No Music, No Life なローディーにとっては厳しい時代になりました。
安全配慮義務に違反しないで音楽を楽しむ方法を確立して欲しい
ちょっと他人任せなタイトルになってしまいましたが。
ここ数年、自転車の無謀運転による事故が増えてきたことを受け、社会問題化、スマホのながら運転やイヤホンでの音楽を聴きながら運転を厳しく罰する社会風潮が生まれてきました。
実際に徒歩でも、ロードバイクに乗っている時にも、あぶなかっしい自転車乗りを多く見かけますので、こういった風潮には大賛成です。
ただ、その煽りを受けて、今までも真面目に自転車と音楽との両立に配慮してきた人間からすると、「一律禁止」という社会風潮には辟易としてまうのが正直なところ。
もうちょい何とかして欲しい、と切に願ってしまいます。
道路交通法における自転車とイヤホンの関係性
まず我々日本国民が守るべき法律として、道路交通法があります。
よく誤解されがちではありますが、日本の法律で、直接的に「自転車に乗る時にイヤホンで音楽を聴いてはいけません」と禁止する規定はありません。
関係する条文は、道路交通法七十条の安全配慮義務規定となります。
（安全運転の義務）
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
スマホのながら見運転も、イヤホンで爆音で音楽を聴きながら運転することも、それらを禁止する大元の規定は、この安全配慮義務違反に通じています。
他人に危害を及ぼさないような方法で運転しないとダメだよ、というとっっっっても当たり前の条文。
これが守られていない現状に問題があるわけですね。
神奈川県における条例
続いて、地方自治体が独自に定める、その地域に住む住人が守るべきルールとして、条例があります。
日本国民が守るべきルールには、国会が定める法律、内閣が定める命令、省庁が規定する省令があるわけですが、当該地域に限定して定められるルールが条例となります。
国のルールだと、その地域の特性をカバーし切れない場合などに活用されるものですね。
で、私の場合は神奈川在住となりますので、神奈川県の条例を見てみます。
自転車とイヤホンに関する条例としては、神奈川県道路交通法施行細則第11条5号（運転者が守るべき義務を定めた規定）に具体的な記述があります。
大音量で、又はイヤホン若しくはヘッドホンを使用して音楽等を聴く等安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態で自動車、原動機付自転車又は自転車を運転しないこと。
突き詰めると自転車運転時の安全配慮義務を規定しているだけなのですが、具体的に「イヤホン、ヘッドホン」と記述がある点が異なりますね。
イヤホンを装着することが即NGというわけではない
ここでややこしいのが、イヤホンをつけたら即NGというわけではない、という点となります。
ポイントは、イヤホンで音楽を聴くことで、「安全な運転ができない状態となる」ことを禁止しているわけですから、屁理屈としては、イヤホンをつけても音楽を再生していなければ、「条例違反」にはならないわけです。
こういったあいまいさがある点から、「骨伝導イヤホンはどうなんだ」とか、「片耳イヤホンはどうなんだ」みたいな話が、ネット上に溢れるわけですね。
突き詰めると、イヤホンを装着して、音量を小さくすることで安全配慮を一切欠くことのない状態を作り出すことができるのであれば、道路交通法にも、条例にも違反しないことになります。
オープンイヤーイヤホンで小さな音量で聴くことも禁止されているのか？
そして、最も難しいのが、「それなら小さな音量で、周囲の環境音が聞こえる状態で乗るのであれば、危険もないしOKだよね？」という考え方になります。
数年前までの私は、まさにこういった考え方のローディーでした。
遵法精神に則って、法が目指す社会規範は守りつつも、音楽は楽しむ、ということですね。
ただ、個人的にはそろそろこの考え方は控えるべき時代になってしまったかな、と感じています。
法令違反にはならない
まずはっきりさせておきたいのですが、オープンイヤーイヤホンで、音量控えめで乗る限りにおいては、法令（法律並びに条例）違反になることは「ほぼ」ありません。
