■ リアシフトワイヤーの交換にチャレンジしてみた

今回はロードバイクのシフトワイヤーの交換にチャレンジしてみたいと思います。

完成車で購入してから早1年半、走行距離にして5500kmが経過しましたが、その間ワイヤー類は一度も交換しておりません。
さすがにここ数ヶ月、リアのシフトチェンジが渋くなってきましたので、そろそろ交換時期が来たかな、と。


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フレームをひっくり返してBB裏を覗いてみると、ワイヤー表面の皮膜が剥がれ始めているようにも見えます。
一度気になりだすと止まらないもので、連休にまとめて作業することを決意しました。

先日バーテープの交換を行いましたが、その際にも触れましたが、消耗品のメンテナンスとして未体験なのが「シフトワイヤー」と「ブレーキワイヤー」の交換となります。

ここまで自分でできるようになると、よほどのことがない限りはショップのお世話になることなくセルフメンテナンスできるようになりますね。

ちなみに今回も私のメンテナンスバイブルである、こちらに沿ってチャレンジしてみたいと思います。
























1. インナーケーブル交換に必要なものを揃える

まずは必要なブツを事前に購入して揃えておきます。


ワイヤーカッター & ケーブルカッター
シフトワイヤー、ケーブルワイヤー、アウターケーブルと「硬い」ケーブルだらけですが、全てまとめてカットできる優れもの。PWTのツール類はお値段的にも品質的にもちょうど良い気がします。
















シフトケーブル一式
シフトケーブルは結構迷いました。 ニッセンのケーブルが良いよー、という声もあれば、定番のシマノでしょ、という声も。

シマノのケーブルも、最上級(アルティメットグレード)のポリマーコーティングと、セカンドグレード(アドバンスト)のオプティスリックで選択肢が分かれます。


grade



レースなどで最上級の軽快なシフティングを目指すのであればポリマーコーティングが良いようなのですが、皮膜が剥がれやすく、作業中に雑に扱うとそれだけで皮膜が剥がれてしまうといった声も。
ひとまず最初は無難に、ということでアルテグラグレードのこちらのセット一式を購入しました。















シマノケーブルグリス
少しでも気分よくシフトチェンジできるようにする為にはケーブルにグリスを塗った方が良いらしいといことで購入。















ケーブルライナー
今回ケーブルを交換するロードバイクはピナレロのGAN S。ケーブル類は内装されていますので、ケーブルライナーが必須。それこそ熟達のローディーだと、ライナーなしでも通したりするそうですが、まったく自信がありませんので王道を行くことにします。















2. ライナーチューブを通す(チェーンステー)

まずは最初の関門です。
チェーンステーにライナーチューブを通すのですが、以下の手順を踏んでたどり着きます。

  1. リアをトップ、フロントをインナーにしてワイヤがもっともたるんだ状態にする。後に出てきますが、リアトップにしておかないと、ケーブル先端についているタイコを引き出すことができませんので、とても重要な手順になります
  2. リアディレイラーのケーブル固定ボルトを緩めてケーブルを外します


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    やはり皮膜が剥がれていますね。ケーブル本体はほつれていませんでした。


  3. ケーブルの先端についているキャップを切断します
  4. アウターケーシングを引き抜いて外します


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    当初付属のアウターケーブル。
    DURA-ACE R9100系、ULTEGRA R8000、105 R7000のリアディレイラーのアウターケーブルに関しては、こちらのOT-RS900を使用するそうです。

    それ以外に関しては、OT-SP41だそうで。
    シマノのサイトを見ると、リアディレイラーのアウターケーブルとしてOT-RS900は載っているのですが、フロントディレイラー用は商品ラインナップに出てきません。少し不親切なんですよね。
    ディラー向けマニュアルを見るとよく分かります。


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    で、これが作業に入ってから気づいたもので、私がセットで購入したケーブルはOT-SP41のみ同梱。


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    OT-RS900は購入していませんでしたので、今回はアウターケーブルの交換は見送ることにしました。


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    地味に傷が付いているので、今回交換したかったんですがね・・・。
    事前準備不足でした。

