Garmin Rally シリーズ 海外インプレをまとめてみた

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Garmin Rallyシリーズのショートインプレッションを集めてみた

国内でも正式発表されたガーミンの新しいペダル型パワーメーター、Rally。

SPD-SL互換のRS200、Look-KEO互換のRK200は4/1発売になっていますが、SPD互換のRally XC200については国内正式発表はまだのようですね。

いろいろな記事を見ると、ガーミンの今回の一番の狙いはグローバルでマーケットが拡大しつつあるグラベルやマウンテンバイク向けのパワーメーターをラインナップに加えることなのでは、とのこと。
日本国内でRally XC200が未発表なわけですが、日本はまだロードバイクが主流ということで後回しにされた感じでしょうか。

そもそも日本国内ではSPDペダルのXCシリーズはラインナップされない可能性もありますが、スマートウォッチのVenu Sqについても、本国で発表されてから日本国内で正式発表されるまで2ヶ月のタイムラグがありましたので、しばらく経ったら発売されることを期待して待ちたい思います。

個人的には Rally XC200が一番気になりますので。

私は現在4iiiiのクランク式パワーメーターを愛用していまして特に不満があるわけではないのですが、両足ペダル式のパワーメーターは常に気になっていたところですので、現時点で海外に転がっていショートインプレッションをピックアップしてまとめてみました。

1. ガーミン Rallyシリーズの特徴

既に各方面で新しいガーミンRallyシリーズの紹介をしているので今更ではありますが、先代のガーミン Vectorシリーズや他社製品などと比較して何が特徴になるのかをまとめてみました。

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(1) Vector3からはマイナーアップデート

まず最初に身も蓋もありませんが、機械的な機構(ペダル軸)としては先代となる Vector3からはマイナーアップデートになるようです。
但し、Vector3 で問題となることが多かったバッテリーの蓋に関してはプラスチック製から金属製にアップデートされたとのことで、この点はかなり大きくクローズアップされています。

嗜好品の色合いが濃いカメラなんかだと、ダイキャスト製なのかプラスチック製なのかは大きくフォーカスされたりしますが、バッテリーの蓋が金属製になっただけでこれだけ大きく取り上げられるって、いったいどんだけ問題起こしてたんだよ、という話ですよね。

(2) 3種類のプラットフォームを用意

今回の目玉は、複数のプラットフォームを用意した点でしょうか。
従来の Vector3 は Look-KEO互換のペダルでしたが、今回はそこにシマノのSPD-SL と SPD 互換のペダルを追加しました。

先にも触れましたが、SPD互換のペダル式パワーメーターが用意された、という点はかなりインパクトが大きいと思います。

現在のグラベル、マウンテンバイクに求められる厳しい要求水準を受け、ガーミン社ではかなり厳しいテストを重ねたようです。
Rally XC200 のスタックハイトは 13.5mmと、シマノXTR-M9100の8.1mmと比較すると5mmほど高くなっていますが、これもペダルの周りに素材を追加することで堅牢性を高める為だったとしているそうです。

一般的なロード用パワーメーター、ペダルの試験がどれだけ実施されるものなのかは知りませんが、Rally XCシリーズのテストはかなり徹底されたようで。

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  • 6,000回のライド、11,000時間以上のライドタイム
  • 125人のテストライダーが200,000km/125,000マイルを走行
  • 気温は-18℃-0Fから40℃/105Fまで
  • 430マイル/47時間の徹底的なシングルライドテスト

これはなかなかではないでしょうか。
6000回のライドって、相当なテストライダー集めないと実施できないですよね・・・。

(3) プラットフォームの交換が可能

で、これがまたガジェット好きには堪らないポイント。
今回用意した3種類のプラットフォームに関しては、購入後に自分の好きな別のペダルに換装することが可能。

私は実施したことはありませんが、ペダルのメンテナンス経験のある人であれば問題なく実施できるレベルだそうで、ガーミン社が用意したビデオをきちんと確認し、必要な工具さえ用意できれば10分から15分ほどで作業は完了するそうで。

その時々において、ロード用ペダルとSPDペダルを換装できるというのは面白いですね。
シンプルに、自分でもやってみたいです。

(4) バッテリーの長寿命化

そこまでこだわる必要もないかもですが、バッテリーが長寿命化しています。

回路基盤の再設計等によりスリープ時の電流が改善され120時間の長寿命化に貢献したそうで、例えば、充電式バッテリーを使用しているFavero社のAssioma Duosの50時間のバッテリー寿命の2倍以上になります。

バッテリーはCR1/3Nコイン電池を1個ずつ使用しているのですが、ガーミン社によると、充電式ではなくユーザーが交換可能な使い捨てのコイン電池を採用したのは、電池の寿命や使い勝手が良いと判断したためだそうです。

CR1/3N電池が入手できない場合は、LR44/SR44を4本(ペダルに2本ずつ)使用することも可能ということなので、出先で電池が切れた場合でもコンビニで購入し易いですし、確かにメリットはありそうですね。
充電ケーブルを気にする必要もないですし、室内でペダルまで充電ケーブルを引っ張る為にコンセントの近くまでバイクを持っていく必要もないですし。

