先日はついつい嬉しくなって勢いで投稿してしまいましたが、改めてビッグボアチューブレスバルブを組みつけてみましたので、各種インプレッションをまとめてみたいと思います。
MUC-OFF ビッグボアライトチューブレスバルブ(ショートインプレッション)
MUC-OFF ビッグボアライトチューブレスバルブの各部詳細
組みつけに際して、各パーツを分解してみます。
左から順に、キャップ、ボールバルブ、ロックリング、Oリング、バルブステム(ゴムベース付き)となっています。
この製品の肝は、言うまでもなくボールバルブですね。
左の状態がオープン、右の状態がクローズ、となっています。
ポンプヘッドを取り外す際には、必ず右の「矢印が上を向いている」状態にしてからでないと、一気に空気が抜けてしまいますので注意が必要。
で、この形状を見て気づいてしまったことで一つ。
このボールバルブ。
ごく一般的なチューブレスバルブに取り付けることができてしまいます・汗
写真のチューブレスバルブは、IRC のチューブレスバルブ。
当然公式の推奨外の利用方法になるとは思いますが、既にホイールに取り付けられているチューブレスバルブから、バルブコアを抜き去って、MUC-OFF のボールバルブだけ取り付けることもできてしまいそうです。
わざわざそんなことはしませんが、交換部品としてボールバルブだけ販売してくれませんかね・・・?
ホイールへの取り付け方法
以下が公式による取り付け方法となっています。
- ボールバルブを取り外す
まず、バルブステムからボールバルブ本体、キャップ、ロックリング、Oリングを取り外す - ベースを選択する
リム形状に適したラバーベースを選択する。湾曲したリム形状であれば円形のゴムベースを使用し、フラットなリム形状であれば正方形のゴムベースを使用する。ラバーベースをバルブステムの底までスライドさせる。
もしリムに大きなバルブ穴があり、小さな円形のラバーベースだと取り付けが緩すぎる場合には、大きな円形のラバーベースを使用して穴を塞ぐようにする。 - バルブステムを穴に押し込む
次に、バルブステムをリムの穴に押し込む。ゴム製のOリングをバルブステムに差し込んでリムに接するまで下にスライドさせる。 - ロックリングを締める
ロックリングをバルブステムにねじ込み、締め込んでバルブステムをリムに固定する。
- ボールバルブ本体を締める
ボールバルブ本体を指でバルブステムに締め込む。次に4mmのレンチを使用してステムベースをリムの内側に固定し、8mmのスパナでバルブ本体を4分の1回転締め込む。Oリングが損傷するリスクがある為、強く締め込み過ぎないように注意が必要。
ボールバルブ本体のレバーが自分に向くようにステムボディ全体を回転させるんで固定する。
- しっかりと押し下げる
次にロックリングを締めながら、リム内のバルブベースをしっかりと押し下げる。ゴム製のOリングが少し押しつぶされるまで押し続けることで、機密性を上げる。 - レバーを回転させる
レバーを回転させて開き、MUC-OFFシーラントを充填し、希望のPSIまで空気を充填する。ポンプヘッドを取り外す際にはレバーの矢印が上を向くようにバルブレバーを締めることを忘れずに。
では、手順に従って実際に組みつけてみましょう。
実際に組みつけてみた
まずはゴムベースを選ぶ必要があります。
3種類から選ぶ必要があるわけですね。
ただ、実際にシャマルウルトラに取り付けてみたところ、デフォルトで取り付けられているゴムベースで特に問題なさそうでしたので、そのまま取り付けることに。
ホイールにバルブステムを差し込みます。
Oリングを入れた後、ロックリングを回して締め込みます。
バルブ下部は4mmのレンチが差し込めるようになっています。
撮影用に変な持ち方になっていますが、レンチを差し込んでステム本体を固定したうえで、製品付属のスパナを使ってボールバルブを固定します。
これが正規の取り付け方法となっているわけですが、実際には、この後各種作業に応じてボールバルブを取り外す必要がありましたので、正直このメンテナンス方法はあまり理に叶っているとは思いませんでした。
ちょっとその辺りは後述します。
はい。
組みつけ完了となります。
ヒラメポンプとの相性
まずはヒラメポンプとの相性ですが、これは全く問題なし。
仏式バルブに取り付けた場合よりも、むしろぴったりフィットしているので固定力は向上しているくらいかもしれません。
ビッグボアライトの場合、仏式バルブと比較して最大230%のエアフローが実現されるとのことでしたが、確かにフロアポンプでポンピングしてみると、体感でも1.5倍から2倍くらいのエアフローがあるな、と実感できました。
今まで2回ポンピングしてきた量が、1回のポンピングで入る感覚ですね。
シンプルに、ポンピングする回数が減りますので、これはとっても楽ちん。
タイヤブースターとの相性
次に気になるのが、タイヤブースターとの相性。
ビードが上がりにくいタイヤの場合、タイヤブースターの使用は必須ですからね。
タイヤブースターの取り付けについては、一般的なチューブレスバルブでは「バルブコアを取り外てからステム本体に直接取り付ける」形になります。
ネジが切ってありますので、バルブステム本体にねじ込んで固定するわけですね。
ということは・・・?
