GIANT製品が米国で輸入禁止に(政争の一環なのか業界の悪習なのか)

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最初は「またトランプ関連かい」と思っていたのですが、どうもそうとも言えないようで。
台湾のジャイアントは大丈夫なのでしょうか。

米税関、世界最大の自転車メーカーに輸入禁止措置 強制労働疑惑で
米国の税関当局が、世界最大の自転車メーカー、ジャイアントの製品の輸入禁止を突然発表した。当局は強制労働疑惑を理由に挙げているが、詳細な内容は明らかにしていない。ジャイアント側は輸入禁止措置を受けたことで、米国への出荷に遅延が生じる可能性があ...

米国でGIANT製品が輸入禁止に

経緯

米国税関・国境警備局(CBP)は2025年9月24日、ジャイアントが台湾で製造した自転車や部品、アクセサリーに対し、強制労働の兆候が認められたとして輸入差し止め命令(WRO:Withhold Release Order)を発令しました。この措置により、該当製品の米国市場への輸入が即時停止されています。
CBPの調査では、ジャイアントの製造工程において、賃金の未払い、借金を担保にした労働者の拘束、不法な長時間労働など、国際労働機関(ILO)が定める強制労働の複数の指標に該当する状況が確認されました。これらの労働慣行により、ジャイアントは市場価格を下回る価格で製品を製造し、米国企業に対して不公平な競争優位を築いているとCBPは指摘しています。

ジャイアント側はこの差し止め命令に対し撤回を求める請願を提出し、米国当局との協力を表明しています。また、過去一年間に「採用手数料ゼロ政策」の導入や従業員住宅の改善など、労働環境の具体的な改善措置を講じていると説明しています。ただし、米国向け出荷の一部に遅延が生じる見込みで、その他の国への供給には影響がないとしています。

この措置は、強制労働を使用した疑いのある外国製品の輸入を禁止する1930年関税法に基づくものであり、2025年に発令された数多くのWROのひとつです。米国はこれを通じて、人権侵害を伴う製造過程で生産された製品の市場流通を阻止し、サプライチェーンの透明化と公正な競争環境の確保を目指しています。
今回の措置は、ジャイアントだけでなく欧州や米国の大手自転車ブランドに影響を与える可能性があり、グローバルサプライチェーンにおける労働環境監視の重要性を浮き彫りにしています。

債務奴隷とは

個人的に「まじかい」と驚いたのが、債務奴隷が常態化していたのではないか、という指摘です。こちらの記事によると、ジャイアントの台湾工場では債務奴隷が常態化していてまずいぞ、という指摘が昨年来されていた模様。
知りませんでした。

ちなみに、債務奴隷とは、借金の返済を理由に、強制的に労働させられる奴隷制度の一種です。借金の額や返済期間が不透明であったり、過大な金利や生活費が上乗せされたりするため、労働者はいつまで経っても借金を返済できず、永久に支配されることになります。
カイジの世界ですね・・・。

先の記事では以下のようにこの点について触れています。

調査報道ジャーナリストのピーター・ベンツェン氏は2022年から2025年にかけて台湾の移民労働者200人にインタビューを行い、債務奴隷制が「例外ではなく常態」であることを明らかにしました。取材によると、ベトナムやタイからの労働者は数千ドルの紹介料を前払いで負担しており、中には家を抵当に入れて借金をしているケースも報告されています。

ジャイアントで働く為には、紹介料を払う必要があるわけで、それが常態化していたと言います。

このご時世、そりゃあかんですよ。

で、ジャイアント社もこの点については否定し切れずに暗に実情を「認めて」いるんですよね。

一方ジャイアント社は輸入禁止措置の撤回を求め、「紹介料ゼロ政策」の導入や従業員住宅の改修など、労働環境改善に向けた具体的な措置に取り組んでいると説明しました。

紹介料ゼロ政策って・・・。

紹介料取ってたことは事実として認めているわけです。

是正したから良いよね!という内容ではないんですよねー。

ジャイアント社は「米国向け出荷の一部に遅延が生じる見込みで、その他の国への供給には影響がない」と発表していますが、台湾は各種メーカーから生産を受託している国ということもあり、他社・他国製品に影響を及ぼす可能性もあります。
今後この騒動がどこまで波及していくのか注意していく必要がありそうです。

 

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