ポイントは、安全な運転を行うことが十分にでき、他人に危害を及ぼす可能性がなかったといえるかどうかですので、最後はケースバイケースでの判断になってしまう点ですが、個人的には「法令違反になるような乗り方はしてこなかった」と自信を持って言えます。
昨今の風潮から警察による取り締まりは強化
他方、イヤホンを耳につけていたら、昨今の社会風潮からすると警察官から呼び止められて注意される可能性は高いです。
各方面の体験談を読み解くとこんな感じでしょうか。
- 警察車両の警告に気づけなかった場合はほぼアウト（罰金コース）
- 警察官からの呼び止めに気づくことができ、質問にも答えられるような状況（周囲の音がしっかり聞こえるボリュームだった場合）は、注意喚起（気をつけてくださいね）で終わる
前者は、法令の規定に明らかに違反する状況ですから、そりゃそうですよね。
で、呼びかけにしっかり気付けるようであれば、法令違反ではないと判断されるようです。
それなら良いよね？と考えるかどうかが、一つ分水嶺でしょうか。
- 2026年4月から自転車にも青切符が導入され、法令違反に対する取り締まりは強化されている
- 今後も、社会的に影響のある事故が起きる度に、取り締まりは強化されることが予想される
- 安全運転に配慮していたとしても、警察官に呼び止められるのは気分の良いものではない
私的には、こういった社会的な背景を踏まえると、「そろそろイヤホンは使わない方が良いかなー」と気持ちが変わってきました。
警察官どころか人がいないような環境であれば、従来通り安全配慮可能なボリュームで音楽を聴くのはありかなー、とは思いますが、首都圏近郊だとそんな状況は限定的ですからね。
民事事件においては責められるべき要素になりうる
これまではあくまでも「法令違反かどうか」という観点で語ってきましたが、もしこれが民事事件に発展した場合は、また話がややこしくなります。
法令違反ではない、罰金対象ではないからといって、もし対人事故を起こしてしまった場合に「だから責任ないよね」とは言えない、という話になります。
対人事故に発展した場合は、一つ一つの要素を積み上げて責任判断を行うわけですが、その際に、例え音量が小さかったとしても、音楽を聴いている限りにおいては注意散漫になりますよね？という点を突かれて、責任を追求される可能性は十分にあるわけです。
法律に違反してないから良いんだ！と強弁するのは、いつの時代にも無理はあるわけです。
特に、昨今の「自転車による無謀運転が多い」「社会的にもこういった状況は是正していくべきだ」という風潮を踏まえると、イヤホンを装着して運転することはかなりのリスク要素になってしまいました。
「これなら許容範囲」という状況を確立して欲しい
今は是正すべき時期になってしまっていますので、「イヤホン＝悪」という時代になってしまっています。
ただ、これは本当に勘弁して欲しい・・・。
「ここまでならOKだよね」という、社会通念にも配慮した音楽の聞き方を確立して欲しいというのが、音楽大好きローディーの切なる願いですねー。
個人的に超期待していた、自転車でも使える指向性スピーカーについては、2023年以降ぱったり音沙汰なくなってしまいましたし。
こういったスピーカーで、環境音も聞こえるようにしつつ、最大音量の制限も機能として用意できると、「これなら良いのでは？」というユースケースになるのではないかなー、と思うのですが。
はっきり言って、イヤホンで音楽聴いてる危険な事例って、ママチャリ利用者がほとんどだよね！？というのがローディーとしての言い分だったりします。通勤・通学でイヤホンで自転車乗って、自転車降りてからもそのまま音楽聴きながら電車に乗って、という流れがあるからダメなわけで。
専用スピーカーをわざわざ購入して、自転車本体に固定しないといけない、みたいな制約があれば、気軽に使われることもないと思うんですよねー。（しかも最大ボリューム制限つき）
リアビューレーダーと連携して、周辺に自動車がいる際には音を切る機能とかも面白そうです。
この辺りになると、NTTソノリティも良い技術を持っていたりするので、自転車専用の指向性スピーカーとか、ほんとどこか開発して欲しいです・・・。
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