サイクリング依存症の危険性

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Zwift でトレーニングできない日が続くと落ち着かない。
週末にライドに出かけないと損した気持ちになる。

ローディーあるあるではないでしょうか。

多くの場合は軽く笑い飛ばせるような話でしかないと思いますが、もしそれがサイクリング依存症だったとしたら?

結構怖い話なんですよね。

 

■ サイクリング依存症になっていませんか?

 

1. サイクリング依存症とは

そもそもサイクリング依存症とは何?という話ですが、「いやーロードバイクはやめられないよね」みたいな軽いノリではなく、運動への依存を伴う運動習慣のコントロールができなくなり、決定的なことに、健康上、社会的、職業上の悪影響をもたらすことを指しています。

極端な例としては、フルタイムの仕事に就いてしまうと時間上の制約ができてしまい、日々のZwift トレーニング量が減ってしまうことを嫌ってパートタイムの仕事を選んでしまうとか、恋人の誕生日にもかかわらずチーム練習を優先してしまうとか。

いやいや、さすがにそこまでは行かないでしょ、という人でも、この位なら心当たりがあったりしませんか?

Zwift のレースがあるから頑張って早朝早起きしてトレーニングを始めるとか。
恋人からのデートを断ってチームのライドを優先してしまうとか。
ちょっと足に痛みがあるけど、ここで休んでしまうと目標とする週間TSSが達成できないので無理してローラー台に乗ってみたりとか。

社会上、職業上、健康上の悪影響が出ているという点からすると、実はちょっと依存症を匂わせる危険な兆候だったりします。

特にこの依存症は自転車に限ったものではなく、広義には「エクササイズ中毒」といった表現で90年代から報告が上がるようになり注目を集めるようになってきました。

けがをしても運動がやめられず、強迫的に繰り返し、日常生活に支障をきたすほど激しい運動を続けてしまう依存症。アメリカの事例ですが、成人人口の0.3〜0.5%がエクササイズ中毒と推定されているそうですが、この数字はアスリート学生の間では4%、スポーツ愛好家では8〜9%にまで跳ね上がるそうです。

そしてスペインの事例では、何よりも恐ろしいことに、サイクリングクラブに所属しているメンバを対象とした研究においては、17%が依存症に該当したそうです。

なんと6人に1人。

ちょっとすごい数字です。

 

 

2. 依存症の怖さについて

依存症は、端的には健康をむしろ害する結果につながってしまうとか、社会的な地位や人間関係の毀損を引き起こすことになりますので、軽視できる話ではありません。

以下の記事は、最初軽い気持ちで読んだのですが、最後まで読んだ時にどんより気持ちが沈み込んでしまいました。

1つ目の事例は、依存症ではないものの「依存症的な行動」を起こしたケース。

 

 

ホイットルは、2020年1月、凍結した状況でのサイクリングを控えるよう妻から言われたのを無視したことを説明した。「彼女は私を馬鹿だと言った」 と53歳の彼は回想した。
「しかし、私は室内トレーナーで数週間過ごした後、外に走りに行く必要があった。15分後、ブラックアイスで転倒して、すぐに手首に何か悪いことをしたとわかったんだ」。彼はどうしても止めることができなかった。「精神状態を保つために、そのライドをやり遂げなければならなかった。後日、病院で手首を骨折していることが確認されました」

この気持ち、とっても理解できてしまいます。。。
長雨や寒さ等、長らくライドに出かけられない日々が続いていた場合、「この位なら走りに行けるかな?」とライドに出かけてしまうことってありますよね。

もう1つは明らかに依存症なケース。

 

 

「数週間前、パーティがあり、ガールフレンドが行きたがっていたのですが、翌日早朝にクラブに行くことになったので行きませんでした」と54歳の彼は私に言いました。「彼女は時々、私がサイクリングのために家の中のことをおろそかにしていると文句を言うんです。COVID の期間中はパートタイムになり、給料が半分になったので、ガールフレンドは他の仕事を探した方がいいと言ったが、私は “そんなことよりトレーニングの時間を増やせ “と思ったんだ」

(中略)

彼は月に2,000kmほど走っていると言っていましたが、その多くはZwiftで「馬鹿げた数字を追いかけている」のだそうです。パフォーマンスが上がらないことに苛立っていた彼は、最近、血中乳酸値のモニタリングを開始し、こうコメントしました。「他のことは全部やったのに、行き止まりだ 」と。そして、最近の体調不良について教えてくれた。「ゾーン2以上で走ると、胸が痛くなるんだ」。「それで、ゾーン2の強度で走ることにしたんです」。胸が痛いからと言って、無理は禁物だと思うからだ。「もし医者に行ったら、心臓の病気のような深刻な問題だったら、トレーニングを中断しなければならないし、せっかく鍛えた体力を失うことになる」と、彼はその理由を説明しようとしたのです。「それを犠牲にしたくないんだ。狭心症はゆっくり進行するものだから、その可能性もある。でも、心臓発作は起こしていない。心臓発作はまだ起きていないんだ」。

