ロードバイクの三大コンポブランドといえば、シマノ、スラム、カンパニョーロ。
その3社の中では最もマーケットシェアが少ないのがカンパニョーロなのですが、遂に2024年のワールドツアーではプロチームのスポンサーから外れることになりました。
2021年は4チームのスポンサーになっていたのですが、今では全てがシマノに取って代わられてしまいました。
今後のカンパがどうなってしまうのか、という記事がありましたのでご紹介したいと思います。
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■ カンパニョーロがワールドツアーのスポンサーから外れることに
1. 性能面で遅れを取っているのか?
カンパニョーロのグループセットは、シマノやスラムに比べて性能が低いのだろうか?という疑問は当然湧いてくるものかと思います。
スーパーレコードワイヤレスは、カンパニョーロ独特の寒シフターを取り除いてしまったことで、それまでのユーザーから批判を浴びることもあり、かなり賛否両論沸き起こったようですが、ブレーキ性能、変速性能ともにシマノやスラムに引けを取るものではないようです。
本記事の記者は、スーパーレコードワイヤレスの性能は、シマノデュラエースDi2 R9200やSRAM Red eTap AXS に匹敵するものだと評価しています。
現に、2021年ツール・ド・フランスでタデイ・ポガチャルがスーパーレコード12EPSを搭載したコルナゴV3Rsで総合、山岳、ヤングライダーの3部門を制覇しているわけで、性能面で遅れを取っているわけではないはずです。
2. 経済的な理由
ほぼ結論なんじゃないの?というのが、経済的な理由ですね。
スーパーレコードワイヤレスがトップ性能かどうかは二の次で、どんなに優れた製品であっても、そこに資金がなければ、プロのレースでプラットフォームが得られる可能性は低い。
カンパニョーロは、シマノやSRAMといった巨大メーカーと経済的に太刀打ちできないようだ。プロ・ペロトンに限らず、アマチュア・ライダーに販売されるバイクの大半は、シマノかSRAMが採用されている。この傾向は、カンパニョーロの財務状況を悪化させ、トップレベルのプロチームのスポンサーになる余裕がなくなってしまったのだろうか?確かにその可能性はある。
プロチームがコンポーネントを選択する際に、性能を判断理由の一つにすることはあるでしょうが、決定的な理由は経済条件になることが多いでしょうから、致し方ないことなのでしょう。
ただ、この悪い歯車が回り始めると、市場は独占へと突っ走ってしまうわけですから、どこかのタイミングで負のスパイラルを断ち切って欲しいところです。
3. ラグジュアリーブランド化
カンパニョーロは自社製品をどのように位置づけようとしているのでしょうか?
一つの事例として、カメラ市場がよく取り上げられます。
日本のメーカーが市場を独占していく中で、ドイツのライカ社はラグジュアリーブランド化させることで市場の中で確固たる地位を確立させることに成功しました。
カンパニョーロ社もそういった地位を狙うのでしょうか。
創業者トゥーリオの孫であるダヴィデ・カンパニョーロは、昨年のメディア向け発表会でスーパーレコードワイヤレスを紹介した際、このグループセットを「スポーツ・ラグジュアリー」の最高峰と称した。
スーパーレコードワイヤレスは、ブランドの実力を示すために最高の素材を使用した、お金をかけないグループセットとして意図されている。
本記事でも触れられていますが、カンパニョーロブランドにユーザーを引き込む上で、4,499ポンドのスーパーレコードワイヤレス「だけ」では不十分なのではないか、という指摘があります。
シマノもスラムも、エントリーレベルからハイエンドまで、幅広いラインナップを用意することで様々なユーザーのニーズに応えようとしています。
先のライカはこの点でも稀有な存在で、俗に言うエントリーモデルといったものはあまり考慮されていませんから、常にフルラインナップでないと成り立たないわけではありませんが、果たしてカンパニョーロにそこまでのブランド力があるのか、という点に尽きるのではないでしょうか。
本記事では、カンパニョーロが手ごろな価格のパフォーマンス・オプションを早急にリリースしなければ、ますます不満を募らせたカンパニョーロのユーザーはシマノやスラムに流れ、新規ライダーはカンパニョーロを見向きもしなくなるのではないか、と断言しています。
