キャニオンが放つAIとセンサー搭載の未来型コンセプトバイク(Canyon Predict)

この記事は約6分で読めます。

 

キャニオンがユーロバイク(Eurobike)で発表した革新的なコンセプトバイク「Canyon Predict」。

コンセプトバイクの名前が「Predict(予言)」というのが、なかなかにオシャレですねー。

【Canyon Predict】キャニオンが放つ、AIと360°センサー搭載の未来型コンセプトバイクが凄すぎる!

今回は、ドイツの自転車メーカー「キャニオン(Canyon)」が発表した、とんでもなく未来的なプロトタイプ「Canyon Predict」。

自動車の世界では自動運転や高度な安全支援システム(ADAS)が当たり前になりつつありますが、ロードバイクの世界にもついに「AIとセンサーによる予測安全システム」の波がやってきました。

単なる「ガジェット付きの自転車」に留まらない、キャニオンが提示する未来のサイクリングの姿を見てみましょう。

バイクのコンセプト:「リアクティブ」から「プレディクティブ」へ

これまでの自転車の安全対策といえば、ヘルメットを被る、ライトを明るくする、あるいはリアレーダー(Garmin Variaなど)で後方の車を検知するといった、危険が迫ってから対処する「リアクティブ(事後反応型)」なものが主流でした。

しかし、Canyon Predictが目指すのはその先、「プレディクティブ(予測型)」への転換です。

「乗り手の見えないものを見る」をテーマに、AIと360°のセンサーネットワークが、周囲の自動車の動き、グループライド中の他ライダーの動向、さらにはコーナーの最適な進入速度や路面状況の悪化までを、サイクリストが気づく前にシステムが先読みしてサポートする というのが、このバイクの根本にあるコンセプトです。

言い回しとしてとても「未来感」のある内容にはなっていますが、自動車で採用されているものを何とか自転車の世界にも持ってこよう、という考え方がベースにあるようですね。

仕様について

コンセプトバイクとはいえ、3Dプリントされたカーボンフレーム に詰め込まれたハードウェアとアーキテクチャの仕様はかなり本気です。

項目 仕様詳細・特徴
フレームアーキテクチャ アナログ(非電動アシスト)の3Dプリント・カーボンロードバイク。
360°マルチモーダル・センサー 全周囲をカバーする光学カメラ、接近する危険の距離と速度を測る前後レーダー、DT Swiss社製のホイールハブに内蔵された多次元モーションセンサーの融合。
オンデバイス Edge AI クラウドに依存せず、すべてのデータを車載マイクロプロセッサでローカル処理(Edge AI)。通信遅延(レイテンシー)をゼロにし、電波の届かない山奥でも機能すると同時にプライバシーも保護。
インフォテインメント・UI 一体型エアロハンドルに完全に埋め込まれた長方形のデジタル液晶ディスプレイ。ブラケットフード部分のLEDインジケーター、ハンドルバーの触覚(ハプティクス)フィードバック機能。
拡張ARヘルメットシステム オプションのスマートヘルメット「Stingr Smart」と連携。格納式のバイザー内側にヘッドアップディスプレイ(HUD)を投影し、周辺視野に危険やパフォーマンスデータを表示。
電源・インフラ ダウンチューブ内に8時間駆動のバッテリーを内蔵。さらに**ハブダイナモ(発電ハブ)**を搭載し、走行しながら給電を補助。
通信遅延に引っ張られないのは良いのですが、ローカルに置いてしまうことでアップデートの手間が発生してしまいそうです。
カメラやセンサー類についてはフレームに装着する形になります。
ただでさえ高価になる傾向のあるフレームに、各種センサー類もビルドインすることになると、フレーム交換のハードルも上がりそうですから、この辺りは脱着可能なものにするか、フレームメーカー「ではない」ブランドが提供する形で、フレーム本体とは「疎結合」な関係にした方が良いかなー、と思いますが。

このバイクで、私たちのサイクリングは何が変わるのか?