ここまで進んだら、いよいよ本番です。


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こちらのライナーチューブをチェーンステー内に通していきます。
ディレイラー近くのケーブル末端部分は「曲がり」がついていますので、そのままライナーチューブを通そうとすると通りにくくなってしまいますので、曲がり癖がついている箇所はワイヤーカッターでぱっつん、と切断しておきます。

チェーンステー内は比較的するするっ、と問題なくライナーチューブを通すことができました。


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BB裏でこんにちわ。

このままだと作業し辛いので、ケーブルをひっかけて取り出します。


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まずは無難にライナーチューブを通すことができました。
ライナーチューブはチェーンステー内に残したまま、インナーケーブルはチェーンステー内から引っこ抜いてしまいます。

ちなみに、この段階でチェンーステーの長さプラスアルファの長さで、ライナーチューブは切ってしまいます。
一本のライナーチューブでチェーンステーからダウンチューブまで全てを通し切ってやろうとしたところ、敢え無く挫折しました。ケチケチせずに、ここで一度ライナーチューブは切ってしまうことをお勧めします。

その辺りの理由はダウンチューブで出てきますので、しばしお待ちを。




3. ライナーチューブを通す(ダウンチューブ)

次が最難関でした。
ダウンチューブ内にライナーチューブを通して行くのですが、これがまー通らないこと。
ぐいぐい押し込んでいくと、こちらの出口からこんにちわ、と出てきてくれるはずなのですが、中でひっかかってしまい、うまく出てきてくれません。


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このカバーが外れると、穴が広がって簡単に出てきそうな気もしますが。
試しにボルトを外してみましたが、カバーはがっちりフレームにハマっているようで、少しこじったくらいでは外れそうにありませんでした。

あまりやり過ぎてフレームを傷物にしても嫌ですし、一度外したらバカになって使い回しができない部品だったりしても嫌なので、別の方法を模索してみます。

おそらく、ダウンチューブ内ではこんなことになっているのかと。



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左上の黒丸が出口だとすると、、右下からぐいぐい押されてライナーチューブが上がってくるわけですが、出口付近でうまく穴を通らずに引っかかってしまっている模様。
そうすると、下からぐいぐい押されますので、中でライナーチューブがぐちゃぐちゃになってしまいます。


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こんな感じですね。
いくら下から押されても、ダウンチューブ内から出てきてくれないわけです。

ではどうすれば良いか?

ケーブルをぴんと張って、テンションを保ったままライナーチューブを押していくことにします。

イメージはこんな感じ。

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シフトケーブルを張った状態にしておけば、ライナーチューブが出口の穴で引っかかってしまっても、ぐちゃぐちゃに曲がることはありません。

このやり方では、シフトケーブルを掴んでテンションをかける必要がありますので、ライナーチューブを2本に切り分けて作業をする必要があります。
最初は1本でチャレンジしてみたのですが、ダウンチューブ内から全く出てきてくれませんでしたので、BB裏で2本に切り分け、右手でワイヤーケーブルを引っ張ってテンションをかけながら作業することにしました。

そのままぐいぐいとライナーチューブを角度を変えながら押し続けること数回。


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出てきましたっっ!!


いやー、この試行錯誤だけで20分くらいかかりましたね。

ちなみに、説明し易いように、ロードバイクを立てた状態を例にして説明してきましたが、実際にはバイクを逆さまにして作業していますので、斜め下に向けてライナーチューブをぐいぐい押しています。

右手・・・シフトケーブルを引っ張ってテンションをかける
左手・・・ライナーチューブをぐいぐい送り出す
左足・・・シフトケーブルを指先で引っ掛けて、右手で引っ張るのと逆方向にテンションをかける

こんな感じで作業をしていました。


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足元はこんな感じですね。


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もっとスマートなやり方、誰か教えてください・・・泣

何はともあれ、チェーンステー、ダウンチューブともにライナーチューブを通すことには成功しました。


4. ライナーチューブを固定する

ここまで苦労して通したライナーチューブが作業中に抜けてしまっては元も子もありません。
特に、バイクを上下逆さにしたり戻したりを何度も繰り返しながら作業をしましので、きちんと固定しておく必要があります。

BB裏はこんな感じになっています。

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ライナーチューブが2本ありますので、それぞれマスキングテープで固定しておきます。


