フロントシフトインナーケーブルの交換にチャレンジ
前回はリアシフトインナーケーブルを交換しました。
もともとは「リア2回の交換につきフロントを1回交換」という記載を見ていたので、今回はリアだけでも良いかな、と思っていたのですが、実際に交換して並べてみると、フロントも皮膜の剥がれが見えたりして気になってきましたので、そのままの勢いで交換してしまうことにしました。
1. ライナーチューブを通す(BB内部)
まずは事前処理を行います。
- インナートップにセットして、ワイヤーがもっともたるんだ状態にする
- ケーブル固定ボルトを緩めてケーブルを外す私は面倒なので、ケーブル固定ボルトを完全に取り外してしまい、アジャストバレるも外してしまいました。緩んだ状態でフレームを何度もひっくり返して、何かの弾みで取れて失くしてしまうのが嫌ですから。
- ケーブル先端のキャップを外すディレイラーに固定されていた箇所は皮膜が剥がれていますね。
ワイヤーそのものが千切れかけていることはありませんでした。 - フロントディレイラーに取り付けられていたケーブルには「曲がり」の癖がついていて、そのままだとライナーチューブを通りにくくなるので、曲がり癖がついているケーブルをカットしてしまう
この後はBB内部にライナーチューブを通しますが、ここは距離も短いのですぐに出てきます。ライナーチューブは忘れずにフレームにマスキングテープで固定しておきます。
2. ライナーチューブを通す(ダウンチューブ)
続いて、リアシフトケーブルでも最も苦労したダウンチューブ内にライナーチューブを通していきます。
こちらも一筋縄ではいきませんが、リアの時と同じように、アクロバティックな姿勢で何度か押し込み、無事ライナーチューブを通すことに成功。
一度、プロの現場を覗いてみたいですね。。。
3. ライナーチューブを固定、古いケーブルを引き抜く
ここは特に苦労することもなく、がしがしケーブルを抜いてしまいます。
4. 新しいケーブルを通し、タイコをきちんと収める
今回は、後で出てきますが、ここで大失敗・・・。
タイコを収めたつもりになっていたのですが、うまくハマっていませんでした・・・。
こんな感じになっていました。
明らかに「ハマっていない」わけではないのですが、もっと奥深くまで入って、タイコがよく見えないくらい奥まで入っているのが正解です。
ちなみにリアの時のタイコ位置がこちら。
がっつり奥まで入っていますね。
この失敗は、フロントがインナーではなくアウターに入っていた為に起きたものになります。
アウターに入った状態ではいくらタイコを奥に押し込んでも、これ以上は入ってくれないんですね。
「これ以上奥まで入らないところまで押し込んだからOK」と早とちりしてしまったわけです。
5. 新しいケーブルを通す(ダウンチューブ〜BB内部)
そんなミスに気づくこともなく、新しいケーブルをがっつり通し、ライナーチューブも抜いてしまい、ケーブルを仮固定までしてしまいました・汗
6. 誤算その1:フロントがアウターに入らない
その後、ケーブルの伸びを取って固定し、フロントディレイラーの調整をしようと思ったわけですが、いくらフロントのシフターを押し込んでも、フロントがアウターに入ってくれません。
それどころか、そもそもシフターを押し込んでも「スカッ」と空振りしているような感じで、一切感触がありません。
これは・・・?
試しにシフトアップ、シフトダウンそれぞれ操作してみますが、どちらも感触がなく「スカッ」と空振りします。
こんなことは初体験です。
意味が分かりません・・・。
あれこれネットで調べてみても原因はわからず。
この段階で、タイコがきちんと入っていなさそうだなー、という点には気づきますが、どうやらアウターに入ってしまっているようで、タイコをいくら押し込んでも奥まではまってくれません。
タイコをきちんと収めようとすると、フロントはインナーにしておかないといけないわけですが、インナーにチェンジしてみても「スカッ」と空振りして何も起きません。
何度もシフターを操作していると、幾つか気づくことが。
- 何回かに1回は「カチッ」と引っかかってシフトチェンジする時がある
- ぐいっ、と押し込むようにしながらシフトチェンジすると成功率が上がる
何この裏技的な感覚。
そこで気づきます。
タイコの収まり位置を確認する為に、ブラケットカバーをめくった状態で作業をしていたのですが、試しにブラケットカバーをはめてみます。
はい。
カチカチとシフトチェンジしますね。
ここで原因判明。
そもそも、シフトチェンジする時は、こちらのシルバーの部品を押し込むことでワイヤーが引っ張られるようになっています。
少し分かりづらいですね。
この指で押し上げている部品です。
どうやら、ブラケットカバーをまくりあげた状態だと、このシルバーの部品が中途半端に押された状態になっていたようで、いくらシフターを操作してもこの部品に届かなかった模様。
シフターの仕組みとか、予期せず良い勉強になりました。
7. 誤算その2:タイコが収まらない
これは先にも書きましたが、フロントがアウターに入っていた為に収まらなくなってしまっていたようです。
で、インナーに変速しようにも、シフターが反応してくれないというお手上げ状態。
訳が分からずに、もう一度ライナーチューブを通して、ケーブルを全て戻し、1からやり直しましたよ・・・。
期せずして2回もフロントインナーケーブルの交換に挑戦することができました・泣
これ、ポリマーコーティングのケーブルだったら、皮膜ボロボロになってたかもしれませんね。。。