「で、結局何が凄いの?」というわけですが、個人的には以下のあたりかなー、と思います。

「ヒヤリハット」が劇的に減る

AIが自動車の挙動(ブレーキランプの点灯など)や移動軌跡をリアルタイムで解析し、危険度をスコアリング。

危険が迫ると、ハンドルの振動やレバー付近のLED、画面ガイダンスで「どの方向から、どれくらい危険なものが迫っているか」を直感的に伝えてくれるとこのと。

これによって乗り手の反応時間を短縮してくれるわけですね。

自動車だとこの予測の先にあるのは「自動ブレーキ」になるわけですが、流石に安定性で劣る自転車(自動で自立するわけではない)においては、自動ブレーキなんて逆に危険でしかありませんから、あくまでも「乗り手に危険を伝える」という補助的な役割に留まるわけですが、ヒヤリハットの防止という点ではとても役に立ってくれそうです。

ドロッパーシートポスト

面白いギミックだと思ったのが、シートポストの機能。

所謂ドロッパーシートポストで、手元のスイッチによりサドルの高さを下げることができる機能なわけですが、ロードバイクにおいても、人通りの多い場所や走行速度が下がるようなシチュエーションにおいては、ドロッバーシートポストは有用性はあると思っています。

もともとはマウンテンバイク等で、ダウンヒル時にシートポストを下げて状態の安定性を高めたり、逆に上りでシートポストを上げてトルク伝達を上げる、といった使い方が一般的なわけですが、長らくマウンテンバイクに乗っていた人間からすると、ロードバイクの下りでも、シートポスト下げられたら良いのになー、と思っていたクチですので。

将来的には、システムが「転倒の危険性がある」とか「低速走行での安定性を高める必要あり」と判断したクリティカルな状況で、ドロッパーシートポストを自動的でゆっくり下げたり、みたいなことができると面白いと思うんですよね。(急激に下げられると危ないですが) ライダーの重心を強制的に下げることで、ブレーキングやコーナリング時の安定性を高め、事故そのものを回避するか、転倒時のダメージを最小限に抑えることにもつながる可能性があるのではないでしょうか。

集団走行がラク&安全になる

同じシステムを持つバイク同士が一緒に走ることで、「スウォーム(群れ)インテリジェンス」、つまりコミュニティとしての集合知が働きます。 先頭のライダーが見つけた路面の穴や、急ブレーキの連鎖などの情報が、グループ内の全バイクへ瞬時に共有されるため、ホビーレーサーの集団走行やロングライドでの安全性が高くなるとのこと。

実際には複数センサーが同時に連携し合うという、より複合的かつ高度な処理能力が必要になりますので、ロードバイクのフレームに収めることが可能なレベルのバッテリー容量で、どこまで実現可能なのかは未知数なわけですが。

これは、自動車のクルーズコントロール機能にも近いのでしょうが、e-Bikeでこの機能を付けて、前をいく自転車に引っ張ってもらう形の自動運転とか実現できるようになったら、自転車趣味にあまり理解を示してくれない奥様をライドに連れ出すことが可能になるかも?なんて思ってしまいました。

未来のロードバイクへの期待

自動車の世界では、未来を想起させるコンセプトカーの発表は各社積極的に行なっていて、私も何度か発表会に足を運んだことがありますが、見ていてとてもワクワクする世界観を提案してくれるんですよね。

自転車の世界では「目先のビジネス」に終始する傾向が強いと思っていたところ、今回キャニオンが未来のロードバイクコンセプトを発表してくれたのは、ロードバイク業界として、とても素晴らしいことなのではないかと感じています。

これだけの電子機器を積みながら、e-Bike(電動アシスト)ではなく、あくまで走りの純粋さを楽しむ「アナログな高級ロードバイク」のパッケージに落とし込んでいる点が、素晴らしいですよね。

キャニオンによると、この「Predict」の技術、あるいはその血統を継ぐモデルの市販化は、市場の受容性や技術のコストダウンを見据えつつ、「約3年以内」の生産開始を目指しているとのことです。
わくわくしながらその日が来るのを待ちたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました