ノイズキャンセリングイヤホンを貫通する自転車ベル(Škoda DuoBell)

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ノイズキャンセリングイヤホンが当たり前となったこのご時世。
ノイズキャンセリングを貫通して歩行者に警告音を届ける自転車用のベルが開発されました。

Škoda DuoBell: A bicycle bell that outsmarts even smart headphones - Škoda Storyboard
Pedestrians wearing headphones are exposed to an increased risk of accidents. In an effort to reduce collisions with cyc...

日本では発売は難しいのか、許容されるのか。

Škoda DuoBellとは

Škoda DuoBellは、アクティブノイズキャンセリング(ANC)対応のイヤホンやヘッドホンを使っている人にも聞こえやすいよう設計された自転車ベルです 。
都市部で増えている「イヤホン利用者に気づかれにくい」という課題に着目し、サイクリストと歩行者の接触リスクを減らす目的で開発されました 。

製品の特徴

DuoBellは、通常のベルとは違い、ANCが苦手な周波数帯に合わせた音を出す設計です 。
研究と試験の結果、歩行者がDuoBellを聞いた際、通常の自転車ベルより最大22m早く反応できたとされています 。
ロンドンでの実地試験でも有効性が確認され、Deliverooの配達員との協力のもとテストが行われました 。

開発背景

Škodaは、都市交通での事故や接触を減らすため、このベルを大学研究者と共同開発しました 。
特に、ANCを使う人が増える中で、従来のベルでは気づかれにくいという課題を解決する狙いがあります 。
研究成果は公開される予定で、他のメーカーや専門家が安全技術を広く活用できるようにする方針です 。

デザイン面

DuoBellの試作機は、ŠkodaのModern Solidデザイン言語に合わせて作られており、車両デザインから着想を得た色や質感、素材が使われています 。
ベルには新しいŠkoda Autoロゴも入っており、ブランドの世界観を反映した仕上がりです 。
単なる安全装備ではなく、ブランドの思想を体現するアイテムとして位置づけられています 。

改めて〜日本の道路交通法におけるベルの位置付け

今回のベルを開発したのはチェコの自転車メーカーであり、実証実験が行われたのはイギリスのロンドン。
日本だとかなり状況が変わってきます。

1. ベルは基本的に装着が必要

日本における自転車は軽車両なので、警音器、つまりベルを備える前提で扱われます。
ただし、「ベルが付いていれば何にでも使ってよい」わけではありません

2. 鳴らさなければならない場面

道路交通法54条1項では、標識で指定された見通しの悪い交差点や曲がり角などでは警音器を鳴らさなければならないとされています。
つまり、ベルの使用が義務になるのは、危険を事前に知らせるべき特定の場所です。

3. それ以外は原則禁止

道路交通法54条2項では、法令で鳴らすことが求められる場合を除いて、ベルを鳴らしてはならないとされています。
ただし例外として、危険を防止するためやむを得ないときは鳴らしてもよいとされています。

4. 歩行者に対してはどうか

歩行者に「どいてください」という意味でベルを鳴らすのは、原則としてこの例外に当たりません
特に歩道や歩行者用道路では、歩行者優先が前提で、自転車側は減速や停止で対応するのが基本です。
そのため、歩行者への注意喚起や退避要請のために鳴らすのは、道路交通法54条2項違反になり得ます

5. 実際の運用(Duobellは日本で使えるのか?)

たとえば前方に歩行者がいても、まずは減速、一時停止、徐行、声かけで対応するのが基本です。
ベルは「歩行者をどかす道具」ではなく、法令上限られた警告装置として理解するのが正確です。

つまり。

せっかくのノイズキャンセリングを貫通するDuobellですが、日本の道路交通法を前提に考えると、使用は難しそうですね。
(正確には、使用することは可能だが、せっかくの機能を活かす使い方にならない可能性がかなり高い)

ちなみにイギリスだとどんな感じなの?

今回実証実験が行われたイギリスの場合はどうなのかというと、「スマートではないものの、使える」といった状況のようです。

イギリスの考え方

イギリスでは、自転車のベルについて日本ほど明確に「歩行者に鳴らすのは違法」と整理されているわけではなく、共有空間で注意喚起として鳴らすこと自体は珍しくありません
ただし、歩行者は自転車に道を譲る法的義務があるわけではなく、ベルは命令ではなく注意喚起として使うのが基本です。
ロンドンのような混雑した都市部では、ベルを鳴らして存在を知らせる文化はあるものの、強引に退かせる目的の使い方は好まれません。

ロンドンでの実務的な見方

ロンドンでは、サイクリストが歩行者に接近を知らせるためにベルを鳴らすことは、実務上はよく見られます。
ただし、歩行者優先の感覚が強い場所では、ベルを鳴らしても相手が必ず避けるべきという扱いにはなりません
したがって、「合法か違法か」を一言で言うより、使い方次第で普通に行われるが、歩行者に圧をかける目的だと望ましくないと理解するのが近いです。

とはいえ、こういった実情からすると、Duobellは効果がありそうですよね。

 

日本の道路交通法に照らすと、歩行者に対して「声かけ」を行って注意喚起を行うことが優先されるとのことですが、実際には下手な声掛けをするとそれこそ気分を害して喧嘩にでも発展しそうな気がしてなりません。

他方、ノイズキャンセリングイヤホンで音楽を聴きながら歩く歩行者というのは、それはそれで(双方にとって)危ない存在でもありますから、ノイズキャンセリングを貫通するベルという発想は良いと思うのですが。

道路交通法ができた頃にはその存在するなかったノイズキャンセリングイヤホン。
何か、双方にとってスマートな落とし所になるような運用、製品を考えてみても良い時代になったのではないかなー、と思いました。

コメント

  1. 通りすがりの名無し より:

    歩道が歩行者優先かつ自転車が原則車道である以上、使いどころが無いですね。無雑作に横断してきた歩行者ならアリですが、それはそれで停止するのが優先ですし(鳴らしながらブレーキを正確にかけれるなら問題ないでしょうけど)。

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