昨年は、各社から第二世代チューブレスバルブが各種発表、発売されましたね。
私はMUC-OFFビッグボアライトチューブレスバルブを購入したわけですが、購入から1年使い続けた結果をまとめてみたいと思います。
MUC-OFF ビッグボアライトチューブレスバルブ(長期レビュー)
1stインプレッションの振り返り
購入直後に組みつけた際の1stインプレッションについては、以下にまとめています。

チューブレスバルブを交換するタイミングで置き換えることを考えると特段難しい作業はありません。
私はヒラメポンプを使っているのですが、相性は抜群。今まで使っているフロアポンプをそのまま使い続けることができるのはメリットの一つですね。
ただ注意事項もあり、利用率がそれなりに高いと思われる「お助けチューブ」とは相性問題があることも分かりました。

第二世代チューブレスバルブの状況
仏式バルブからの脱却を掲げ、各社から新製品が発表されました。
ただ、CLIKバルブはその良さ、まだもう一歩な点がよく見えてきたのですが、それ以外についてはまだまだ情報が少ない状況です。
CLIKバルブ
日本国内だと、入手性やコスパ含めて最も手にしやすいのが CLIKバルブかと思います。

CLIKバルブのメリデメはざっとこんなところでしょうか。
- バルブコアを置き換えるだけで、簡単に、お安く導入することが可能
- 但し、フロアポンプのヘッドも専用パーツに変えないとCLIKバルブの恩恵をフルに受けることはできない為、私のように「ヒラメポンプ大好き!」みたいな人には導入に躊躇いも
- ポンプヘッドを専用品に交換すれば、ポンプヘッドのバルブへの脱着はとてもシンプル。官能的ですらあり、この点がこの製品の最大の売り。壊れやすく、毎回空気充填時にバルブコア先端の小ネジを緩める手間がなくなりストレスフリー
- 第二世代チューブレスバルブが、各社エアフローが増大することを謳っているが、CLIKバルブはエアフローの増加量は、もっとも「控え目」(1.5倍)
- まだ長期レビューが少なく、耐久性とシーラント詰まりへの耐性については未知数(機構的にはこの2点で問題が発生するリスクは、他社製品より高いと指摘されている状況)
- 空気を入れ過ぎた際に空気を抜く為には先端のピンを押す必要があるが、これは指ではできず、ピンを使って抜いたり、ポンプヘッドを取り付けてからリリースボタンを押して抜く必要がある。仏式バルブに比べると、この点は明らかな「退化」
日本国内だと流通量、入手性の観点からはCLIKバルブに注目が集まっているかと思います。個人的にはCLIKバルブはメリデメがはっきりしていると感じています。
■ こんな人におすすめ:
- 仏式バルブのバルブコアは脆弱で壊れやすいので嫌い。壊れにくいパーツに変えたい
- ポンプヘッド脱着の手間をもっと楽にしたい(毎回キャップを外して小ネジを回してとか面倒くさい。ワンアクションで済ませたい)
■ こんな人は他社製品も考えた方が良いかも:
- シーラント詰まりから解放されたい
- ビード上げや日々のポンピングをもっと楽にしたい
- 仏式バルブから「便利になる点」があるのは当然として、「退化する点がほとんどない」製品を選びたい
私のような一消費者だからこそ好き勝手に言わせて頂きましたが、CLIKバルブは自社規格への囲い込みだったり、とにかく普及を進めるための会社としての戦略みたいなものが透けて見えてしまうので、ちょっと警戒感もって眺めています。
ユーザーのことを真に考え抜き、現状の仏式バルブの課題に真摯に取り組んで開発した製品なんですか?というと、ちょっと穴が多いなー、というのが正直な印象。
(ただ、上記条件にぴったりマッチする人には、本当に良い製品だと思います)
Fillfastチューブレスバルブ
日本国内だとまだ流通が少ないのかそれほど注目度が高くない気がしているのですが、Tru-TensionからもFillfastチューブレスバルブが出ています。

まだまだレビューが少なかったりして実態が掴みづらいのですが、エフアローは仏式バルブに比べて驚異の375%。
しかもCLIKバルブのようにバルブコアを外して先端のみ交換できるコンバージョンキットも販売されています。
反面、使い勝手については良くも悪くも仏式バルブとの違いが見出せないとか、実際に使ってみると375%増大したというエアフローを実感できなかったみたいなレビューもあり、まだちょっと実態が掴めていません。
BBB Cycling CoreCap
BBB Cyclingから登場したばかりのコアキャップも、かなり期待が持てそうな内容となっています。
エアフローは仏式バルブの300%。専用のポンプヘッドも不要。それでいて使用感は仏式バルブよりも良さそうな雰囲気です。
ただ、こちらもまだ情報が少なく、判断が難しいですね。

