AfterShokz AeropexとTITANIUMを比較してみた(比較レビュー)
めちゃめちゃ懐疑的だった骨伝導イヤホン。
音は良いのだろうか?
つけ心地はどうなんだろうか?
いろいろ違和感とかないのだろうか?
使ってみたら「音良いじゃない」となり。
冬場、バラクラバの上からでも「使えるかも」ということが判明。
おおよそ一年、オールシーズンに渡って使ってきた結果、ロードバイクに乗る時には骨伝導イヤホンで決まり、というのが個人的な結論となりました。
エレコムのイヤースピーカーは、いったん引き出しにしまいましようかね。
そんなわけで、今回はAfterShokzの骨伝導イヤホンの最新機種、Aeropexと、ここまで約1年頑張ってきてくれたTITANIUMとの比較レビューを行なってみたいと思います。
ちなみにエレコムのイヤースピーカーとTITANIUMの比較レビューはこちらをご覧下さい。
1. AfterShokz Aeropexの特徴
AfterShokz Aeropexは2019年9月に追加されたモデルになります。
(a) AfterShokzのラインナップ
AfterShokzにはメモリを内蔵したXTRAINERZという製品もありますが、純粋な骨伝導イヤホンとしては、
- Aeropex
- AIR
- TITANIUM
の3種類がラインナップされています。
私が今まで使っていたのがエントリーモデルのTITANIUMで、今回追加することになったのがハイエンドのAeropexになります。ので、AfterShokz AIRの後継機種にあたる製品ですね。
(b) 仕様比較
以下、それぞれの主な仕様比較となります。
詳細は公式サイトがありますので、こちらをご覧下さい。
Aeropex | AIR | TITANIUM | |
価格(税別) | ¥18,180 | ¥13,880 | ¥8,880 |
骨伝導テクノロジー | PremiumPitch 2.0+ | PremiumPitch+ | PremiumPitch+ |
防水仕様 | IP67 | IP55 | IP55 |
Bluetooth | Ver5.0 | Ver4.2 | Ver4.1 |
持続時間 | 8時間 | 6時間 | 6時間 |
重量 | 26g | 30g | 36g |
上記比較表を見るとそのままなのですが、TITANIUMからAeropexにすると、結構なアップグレードになることがわかります。
以下、TITANIUMからAeropexになることで改善されたポイントを確認してみたいと思います。
(c) ポイントその1:バッテリー持続時間が2時間アップ
ローディーにとって最も嬉しいポイントは、バッテリー時間が6時間から8時間にアップしたことではないでしょうか。
正直、私レベルの週末ローディーですと6時間あれば何とかなったりするのですが、例えば150〜160kmのライドを目指す場合、6時間だと少し足りないんですよね。
ライド時間が5時間台というのはそこそこありますし。それが8時間となると、ほぼほぼ足りなくなることもなくなります。
(d) ポイントその2:10gの軽量化
たかが10g、されど10g。
ロードバイクは軽量化させる為に大金を投じるスポーツですから。
って、10gの軽量化に1万円かけますか?と言われると、そりゃ無理なんですが。
グラムあたり1000円換算ですからね・汗
コンポを105からデュラエースにアップグレードする時でも、グラムあたり300円くらいでしょうか。
ただ、後で触れたいと思いますが、この10gの差は馬鹿にならない差でした。
(e) ポイントその3:防塵レベルの向上
防塵レベルについては、TITANIUMよりもAeropexはワンランク上となっています。
防塵等級 | 保護の程度 | テスト方法 | |
TITANIUM | 5 | 粉塵からの保護 | 機器の正常な作動に支障をきたしたり、安全を損なう程の料の粉塵が内部に侵入しない |
Aeropex | 6 | 完全な防塵構造 | 粉塵の侵入が完全に防護されている |
つまり、TITANIUMは、すこーーーしは粉塵が本体内に入り込むことはあるかもしれないけど、故障するようなことはないよ、というレベルなのですが、Aeropexに関しては「一切内部に入ることはありませんよ」と断言できる保護レベルになっているわけですね。
ま、どちらも「故障させないですから」という点では共通なのですが、長年、過酷な環境で使い続けた場合には差が出てくる可能性は否定できませんね。
(f) ポイントその4:防水レベルの向上
