従来の仏式バルブコアを置き換えるバルブキットや、チューブレスバルブ用の次世代バルブは、ここ1年で大きく進化を遂げてきました。
もう一通り新しい技術は出揃ったのかな?と思っていたのですが、まだまだありました。
製品開発担当者のアイディアは尽きることないですねー。
Peaty’s「Holeshot Fast Flow Valves」は、いまどきのチューブレス事情をよく知る“ベテランライダーほど響く”バルブです。
ビードがなかなか上がらない、シーラントでバルブが詰まる、岩にヒットしてバルブが折れる――そんな「あるあるトラブル」を、設計段階から潰しにかかっています。
ギミック満載の次世代チューブレスバルブ(Holeshot Fast Flow Valves)

エアフローは2倍に
まず次世代チューブレスバルブで求められるものはエアフローの増加。
チューブレスで一番のストレスは「ビードが上がらないこと」ですからね。
Holeshot Fast Flowは、自社対比(従来のPeaty’s MK2バルブと比べて)、約200%のエアフローを実現しています。

そのカギになっているのが、次の3点です。
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コアレス構造(細いプレスタコアを廃止して大径ボアに)
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リム内側に大きく広がるベルハウス形状のベース
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空気とシーラントが真っすぐ一気に流れ込む“太い通り道”
結果として、これまで「コンプレッサーがないと無理」と諦めていたようなワイドリム+ボリュームの大きなMTBタイヤでも、フロアポンプでビードが上がりやすくなっています。
舗装状況の良い日本だとタイヤ幅はまだ28cで十分じゃね?という人が多いとは思いますが、日本ほど舗装状況がよろしくない海外だと、ロードバイクにおいても今や30cが当たり前の時代になってきました。
タイヤが太くなればなるほど、ビード上げには苦労することになりますから、エアフローを増加させることで「もう一段太いタイヤにしてみようか」と試しやすくなるのは、中高年ライダーにとっても大きなメリットだと思います。
詰まりにくいバルブ:シーラントと“共存”する構造
チューブレスタイヤ(チューブレスバルブ)において、エアフローに続いて問題となるのがシーラント詰まり。
Holeshot Fast Flowは、その問題に対してかなり本気で対策されています。

主なポイントは次のとおりです。
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シール位置をリム内側に移動し、細い隙間を極力なくした“アンチ・クロッグ”設計
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内外面すべてをフルアノダイズした7075アルミ製ボディで、シーラントがこびり付きにくい表面
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ベルハウス内にシーラントと空気がたまりやすく、流れやすい「広い空間」を確保
これにより、シーラントが固まってバルブを完全に塞いでしまうトラブルを大幅に減らしています。
「シーラントを入れ替えようとしたら、そもそも空気が入らない」という、作業前から心が折れる事態に陥りにくくなるのは、週末ローディー的にも大きな安心材料です。
折れても一気に空気が抜けない“フェイルセーフ”
ちょっと面白いと思ったのが、「バルブコアが折れてしまう」というシチュエーションに対する解決策を提示してきたことでしょうか。
私が知らないだけかもしれませんが、この点を打ち出してきたチューブレスバルブは聞いたことがありません。
日本の首都圏で走る限りにおいては、ライド中にバルブが折れる経験というのはあまりないとは思いますが、マウンテンバイクで林道を走ることが多い人には有難い機構かも、です。
トレイルや林道で、石や路傍の枯れ枝にヒットしてバルブが折れるケースがあるわけですが、通常の仏式バルブだと、シャフトが折れた瞬間に一気に空気が抜けてしまい、そこでゲームオーバーとなってしまいます。
Holeshot Fast Flowは、この弱点をフェイルセーフ構造で補っています。