 

この2つ目のケースは「そんな奴いないでしょ」とは笑い飛ばせないんですよね。
実際の話だからそうなのですが、本当にリアルです。

この方がその後どうなったかというと、Zwiftで最後に68kmの走行をした翌日、ガールフレンドと食事に行き、その後友人と飲みに行ってから帰宅して眠りについた後、心停止に陥り、54歳で亡くなったそうです。

いやいや極端なケースでしょ?と突っ込むことはできるのですが、個人的にはあながち「あり得ないケース」とまでは思えず、ずーん、と気持ちが沈み込んでしまいました。 

 

 

3. 依存症診断チェックシート

上記記事には依存症の兆候をチェックするチェックシートが用意されていましたので、こちらに転載させて頂きます。

  1. 運動は私の人生で最も重要なことである
  2. 運動量について、家族やパートナーとの間で意見が対立したことがある
  3. 気分転換のために運動をしている(例:気分転換)
  4. 私は1日に行う運動量を増やしてきた
  5. 運動を休むと、気分が悪くなったり、イライラしたりする
  6. 運動時間を減らしてから再開すると、結局以前と同じように運動している

各質問項目に対して、自分が何点に当てはまるかをチェックして下さい。

  • まったく当てはまらない:1点
  • 当てはまらない:2点
  • どちらとも言えない:3点
  • 当てはまる:4点
  • 激しく同意:5点

点数が24点を超えているようであれば、依存症の兆候があるそうです。

  • 12点以下:運動とは健全な距離を保てている
  • 13〜23点:運動に関する行動が中毒の方向に向かっているが、生活のあらゆる側面を支配したり、悪影響を及ぼしているわけではない
  • 24点以上:動との関係が中毒的であり、専門的な助けを求めることを検討する必要あり

いかがでしょうか?
お気楽週末ローディーな私ですら16点でした・汗

また、依存症の難しい側面が、「兆候があるからと言って即NGというわけではない点」にあります。

 

 

「プロの運動習慣と運動依存症の人の運動習慣を見分けるのは、信じられないほど難しいことです」と認めています。「私は何人かのプロフェッショナルと診断したことがありますが、彼らはほとんどの項目に当てはまりました」。運動中毒に見えるかもしれませんが、ほとんどのプロは日課を完全にコントロールしています。

 

エリートアスリートは、許容範囲が広いので、トレーニング量を増やしすぎると、オーバートレーニングになって燃え尽き、スポーツのパフォーマンス、ひいてはキャリアを危険にさらすことになると知っているのです。さらに、彼らは計画したトレーニングを変更することも多く、勧められるままに止めたり減らしたりする能力も持ち合わせています。

 

 

要するに、上記チェックリストでポイントが高かったとしても、「自分で運動量を減らす決断をすることができるか否か」が重要なんですね。

ちょっと運動量が増えてきたなと感じた時、快晴の週末にライドに出かける誘惑を跳ね除けることができるかどうか、ということです。

・・・そう言われると、なかなかに難しく感じてしまいません?

何事も適度が一番。
そもそもどんなに頑張っても高が知れているような人間(=私のことですね)ならいざ知らず、トレーニングが日常になっているようなエリートローディーであればあるほど、他人事とは思わず、常に意識しておくのが良いかもしれませんね。

コメント

  1. ほどほど老爺 より:

    依存症・・・医学的には依存度が強いと「強迫神経症」になるようですが
    「不安神経症」に分類される精神的なものでマスク依存も同様のようです。
    自動車を運転している自分しか居ないのにマスクをしている人を見る度に
    笑ってしまいますが私は(^^♪ 手洗い うがい ヤクルト(^^♪ 依存症程度かな?
    ほどほど教信者の自分は100Km走れたら100歳まで生きられると言われても
    10Kmに抑えられる自信があるので依存度はかなり低いと思われます・・・。

  2. おとーさん より:

    >老爺さん
    やらねば、という強迫観念は怖いですよね。
    私のような週末ローディーでは心配するようなことでもないのですが、自分でも意識していない、という点が怖いものです。
    ほんと、ほどほどが一番。

  3. より:

    先日の大雪で普通なら積もらない地方ですが、着雪注意報が発令されテレビでも中継されて居ました。
    そんな悪条件でも、つい自転車に乗りたくて……ふと、きずくと、3輪のトライクで雪景色の中を走って居ました。
    オールシーズンタイヤがフロント1.95でリアは25C程のタイヤでしたが、ブレーキもグリップも効いて、走りやすかったです。
    日曜日だったので4時間走りましたが、完全に依存性でした。\(^o^)/✧.*・゚✧.゚・*.雪上は軽量だとアスファルトを走るのと大差がありませんでした。

  4. おとーさん より:

    >♪さん
    いやー、ハマってますね・笑
    雪中走行を実現できるのも三輪ならではでしょうか。羨ましいです。
    若かりし頃は雨だったり濃霧だったり、普段と違う景色が見れるので気にせずに走っていましたが、今では晴れの日でないと怖くて走れません・・。

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