防水レベルについては、TITANIUMよりもAeropexはツーランク上となっています。
防水等級 | 保護の程度 | テスト方法 | |
TITANIUM | 5 | いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない | 3mの距離から全方向に 12.5l/分・30kpaの噴流水、 3分間 |
Aeropex | 7 | 規程の圧力、時間で水中に沒しても水が浸入しない | 水面下・15cm〜1m、30分間 |
TITANIUMの場合、雨の中走り続けても大丈夫なレベルかと思いますが、Aeropexは水没させても問題ないレベルになっていますね。
通常のライドであればどちらも問題になることはないかと思いますが、大きな水滴がついた状態で長時間放置(装着したまま等)された場合、じわじわと水が浸水していくケースもありますので、その点ではAeropexの方が高い安心感がありますね。
(g) ポイントその5:Bluetoothのバージョンが進化
Bluetoothのバージョンが4.1から5.0に上がったのはとても大きいです。
人混みの中で使えばその違いは一発でわかります。渋谷のスクランブル交差点や朝の品川のコンコース内のように、人で溢れかえるような場所で使った場合、V4.1だとブツブツ途切れてストレス半端ないことになります。
ただ、ロードバイクで使うことを考えると、旧バージョンのV4.1でも問題に感じたことはないんですけどね。
(h) ポイントその6:振動を低減
以下が公式の謳い文句になります。
PREMIMPITCH 2.0+
振動ユニットが頬骨に対して最適な角度を維持。より深みのある低音と、より少ない振動の両立を可能にしました。
実は、骨伝導イヤホンの最大の難点が、この「振動」だと思っています。
1〜2時間ならまだしも、5時間も付け続けていると、この振動による「肌ストレス」をかなり感じていました。
つねにピリピリした感じなんですよね。
もしこの振動が軽減しているとしたら、それは個人的にはかなり有り難いです。
(i) ポイントその7:音漏れを50%低減
ロードバイクに乗っている時には、あまり音漏れを気にするようなシチュエーションも少ないのですが、音漏れが半減したというのはすごいですね。
2. 外観レビュー
以下、両モデルを比較していきたいと思います。
どうやら、キーワードは “BE OPEN” だそうです。
Garmin だと “beat yesterday” とかありますが、海外メーカーはこういったキャッチフレーズをつけてブランディングするのが上手ですよね。
今回、ケースがシリコン製になりました。
ま、あまり使うことはないとは思いますが・・・。
こちら付属品。
TITANIUMの時もそうでしたが、耳栓がついてきます。
こちらも使うことはないのですが。
だいぶ小振りになりました。
両モデルを比べると、かなり違うことが見て取れます。
スピーカーユニットがついているヘッド部分ですが、体積でいくと半分くらいの大きさになります。
実際の付け心地に大きく影響するポイントになるのですが、重量だけでなく、付け心地も含めて相当「軽く」感じました。
厚みも少し薄くなっています。
この辺りの穴あき処理の違いなどで、防塵・防水の等級が変わってくるのでしょうね。
こちらが肌に当たる部分になりますが、形状がガラッと変わっています。
Aeropexは「のっぺり」していますね。
表面積の違いもありますが、どちらの方が装着した時に違和感が少ないかというと、そりゃAeropexになります。もう圧勝でした。
下から見た図。
全くの別物ですよね。
ツルと呼んでいいのか分かりませんが、頭の後ろに回されるバンド部分も太さは半分くらいになりました。
この辺りも装着時の軽快さに一役買ってくれています。
こちら操作部。
ボタン配置と充電用の接点との位置関係が逆転しました。
手探りする場合に、TITANIUMだとボリュームのプラスボタンが「真ん中あたり」を手探りするのですが、Aeropexだと「先端部分、端っこ」を手探りすることになりますので、素早く探し当てることができるのはAeropexになります。
TITANIUMは充電用の接点がブラスチックカバーで覆われているのですが、その分少し厚みが出ていてボタンの突起との違いが分かりづらくなっているのですが、Aeropexは充電用接点はむしろ凹んでいますので、ボタンの突起が探りやすくなっています。
走行中にボリュームボタンを操作することはそれほどないでしょうが、手探りし易いのはAeropexでした。
