自転車って健康に良いよねー、という話は、そりゃもう沢山聞いた話かと思います。
自転車を趣味にしているおじさんとしては、こういった話ははやり聞いていて嬉しいもので。
ただ、こういった研究成果って、どうしても海外に多く見られるもので、日本国内の研究ってそれほど多く聞かないもので少し寂しい思いをしていたのですが、筑波大学がきっちり研究してくれていました。
ぐっじょぶです。
自転車の利用は健康寿命を延ばすためにはとても重要
自転車は健康に良い
そもそも自転車で運動することって、健康に良いよね、という話は沢山あります。ここ最近でまとめてものを幾つかピックアップしてみましょう。
例えば、認知症予防に良いよ、というものだったり。

変形性膝関節症の予防に効果的だったり。

少し頑張って高強度トレーニング行うと記憶力改善できたり。

そもそも体を動かすことの大切さ、というものが大前提としてあるわけですが、その中でも自転車ならではの良さがあったりするわけです。
自転車の利用は健康寿命を延ばすのに効果的
それでは、今回紹介する筑波大学の研究内容について、改めてご紹介しましょう。
調査概要
筑波大学の研究グループは、高齢者の自転車利用と健康寿命に関する研究を実施しました。この研究は、日本の高齢者を対象とした大規模な長期追跡調査「かさまスタディー」の一環として実施されたものです。
- 対象者: 茨城県笠間市に居住する、65歳以上の高齢者。有効回答者6385人。
- 調査期間: 2013年から10年間にわたる追跡調査
- 分析方法: 調査開始時点での自転車利用状況(頻度や時間)と、その後の要介護状態(要支援1以上)や死亡との関連性を分析
- 自転車利用状況については、平均的な 1 週間における自転車に乗る日数と時間を質問紙で調査し、週当たりの自転車利用量を、「非利用、1~74 分、75~149 分、150 分以上」の四つのカテゴリーで分類
日本は欧米に比べて多くの高齢者が自転車を移動手段として利用している現状があることから、自転車利用者は社会交流や身体活動量が多いことから、何らかの効用が確認できるのでは?という着眼点から行われた研究となります。
一般成人を対象にした複数の研究では、自転車利用者は死亡リスクが低いことが既に報告されていますが、高齢者では、欧米においてこの関連を認めた報告と、認めなかった報告の両方があり、一貫した結果は得られていませんでした。加えて、日本では長期の追跡研究そのものが行われていません。
そうなんです。
欧米だと比較的こういった長期の追跡研究がよく行われているのですが、日本国内では研究事例が少ないんですよね。
筑波大学さん、ほんとグッジョブです。
調査結果(その1)〜 要介護・死亡リスクの低下
調査開始時点で自転車を短時間でも利用していた高齢者は、非利用者と比べて、その後の10年間で要介護状態になるリスクと死亡リスクが大幅に低いことが明らかになりました。この結果は、自転車に乗る習慣があることが、身体的な健康を維持し、長期的に自立した生活を送る上で重要であることを示しています。
まずは死亡リスクについて。非利用者に比べて大きく死亡リスクを低下しています。

ローディー的には、「自転車に乗っている時間が長いほど良いに決まっている」と思い込んでしまうものですが、残念ながら結果として、自転車利用量が多い者ほど各リスクが低下するという量的に顕著な関係性は見られませんでした。75分超になると、ほぼ同じレベルになっていますね。
続いて、要介護化リスク。健康寿命という意味ではとても重要な指標ですね。

こちらも明確にリスクが下がっています。
要介護化リスクに関しては、死亡リスク以上に運動量との相関性はなさそうです。
調査結果(その2)〜 自動車非運転者における顕著な効果
この研究で特に注目すべきは、自動車を運転しない高齢者において、自転車利用の健康効果がより顕著だった点です。日本では高齢者の運転免許返納が進んでいますが、この研究は、返納後の移動手段として自転車が重要な役割を果たす可能性を示唆しています。車を運転しない人が自転車を利用することで、移動の機会を確保し、身体活動量を維持できるため、要介護や死亡リスクがさらに低下すると考えられます。
調査結果(その3)〜 継続利用・利用開始の効果
2013年と2017年の2時点の自転車利用状況を比較した追加調査では、自転車を継続して利用していた高齢者だけでなく、この期間に自転車の利用を開始した高齢者も、要介護リスクが低いことが示されました。この結果は、高齢になってからでも自転車利用を始めることで、健康寿命を延伸できる可能性があることを示唆しており、社会的な啓発や支援の重要性を示しています。
まずは死亡リスク。

続いて要介護化リスク。

いづれも継続した方が効果的であることは事実ですが、期間中に開始した場合でも一定の効果が確認できた模様。
10年間にわたる継続研究というのは継続性や予算との兼ね合いからなかなか難しい側面もあるとは思いますが、日本でもこういった長期研究はどんどん取り組んで欲しいものですね。
自転車ブームも去り、自転車を趣味にしている人は、日本では今やおじさんばかり、という状況かと思いますが、健康寿命を少しでも長く保つためにはとても良い趣味だと思いますので、健康観点からも、もっと業界が活性化してくれると嬉しいですね。


コメント