドを表示していない状態、マップ表示やサミットセグメントの状態でもLEDでゾーンレベルを確認することが可能。

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特にクライム中に、心拍やパワーで追い込みたい、もしくは抑えたい、といった際にこのLED表示を参考にすることができるので、これは便利だな、と感じています。

10. サイズ感

サイズ感ですが、ELEMENT ROAM はEdge1040 よりは小さく、Edge840よりは大きくなっています。
ディスプレイサイズという観点からは、やはり画面が大きいのは正義。
データフィールドの数値確認についても、Edge1040 はデータフィールド間の距離が大きく取れることもあり、視認性が高いです。

それでは ELEMENT ROAM が不満かと問われると、そこまでではないですね。
そのまた昔はキャットアイの小さなサイコンを使っていたりしますので、ELEMENT ROAM でも十分なサイズがあるとは思います。

この辺りはどこまでのサイズ感を求めるか次第ですね。

11. GPS

スペック上は ELEMENT ROAM もデュアルバンドGPSを採用しており、Edge1040 同等となっています。
今回、尾根幹、小山田周回と走ってみましたが、この程度のコースだと両社に違いは出ませんでした。

海外のレビュー記事などを調べてみると、都心部の高層ビル群の網目上の道路だったり、トンネル出口の入り組んだ道、郊外のルートといったシビアな環境だと、Garmin Edge の方がGPS精度は上、という評価が多いようです。

12. バッテリーライフ

ELEMENT ROAM のバッテリーライフは公称17時間。
約3時間のライドで20%減りましたので、公称に近そうですね。

Edge1040 が約35時間ですから、倍ですね。

ここは文句なしにガーミンの圧勝。

とはいえ、以前使っていたEdge1030 が約20時間のバッテリーライフで、不満を感じたこともありませんでしたから、週末ローディー的にはどちらでも必要にして十分といった感じです。

13. サマリ

それでは最後にサマリです。

【PROS(良かった点)】・物理ボタンでの操作ってやっぱり便利。

・ズームイン・ズームアウトによる表示項目の絞り込みは面白い
・マップ画面での拡大率変更はストレスフリー

・パワーゾーンや心拍数をLEDで判別できるのは便利

・ナビの方向指示についてはガーミンよりも理解しやすく丁寧

【CONS(気になった点)】・コースアウト時のリルートはキャンセルできるようにしたい

・電源オフの音量でかすぎ

・Garmin Edge にあるようなスリープ機能(画面表示オフ)が欲しい

・起動が遅い

まだ2回ほどライドに連れ出しただけなので早計な判断はできませんが、現時点における Garmin Edge1040 との比較でした。

それではお前さんは今後 ELEMENT ROAM をメインのサイコンにするのか?と問われると、まだ迷い中ですね。

サイコン単体での機能性だけ考えると、実は乗り換えても良いかも?と思っています。
他方、ライフログやジョギング時のデータを含めたトータルで考えると、どうしてもガーミンに軍配が上がります。

これは裏返すと、Wahoo のスマートウォッチを使っていたり、Wahoo のサイクルトレーナーを使っていたりする人であれば、統合管理上 ELEMENT ROAM に軍配が上がるんでしょうね。

各社囲い込み戦略がしっかりしているわけで。

今回最も好印象だったのは、冒頭につらつらと偉そうに書かせて頂いた「ユーザビリティ」を大切にする姿勢についてです。

ただ機能を並べるのではなく、その機能が利用されるユースケースをきんちと理解して前提を置いた上で必要な機能を用意するという、とても基本的な姿勢が Wahoo ELEMENT にはしっかりと感じることができました。

その上で、ユーザビリティを損なわないよう、使い勝手に配慮したスマホアプリが用意されている等、「あー、良い製品だな」と感心させられることが多かったです。

そんなわけで、Garmin プラットフォームに取り込まれていないローディーに対して、シンプルにサイコンの機能性で比較するとどちらがおすすめか?と問われれば、今回まとめた内容をベースにフラットに判断してもらえれば良いかと思います。

  • マップ機能(大きな画面)を何よりも優先するなら Garmin Edge1040
  • コンパクトに必要十分な機能が網羅されたサイコンをコスパよく導入したければ ELEMENT ROAM

正直、今回のレビューを行うまでは「Garmin Edge が圧勝してフルボッコにする」可能性すら覚悟していたのですが、蓋を開けてみるとそれぞれ強みがはっきりしていて、どちらも良いサイコンだな、と感じています。

対して、日本国内での圧倒的なガーミンのシェア率を考えると、もうちょい Wahoo ELEMENT がシェアを獲得しても良いのでは?とも感じました。
実はグローバルでは日本ほど極端な偏りはないそうですし。

この辺りは「アップルがスマホシェアの過半を占める」という日本人の国民性もあるかのかもしれませんね・・・。

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