マビック コスミックプロカーボンUST 6ヶ月経過レビュー
ロードバイクに乗り始めた頃に「カーボンホイール!? そんな高いモンとても買えんわ」と思っていましたが、沼にハマると怖いもので、やはり欲しくなってしまうわけで。
私のホイール遍歴ですが、完成車付属の鉄下駄の次にはマビックのキシリウムエリートUSTを選びました。
ロングライドを楽に乗りたい、というシンプルな理由ですね。
チューブレス レディータイヤの貢献度が高いと思いますが、とてもシルキーな走りになり、路面の振動も丁寧に吸収してくれるホイールでとても満足していました。
ただ人間の物欲と好奇心は怖いもので、「セミディープホイールってどんなもんだろ」と気になってしまい、マビックのロードUST(チューブレス レディー)規格に惚れ込んでいたこともあり今年に入ってからコスミックプロカーボンUSTに手を出しました。
ただ、我が家に到着した頃にはすでにコロナ渦に突入しており、3本ローラーでしか乗れない状況が続き、そうこうしているうちに海外通販サイトで値段がどんどん落ちていき・・・。
新生コスミックが発表されました。
このタイミングの悪さたるや・・・泣
すでに旧モデルとなっており、「どこにも需要はねーよ」と言われそうですが、自分のメモ書きも兼ねてコスミックプロカーボンUST購入から6ヶ月が経過したこのタイミングでインプレをまとめてみたいと思います。
1. 購入後6ヶ月の利用状況について
コスミックプロカーボンUSTを購入してから半年が経過しましたが、その間ライドに出かけられた回数はわずか10回・・・。
距離にして600kmになります。
何とも切ないですね・・・。
ちなみに数えてみたところ、ローラー台での利用回数は約70回、距離にして1800kmでした。
何とも贅沢な(?)ローラー台用ホイールと成り果てていますね。
何とかロンクライド、峠道、がしがし頑張るショートライドと色々なシチュエーションで走ることができましたので、今回改めて振り返ってみたいと思います。
ちなみに私の場合、比較対象はエンデュランス向けアルミホイールであるキシリウムエリート USTとなります。
2. コスミックプロカーボンUST6ヶ月経過レビュー
ちなみに、コスミックプロカーボンUSTは試乗会で約1時間半使わせて頂いたことがあり、その時の印象などとも比較してみたいと思います。
(1) 低速域での加速性
まずは低速域での加速性です。
信号待ちからのリスタートなどで気になる点ですね。
試乗会でのインプレ時の印象はこんな感じ。
- キシリウムエリートUSTとの違いは感じられない
- 内訳としてリムが重くなった点を剛性UPが補って結果的にプラマイゼロになった印象
現時点での印象は、当時とあまり大きくは変わりません。
但し、リスタート時にスタンディングで漕ぎ始める回数が増えた、という事実はあります。
もともと体重が軽い方ですので、キシリウムエリートUSTの時には信号からのリスタート時に立ち漕ぎをすることはほぼありませんでした。
たまたま他のローディーと一緒に信号待ちをしている時などは、前をいくローディーがスタンディングで漕いだり軽いギアでくるくる回したりしていても、大体私の方が彼らの後ろで少し待つ感じになることがほとんどでした。
(その後前を行くローディーがスピードに乗り始めると、あっという間に千切られたりするんですけどね・汗)
コスプロカーボンになってからは、やはり「よいしょ」と漕ぎ出す印象はあります。
それでもライド前半は剛性の高さから来る反応の良さから「くいっ」と走り出せるのですが、ライド後半になって疲労が溜まってくると、「もう一枚ギア落としておけば良かった」と感じることも多くなり、ついついスタンディングで漕ぎ出すケースが増えました。
また、信号が登り坂の途中にあったりするとその差は如実に感じられました。
予め以前よりは一枚はギアを落としておかないと「よっこらしょ感」が強くなりますし、最近は諦めてスタンディングで漕ぎ出すことが多くなりましたね。
やはりリムの重さというのはじわじわと効いてくるもんなんだな、というのを実感しています。
(2) 高速域での加速性
ま、高速域と言っても、私にとっては時速30km〜35km程度なんですけどね・・・。
例えば、時速30km程度で巡航している時。
- 「あ、歩行者信号が点滅しているから急いで信号抜けてしまおう」
- 「前を行くクロスバイク 、今のうちに追い抜いてしまおう」
- 「あー、早く帰りたい。このロングストレートはスピード上げて走り抜けてしまおう」
みたいなシチュエーションをご想像ください。
キシリウムエリートUSTの場合、「ぐいぐい」とペダルを回すと時速1km上がり、「ぐいぐい」とペダルを回すと時速が更に1km上がる、といった具合にじわじわとスピードが上がる印象でした。
更に、時速33kmを超えた辺りからはその伸びが鈍くなり、「ぐいぐい」が「ぐいぐいぐい」くらい回していかないとスピードが上がっていかない印象でした。