先にも書きましたが、ブラケットカバーを戻してフロントをインナーにすると、奥深くまでタイコを収めることができました。
少し見えにくいですが、タイコが奥まで収まってくれました。
8. 後処理
ここから先は後処理になります。
- ケーブルをフロントディレイラーに仮固定
- ケーブルを引っ張って伸びを出す
- 再度ぐいっ、と引っ張ってケーブルを固定
- ケーブルアジャスターを適度に回して張り具合を調整
- トップトリム状態にして、インプットリンクを合わせるようにアジャストバレルを回して調整。この辺りは以前記事にまとめていますのでそちらをご確認下さい。
- ケーブルの余りを切断
- キャップを装着
メンテナンスマニュアルによると、フロントシフトインナーケーブルの交換で45分となっていますが、こちらもタイコがうまくハマらない事件が勃発した為、トータル3時間くらいかかりました・汗
ただ、リアシフトケーブルの交換で慣れたのと、フロントは結局2回分に相当する交換作業を実施しましたので、次回からは1時間程度で交換できそうかな、と思います。
これでまた1つメンテナンススキルを向上させることができました。
あとはブレーキワイヤーの交換ですが、シフトワイヤーを2回〜3回交換する度に1回交換するくらいで良いとのことですので、次回、シフトインナーケーブルを交換する際にチャレンジしてみようかと思います。
コメント
ポリマーコーティングケーブルは表面のコートが少し剥がれて毛羽立っていても問題無く使えます。交換時も引っ掛かることなくスムーズに作業出来、違いが良く分かります。耐久性もデュラケーブルだと下位グレードより巻き数が多いので、フロントだと2万km、リアは1万kmと下位より2割程寿命が長いです。
ショップで何度か作業を確認した後に自分でもケーブル張っていますが、105グレードでも通りが悪い事はありません。デュラには劣りますがそれでもスルスル通り、力を入れて引っ張るのは最後に初期伸びを取るときだけです。
おとうさん、余分なグリスはちゃんと拭き取っていますか?アウター内に過剰に入ると、時間が経つにつれ劣化したグリスによりシフトが重くなり、断線の原因になりますが大丈夫でしょうか?
>たかにぃさん
ご心配いただきありがとうございます。。。
グリスは過剰につけたりしていませんので、その辺りは問題ないかと。
ライナーチューブを使って作業をしていると、余分なグリスがあった場合、ライナーチューブ末端にグリスが集まって出てきますので、それも綺麗に拭き取っております。
なんとなくポリマーコーティングケーブルは皮膜剥がれが「目に見えて劣化」しているように見えてしまうので耐久性イマイチという印象がありましたが、むしろ下位グレードよりも上なんですね。滑り重視で耐久性は下、という印象がありました。
次回はポリマーコーティングのケーブルにチャレンジしてみましょうかね。
シマノのアウターケーブルには最初にうっすらとグリスが入り、また雨や埃避けのためのストッパーもあるので日東などの他メーカーと異なり、メーカーがインナーが外部に露出している部分以外のグリスアップを推奨していません。作業マニュアルで最初は付けてはいけないとあります。ですからライナー末端からグリスが出てくるのはその時点で過剰な状態です。
>たかにぃさん
ちょっと確認させて下さい。
今回はアウターケーブルは新規に交換しておりません。インナーケーブルは新品、アウターケーブルは使い回し、となります。
「最初につけてはいけない」という記載が、シマノのディーラーマニュアルで見つけられなかったもので、後学の為にもご教示頂けると幸いです。
で、シマノのマニュアルを見ると、「インナーケーブルにはゴミなどを付着さ せないこと。インナーケーブルのグリス を拭き取ってしまった場合は、SIS. SP41グリス(Y04180000)の塗布を推 奨します。」とありますので、ベタベタ触ってしまった場合にはグリス塗ってね、そうでない場合にはわざわざつけなくても良いよ、といったところかと理解したのですが、いかがでしょうか?
上記総括すると、リアシフトケーブルに関しては、「塗りすぎ」となった可能性があり、フロントケーブルは一度抜き差しして二回作業を実施しており、あれこれやる際に出荷時に塗られたグリスを指で拭き取った部分があるかな、ということを考えると、結果オーライになっていたのかも?
グリスの拭き取りは触る程度ではなくクリーナーでの脱脂を指します。
使用頻度が低い状態で数年乗ったり雨天走行が多いと、ケーブルが伸びる前にグリスが劣化したり埃やゴミが吸着し変速性能が落ちるので、そのときはクリーナーで綺麗に落としケーブルグリスを再塗布します。(ケーブル外装だと数ヶ月毎にグリスアップ)
ディーラーマニュアルでは組付け時にグリスアップが必要なところにグリス種別が明記されていて、書いてない所には使いません。ショップ向けにはメーカーの講習会、一般ユーザ向けには問い合わせ窓口で説明されています。
>たかにぃさん
なるほどです。勉強になりました。ありがとうございます。
「ブラケットカバーをまくりあげた状態だと、このシルバーの部品が中途半端に押された状態になっていたようで、いくらシフターを操作してもこの部品に届かなかった模様。
シフターの仕組みとか、予期せず良い勉強になりました。」
初めてケーブル通してます。わからなくて検索しました。
コンポ載せ替えしているところです。
やっとわかりました。ありがとうございます。
勉強になりました。
>Kさん
私のつたないメンテナンス記事がお役に立てたようで何よりです^_^
メンテナンスに慣れた方だと飄々とこなされるのでしょうが、私のような素人はいつだって四苦八苦の連続でございます。