新製品が生まれにくい、飽和しつつあるマーケット状況において、新しいチャレンジは大歓迎です。
フランスのサイクルウェアブランド「Ekoï(エコイ)」が発表したビンディングペダルシステム「PW8」。約40年間、劇的な構造変化がなかったロードバイク用ペダルの世界に、全く新しいアプローチで挑んだ革新的なプロダクトとなっています。
ただ、日本からだと過去に類を見ないほど入手性の低い希少製品でもあります。。。
ビンディングペダルに新境地を開拓することができるのか(ekoi PW8)
過去にはちょっとした騒動になったことも
「PW8」は、UCI(国際自転車競技連合)のプロレースで直前に使用禁止処分を受けたことがあります。
2024年2月のレースにおいて、スタートのわずか1時間前にUCIコミッショナーから当時 ekoi のペダル&シューズを採用していたNice Métropoleチームへの使用禁止が言い渡されました。これにより、選手たちは急遽シューズやペダルを借りるなどの事態に陥りました。
レース直線の混乱が起きた最大の理由は「プロトタイプ(試作品)に関するUCI規定に違反したため」です。UCIのルールでは、「UCI公認レースで使用される機材は、一般のサイクリストが市販品として購入・使用できるものでなければならない」と定められています。EkoiのPW8はこの市販化プロセスや登録手続きを満たしていなかったと指摘されました。
普通に買える製品にはまだなっとらんやん(まだまだプロトタイプ段階でしょ)というものですね。
そんな混乱があったPW8ですが、ぼちぼち海外市場ではマーケットに出回っているようで、レビュー記事なども出始めてきました。
気になっていたんですよ、この製品。
Ekoi PW8の主な特徴と仕様

PW8の「PW」はPOWER(パワー)、「8」はスタックハイト(ペダル軸から足裏までの距離)が8mmであることを意味しています。
安直といえば安直ですが、覚えやすいですね。。。
このシステムの最大の特徴は、「ペダルと専用シューズを完全に一体として設計した」点にあります。
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極限まで低いスタックハイト: 専用設計にすることで、わずか「8mm」という、市場のロード用ペダルで最も薄い部類に入る数値を実現。
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圧倒的な接触面積: 踏み面(コンタクトエリア)は驚異の1,500mm²。LookのKeo Blade(705mm²)の2倍以上という巨大なプラットフォームを実現。
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ソールの湾曲に合わせた立体デザイン: ペダル本体がフラットではなく、シューズの足裏のカーブ(土踏まずのライン)に合わせて緩やかに湾曲しています。
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分割・埋め込み式のクリート: クリートが「前・後」の2ピースに分かれており、カーボンソールの中に完全に凹む(リセスされる)形で配置されます。
専用設計にするメリットを最大限追求した製品となっています。
PW8のメリット(他社製品より優れている点)
専用設計であることから実現された本製品の売りは、以下のようになっています。
圧倒的な安定感とダイレクトな踏み心地
1,500mm²という巨大な踏み面と、軸に足裏が極限まで近づく8mmのスタックハイトにより、ダンシング(立ち漕ぎ)やスプリント時の安定感が格段に向上します。ペダリングの「引き足」から「踏み込み」への切り替え時に発生するデッドスポット(上死点・下死点でのパワーロス)が減り、より丸く、滑らかなペダリングが可能になります。
これは分かりやすいメリットですよね。
個人的には、ソールの剛性が一定以上高い場合には、踏み面の広さはそこまで気にならないのですが、スタックハイトが低いと非常に高い「ダイレクト感」を感じることができるので、ダンシングしていて楽しいんですよね。
ちなみに、フランスのマサイユ科学学部によるテストでは、自然とケイデンスが平均4rpm向上したというデータもあるそうです。
ロード用ペダルなのに「普通に歩ける」
シマノやLookのクリートはソールの外側に大きく飛び出すため、歩く時にペンギンのようになってしまい、滑りやすくクリートも削れます。PW8はクリートがソール内に収まっており、さらにソール周囲にはミシュラン製のラバー製ブロック(ラグ)が配置されているため、MTBやグラベル用シューズのように自然な歩行が可能です。
人によって何にメリットを感じるかは人それぞれだとは思いますが、ライド時によく歩く人だったり、ロードペダル&シューズで輪行したい、という人にはかなり魅力的な訴求ポイントになりそうです。
優れた空力性能