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シールはリム内側のベルハウス部に配置されたダブルシール
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外側の細いシャフトやキャップが破損しても、内部のシールがタイヤ内の空気を保持
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「バルブが折れた=即パンク」とならず、とりあえず下山・帰宅できる余地を残す
ダウンヒルはシンプルに楽しいものですが、完全にタイヤから空気が抜けた状態での下山なんて、そりゃもう苦行意外の何者でもありません。
中高年ローディーにとっては最悪の悪夢ですよね・・・。
体力的にも時間的にも、バイクにまたがったまま帰れる可能性が高まるのは、安全面でも大きな価値があります。
メンテが楽になる:シーラント注入とインサート対応
年齢を重ねると、細かい作業や力のいる作業が少しずつ億劫になるもの。
Holeshot Fast Flowは、そんな「面倒くさい」を減らす工夫も盛り込まれています。
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コアレス構造なので、コア抜き工具不要でシーラントをそのまま注入可能
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大径ボアのおかげで、粘度の高いシーラントでもスムーズに流れ込む
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ベース形状がタイヤインサートと干渉しにくく、インサート使用時でもしっかり空気が入る
特に最近増えているMTB・e-MTB用のタイヤインサートは、「入れたのはいいが、空気がなかなか入らない」という声も多いパーツです。
Holeshot Fast Flowなら、インサートを入れた状態でもエアの通り道が確保されるため、CO₂インフレーターや携帯ポンプを使った現場対応もしやすくなります。
バルブキャップが“ツール”になる面白さ
そして、個人的に「おっ?」とテンションが上がったのが、遊び心が光る2種類の付属バルブキャップです。
一つはT30/6mmボルトパターン対応の「e-Lubeキャップ」。使用用途としては以下のようなものが想定されています。

- e-MTBのチェーンリングボルトに差し込み、クランクを逆回転させる“当て”として使用
- チェーンの注油やクリーニング時にクランクが空回りせず、手元で作業しやすい
- 緩めると微調整用エアリリースバルブとしても機能し、「少しだけ空気を抜きたい」場面で便利
もう一つはスポークレンチ機能を備えたキャップになっていて、トレイルサイドでの簡易ホイール調整に活用可能となっています。
ツールをたくさん持ち歩かなくても、バイクに付いているパーツそのものが“いざという時の道具”になるというのは良いですね。
特に、滅多に使うことのないスポークレンチは、私の場合持ち歩くことはないので「いざとなった時用に」付属しているのは、安心材料としては有難い限り。
こうした工夫は、荷物を減らしたいライドでも、大人のガジェット感としても楽しめるポイントです。
その他仕様について
Holeshot Fast Flowは、MTB・e-MTBユーザーを強く意識したラインナップになっています。
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長さ:
42mm(多くのトレイル・XC用リム向け)
60mm(深めのリム、e-MTBリアホイールなど)
MXセット(フロント42mm+リア60mmのe-MTB向け組み合わせ) -
カラー:
Chris Kingカラーに合わせた12色展開で、ハブやヘッドセットと色を揃えて楽しめる -
価格と保証:
ペアで £34.99 / $44.99 / €39.99 クラスのプレミアムバルブ
「Valves for Life(生涯保証)」が付帯し、長く付き合えるパーツとして位置付けられている
中高年ライダーにとって、「一度いいものを選んだら、あとは安心して使い続けたい」という気持ちは大きいはずです。
生涯保証付きのバルブは、多少価格が高くても“長い目で見れば得”と考えやすい選択肢と言えます。
どんなライダーにおすすめか
Holeshot Fast Flowが特にフィットするのは、ローディーというよりは、MTBライダーやグラベル愛好家ですかね。
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週末ごとにトレイルや林道を走るMTB・e-MTBユーザー
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自宅でタイヤ交換・シーラント交換を自分で行う、メンテ好きライダー
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太めのタイヤやインサートを使っていて、「ビード上げ」と「バルブ詰まり」に悩んできた人
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ロングライドや山岳ライドで、「現場でのトラブルをできるだけ減らしたい」と考える中高年ライダー
バルブは見た目も小さく、つい後回しにしがちなパーツですが、チューブレス時代の今は走りの信頼性を支える“重要パーツ”です。
Holeshot Fast Flow Valvesは、そうした裏方の役割を、性能・安全性・遊び心の三拍子そろえて底上げしてくれる存在だと言えるでしょう。
個人的には、キャップが欲しいな、と思ってしまいました。






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