2. Cycling Weekly

それでは、各サイトのインプレッションを簡単にまとめてみたいと思います。
まず最初がCycling Weeklyになります。

  • ペダルの交換手順については若干難易度はあるものの、ガーミン社のビデオの指示に注意深く従えば対応可能な範囲。右のペダルが逆ネジである点や、電子接点にグリスが付着しないよう要注意。実際に交換したところ10分以上かかったものの、慣れればもっと素早く交換可能かと思われる。但し交換作業時に小さなネジを危うく失くしそうになっており、毎週のようにペダルを交換したいかと言われると微妙。
  • イギリスの冬から春先にかけて約1ヶ月にわたってテストを行うことができた。電源が急激に落ちることもなく、比較用に使用した Favero Assioma ペダルと比較しても示されるパワーゾーンは同等であり数値的な精度についても問題はなかった

発売前にある程度の長期レビューが実施できたようですが、肝心なパワーデータの信頼性については問題なかったとのことです。

3. Bicycling

お次がBicycling。

  • RK200のアクスルをCX200ボディに交換してみたところ、作業は5分程度で完了しとても簡単であった。但し内部の小さなネジはなくさないように注意が必要
  • 残念ながら計測されたパワーデータについては問題があった。自ら把握しているパワーデータからは大きく外れており、正しい取り付けの確認や校正を複数回実施したものの精度が上がることはなかった。当該サンプルとして受領したペダルにどんな問題があったかガーミン社と確認しているが、現時点で問題は判明していない
  • 現象としては、右のペダルだけ数値が非常に高かった。右が左の倍近いパワー値を示していた。またあるライドにおいてはは、心拍ゾーンについてはゾーン2〜3と低めであったにも関わらず230WのNPとなった。自分の記録からするとあり得ない数値であった
  • 問題発生時には左右のペアリングを解除してキャリブレーションをやり直したところ一時的に改善したものの、しばらくすると右のペダルの値が左の倍近い値に戻ってしまった

Cycling Weeklyと同様、ペダル交換時に小さなネジをなくさないようにとのことなので、留意点は同じようですね。

こちらのサイトでは計測されたパワーデータがかなり怪しかった模様。
但し正式発売前のファームウェアになるわけで、この辺りは何とも評価し辛いですね。
その後ガーミン社から新たなペダルが届いたようなのですが、天候に恵まれず再テストは実施できていない模様。
後日結果が分かれば記事を再アップするとのことなので、要注意ですね。

4. Bike Rumor

お次はBike Rumorになります。

こちらのサイトでは他サイトとは異なり XC200に関する情報が豊富でしたが、試乗レビューはありませんでした。残念。

5. BIKE RADAR

最後が BIKE RADARになります。

  • 簡単な取り付け、すっきりとした外観、クリートの互換性、良好なバッテリー寿命は高評価
  • ファームウェアアップデート後はパワーデータは正確
  • 価格が高い点と、完全に停止した状態からリスタートした際のデータ取得が若干遅れる点がマイナス
  • ペダル型のパワーメーターはスピンドル周りに全ての装置を押し込む必要がある為、物理的な制約によりバッテリーの寿命は短くなる傾向にあるが、120時間という長寿命を達成している点は素晴らしい
  • ガーミン社のデバイスやZwiftとのペアリングは素早く簡単でデータも途切れず素晴らしい
  • ガーミンコネクトを介してスマートフォンと接続するとガーミンエッジがペダルのファームウェアアップデートを自動で実施してくれるのも素晴らしい
  • ファームアップ前(ver.1.37)はパワーデータについてはあまり正確ではなかったが、ファームアップ後(ver.2.30)はデータの正確性が大幅に改善された
  • ペダルを漕ぎ始めてからデータを送信し始めるまでに数秒かかることがある。惰性走行後の漕ぎ出しにおいては発生せず、完全に停止した状態からスタートしたときに発生する模様。なおこの現象は、Garmin Vector 3やFavero Assioma Duoパワーメーターペダルでも同じように発生しており、Rally だけのデメリットではない

こうやって色々と調べてみると、ガーミン製品「あるある」かと思いますが、ファームウェアが安定するまではデータの正確性については問題はありそうですね。

ただ、機構的な部分については Vector3 を踏襲しているということで、基本的な部分は「枯れた」製品になっているのではないでしょうか。
そうであるなら、今回手を加えたファームウェアが安定してくれさえすれば、Vector3 と比較して安定した製品になるのではないでしょうか。

あとは、ペダルを交換可能にした点からも、組み付け精度等がいつまで担保されるか、ある程度長期間にわたるレビューがあると安心でしょうかね。

XC200とRS200で、ライド用途に応じてペダルを交換すると相当「遊べる」気はしますが、そこまで揃えようとするといくらになることやら・・・。
ペダル換装キットは1.2万円程度だそうですから、合わせると15万円(税抜き)くらいでしょうか。

価格だけ考えたら、4iiiiのデュアルパワーメーター購入して、ペダルを好きなものに換装したほうがかなりお安く上がりそうですが。

ただ、現在サイコンはガーミンエッジを使っていますので、ガーミンで統一できるのは便利ですよね。
ペダルのどの位置にパワーがかかっているか(プラットフォームセンターオフセット)、ペダリングのどの状態でどれだけパワーが出ているのか(パワーフェーズ)等、収集できるデータも増えますし。

国内のアーリーアダプターの方々のインプレなどを期待しつつ、悶々と悩む日々が続きそうです。

 

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