電池や各種機器が格納されているボディ部ですが、高さはそれほど変わっていませんが、左右の幅は半減しています。
この辺りはそのまま軽量化につながっていますね。
充電用のコネクターは専用品になってしまいました。
他のUSBケーブル等の使い回しができないのは不便なのですが、マグネットになっており、充電自体はとても楽にできるようになりました。
こちらのコネクタ部に近づけると、
カチッと吸い寄せられて簡単に装着できます。
これ、とってもストレスフリーで良いです。充電ケーブルが専用品になってしまうのはデメリットですが、自宅→ライド→自宅の繰り返しで使う私のようなケースでは、接続がストレスフリーになった点のメリットの方が大きいですね。
宿泊しながらツーリングするようなスタイルの方だと、汎用品の充電ケーブルの方がメリットは大きそうですが。
定番の体重測定です。
まずはTITANIUM。
公称通りぴったり36gです。
優秀ですね。
Aeropexは25g。
公称が26gですから少し得した気分ですが、この位になると誤差(スケールの精度誤差)の範囲内でしょうね。
3. 動作音が変更になった
TITANIUMとAeropexでガラッと変わったのが電源のオン・オフの動作音になります。
最初びっくりしました。
(a) 起動時の音声アナウンス
- TITANIUM:”Welcom to AfterShokz”(英語)
- Aeropex:「アフターショックスへようこそ」(日本語)
そもそも、言語が変わりました。
TITANIUMは女性の英語。もともとの声質もあるのでしょうが、英語圏のお姉さん、比較的低めな声でした。Aeropexでは若めなお姉さんの声になりました。声も少し高めですね。
(b) ペアリング時の音声アナウンス
- TITANIUM:”connected”(英語)
- Aeropex:「接続しました」(日本語)
(c) 電源オフ時の音声アナウンス
- TITANIUM:”Good Bye”(英語)
- Aeropex:「終了します」(日本語)
どちらが好みとかはないですが、声のキーがTITANIUMの方が低めで落ち着いていたので、個人的にはTITANIUMの方が好みでしたが。
4. 音質レビュー(室内編)
続いて、室内で同じ楽曲を聞き比べてみました。
(a) 音量レベル
普通の生活音のある室内で、普通に音楽が楽しめる程度の音量で聞いてみました。
我が家にはiPadが二台転がっていますので、左右に並べてそれぞれにペアリングさせ、聞き比べています。Musicアプリでこのくらいの音量レベルです。
AeropexとTITANIUMでボリュームを揃えると、TITANIUMの方が音は大きめに聞こえてきます。ボーカルが同じ大きさに聞こえるようにそれぞれのボリューム音量を合わせようとすると、TITANIUMのボリュームを1つ下げるとちょうど良いくらいに。
同条件だとTITANIUMが「元気」「パワフル」に聞こえ、Aeropexが「大人しく」「上品に」聞こえます。
(b) 全体的な音質の傾向
低音の膨らみはTITANIUMの方が大きいです。ビートの「ドンドン」という音に合わせて、肌が圧迫される感じあり。音の解像感はAeropexが上。音の見通しも良い。澄んだ綺麗な音に聞こえます。
反面低音はTITANIUMを「ドンドン」だとすると、Aeropexは「トントン」と少しおとなし目に。その分、ビートに合わせて肌が圧迫される感じはAeropexの方がかなり少ないです。
TITANIUMがよく言われる「ドンシャリ」型で、高音と低音が強調される傾向にあり、Aeropexがよく言われる「かまぼこ」型で、高音と低音を誇張させることなく、中音域がよく聞こえる特徴がありました。
(c) 音漏れ
イヤホンを外して音漏れを聞いてみると、両方ともに「シャカシャカ」と音漏れあり。
但し、Aeropexの方が低音の厚みが薄くなる感じがあり、音漏れは少ないです。
耳につけて聞いた時に低音の量が減った分がそのまま反映されている感じ。
Aeropexの方がだいぶ音漏れは少ないわけですが、試しにAeropexの音漏れのボリュームに合わせてTITANIUMの音量を下げていくと、MUSICアプリで4メモリ分音を下げた時と同じくらいでした。
公称では音漏れを50%削減した、とありましたが、あながち誇張表現ではなさそうです。
(d) 振動
耳から話した状態で、サイド部分を持って手に伝わる振動を比較してみると、程よい音量時だと、Aeropexは「微かに震えている」のが分かる程度。
一方TITANIUMは「振動そのもの」が指先に伝わってくる。
