ロードバイクに乗るようになると、全く新しいお作法を学ぶ必要があるのですが、そのうちの一つに「仏式バルブ」があります。
ママチャリに一般的に採用されているのは英式バルブ。
マウンテンバイクやクロスバイクになると、米式バルブが使われていることが多いですが、ロードバイクになると仏式バルブになります。
タイヤの細いロードバイクでは、英式や米式のバルブでは「太すぎる」ことから、より細身の仏式バルブが採用されています。
ただそれも「21cや23c」といった、本当に細いタイヤが当たり前の時代の話であって、今のように28cや30cが完成車に付属するような時代になってくると、実は仏式バルブの必然性が薄れていっているわけで。
チューブレスを前提にすると「そもそもバルブコアなんて不要」という話にもなるわけで、今年になって Muc-Off から新しいバルブが発表されました。
今夏発売ということですので、もう少しすると入手可能になることでしょう。
そしてこの度、仏式バルブを改良した全く新しいバルブコアがシュワルベから発表されました。
■ シュワルベから仏式バルブに変わる全く新しいバルブコアが発表(CLIK バルブ)
1. CLIKバルブとは
シュワルベは公式で以下のように説明しています。
ついに、自転車の複雑なバルブは過去のものとなった。シュワルベとクリック・バルブの発明者であるジョン・キンタナ氏とのコラボレーションのおかげだ。彼がこのバルブを発明したのは、自分の子供たちに自転車のタイヤに自分で空気を入れられるようになってほしかったからだ。彼は、”古い “バルブでは複雑すぎるという事実に頭を悩ませていた。そこで、キンタナはクリック・バルブを開発し、シュワルベと協力し始めた。この新しい革新的な自転車バルブのおかげで、空気入れは今や子供の遊びのようなものだ。
仏式バルブで空気を入れる為には、ヘッド部分をくるくる回して緩めてからポンプヘッドを突っ込み、空気を入れ終わってからはポンプヘッドを引き抜き、最後にバルブコアのヘッドをくるくる回して止める必要があります。
慣れてしまえば「複雑すぎる」と感じることはないのですが、ポンプヘッドの抜き差しを行なった際に、バルブコアが歪んでしまうこともありますし、機構的にはとても「シンプル」と呼べるものではなかったりします。
おそらくロードバイクに乗り慣れている人で「仏式バルブなんて使ってられん!」というほど不満を感じている人もいないとは思いますが、「これが最高」とポジティブに感じている人もいないのではないでしょうか。
2. CLIKバルブの特徴
CLIKバルブの特徴は大きく以下の3つになります。
- 取り扱いがとても簡単
- チューブレスと併用するとエアフローは従来の仏式バルブの1.5倍に
- 空気漏れがなくなる
CLIKバルブは外側に可動部品は存在しないが、内側にスプリング式のバルブがあり、バルブを密閉するためのOリングが内蔵されています。
バルブ先端をカチッとクリックすると空気が入れられるようになり、手を離すと密閉される仕組みとなっているようです。
先日発表された Muc-Off のバルブが「栓を回すことで空気の出し入れを可能にする」仕組みであるのと同様、仕組みとしては至ってシンプルですね。
空気を入れる為には、ポンプヘッドをカチッと音がするまで押し付けるだけ。
空気入れが終わったらポンプヘッドを引き抜くだけ。
バルブ内部のスプリングが折れたり、密閉する為のOリングが摩耗したりしない限りは、この機構は完全に動作するでしょうし、至って簡単な構造であるが故に故障リスクも低そうです。
また、ポンプヘッドそのものの摩耗もなさそうです。
例えば私が愛用しているのはヒラメポンプですが、定期的にゴムの内部パーツを交換する必要があったりします。
これはなかなかに使いやすそうですね。
3. 互換性
気になるのは互換性ですが、この辺りも抜かりはないようです。
- 既存の仏式バルブコアとCLIKバルブを交換するだけ
- 今後、インナーチューブにも採用する予定
- 既存の仏式バルブの上部に捩じ込むアダプターも用意される
- 既存のほとんど全ての仏式ポンプは、アダプターなしでCLIKバルブでも動作可能
- 既存のポンプのポンプヘッドに組み込むアダプターも用意される
シュワルベはかなーり本気なようです。
製品の発売は今年後半を予定しているとのこと。
ヒラメポンプでも問題なく動作するようであれば、まずはバルブコアだけ購入してしまえば良いようですね。
ただ、機構的に空気漏れは若干発生しそうですから、完全に空気漏れを防ごうとするのであれば、バルブ全体を交換した方が良さそうです。
来年の冬にはバルブを交換するタイミングかな、と思っていたので、Muc-Off の新しいバルブか、CLIKバルブか、どちらかは購入してみようかな、と思います。
いずれにしても、これでスローパンクから解放される日も遠くないのかも!?
ちょっと楽しみです。
コメント
自動車と同じシュレッダーバルブもチューブレスと相性抜群です。それと、空気圧調整にもシュレッダーバルブは、微妙な抜きが出来て0.02エア抜きが可能です。バルブはフレンチバルブの最大の弱点で、エア抜き調整もめっちゃやりにくいので、そこをシュワルベが改良出来てるとしたら。。。チューブレスに移行したいです。チューブレスはビード上げがスムーズに出来たら、クリンチャーより遥かに楽だと思います。 エアサスだとシュレッダーバルブがガッチリバルブ固定出来て、17kgとかめちゃ高圧でも、スっぽ抜けしません。それと、タイヤは凄い静電気発生源で、バルブに導電性アルミテープで除電すると、硬めなタイヤがモチモチした乗り心地になるのは不思議でした。TOYOTAの特許ですが、静電気はゴムを硬化させたり、オイルの流れを妨げるらしいです。
>♪さん
以前は何の疑問もなく「ロードバイクは仏式バルブなんだね」と受け入れていたのですが、チューブレスかつタイヤ幅が広くなった最近では仏式バルブはデメリットばかりで最適な規格ではないですよね。
Muc-Offからも新製品出るそうですし、今年がバルブの改革元年になってくれることを期待しています。