すっかりブームが沈静化してしまった日本の自転車業界ですが、米国における2025年のトレンドはどうだったのか?という記事がありましたので、海外だとどんなもん?ということで、ちょっと内容をご紹介したいと思います。

2025年を象徴するトレンド・自転車関連技術
今回ご紹介するのは、米国のバイク専門メディア「BikeRumor」が選んだ「2025年を象徴するギア・トレンド・バイクテック」を総ざらいする内容となっています。
あくまでもテーマは「2025年に世界のバイクシーンを変えたギアとトレンド」となっていますので、個々の製品のインプレというよりは、「なぜそれが今年(2025年)らしいのか」「どんな価値観の変化があるのか」に焦点があり、2026年以降のトレンドを予感させるような内容となっています。
やはり、日本とはちょっと違うなー、というのが感じ取れるのではないかと思います。
電動コンポ戦争の加速
Shimano 無線Di2 MTB&GRX
ここ数年で電動コンポが本格化してきましたが、シマノがMTB向けコンポとしてDi2のラインナップを追加しました。
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ShimanoがついにMTB向け無線Di2(XTR・XT・Deore)を投入し、さらにその技術をGRX Di2としてグラベルにも展開
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特にこのマーケットにおいてはSRAMが一歩リードしてきたこともあり、「待望のカムバック」となった
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シフトスピードが速く、特にeMTB向けの設定を用意しつつもレスポンスを犠牲にしていない
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既存12速XTなどと互換性があり、カセットやクランクを流用できるアップグレードキット(XTR Di2・XT Di2・Deore Di2)が比較的手頃な価格で用意されている
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ブレーキも同時刷新され、「迷走するタッチ」やパッドのガタつきといった従来の弱点を、新設計と低粘度ミネラルオイルで解消した
私自身がロードバイクを使っていることもあり、そこまで注目はしてませんでしたが、確かに業界へのインパクトは大きいですよね。
Campagnolo Super Record 13
私自身カンパニョーロのコンポを使ってはいませんが、ホイールはカンパ。
伝統あるブランドでもあり頑張って欲しいところではありますが、昨年はどうも元気のないニュースが多かった気がします。

そんなカンパから新しく投入された電動コンポ、Super Record 13については、「イタリアン・ドライブトレインの復権」として取り上げられました。
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2×13速化、価格を約17%引き下げ、シフトスピードを36〜47%向上、重量も3%削減と大幅なアップグレードを実現
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従来ファンが愛した親指レバーが復活し、プログラム可能な追加スイッチや幅広いギア比・カセット(10-29〜10-48まで最大6種類)を用意
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2×13ロード、クラッチ付きオールロード&グラベル、1×TT/エアロ、ロングケージ1×グラベルなど、多様な構成が同一プラットフォーム上でクロスコンパチブルになっていることが大きな強み
なかなかアマチュアには手が届きづらいコンポではありますが、やはりカンパには元気になってもらいたいものです。
SRAM Force & Rival AXS(2×12 / 1×13)
私も愛用しているSRAMですが、ここ数年シマノがリコール問題で躓く間に、日本以外のマーケットでは元気いっぱい暴れ回っている印象です。
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SRAMはフラッグシップREDで話題をさらった後、そのテクノロジーをより手頃な価格帯のForceとRivalに展開し、「性能の底上げと価格バランスの両立」を実現しマーケットから高い評価を得ている
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RED・Force・Rivalはシフティングやブレーキフィールが非常に似通っており、「違いはほぼ重量と価格とブランドステータスだけ」という位置づけで、XPLRテクノロジーも継承
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これにより、ハイエンドだけでなくミドルグレードの完成車でも「ほぼフラッグシップ並みの操作感」を得られるようになり、SRAM vs Shimanoの構図がより拮抗してきた
本記事がSRAMお膝元の米国メディアということもありますが、私自身実際に使ってみてSRAMの良さを体感してしまうと、なかなかシマノには戻りづらいな、と感じていたりします。
とはいえ、日本だとシマノが圧倒的に入手性が高いですから、なかなかマーケットシェアを確立するのは難しいでしょうね。
