Garmin が TrainingPeaks を買収

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2026年7月22日、スポーツ向けGPS機器・ウェアラブル最大手の Garmin(ガーミン) が、トレーニング管理プラットフォームの世界的巨頭である TrainingPeaks および筋力トレ向けアプリ TrainHeroic の買収を正式発表しました。

Garmin はプラットフォーマーとしての立ち位置をより強固なものにしようとしていますねー。

Garmin が TrainingPeaks を買収

そもそも「TrainingPeaks」とは?

TrainingPeaks は、ロードバイク、トライアスロン、マラソンなどのエンデュランス(持久系)競技において、世界中のアスリートやプロコーチに最も利用されている データ駆動型のトレーニング管理・分析プラットフォーム です。

私のようなアスリート、と呼ぶのも烏滸がましい週末ローディーでも、気軽に無料版で週次の運動負荷を一元管理できるアプリとして愛用しています。

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TrainingPeaksでは、運動負荷を示す TSS(Training Stress Score)や NP(Normalized Power)、CTL(長期負荷)/ATL(短期負荷)/TSB(疲労度・コンディション)といった指標を用いて、科学的にパフォーマンスを管理することができます。

また、TrainingPeaks の最大の特徴の一つとして、ベンダーフリー(中立性)という点が挙げられます。
これまでは特定のデバイスメーカーに依存せず、Garminをはじめ、Wahoo, Coros, Suunto, Polar などのあらゆるスマートウォッチやサイクルコンピューターと連携できることが最大の強みでした。

今回の買収劇によって、Garmin以外のデバイスメーカーがどのような反応を起こすかは興味深いです。

買収の具体的な内容

今回の買収対象はPeaksware Holdings社が所有する TrainingPeaks、TrainHeroic(および2024年に買収されたインドアサイクリングアプリ TrainingPeaks Virtual)となっています。

買収額は現時点では非公表となっていますが、Garmin の今後の決算報告の中で買収額は明らかにされることでしょう。

各アプリの従業員約120名はGarminへ移籍するということですので、比較的円満な買収劇となった模様。

Garmin の狙いとは?

なぜGarminはこのタイミングでTrainingPeaksを買収したのでしょうか? 主に以下の3つの狙いがあると分析されています。

人間(プロコーチ)によるコーチング体験の強化

現在、AIによる自動トレーニングメニュー作成が急速に普及しています。しかしGarminは「プロの人間コーチによる指導・コミュニケーション」の価値を重視しており、TrainingPeaksが持つ豊富なコーチ陣とのネットワークとプラットフォームを獲得することで、エコシステム全体の体験価値を引き上げようとしています。

確かに今やAIにトレーニングの目的を伝えれば勝手にトレーニングメニューを組んでくれますよね。
私の知り合いにも、AIにメニューを組んでもらって2週間で無理なく2kg のダイエットに成功しましたー、なんて人がいますから。

プラットフォーマーとして大量のデータを保有しているGarminが、「人間によるコーチング」を重要視しているというのはちょっと意外でした。

サブスクリプション&ソフトウェア領域の収益強化

ハードウェア(スマートウォッチやサイコン)の売上だけでなく、高度なデータ分析や有料トレーニングプランの販売といったソフトウェア・サブスクリプション事業を強化する狙いがあります。

データは大量にありますから、そのデータをもとに収益の幅を広げていこうとするのは、とても自然なことですよね。

今やスマートウォッチもサイクルコンピューターも、デバイスとしての進化はほぼ頭打ち状態になっていますので、そこから先はソフトウェアやサービスに狙いを定めるのは、分かりやすい戦略ですし、TrainingPeaks はちょうど良い買収先だった、ということになります。

TrainingPeaks 既存ユーザーへの影響

多くのユーザーやコーチが心配しているのが「アプリはそのまま使えるのか?」「他社製デバイス(WahooやCorosなど)が排除されるのではないか?」という点です。

公式の回答:アプリは独立した「クロスプラットフォーム」として継続予定

TrainingPeaks運営陣からユーザー向けに送られた案内によると、「TrainingPeaksは引き続きクロスプラットフォームのエコシステムとして運営され、ユーザーやコーチはお気に入りのデバイスやサービスを継続して利用できる」 と明記されています。

したがって、現時点ですぐにサービスが終了したり、Garmin以外のデバイスが締め出されたりすることはありません。

とはいえ、他デバイスブランドからすると、自社で集めたデータが「Garmin傘下」の企業に収集・集約されるというのは抵抗感があることでしょう。

今後の各社の対応が気になりますね。

Garmin Connect への統合はどうなる?

短期的には TrainingPeaksGarmin Connect(Garminの純正アプリ)は別々のサービスとして並行運用される見込みです。

しかし、将来的には以下のような連携・統合が進むと予想されます。

  1. シームレスな同期: Garmin Connect内でTrainingPeaksの本格的なコーチングプランや指標が直接購入・閲覧できるようになる可能性。

  2. インドアアプリの整理: Garmin傘下のTacx Trainingアプリと、TrainingPeaksが保有するTrainingPeaks Virtual(旧IndieVelo)の機能統合や連携。

ただし、Garmin Connect専用機能にしてしまうと他社デバイスを使う選手を抱えるコーチ陣が離脱してしまうため、TrainingPeaks自体の「中立性」はある程度維持せざるを得ないとみられています。

Garmin も独自の「運動量」を数値化していたりするのですが、正直分かりにくいと感じていますので、Garmin Connect の内容をTrainingPeaks に寄せていくのは大賛成ですね。

マーケット&海外メディアの反応

DC RainmakerやCycling Weekly、BikeRadarといった海外の主要スポーツ・テクノロジーメディアでは、今回のニュースが大きく報じられています。

  • 好意的な評価: 「AI自動作成が全盛の時代において、人間コーチの重要性を再評価した大型買収」「ハードウェアと業界標準分析ツールが一体化することでユーザー利便性が上がる」という声。

  • 懸念・批判的な視点: 「プラットフォームの中立性が失われるのではないか」という懸念。過去にGarminが心拍・疲労分析のFirstbeat社を買収した際、他社へのライセンス提供が徐々に縮小していった前例があるため、WahooやCorosユーザーからは長期的な影響を警戒する声もあがっています。

  • 業界全体の再編トレンド: 近年、StravaによるRunna買収やZwiftによるRouvy買収など、フィットネスアプリ市場では大手による買収・垂直統合が加速しており、今回の発表もその大きな流れの一部として受け止められています。Garmin(ガーミン)によるTrainingPeaks(トレーニングピークス)の買収は、エンデュランススポーツ(マラソン、サイクリング、トライアスロンなど)の業界にとって非常に大きなニュースです。

ハードウェア(GPSウォッチやサイクルコンピューター)の絶対的王者であるGarminと、科学的トレーニング分析・コーチングプラットフォームの世界的スタンダードであるTrainingPeaksが1つの傘下に入ることで、今後のスポーツテクノロジーの勢力図が大きく変わろうとしています。

ユーザーとしてはそこまで大きな懸念はないのですが、業界にとっては大きな買収劇であることは事実。
今後のGarmin の動きについては、注目していく必要がありそうです。

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