4. 今後カンパニョーロはどうすべきなのか
何事においてもそうですが、ワールドツアーのスポンサーを継続すべきどうかについては、疑問視する意見があるのも事実です。
投資対効果が非常に分かりにくいですからね。
他方、厳しい環境で使われることで得られるフィードバックは、次の製品開発に活かすことができるのも事実です。
ただ、本記事では「カンパニョーロだからこそ」という点を見逃してはいけないと触れています。
カンパニョーロはただのコンポーネント・ブランドではない。カンパニョーロの歴史は自転車レースにあり、そこでその名を轟かせた。
カンパニョーロはツール・ド・フランスで実に42勝を挙げ、他のグループセットメーカーを大きく引き離している。シマノは12勝でダントツの2位だ(さらにランス・アームストロング時代の7勝が認められていない)。ワールドツアーでの存在感がなければ、カンパニョーロは、その比類なきレースの伝統を高く評価していたコアなファンを遠ざけてしまうかもしれない。スーパーレコードは常に “レーサーのためのグループセット “であり、その信頼性を維持するためには、最高レベルでその性能が証明される必要がある。
こういった歴史は、個人的にはあまり無視・軽視して良いものではないと思います。
特に「ブランド力」を重視するなら尚更ですね。
かのライカやニコンが世界的に評価された一つの要因に「過酷な戦場での酷使に耐えうる耐久性」があり、様々な伝説がその後のブランド力を支えることになりました。
今ではそんな昔の古臭い話は見向きもされなくなり、気づけばニコンのブランド力は弱まり、キヤノンやソニーといった家電会社に大きく遅れを取ることになってしまいました。
そんな中にあっても、カメラを知らない人でもライカの名前は知っている人がいる、というそのブランド力は、これまでの絶え間ない努力の賜物なんでしょうね。
ロードバイクにおいて、そのブランド力を維持する為の最も効果的な取り組みはワールドツアーでの勝利でしょうから、そういった観点から、今回のスポンサー撤退の決断は、5年後、10年後に大きな影を落とすことになるのではないかと懸念しています。
5. AIにも聞いてみた
本記事では、そうはいってもカンパニョーロが幅広いラインナップで戦うのは得策ではないとしたうえで、以下の2点を今後の改善策として提示しています。
- コーラス・ワイヤレスが発売されれば、アルテグラDi2やSRAM Force のユーザーを引き込む魅力的な製品になり得る
- 上位モデルの機械式変速に再投資すべき。シマノは上位モデルで機械式変速を放棄しており、SRAM も機械式変速に対する新規投資は完全に停止している。カンパニョーロはこの点で他社との差別化を図ることができるはず
特に後者の指摘は興味深いですね。
先のライカがいまだにブランド力を保っている一つの要素として、フィルムカメラを今でもラインナップに加えている点は見逃せないと思います。
熱心なカメラユーザーから熱い支持を受けているペンタックス社も、フィルムカメラの開発を発表しており、自社の立ち位置、差別化要素を常に模索しています。
個人的にもカンパニョーロには機械式変速のハイエンドを維持する、という差別化戦略を期待したいところです。
最後におまけで、AIに今後のカンパニョーロの取るべき戦略について聞いてみました。
以下がAIからの回答となります。
- 電動化への対応
シマノとスラムは、すでに電動コンポーネントの開発を進めており、市場投入を開始しています。カンパニョーロも電動コンポーネントの開発を進めていますが、他社に比べて遅れを取っています。
カンパニョーロは、電動コンポーネントの開発を加速させ、他社との差を縮める必要があります。 - 価格競争力の強化
シマノとスラムは、コストパフォーマンスに優れたコンポーネントを開発することで、多くのユーザーを獲得しています。カンパニョーロのコンポーネントは、高品質でデザイン性にも優れていますが、価格は比較的高めです。
カンパニョーロは、コストパフォーマンスを向上させるための取り組みを進めることで、より多くのユーザーに受け入れられる必要があります。 - マーケティングの強化
シマノとスラムは、プロチームへのスポンサードや、SNSなどのマーケティング活動を積極的に展開しています。カンパニョーロも、プロチームへのスポンサードや、SNSなどのマーケティング活動を強化することで、ブランド認知度を高め、新たなユーザーの獲得を目指す必要があります。