音漏れでは4メモリ分の差がありましたので、試しに4メモリ下げたらどうなるか確認したところ、4メモリ下げても、ビートの「ズンズン」に合わせて指先に伝わる振動は、明らかにTITANIUMの方が大きかったです。Aeropexはビートに合わせた振動はあまり感じず、均一的に微かな振動が伝わってくる感じ。
耳に当たるスピーカー部分の体積ボリュームはTITANIUMの方が倍近くある為、TITANIUMはボリュームに応じて筐体全体が共鳴・振動している感じがしました。
どちらが肌へのストレスが低いかといえば、Aeropexの圧勝ですね。
5. 個別楽曲毎の音質傾向
以下に、同一の楽曲をジャンル別で聞き比べた時の感想を列挙してみたいと思います。
ほんと、この手の音質レビューは個人差が大きい領域になりますので、「へー」と軽く読み流して頂ければと。
(a) J HIP HOP
- 男性ラッパー、女性ボーカル入りの曲で視聴。ボーカルとトラックのバランスはAeropexが良い。「音楽」として聞く場合には圧倒的にAeropex。比べるとTITANIUMは音が荒く長時間聞くと疲れてきそう。
反面、ノリよく楽しく聞くならTITANIUMの勝利。
(b) Jazz
- ピアノトリオ、ライブ音源で視聴。音数が少ないこともあり、TITANIUMでもまったく荒さを感じることがない。
- Aeropexはとにかく「音が綺麗」。解像感が高いというよりは、音のひずみがなく、ピュアな音。どちらが音質が良いかと聞かれれば、間違いなくAeropex。
- 他方、どちらが「明るい音か」と聞かれるとTITANIUM。生音にはTITANIUMは合っているのかもしれない。
(c) J-POP(女性)
- TITANIUMは 明るく元気でドンシャリ。ノリノリで聞ける。他方、ドラム、ビートの振動が肌に響いてきて疲れる傾向あり。静かな室内で集中してみると、そこそこ不快なことに気づく。
- AE ROPEXは綺麗に鳴らして気持ちよく聞ける。ドラム、ビートは控えめな分、不快な振動はほぼ感じない。それでは物足りないかと言われると、ギリギリのラインで物足りなさを感じないレベル。ただし、普段から重低音強調型のイヤホンやヘッドホンがあまり好きでないタイプですので、ズンドコ言ってナンボ、みたいな人だと物足りなさを感じる可能性あり。
(d) R&B(男性)
- ズンズンくる曲を選択。ビート、ドラムが前面に出てボーカルがその後ろにくる感じ。ピアノやギターのラインは少し沈みがち。かなりドンシャリ。でも気分よくのれる楽曲。
- 原曲がかなりズンズンくる曲だと、Aeropexでもしっかり「ズンズン」鳴ってくれる。ボーカルやピアノ、ギターのラインも綺麗に聞こえ、フラット寄り。逆に「ズンズン」強調する曲だと、肌ストレスも含めてAeropexの方が疲れずに聞ける。
6. サマリ
音質が良いのはどちらか?と聞かれれば、個人の好き嫌いはあるでしょうが、Aeropexになるかと思います。「美音」とか「ピュア」な音質なんだと思います。
ではTITANIUMはどうかと言われると、元気で明るい傾向にあるので、聞いていて楽しいですし、ロードバイクに乗ったりする時にはノリノリでテンション上げられるので楽して好きです。
好き嫌いは別にして、「違い」は明らかにありますので、迷う場合には聞き比べた方が良いかと思います。
これは完全に蛇足ですが、公式サイト、雪降ってるみたいで我が家の娘ちゃんが「きれいー」と食いついて来ました。
これって、季節が変わったら変わるんですかね?
春になると桜が舞う、みたいな。
ちょっと気になりました。
今回は室内で外観やら音質やらを比較してみましたが、次回はライドに持ち出した時の比較レビューをしてみたいと思います。
むしろ、そちらが本番で、今回は遠大な前置きみたいなものですが・・・。
コメント
私もTITANIUM持ってて、2年ぐらい使っていたのですが、バンド部分がつぶれてしまいました。
無名メーカーの安物に買い換えましたが、音質等は変わらないのですが、使い勝手が悪くて…
慣れの問題なのか、電話がかかってきたときの音が、それっぽくない音、充電の残量がわからない…
やっぱりTITANIUMの方が、良かったな
>ヨッシーさん
今ならTITANIUMも大分お買い得になってきましたから、どうですか・笑
再生、一次停止でもよく使うマルチファンクションボタンが、周辺に余計なボタンもない為使いやすいんですよね。
ライドで疲れている時など、こういった細かな使い勝手の違いが、大きな違いになってくるもので。
よく考えられてるな、と思います。