先日カステリから発売されたグリッパーレスのショーツですが、そこそこのお値段で購入することができました。
早速ライドで数回使ってみましたので、インプレをまとめてみたいと思います。
Castelli(カステリ)FREE AERO RC SHORTを購入
1. カステリ フリーエアロRCショーツ
カステリから今春に発売されたエリーエアロRCビブショーツ&ショーツ。
製品の詳細については先日の記事をご確認いただければと。
シリコングリッパーにかぶれることがある為、めっちゃ気になっていたのですが、先日某所でビブショーツではなくショーツが若干お安くなっているのを見つけまして、早速購入してみました。
昨年までは夏場はパールイズミのコールドシェイドスパッツを愛用していましたので、主にそちらと比較していきたいと思います。
2. サイズ感
まずはサイズ感。
カステリといえば「とにかくタイト目」というレビューが多く、人によっては通常よりもワンサイズ上を購入されているほど。
私自身、先日カステリのエントラータビブニッカーを購入したのですが、公式のサイズチャートに従って「Sサイズ」を購入しましたが、確かにタイト目に感じています。
ただ語弊があるといけないので説明しますが、カステリのウェアは決して「小さい」わけではないと思います。
単純に、タイトな仕様になっているだけなんですね。
例えばコンプレッションウェアで有名なアンダーアーマー。
もともと「コンプレッションウェア」ですので、体にぴったりフィットするのが当たり前。
だからといって、あれを「きつい」と一刀両断してワンサイズ上を購入するのであれば、コンプレッションウェアの意味がありません。
カステリもおそらく、ぴったり体にフィットさせるという思想が、他社よりも更にワンランク上なんだろうな、と感じています。
私が購入したエントラータビブニッカーも、カステリに言わせれば「コンフォート(快適)フィット」なんですから。
パールイズミだったら、あれはレースフィットだよな、と思います。
その辺りは、あくまでも思想の違いなんだろうな、と。
で、本題。
その辺りを理解していましたが、今回のフリーエアロRCショーツは「エアロフィット」。
これは明らかに「ぴったりタイト目」であることが想像されます。
とはいえサイズチャートだと私の適正サイズはSサイズど真ん中。
まずはカステリを信頼して購入してみることに。
で、着用。
めっっっっちゃタイト・笑
ここで思い出すことが。
2008年頃でしょうか、競泳の世界で SPEEDO社のレーザーレーサーが大流行しました。
一人で着るのも難しいと言われるほど、体に超絶タイトフィットする水着で、一時期は競泳選手ですら入手が難しいと言われるほど大流行しました。
水泳の世界では、とにかくシワなんて作ろうものなら水流の抵抗でタイムが落ちるわけですし、生地の仕上がりによっても水流抵抗が変わるわけで、裸で泳ぐよりもレーザーレーサーを着た方が速いと言われていました。
私も一般向けの SPEEDO の競泳水着を着て泳いでいた時期がありますが、まータイトフィットですよね。
もうね、あの感覚なんです。
まず履こうとすると、最初に骨盤でひっかかります。
そこをぐいっ、と生地を広げて腰を通し、生地をひっぱりながらずり上げて履く感じ。
競泳水着と同じだねー、と。
で、着た直後は「きつい」の一言なのですが、では我慢できないきつさかと聞かれると、そんなことはなく。
それこそ、締め付けがきつ過ぎて太ももが鬱血することもなく。
ただただ、タイトなんですね。
これはきっと、素っ裸で走るよりも、このショーツ履いて走った方が空気抵抗は少ないんだろうな、というのが容易に想像できました。
3. 比較インプレ
四十路のおじさんが、ぴったぴたに履いた姿を写真で撮影するのは幅られますので、いつものように生地を比較していきたいと思います。
(1) 生地