ともあれ、2025年は各社から電動コンポのアップデートが行われたわけですが、ロードバイクのみならず、グラベル、MTBへと広がりを見せた点が一つの特徴ですかね。
ホイール・タイヤ&エア関連の新潮流
32インチホイールの台頭
2025年は「32インチホイールが本格的に存在感を持ち始めた年」として描かれています。
そうなんですね・・・。
一般的なロードバイクが(タイヤサイズにもよりますが)おおよそ29インチですから、ホイールの大型化が始まったことになります。
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これまではクルーザーやユニサイクル、一部カスタムブランドに限られていた32インチが、台北サイクルショーでMaxxis Aspen 32″が登場したことで一気に業界の意識に浮上
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その後「Bike AheadのProjekt 32カーボンハードテイル」「Neuhaus Metalworksの32インチリジッドバイク」「Btchn Bikesの32インチドロップバー」「Falconerの32インチハードテイル」「Faction Bike Studioの120mmトラベルFS「Project Big Ben」など、XCを中心とした実戦的なバイクが次々に登場
ActoFiveのI-Train 32など市販トレイルフルサスも既に存在し、UCIも2026年のXCワールドカップで32インチを制限しないと明言していることから、32インチ規格が少しずつマーケットで存在感を示し始めている模様。
本当にそこまでの大型ホイールが必要なのか、売り手側が「新しい製品を売り出したい」だけなのか、その辺りは引き続き注視が必要だとは思いますが、一つのトレンドにはなっているようです。
電動ミニポンプ(電動タイヤインフレーター)
2025年は携帯型電動ポンプが一気に普及し、「手押しポンプ&CO2カートリッジからの乗り換えを真剣に考えるレベルに達した年」になりました。
日本国内での自転車関連SNSでは、至る所で電動ミニポンプの記事が登場しましたからね。
2024年のMuc-Off AirMachから始まった流れが、2025年に「Muc-Off AirMach Pro」「ToPeak E-Booster Digital」「Cycplus AS2 Ultra」「Trek AirRush」
など多くのモデルの登場で一気に加速した、という評価がされています。
日本国内だと、Cycplus が潮流を作ったような印象ですが、米国メディア的には Muc-Offが最初のきっかけ、と言いたいようですね。
手のひらサイズ・ジャージポケットやサドルバッグにも入るコンパクトさでありながら、複数本のタイヤを1回の充電で対応できる実用性と、CO2の廃棄物を出さない点が高く評価されています。
eMTBモーター戦争と駆動系テック
DJI Avinoxを起点としたモーターバトル
2024年にデビューしたDJI Avinoxドライブユニットが、2025年のeMTBモーター競争の火付け役になったと位置付けられています。
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Avinoxは「600 or 800Whバッテリー」「最大850W、105Nm(ブーストでは30秒間1,000W)」「重量2.5kg」というスペックで、UNNO、Forbidden、Crestline、Rotwildなど複数ブランドが採用
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これに対抗する形でBoschとSpecializedが新世代モーターを投入し、フルパワーeMTBの標準を一段押し上げた
Bosch CX & CX-Rアップデート
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Boschは新たにPerformance Line CX-R(Race)モーターを投入し、「最大750W、100Nm」「ペダリング入力の最大400%アシスト」「フルパワーでのラグの少ない加速を実現する「Raceモード」」を特徴としています。
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さらに既存CXユーザー向けにファームウェアアップデートを提供し、「600W/85Nm → 750W/100Nm」へパワーアップさせた点も大きなトピックとして強調(SX系ミッドパワーモーターにも類似のアップデート)
Specialized 3.1モーター
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Specializedは第4世代Turbo Levoに搭載する「3.1」モーターを投入し、「通常版:666W、101Nm」「S-Works:720W、111Nm」「バッテリーは600Whまたは840Wh」という、ハイパワーかつ選択肢の広いパッケージを提示
2025年はフルパワーeMTBドライブトレインの新基準を作った年になった模様。
そもそも日本国内だとMTBそのものが大きなマーケットではない中で、eMTBはまだまだこれから、という印象だったのですが、やはり米国だと日本よりはeMTBのマーケットは確実に拡大している雰囲気ですね。
道路の舗装状態もそうですが、MTBで走るのに適したフィールドの数が圧倒的に違いますから、この辺りは国の違いが如実に出ている感じです。
グラベルの成熟と装備の進化
「成熟した」グラベルバイク像