ビックボアライトチューブレスバルブの長期レビュー
ということで、実際に1年間使い続けた結果について、まとめてみたいと思います。
空気の充填がとにかく楽
まずは最も基本的な部分となる空気の充填についてです。ここ最近発表された製品だと仏式バルブ対比300%超のエアフローを実現していたりしますが、ビッグボアライトは230%のエアフローを実現。
これは、おそらく誰でも実感できると思いますが、本当にポンピングが楽になります。
ダイアテックさんがCLIKバルブとの比較記事を挙げてくれていますが、バルブにポンプをセットしてからのポンピング速度はビッグボアが上、ポンピングに必要な力もビッグボアの方が少なくて楽、と結論づけられています。
私は仏式バルブとの比較になりますが、とにかくポンピングは楽ちん。
実際にエアフローが230%になっても、フロアポンプを一番上から一番したに押し下げた時に充填できる空気の量に違いは出ません。
常に、フロアポンプを一番上まで引き上げて、毎回一番下まで押し込むような丁寧なポンピングを行う場合、ビッグボアを使うと「ポンピングの回数は変わらないけど、一回ずつのポンピングに必要な力が少なくて済む」という話になります。
ただ、これは机上の話。
皆さん、毎回一番上までハンドル引き上げて、毎回一番下まで押し下げてます?
一番上から一番下までポンピングするというのは、イメージはこちらですね。

仏式バルブを使っていた時には、私のような非力なローディーの場合、空気が充填されていって内部の空気圧が上がってくると毎回一番上から一番下までポンピングしていませんでした。
力が入り易い中間地点で、とにかく「しゅこしゅこ」と何度も上下させて空気を充填していました。

イメージにすると分かり易いかと思いますが、このやり方だと力は入れやすくなりますが、一番上から一番下までフルで使った時の倍くらいポンピングしないと同じ量の空気充填はできないんですよね。
で、ビッグボアになるとどうなるかというと、仏式バルブの頃に比べて体感で半分以下の力で空気が充填できるようになりました。
ロードバイクのチューブレスタイヤで必要となる5BARくらいまでだと、苦労することなく一番上から一番したまでハンドルを上下させることが可能になるほどに。
するとどうなるか。
私のような非力なローディーの実際の使い方においては、ポンピング回数は半分で済むようになったわけです。
ま、実際に回数をカウントして比べたわけではないのでこの「半分」というのは正確性はありませんが、体感でいうとその位の効果はありましたねー。
マッチョなローディーの方からは鼻で笑われる話かと思いますが、このポンピンクが軽い力でできるというのは、本当に大きな恩恵を感じています。
ポンプヘッドの脱着について
仏式バルブの場合、
- 仏式バルブ先端の小ネジをくるくる緩める
- ポンプヘッドを取り付ける
- 空気を充填する
- ポンプヘッドを取り外す
- 仏式バルブ先端の小ネジをくるくる締める
という手順で空気を充填するわけですが、これがビッグボアチューブレスバルブの場合は、
- ポンプヘッドを取り付ける
- ボールバルブを回転させる(オープン)
- 空気を充填する
- ボールバルブを回転させる(クローズ)
- ポンプヘッドを取り外す
という手順に変わります。
つまり、ステップ数としては仏式バルブと大きな違いはない、という結論になります。
これがCLIKバルブとの大きな違いでしょうね。
この作業が「超絶面倒で嫌だ!」というのであればCLIKバルブを選択すべきですし、「気になっているのは他の点だ」という人であればビッグボアチューブレスバルブを選ぶのもアリ、となります。
ちなみに、ボールバルブの回転は、とても簡単。

ヒラメポンプヘッドを取り付けた直後がこちらですね。
ボールバルブはチューブレスバルブ本体と同じ方向を向いています。(写真だと、左側を向いています)
これをくるっ、と指先で回転させるだけ。

こん感じですね。
仏式バルブのバルブコア先端の小ネジをくるくる回して開け締めをするのと、手間としては対して変わりません。
当然、このバルブが開いた状態でポンプヘッドを外してしまうと、一斉に空気が抜けてしまうのですが、そうとうなうっかりさんでないと、そんなミスは犯さないと思います・・・。
ホイールを脱着した後にクイックリリースを締め込むのを忘れる位、個人的には有り得ない作業ミスだと思っていますが、「ゼロではない」ですね。
実際に、クイックリリース締め忘れて走っている人は、過去に2人ほど見たことありますので・・・。
ただ、一度やり方を覚えてしまえば(かつ、覚えるのが難しい作業でもない)、何も心配することのないレベルだと思います。
仏式バルブと比較してどう?と聞かれると、「まー、大差ないかな」というのが私の回答になります。
仏式バルブを捨てることで得られるメリット(高い耐久性)
最大のメリットはエアフローの増大、その結果としてのポンピングがとにかく楽ちんになること、ではありますが、仏式バルブコアを捨て去ることで得られる二つのメリットがあります。
- バルブコア先端の小ネジがひん曲がって壊れるリスク
- シーラント詰まり
仏式バルブコアって、ちょっとした衝撃で簡単に曲がってしまうんですよね。

ポンプヘッドをヒラメポンプに変えてからは、バルブコアを壊したことはないのですが、ごく一般的なポンプヘッドを使っていた際に、きっちり垂直に取り付けることをせずに無理にねじ込んでしまった時などに、先端をねじ曲げてしまったことが何回かありました。