- 電動コンポーネントの開発を加速させ、他社との差を縮める
- コストパフォーマンスに優れたコンポーネントを開発する。
- プロチームへのスポンサードを拡大し、SNSなどのマーケティング活動を強化する。
うーん・・・。
ちょっと通り一遍な指摘に終始していますね。
さすがにカンパに「価格戦略」を薦めるのはどうかと思いますが、電動化への取り組みやプロチームへのスポンサーといった点については、元記事の指摘と同じですね。
また、オリジナリティという点では、ハイグレードな機械式コンポへの取り組みという指摘と通じる側面もあります。
超個人的な要求としては、機械式ディスクに対応したワイヤレス変速を採用してくれると嬉しいところです。
油圧ディスクの採用は、マウンテンバイクではとても合理性のある選択肢だと思いますが、ロードバイクにおいては過剰性能だと今でも思っています。
ケーブル類のフル内装は、油圧式だからできる方式であって、機械式でやってしまうとブレーキの引きが重くなったり、ブレーキの効きが悪くなってしまいますから、エアロ性能の追求という点では油圧ブレーキは合理的だと思いますが、アマチュアライダーはそれよりも整備性を優先するオプションを用意して欲しいんですよねー。
デジカメよりも機械式マニュアルフィルムカメラの方が、長い目で見た時のメンテナンス性が高いのと同じように、ロードバイクでもそういったオプションが用意されることを期待したいと思います。
コメント
カンパの製品はホイールしか馴染みがありませんが他のコンポーネントなども
提供していたとは・・・しかし今後はカンパに頼るしかなさそうですね・・・。
リムブレーキと機械式ディスクは親和性があり感触に違和感を感じる事もなく
油圧の様にガツンとは効かないだけに乗り慣れたロードには最適チョイスです。
マウンテンバイクで当たり前装備の油圧ディスクですがこれを内装式にすると
手軽に交換が出来ないので整備性を優先するなら外装式にするべきでしょうね。
シマノの強みはママチャリからハイエンドロードまで幅広いラインナップを揃えている事で、世にある自転車の恐らく8割はシティサイクル系でしょうから、そちらでしっかりと利益を確保出来る体制を整えているのは大きいですね。利益が出なければ新たな開発も出来ないわけで。
今のカンパに今更シティサイクル市場に乗り込む体力はないでしょうし、もうニッチなハイエンド市場で自転車界のライカを目指すしかないのでしょう。
その意味では機械式ディスクに注力するのはありかも知れません。売り上げには全く貢献しないでしょうけど(´∀`)
ライカもフルメカニカルカメラは今でも愛好家が多く、半世紀以上経っても修理が可能ですが、今の電子化されたモデルはそんなに保たないと思っています。一応Mシリーズはまだ銀塩のラインナップを残してはいますが、ニコンやキヤノンは既に銀塩カメラの製造を打ち切っていますから、この先どうなるのか不透明感はありますね。
そう言えばニコンがFマウントレンズの製造販売をやめるとか。不滅のFマウントも時代の流れには逆らえなかったようで。DシリーズもD6が最後になるのかなぁ…
以前入手したF3P用に揃えたAi35、50、85mmF1.4は大事にしないと笑
>老爺さん
>圧の様にガツンとは効かないだけに乗り慣れたロードには最適チョイスです。
これ、ほんとそう思うんです!
ロードのリムブレーキからだと、油圧は「効き過ぎて」しまう気がして、機械式くらいの制動力が自然だな、と感じたことがありました。
(峠の下り坂とかだと、油圧は恩恵はすごいものがありますが)
機械式ディスク&ワイヤレス変速が、性能とメンテ性のベストバランスだと思うんですけどねー。
>shigeさん
カンパには、ぜひ自転車界のライカになって欲しいです。(ツァイスではなく)
私もデジカメは基本「買い換える」前提で考えますが、社会人になって5年間こつこつお金を貯めて買ったライカM2は、今でも手放すことはできません。。。
整備していけば、まだあと数十年は使えるでしょうし。
昔の古いコンポを組み上げてみた、みたいな記事を見かけると、機械式コンポだとこういった夢があるよなー、なんて思ってしまいます。
そういった層は一定数いると思うので、ニッチに振るならその辺りのマーケットも狙ってくれないですかねー。