投資会社SPAC SAからの出資受け入れ(カンパニョーロ)
苦境に立たされるかつての名門カンパニョーロ



かつて(今もだと思いたいですが)、イタリアの至宝「Campagnolo(カンパニョーロ)」といえば、多くのサイクリストにとって憧れの代名詞でした。シルバーの美しい造形美、エルゴパワーの絶妙な握り心地、そしてラチェット音の心地よさ。ロマンを愛する大人のサイクリストにとって、バイクを組むなら絶対にカンパニョーロを選びたい、というこだわりを持つ方は少なくないはずです。
ほんと、見た目は最高に格好良いんですよね。。。
そんなカンパニョーロを巡り、自転車界の耳目を集める大きなニュースが飛び込んできました。
ピナレロにも出資する投資会社がカンパの「少数株主」に

今回の発表の要点は以下の通りです。
投資元: スイス・チューリッヒを拠点とする投資会社「SPAC SA」
出資の形態: 少数株式の取得(戦略的出資)
経営権の行方: 創業家であるカンパニョーロ家は引き続き過半数の株式を保有し、経営のコントロールを維持
一瞬「身売りしてしまうのか?」と心配したのですが、創業家がしっかりと舵取りを握り続ける形での出資受け入れとなったようです。
この手の出資話になると心配になるのが「どんな投資会社からの出資なのか」という点。
投資会社は、出資した金額以上のリターンを得ることが至上命題になるわけですが、手早く簡単にリターンを得る方法の一つが「リストラ」や「経費削減」ですね。
見た目上の業績は一瞬良くなりますが、長い目で見ると経営体力を削るだけ削ってしまい、結果うまくいかなくなってしまうケースなんて、よくある話ですからね。
今回の出資元である「SPAC SA」ですが、同社は、名門バイクブランド「Pinarello(ピナレロ)」などにも投資を行っているグループ(南アフリカの富豪であるイワン・グラスエンバーグ氏に関連する企業)として知られています。
業界内他ブランドへの出資経験がある、というのはポジティブな情報ではないでしょうか。
他方、「ピナレロとカンパニョーロの結びつきが強まるのでは?」と、業界内では早くも様々な憶測や期待が飛び交っているようです。
カンパニョーロ側は「ピナレロをはじめとする他の投資先とは完全に独立して事業を運営する」と明言しており、これまで通りのフラットな関係性を保つ方針を示しています。
ただ、ピナレロはかねてより完成車を購入する際に、アップチャージを支払うことで正規価格で購入するよりもお得にホイールを購入することができる「ホイールアップグレードプログラム(WUP)」というサービスを提供しており、この対象ホイールにはカンパやフルクラムがラインナップされていました。
この辺りの連携はより強固なものになるかもしれませんね。
なぜ今外部資本を受け入れるのか
近年のコンポーネント市場は電動化・ワイヤレス化の波が急速に押し寄せ、巨大なシェアを持つシマノやSRAMとの競争が激化していました。
カンパニョーロも一時期はシェアの低下や社内組織の構造改革、経済的な苦難が報じられるなど、決して平坦な道のりではありませんでした。
しかし、ここ最近のカンパニョーロは攻めの姿勢を見せています。
完全ワイヤレスの「スーパーレコード」や、より広い層へ先端技術を普及させる「レコード13」などの新型コンポーネントを次々と投入し、製品アーキテクチャの刷新を進めてきました。
今回の外部からの資金と戦略的支援の導入は、この「反転攻勢の流れをさらに加速させるための燃料」としての意味合いが非常に強いと言えます。
今後の展開

カンパニョーロは今回の発表にあたり、以下のような目標を掲げています。
- プロレースやエリートサイクリングでの存在感強化:
最高峰の舞台で再びカンパニョーロのコンポーネントが勝利の歓声を上げる姿を取り戻すこと。 - 大手自転車メーカー(OEM)との関係深化:
完成車にアッセンブルされる機会を増やし、より多くのライダーに手に取ってもらいやすくすること。 - ブランドと技術の近代化:
「カンパニョーロ」および「フルクラム」の両ブランドにおける開発投資をさらに強化し、アジリティ(俊敏性)の高い組織へと生まれ変わること。
イタリア・ヴィチェンツァの職人文化や伝統的なエンジニアリングの美しさを守りつつ、現代のシビアなビジネス・技術競争を勝ち抜くための組織へとアップデートを図る。今回の提携は、そのためのネクストステージ(次の章)の始まりと言えそうです。
ただ、上記のような目標を見るにつけ、「それならピナレロとの協業深めてコンポ搭載、プロレースで勝ちに行くのが一番の早道なのでは?」なんて思ってしまいますけどね。
カンパ復活の狼煙になることを期待しています。

コメント