コスプロカーボンUSTの場合、この辺りは如実に違いを感じています。
感覚的には「ぐいぐい」とペダルを回すと時速が2km上がり、時速38km〜40kmくらいまではそのままリニアにスピードが上がっていきます。
この辺りは剛性の違い(&エアロなセミディープなリム形状)のお陰でしょうね。
(3) 巡航性能
これは明らかにコスプローボンUSTに軍配が上がります。
こちらも試乗会の時の印象はこんな感じでした。
- 明らかに巡航維持はコスプロカーボンが上。
- 感覚的には、コスプロカーボンの方が同じパワーで2kmくらいは上で維持できる
こちらの感覚については、試乗会の時と印象は変わりません。
特に、下り坂の勢いに乗ったまま、時速40km超で走っている時などは、キシリウムエリートUSTでは一定のトルクをかけ続けないとあっという間に時速30km程度までスピードが落ちてしまいますが、コスプロカーボンUSTでは、軽くペダルを回し続けておくだけで「ゆっくり時間をかけて」時速35kmまで落ちていく印象で、ある程度のトルクをかけてペダルを回すだけで時速40kmを維持することが可能でした。
私の場合、ロングライド終盤におけるロングストレートで無理なく維持できる巡航速度は、キシリウムエリートUSTでは時速28km程度でした。
それがコスプロカーボンUSTになると時速30km程度で走れるようになりましたので、同じパワーで巡航速度が2km程度上がるという印象は、試乗会の時と同じでした。
これ、ロングライドにおいてはかなり助かりますね。
一番のお気に入りポイントです。
(4) 快適性
他方、快適性に関しては試乗会の時から印象が変わった点になります。
リム内幅が17Cから19Cに変わったこともあり、キシリウムエリートUSTの適正空気圧が5BARだったのに対して、コスプロカーボンUSTは4.5BAR。
より低圧での運用が変わったことから、試乗会では「快適性はむしろ上がったかも」という印象だったのですが、より長時間乗ってみたところ「そこまでではないぞ?」という印象に変わりました。
- 荒れたアスファルトのような細かな凹凸に関しては、キシリウムエリートUSTの方が上手に衝撃をいなしてくれていた。アルミフレームで空気圧7BARのクリンチャーに乗っていた時と比べるとコスプロカーボンでも感動できるくらい衝撃を吸収してくれますが、キシリウムエリートUSTの方が更に一枚上手。
- 道路の段差のように、衝撃が一瞬だけゴツン、と来るタイプだとキシリウムエリートUSTとの違いはそこまで感じない
- 剛性は明らかにコスプロカーボンが上。これは私のような週末ローディーレベルでもすぐに分かるレベル。坂道や信号後のリスタートでもペダルを回せばくいくい反応してくれるのが楽しくて、ついついペダルを回してしまい、結果ライド後半に少し後悔することになります。但し、如実に「コスプロカーボンUSTで足が売り切れた」みたいなことはありませんでしたので、剛性に合わせた走り方さえ覚えてしまえば「過剛性で足に来る」レベルではありません。もう一つ上のコスプロカーボンSL USTだともう少し印象は変わるのかもしれませんが、週末ローディーにも使いやすい、適度な剛性ではないでしょうか
アスファルトの状態が悪い荒れた峠の下り坂では「あー、キシリウムエリートUSTの方が体に優しいわ」と感じますが、そこまで極端なシチュエーションでなければストレスを感じる程には快適性を犠牲にしていないかな、というのが率直な印象でした。
(5) 登坂性能
登り坂に関しては、試乗会にて尾根幹バーミヤン坂でプライベートレコード更新していましたので、期待していました。
結論から言うと、一定の斜度までは剛性が上がった恩恵が大きいが、ある程度の斜度を超えると重さを感じる、という「そりゃそうでしょ」と言う結論になりました。
- 斜度2〜3%の緩やかな登り坂だと、ぐいぐいペダルを回して一気に上り切ることが可能に。当然、そんな上り方をすると疲れるのは事実ですのでロングライドではやり過ぎ現金なのですが
- 斜度5〜6%程度の登り坂だと、剛性アップが良い方向に出てキシリウムエリートUSTよりも早く坂を上り切れます。私の脚力だと剛性アップが良い方向に作用するのはこの程度の斜度まで
- 斜度8%程度になると、キシリウムエリートUSTと登り方に違いはなし。ギアを軽くしてくるくる回して登ることになりますが、回した分だけダイレクトに前に進むな、というプラスの感覚と、「そうなんだけどペダル重くない?」というマイナスの感覚がせめぎ合い、トータルでプラマイゼロ、みたいな感覚になります
- 斜度10%を超えると、ペダル重いな・・・という感覚に。ペダルを回せば確実に進んでくれるのですが、感覚的に「歯数1〜2つ分くらい違うのでは?」というくらい重さを感じます。(キシリウムエリートUSTだとリア28Tで走っている感覚が、コスプロカーボンUSTだとリア27Tで走っている感覚に) 結果として、斜度10%を超えると以前よりもスタンディングで乗る回数・時間が増えた気がします
ほんと、そりゃそうだよね、といったところでしょうか。
斜度10%超かつ距離の長い峠とかになると、私の脚力では少ししんどいかなー、というのが正直印象ですね。
キシリウムエリートUSTでは最も軽いギアにしてくるくる回せば、ゆっくりゆっくりと登ることができた10%超の坂道が、同じギア比なのに重さを感じるようになりました。
(6) ブレーキの制動性
カーボンホイールに交換する時の一番の心配がこちら。
ブレーキの効き具合はアルミリムよりも下、長時間のだらだらブレーキはご法度、という点ですね。
私はもともと下り坂でも安全運転第一で乗るびびりな人間です。下り坂で瞬間的に時速50kmを超えることはあっても、それ以上のスピードを出すことはありませんし、逆に下り坂であってもできるだけ時速40km程度までしか出さないようにブレーキをかけるタイプ。
スピードを出しながらも、カーブ前でブレーキをかけるようなメリハリの効いた乗り方をするローディーであれば、問題ないのでしょうが、常にだらだらとブレーキをかけ続けるような私の乗り方には合わないかな、と心配していました。
- まず、単純な制動力に関していうと、アルミリムとまったく遜色ないことにびっくり。(使用しているブレーキシュー はスイスストップ のブラックプリンス。定番ですね)
- 斜度8%程度までの下り坂であれば、前後交互、かつポンピングでブレーキをかけるようにすればそれほど問題なし
- 但し、ポンピングで「ぎゅっ」とブレーキをかけた時に、後輪が横滑りすることもある為、アルミリムよりも気を遣うことは事実
- 斜度10%超の下り坂で長めにブレーキをかけていると、ある時点からブレーキの音が変わって少し効きが弱くなる。私の場合はその時点で無理せずに自転車止めて小休止。リムをグローブ越しに触ってみると温かい。(熱いほどではない)
とにかく長い峠道(都民の森とか)だと、あまり楽しいダウンヒルにはならないかなー、というのが正直な印象ですね。
いやいや、もっとスピードを出した上手な乗り方をマスターすれば良いだけじゃん、という話なのかもしれませんが。。。
(7) 横風の影響
横風に関しては普段はほとんど問題を感じることはないですね。
交差点などでビル風に煽られたり、長いトレーラートラックが高速で横を通り過ぎた時には一瞬ひやっ、とすることはありますが。
個人的には、昔マウンテンバイクでツーリングしていた頃、リアキャリアにサイドバッグを左右にぶら下げ、その上にドラムバッグも積み上げた走り方をしていたのですが、海外の郊外で二連結のトレーラーが時速100kmで横を通過していった時の恐怖に比べれば、そこまで気にならないかな、と。。。(比較対象が極端ですが)
3. 個人的なホイール考
ただこうやって振り返ってみると、キシリウムエリートUSTは週末ロングライドにはとっても良いホイールだったなと再認識することになりました。
巡航時には圧倒的にコスプロカーボンUSTが快適ですし、ライド全体の平均速度も時速0.5〜1.0km程度は上がっていたりします。
ただ、それって時間にするとロングライドで10分早く帰宅できるかどうか、みたいなレベルなんですよね。
私の住んでいる地域は周辺に坂道が多いですし、ロング走ろうとすると峠道を避けることもできませんから、登り坂が快適だったり、下り坂を安心して下れたりするキシリウムエリートUSTはトータルバランスが良いんだな、と改めて感心することに。
他方、50kmくらいのショートライドをすぱんっ、と走り抜けるライドだとコスプロカーボンUSTは「超楽しい」です。
キシリウムエリートUSTとコスプロカーボンUSTだと、カーボンとアルミリムなので、毎回ブレーキシュー交換して、パッドのクリアランスを毎回調整、なんてことになるので面倒臭くてやってられませんが・・・
先々ディスクブレーキのロードバイクに乗り換えた際には、セミディープカーボンホイールと軽量エンデュランス系ホイールと両方用意して、ライド毎に使い分けできるようにするのが一番なんでしょうね。
お財布にはちっとも優しくないですが・・・。
まだしばらくはコスプロカーボンUSTの楽しさを満喫してみたいと思います。
コメント
距離75kmで獲得高度1500mだと平均上昇2%程度で、その位が低体重のかたがセミディープを使った方が早くて楽な状態だと思います。同じ獲得高度で距離がのびるとそれだけ平坦も増えるので空力や剛性が効いてきます。
>たかにぃさん
何となく(ようやく?)その辺りが分かってきたような気がします。
平坦貴重なライドだと、走っている時は「言われてみれば少し早くなったのかな」くらいの感覚なのですが、ライド後の疲労度合いは体感できるほど楽になりました。