それでは早速生地を見ていきたいと思いますが、カステリのロゴについても、パールイズミの一部のウェアにあるような「洗濯を繰り返すと剥がれてくる」タイプではありませんので、この辺りからして高級感があります。
こちらがメインの生地表面。
つるっとしていて、触り心地が良いです。
さすがイタリア生地。
内腿には少し異なる生地が配置されています。(写真の左側)
これが東レのライクラファイバーでしょうか。
ライクラ®ファイバーは、クモの糸のように細く、透明で、引っ張ると元の長さの4~7倍にまで伸び、力を緩めればまたすぐに元に戻るという、優れた伸縮性をもつ合成繊維です。生地に伸縮性と回復性を加えます。
ライクラ®ファイバーを混用した衣料品は、動きやすく、しなやかな着心地と、快適なフィット感を着る人に提供します。
動きに合わせた生地の配合にすることで、フィット感と疲れを軽減するコンプレッションとを実現しているそうです。
参考までに、パールイズミのコールドシェイドと並べてみました。
左側がコールドシェイド。
若干「ざらっ」としていて、より通気性が高い生地になっています。
カステリの方がしなやかな生地で、着心地が良いですね。
(2) 生地の厚み
生地は非常に薄いです。
ただ、ここまで薄いと細かな違いが分かりにくいんですよね。
夏場に履くショーツということで、通気性の観点からもう少し掘り下げてみました。
こんな感じで、カメラのレンズ部分に生地を被せて撮影してみます。
まずは真夏に着用しても涼しく走ることのできる、パールイズミのコールドシェイド。
おー。
こうやって見ると、通気性を高める生地の織り方をしているんだな、というのがよく分かりますね。
お次がカステリ。
カステリの方が明らかに通気性という点ではパールイズミのコールドシェイドに劣るだろうな、というのがよく分かります。
通気性よりも、着心地とフィット感、高いコンプレッション性を追求しているわけで、この辺りが思想がはっきりと分かれるところですね。
ちなみに、こうやって並べてみると、「いやいや、そこまで大きな違いではないのでは?」と思われる方もいるでしょうが、まったく同条件で撮影していますが、光量はびっくりするほど違いがありました。
- パールイズミ:シャッター速度 60秒
- カステリ:シャッター速度 2秒
露出にして7EVの違い。
これはどの位の違いかというと、ざっくり「晴天屋外」と「体育館の中」くらいの違いがあります。
いやいや、明るさ(光が漏れる穴の大きさ)と通気性は必ずしも同じではないよね?というツッコミはその通りではありますが、一つの考察として参考にしてみていただければと思います。
(3) 縫製
カステリに関しては、縫製はもうちょい頑張れませんかね?と思うのが正直なところ。
生地と生地の縫い合わせはきっちりしていますので、ほつれたりといった心配はないのですが、縫い代が「大きい」んですよね・・・。
加えて今回のフリーエアロRCはかなりのタイトフィットですので、数時間着用すると、この縫い代が肌にくっきりと刻み込まれます。
現時点では最長5時間までしか継続着用していませんので、肌にくっきり残る跡が「痛み」に転じることはありませんでしたが、ブルベとかで10時間連続着用する、みたいな話になると、人によっては少し痛みが出るのでは?と。
この辺りは明らかにパールイズミが上だな、と感じています。
写真の上がカステリ、下がパールイズミですが、縫い代の違い、かなり明らかですよね。
タイトフィットなカステリだからこそ、この辺りの縫い代への気配りを期待したいところです。
(4) 滑り止め(グリッパー)
今回もっとも期待していたのがグリッパーレス仕様。
はい。
右側がフリーエアロRCショーツなのですが、まったくグリッパーがありません。
表地と裏地がまったく同じ。
すべすべで全くのストレスフリーでした。
左側はエントラータビブニッカーのグリッパーでして、このグリッパーが当たる箇所は脛部分。
そこまで筋肉の盛り上がりがあるわけではないので、長時間の着用でもシリコンかぶれは未経験ですが、走行時間&休憩時間合わせて7時間ほど着用した際には、乾いた汗に含まれる塩分でシリコングリッパーが肌に張り付いて少し痒みで出ていました。
肌が赤くかぶれることこそなかったのですが、もしこれが太もも部分だったら、確実に赤くかぶれていたと思います。
そんな私でも、グリッパーレスなこのショーツであれば、まったく気にすることなく着用できますね。
(5) パッド
パッドはカステリの最上位に位置付けられる Progetto X2 Air Seamlessパッド。
先日購入したエントラータビブニッカーのパッドが Kiss Ari2。
比べてみました。
右が Progettoですね。
触っただけでは、正直違いはよく分かりません。
こちらがKiss Air2 パッド。
こちらが Progettoパッド。
明らかに通気性は Progettoパッドの上が上そうですね。
4. 実走レビュー
ということで、実際に走ってみました。
- 走行時間2時間(着用時間2時間半)
- 走行時間3時間(着用時間4時間)
- 走行時間3時間半(着用時間5時間→昼食休憩込み)
- 走行時間4時間半(着用時間6時間→昼食休憩込み)
天気に恵まれなかったり、諸用との関係からまだ5時間超のライドには持ち出せていないのですが。
(1) 着用感
まずは気になる着用感。
かなーりタイトですからね。
- 走り始めてしまうと、タイトな着用感もあまり気にならない。ペダリングが妨げられるような窮屈感は一切なし
- 着用時こそ「きついなー」と感じるわけですが、ライド中だけでなく、休憩時に自転車から降りて改めて注意を向けると「そこまできついわけではないかな?」と、時間とともに良い感じに体に馴染んでくれる
- 筋肉をサポートしてくれている感じは確かにある。ジョギングでも、ユニクロの短パンだけで走るより、アンダーアーマーのコンプレッションタイツを来て走った方が楽なのと同じような感じ
- 先にも書いた通り、ライド後にショーツを脱ぐと、縫い代の跡が肌にくっきり刻み込まれている。着用時間6時間でも、その跡が「赤く」なることもなく、痛みが出ることはないので実害はなし
ということで、最初に着た時にはびっくりするほどのタイト感から「ライド大丈夫かな?」と心配になるほどでしたが、心配は杞憂に終わりました。
また、記録を録ったわけでもないので比較しようもありませんが、これ、おそらくSPEEDO の水着と同じで「裸で走る」よりも「フリーエアロRCショーツを履いて走る」方が、空気抵抗は確実に少ないだろうな、と思います。
まー、下半身の空気抵抗は減っていそうですよ、これ。
(2) パッド
パッドについては、Kiss Air2 と Progetto 、どちらも快適でしたね。
- 手で触っただけでは違いはよく分からないが、実際に履いてバイクを漕いでみると、Kiss Air2 パッドの方が若干「もちもち感」が高い。低反発な感じですね。長時間乗るならKiss Air2 の方が向いているかも?
- ウェアの生地が違うので厳密な比較にはならないですが、Progetto パッドの方が通気性は高そう。ライド後に脱いだ時のパッドに染み込んだ汗の量は Progetto パッドの方が明らかに少なかったです
パールイズミ、カペルミュールとタイツを履いてきましたが、パッドに関しては明らかにカステリの方が一枚上の快適さです。
冬用のタイツもカステリに変えたくなってきました。
ということで、夏場に向けて購入したカステリのフリーエアロRCショーツですが、大正解でしたね。
まー、快適ですよ、これ。
とはいえ、エアロでタイトフィットがすごいですから、個人的にはコンフォートフィットのショーツについてもグリッパーレスの製品をラインナップして欲しいところです。
おそらく、ショーツ全体のフィット感を高めることでグリッパーレスを実現しているのかと思いますが、カステリさん、コンフォートフィットでも十分タイトですから、そのままグリッパーレスにしても問題は少ないのでは?
是非、期待してます!!
コメント