ビッグボアではこの心配は全くありません。
機構的にとてもシンプルな構造になっていますので、ビッグボアに関しては故障リスクというものがあまり想像できません。
あるとしたら、シーリングの劣化という、チューブレスバルブで一般的なものくらいでしょうね。
当然ですが、1年間使って、何か不備を実感することは何もありません。(ボールバルブの回転が渋くなったとか、何かがひん曲がったとか、そういった故障は皆無)
また、シーラント詰まりについてもかなり高い耐性を持つ構造となっていますので、こちらも心配は不要でしょうね。

既に二度ほどシーラントを追加していますが、シーラント詰まりは起きていません。
スローパンクについて(機密性)
個人的に、こういった新しい機構が組み込まれ、パーツが増えることで機密性が損なわれるのでは? 結果としてスローパンクが引き起こされたりするのでは?という懸念を持っていました。
仏式バルブコアは、耐久性は高くないですが、小ネジで締め込むというとってもシンプルな構造でした。ただ、バルブコアのゴムシーリングが劣化してくると機密性が損なわれ、古いバルブコアを使い続けることでスローパンク(放置している間に空気が抜ける)が起きることはありました。
ビッグボアチューブレスバルブですが、一年経過した経験からすると、この辺りは特に心配には及ばない感じでしたね。
組みつけ直後の2ヶ月くらいは、とっっっっってもスローパンクし易い状況でした。
ただ、前輪は問題ないのに後輪だけ空気が抜け易い(ライド後に一週間放置すると、4.5BARだった空気圧が2.0BARまで下がっている)状態だったのですが、これは正直、ビッグボアチューブレスバルブの問題だったのか、組みつけたタイヤの問題だったのか、未だにはっきりとしていません。
私が最初に組み合わせたチューブレスタイヤはミシュランパワーカップTLR。
はい。
スローパンクし易いで有名なタイヤでした。
チョイスを間違えましたねー・・・。
3ヶ月後にシーラントを追加投入するとともに、チューブレスバルブの各部を増し締め、その後2回ほどライドしたところシーラントが全体に馴染んだのか、前輪も後輪もスローパンクはほぼほぼなくなりましたね。
約1年が経過した現時点では、ライド後最長二週間放置していた際にも、0.4BAR空気が抜けるに留まっていましたので、結論として、ビッグボアチューブレスバルブはスローパンクにつながる懸念は「ない」と考えて良いと思います。
微妙な空気調整(空気をちょっと抜く時)
これも使い始める前には心配していた点です。
ボールバルブを開け閉めすることで空気を充填させるための通路を開通させるわけですが、このボールバルブって、「ぐりん」と一気に回転してしまうものだったりすると、入れ過ぎた空気を少しだけ抜きたい、みたいな時の微調整ってできるの?と。

結論から言うと、このボールバルブは回転させる時に適度な抵抗感がある為、どの位置でも自由に止めることができました。
少しだけ空気を抜きたい時には、このバルブを少しだけ斜めにしてあげると、「しゅーーーっ」と空気が抜けていきます。
沢山抜きたい時には少し大きめに捻れば良いですし、ほんのちょっとだけ抜きたい時には、軽く捻る感じで。
昔ながらの水道の蛇口をひねって水を出す時と同じですね。
仏式バルブの時は、バルブコア先端の小ネジを緩めたから、先端をプッシュすると「ぶしゅっ」と空気が抜ける感じでした。沢山抜きたい時には押しっぱなしにする感じですね。
お作法は全く異なりますが、どちらがやり易い、使い易いみたいな大きな差はないかなー、と思います。
特段工具不要で、指先だけで空気が抜けます。
私がCLIKバルブに満足できなさそうだなー、というのがこの空気抜きの調整。
どうも、指先だけではできないようですね。
それって、めっちゃ退化じゃね?と思っています。
じゃあ、どんだけ空気を抜くことがあるんだよ、という話なわけですが、私の場合はほぼ毎週確実に空気を抜いています。
ローラー台に乗る時にはタイヤの空気圧は高めに設定しています。(5.5〜6.0BAR)
対して、週末にライドに出かける時には4.5BAR程度で走るのですが、ローラー台に乗った後、ライドに出かける前までに1.0BAR以上も自然と空気が抜けることはありませんので、週末ライドの前には、いったんボールバルブを捻ってある程度空気を抜いてから、改めて4.5BARまで空気を充填するようにしています。
それならポンプヘッドのリリースボタン使って空気抜けば良いのでは?という話はその通りなのですが、「専用品を使えばできる」けれど「汎用品のままだとできることが一つ減る」というのが、ちょっと引っ掛かるんですよね。
心情的な引っ掛かり、なんでしょうね。
ということで、「実際に使ってみてようやく見えてくるもの」をできるだけ書くようにしてみたつもりです。
個人的には気に入って使っていて、今のところ不満点は何もないというのが事実ですので、まだ暫くは使い続けてみようと思います。
シーリングが劣化する頃に、BBB Cyclingのコアキャップが日本国内で入手可能になっていたら、比較用にそちらにも手を出してみたいな、と思っています。
気になるポイント、重視するポイントが私と似ているな、と思っていただいた方には、とてもお勧めできるチューブレスバルブですよ。

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