日本ではまだまだロードバイクが圧倒的なシェアを誇っている気がしますし、グラベルバイクよりはクロスバイクやマウンテンバイクの方が多く見かける気がしていますが、米国ではグラベルは依然として多様で予測不能なジャンルであるとしつつも、「2025年に入って明らかに成熟してきた」と総括されています。
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これまでの「エンデュランスロードに太いタイヤをねじ込んだだけ」から、「高速系のDogma GR」「ロンググラベル志向のCannondale Topstone」など、明確なコンセプトを持った完成度の高いフレーム設計が主流になりつつある
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フルサスグラベルも、かつては孤立していたNiner MCRのような存在が、今ではより一貫した設計思想の一部として受け入れられつつある
そもそもグラベルの定義とは?という点からして、まだまだ成長途中だった印象だったところが、明確な定義付けが行われる年になった、といったところでしょうか。
ワイドグラベルタイヤ&リム
ホイール・タイヤに関しては、「ワイド化の軍拡競争から、一段落した安定フェーズへ移行しつつある」と評価しています。
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MTBのXC用内幅29〜30mmのように、グラベルでは27mm前後(例:Hunt Limitless Aero)が“事実上の標準値”として落ち着き始めており、その前提でタイヤ構造とトレッドが最適化されてきている
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Maxxis Ramblerを例に、単純な耐パンク重視から、転がり・グリップ・軽さのバランスを追求した、用途別の精緻なラインナップへと移行
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初期の50mmクラスよりも軽快で「55mmもアリ」と感じさせるような乗り味に変わってきた
ちょっと内容的には「インプレ的なコメント」が多いような印象ではありますが、徐々に「グラベルの標準はこの辺り」というのが、マーケットの評価としても落ち着きを見せてきた、といったところでしょうか。
クリップレスペダルの新展開
OneUp & Wolf ToothのSPD互換ペダル
クリップレスペダル市場では、長年支配的だったShimano SPDに対し、2025年はOneUpとWolf Toothの新製品が強烈なインパクトを与えたと紹介されています。
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OneUp Clip Pedalsは「非常に薄いボディと軽量性」「ペダルとソールの接地面が広く、トレイル〜重めのライドでもしっかりしたサポート感」を特徴とし、「類似ペダルの不満点をよく研究した製品」と評価されています
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Wolf Tooth CTRL(トレイル)/ ALT(XC・グラベル)/ DEL(レース)については、独特のデザインと高精度な切削加工、薄さ・軽さ・プラットフォーム面積で各カテゴリのトップクラス、DELは片面クリップに割り切ることで超ロープロファイル&軽量、クリートの着脱感がShimanoよりも滑らかで一貫性が高く、数分で変更できる可変Qファクター&ユーザーが整備しやすい設計(Right to Repairプログラム対象)となっており、「2025年のベストペダルの一つ」と評されています
正直あまり注目していなかったので私自身はこの潮流については気づいてもいなかったのですが、SPDよりも優れているという評価は、ちょっと試してみたくなりますね。
Oakley Meta Vanguard AI サングラス
OakleyとMetaが提携して生まれた「Meta Vanguard AIサングラス」は、サイクリスト向けに特化した初のAI搭載スポーツサングラスとして紹介されています。
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特徴は、大型ラップアラウンドレンズ+Prizmテクノロジーによる高いアイプロテクションと視認性、音楽再生・通話・テキスト応答・AIアシスタントとの会話を完全ハンズフリーでこなせる点、テンプル内蔵のオープンイヤースピーカーと、ブリッジ部にほぼ見えない形で仕込まれた12MPカメラ(3K動画対応)、GarminやStravaと連携し、走行データ・画像の自動取得、AIによるパフォーマンス解析、リアルタイムのペース確認などが可能な点が評価されています。
記事では、純粋なサングラスとしても優れつつ、「サイクリングに特化したAIウェアラブル」という新しいカテゴリを切り開いた存在として高く評価しています。
私自身とても興味をもってる製品ではありますが、眼鏡ローディーにはちょっと手を出し辛いんですよねー。
軽量でクリップオンタイプな製品とか、出てこないですかね?

駆け足で眺めてきましたが、こうやって見ると日本国内の各メディアやSNSで取り上げられているものとは、やはりそこそこ違いがあるなー、という印象です。
日本マーケットは独自の進化を辿るのか、世界の潮流から取り残されてしまうのか、どのような道を進むことになるのか今年も注目していきたいと思います。


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