ビッグボアチューブレスバルブに関しては、ボールバルブを取り付けてしまうと、タイヤブースターを取り付けることができないことになります・・・。
試しにそのまま押し込んでみましたが、やはり隙間ができてしまいます。
このまま手で押し込んで固定した状態で空気を送り込んでみたところ、盛大に隙間から空気が逃げてしまい、実用になりませんでした。
ということで、せっかくレンチを使って固定したボールバルブですが、タイヤブースターを使ってビード上げを行う際にはボールバルブは取り外す必要があります・・・。
ビードが無事上がった後、サイドボールバルブをMUC-OFF公式の手順に従って固定しようとすると、バルブ周りのビードを落とし、タイヤの隙間からレンチを差し込んで窮屈な状態で固定する形となり作業性が高くない上、固定した後はフロアポンプでビードを上げ直す必要があるわけで。
おそらく、チューブレスバルブ周辺のビードだけであれば、手でビードをリムベッドに押し付けながらポンピングすればビード上げはできそうな気もしますが、ちょっと作業性が高いとはいえませんね。
ちなみに、この後普通にボールバルブを手で捩じ込んで固定してみましたが、特にボールバルブの付け根周辺から空気が漏れることもありませんでしたので、レンチを使って固定することなく、割り切って手で固定するようにしています。
ボールバルブ内部にもゴムシールがありますので、このゴムが劣化してくると、手でねじ込むだけだと空気漏れが発生する可能性もありますので、このあたりの耐久性についてはある程度使い続けてみて判断する必要がありそうですね。
タイヤケージとの相性
続いてタイヤケージとの相性です。
私が使っているのはパナレーサーのアナログタイヤケージ。
サイズ的には問題なかってのですが、ボールバルブを開いて空気圧を計測しようとするとタイヤケージが外れそうになるので、計測する為にはタイヤケージが外れないように押し付けて計測する必要があります。
ちょっとコツが必要にはなってしまいますね。
シーラント投入時の注意事項
これまたタイヤブースターを使う時と同じような話になりました。
バルブステムの「中に」針を差し込むような注入器であれば良いのでしょうが、ステム本体にぐりっ、と捩じ込んで取り付けるような注入方法だと、やはりボールバルブを取り外した方が良さそうでした。
まずは公式の手順に従うということで、今回は MUC-OFF のシーラントを使ってみます。
MUC-OFF のシーラントは、そのままバルブステムに差し込んで使ってね、という使い方となります。
注入口が、きっちりバルブステムの太さに合わせて作られています。
ボールバルブがある状態で差し込んだところ。
このままホイールを回転させて注入してみましたが、微妙に隙間からシーラントが垂れてきました。シーラント入り方もイマイチだったので、パックをぐにぐにしてシーラントを押し込んでみようか迷ったのですが、バルブの隙間からだらだら溢れてきても嫌だなー、と感じてしまい、ボールバルブを取り外すことにします。
ボールバルブを取り外すと、根本までがっちり差し込むことができました。
この状態でシーラントを注入すると、一滴たりともシーラントは溢れませんでした。
バルブステムに残ったシーラントも、この程度。
簡単に拭き取れるレベルでした。
ボールバルブを取り外してしまう前提であれば、MUC-OFF のシーラントとの相性は抜群ですね。
ボールバルブを残したまま(いちおう、公式によりシーラントの注入方法)だと、隙間からちょろちょろ溢れそうではありますが、他社製のシーラント注入機を使った場合も、若干は溢れ落ちたりしますので、その意味では「他社並み」なのかもしれません。
ということで、一通りの使い方をしてみました。
最も多く使う使い方(フロアポンプで空気を充填する)については、とにかく「楽になる」のは間違いないです。
他方、ビードが上がりづらいタイヤでタイヤブースターを使う場合や、シーラントの追加投入を行う際にはボールバルブを取り外す必要があったりしますので、長い目で耐久性、スローパンクの度合いも見極めていく必要があるかな、とも感じました。
このまま使い続けてみて、何か気づくことがあればまたまとめてみたいと思います。
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