ペダル本体が非常に薄く、足裏との隙間がほぼゼロになるため、風洞実験では空気抵抗(ドラッグ)を11%削減するという結果が出ています。タイムトライアルや高速巡航で有利に働きます。
ま、私のような週末ローディーにはそこまで大きな違いにはならなさそうですが・・・。
PW8のデメリット(購入前に知っておくべき注意点)
専用シューズ(Ekoi PW8専用ソール)しか使えない
これが最大のネックになるかと思います。従来の3つ穴(シマノ/Look用)や4つ穴(スピードプレイ用)のシューズには一切取り付けができません。
現状はEkoiが展開する「PW8 C12」シリーズ(フルカーボンソール、プレミアムレザーアッパー、BOAダイヤル採用の高級シューズ)などをセットで購入する必要があります。
シマノSPDを使っていて、ロードペダルに挑戦したい!みたいなタイミングであれば、どうせきシューズもペダルも総とっかえになりますのでそこまでデメリットに感じないかもしれません。
ただ、商品ラインナップが一社に限定されていると、シンプルに値段は高くなる傾向がありますので、そこは悩ましいですよね。
固定力(リリース張力)の調整ができない
シマノのように「バネの強さをネジで変える」機構がありません(クリートの種類で左右の「遊びの角度」は変えられます)。
海外レビューでは「シマノに比べてクリップアウト(外す動作)が軽く、簡単に外れすぎるように感じて最初は戸惑った」という声があります。ただし、捻ればパッと外れる滑らかな動作なので、数回乗れば慣れるレベルと評価されています。
比較的外しやすいということで、私のような週末ローディーにはあまり気になる点ではないかもですが、レースでがっちがちに固定したい方にはあまり向いていないのかもしれません。
ペダルが静止時に裏返る
ペダルの重量バランスの関係で、足を離すとペダルが自然と上下逆さま(裏返し)の状態で静止します。そのため、信号待ちからのスタート時などには、つま先でペダルをクルッと反転させてからキャッチする特有のコツが必要です。
これは SPEEDPLAY のような両面ペダルでない限りは、どこの製品を使ってもそれなりにコツは必要なので、そこまで気にする必要はないかもです。
ただ、私のようなSPEEDPLAY ユーザーにはマイナスポイントですけどね。
ロード用ペダルシステム スペック比較表
きになるお値段(目安)
Ekoiは主に本国の公式サイトからの直販がメインとなるブランドです。世界的な販売価格ベースから見た日本円での価格帯は以下の通りです。
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シューズ単体: 約60,000円 〜 85,000円前後(定価:約390〜550ドル / ユーロ)
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ペダル+シューズの「スターターパック」: 約95,000円 〜 110,000円前後(定価:約550〜650ドル / ユーロ / ポンド)
Ekoiは公式サイトで頻繁にセール(30%〜40%OFFなど)を実施するブランドとして知られているため、タイミングによってはシューズ単体が4万円〜5万円台、ペダルとのセットが7万円台で購入できるケースもあるそうです。
ただ、ここで一点致命的な問題が。
日本国内から ekoi本国サイトにアクセスしようとすると、自動的に日本国内代理店であるアキボウのサイトにリダイレクトされてしまいます。
そのくせ、PW8の日本国内での取り扱いは開始していない為、対象製品をお目にすることが著しく難しい状況になっています。
日本からアクセスし易い海外ロードバイク関連オンラインショップでも、ekoi PW8関連製品の取り扱いはあまり行われておらず、とにかく入手性が低い状況。
代理店やるなら、取り扱って欲しいですし、もしまだ取り扱いできていない状況なのであれば、海外公式サイトへのアクセスの道は残しておいて欲しかった。。。
ちょっと印象悪いですよ、アキボウさん。
まとめ:どんなライダーにおすすめ?
EkoiのPW8システムは、「これまでのロードペダルの性能(軽さ・剛性・パワー伝達)は妥協したくないけれど、カフェに立ち寄る時や輪行時の歩きづらさにウンザリしていた」というサイクリストにとって、まさに理想的な製品となっています。
シューズごと買い替える必要があるため初期投資は大きくなりますが、フィリップ・ジルベールをはじめとするレジェンドプロライダーたちも開発に携わったその踏み心地と快適性は、既存のシステムにはない新感覚のライド体験をもたらしてくれることでしょう。
個人的にもとても魅力的に感じる製品ではありますが、日本国内だと過去に類を見ないほど入手性が難しい製品となってしまっていますので、その点で難点ですねー・・・。


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