ロードバイク業界を騒がせているシマノのクランク問題ですが、英国で新たな局面に突入した模様です。
ですが、シマノのスタンスに変更はない模様。
全商品交換よりも、法的リスクの方が小さいと判断したのでしょうか。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
先日の記事でも書きましたが、シマノは日本国内においては「無償点検を行う」「不具合があった製品については交換を行う」というスタンスであり、俗に言われる「リコール」ではないとしています。
英国においてもそのスタンスは共通です。
そんな中、10月4日に英国政府から報告書が出されました。
英国政府の報告書によると、このクランクは現行の安全基準を満たしていない。
2023年10月4日、英国政府は「自転車用シマノ・ホローテック11速クランクアーム」と題する製品安全報告書を発表した。この2ページの文書によると、クランクが怪我を負うリスクは「中程度」だという。重要なのは、「影響を受けた製品は、一般製品安全規制2005の要件を満たしていない」ということだ。
(中略)
シマノに対するいかなる法的措置も、1987年消費者保護法に基づいて取られる必要がある。この法律により、消費者は製品の不具合が損害や人身事故を引き起こした場合、その製品の生産者や供給者を訴えることができる。その場合、シマノが欠陥製品であることを認めたことは、法的措置の根拠となりうる。
シマノに対して照会を起こったところ、回答としてはそれまでの路線を踏襲するものだったようです。
本誌がシマノに、検査に合格したクランクの返金や交換に応じるかどうか尋ねたところ、同ブランドの広報担当者は次のように答えた。
「検査に不合格となったチェーンセットのみが対象製品です。
「私たちの焦点は、安全でないことが判明したチェーンセットを市場から排除することです。影響を受けるのは1%未満と推定しているが、もしチェーンセットが検査に不合格となった場合、一般製品安全規則に基づく是正措置の適用が必要となる。シマノの広報担当者は、法的な危険性について尋ねられた際、コメントを避けたが、次のように答えた。
「シマノ製品を使用するすべてのライダーには、自転車やライディング用品を熱心にメンテナンスし、バイクの走行音やフィーリングの変化に注意を払うことをお勧めします。
これらのやり取りから見えてくることは、意外とシンプルな気がしています。
シマノは英国でクランク破断により利用者が怪我を負った場合、訴訟で負ける可能性がかなり高くなりました。「そんな当たり前でしょ?」と思われるかもしれませんが、クランクの破損がシマノの製品不良に起因するものなのか、利用者の責任(使い方)によるものなのかを証明するのはそれなりにハードルの高いものとなるところ、シマノ自身が製品不良の可能性を認めている為、敗訴する可能性が高くなりました。
特に英国政府からも公式の見解が出てしまった以上、係争で争うことはシマノにとっても得策ではなくなりました。
シマノはこういった訴訟リスク、損害賠償リスクを負う覚悟は決めたものの、全製品のリコールには未だに応じようとしていません。これは100%個人の見解になりますが、それは「製品の不具合は1%未満であり、仮に事故が起こって損害賠償を負担する事態に陥ったとしても、全製品リコールするよりもコストは安く済むはず」と踏んだからでしょう。
ここでいう「コスト」には、風評被害による損害も含むはずなのですが、それでもなお、シマノは強気に「製品破断する可能性は著しく低い」と踏んでいるのでしょうね。
それは一つの企業判断なのかもしれませんが、明確に「事が起きたら確実に負ける」地域が北米だけでなく英国にまで広がった状況からすると、リコールに踏み切った方が良いような気がしますけどね・・・。
実際、「現在も実際に使われている」クランクセットの数は、今回公表されている数よりも少ないでしょうし、「面倒だから」という単純な理由で交換を申し出ない利用者もいることでしょう。
ここまでくると、リコールで商品交換に応じてしまった方が、トータルコストは低くなりそうな気もしますが・・・。
コメント
コストは単に交換にかかる費用だけではありません。信用と言う大きな代償を払う事になりかねないのに、経営陣は呑気ですね。今まで初手を失敗して大火傷をした企業を沢山見てきたはずなのに、シマノは経験に学ぶ事を選択したようです。
>shigeさん
長らくマーケットのトップにいる驕りがあるのかもしれませんね。
ただ現実問題として、今回の件があったからといって、日本国内でスラムやカンパに乗り換えるユーザーが少ないのも事実でしょうし。
今回は「海外の対応」で危機感を感じてもらわない限り、国内の対応も中途半端に終わりそうな気がしています。
家のリカンベントはシマノの4アームのtripleなのでティアグラですが。。。(-_-;)。。。
少し不安です。 リカンベントはダンシングが元々不可能で、ティアグラは対象外で軽量化は重視しないし、薄肉でないから大丈夫だとは思いますが、良く観察すると、接着処理何ですね……。
自動車みたいにスポット溶接かと今までは思って居ました。