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こんな感じですね。


5. 古いケーブルを引き抜く

えっと、そのまんまです。
ぐいぐい引き抜いてしまいます。

ブラケット内側にあるカバーは外しておきます。


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内装されていた部分は特にほつれもなく、まだまだ使えたかな?と。
ブラケット内、フレーム内、アウターケーブル内は見えないだけ不安ではありますが、特に痛みはありませんでした。

目で見えるBB裏やディレイラー付近は痛みが出易いんですかね。 



6. 新しいケーブルを通す(ブラケット内)

今度は逆に新しいケーブルを通していきます。
まずはブラケット内部。


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新しいケーブルは真っ直ぐ、癖もついていませんので、するする入っていきます。

続いてハンドル周りを通していきますが、この段階でグリスを塗りながら入れていきます。
いきなり全部のケーブルに塗るとベタベタしてしまいますので、ハンドル周りのアウターケーブルに収まる部分にだけ塗布しておきます。


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こちらのケーブルグリスを塗っていきます。

手がベタベタになりますので、使うのはこちら。


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百均のポリエチレン手袋です。
110枚入っています。
作業中は1枚で事足りますので、110回ケーブル交換が出来ます。

私の寿命の方が先に尽きますね、これは。


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こんな感じにグリスの中に指を突っ込んで指につけ、ぐりぐりケーブルに擦り付けていきます。


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ブラケット内側からハンドル内部へケーブルを送り出して行きます。
するするっと入っていきます。


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アウターケーブルを通しておきます。


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ちなみに、アウターケーブルを通す時に塗りつけたグリスがぐにぐに溢れて出てきます。
汚れの原因になりますので、きちんと拭き取っておきます。

ちなみに今回はシフトケーブルですが、ブレーキワイヤーの場合、このグリスを放置しておくと恐ろしいことになるそうです。

こちらシマノのディーラー向けマニュアルから抜粋したものです。




アウターケーシングに通す際インナーケーブル固定部に付着したグリスは、必ず布などで拭き取ってから固定してください。固定部にグリスが 付着していると、ブレーキケーブルの固定力が不足し、ブレーキケーブルが緩んでブレーキ操作ができなくなり重傷を負う可能性があります。 


恐ろしいですねー。
シフトケーブルは即危険、というわけではないでしょうが、スムーズなシフティングの妨げにはなりそうですから、きちんと余計なグリスは抜き取るようにしないとですね。


7. タイコをきちんと収める

地味だけどとっても重要な作業。
ケーブル先端部分のタイコを、きちんと所定の位置に収めておきます。


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少し分かりづらいですが。
親指の下辺りですね。

通したケーブルをぐいっと引っ張ると、タイコがきちんと奥まではまりこんでくれます。




8. 新しいケーブルを通す(ダウンチューブ〜チェーンステー)

ここから先は流れ作業です。
ケーブルにグリスを塗りつけ、ダウンチューブに通して行きます。


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ここはするする入っていきます。


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BB裏からこんにちは。

ダウンチューブを通し切ったら、ライナーチューブを引き抜いてしまいます。


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そのままチェーンステー内のライナーチューブにも通していき、通し切ったらライナーチューブを抜いてしまいます。

これで無事ケーブル交換完了です!



9. 後処理

ここから先は後処理ですね。

  1. アウターケーシングをケーブルに被せる
  2. アジャスターは右に回し切って引っ込めておく


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  3. ケーブルをリアディレイラーに仮固定する
  4. シフターを操作して、インナーケーブルを引っ張るようにして伸びを出す
  5. ケーブルのテンションを出してから固定
  6. ワイヤーの張り具合をアジャスターを使って調整する

    張り調整に関しては過去に実施した記事がありますので、そちらをご参照ください。




  7. 余ったケーブルを切断する
  8. キャップを固定する

さらっと書いていますが、リアディレイラーのワイヤー張り調整は、そこそこ時間がかかります。

実は今回も苦戦しました。
リアディレイラーの張り具合調整は、トップから2枚目で行います。
シフトダウンの為にレバーを半分押したところで、3枚目のスプロケットにチェーンが接触し始めるくらいがベスト。

ですが今回は苦戦。

  • 2枚目に入れた段階で軽くシフトダウンしようとレバーに軽く触れると一気にシフトダウンしてしまう
  • 3枚目でシフトアップすると、2枚目を通り越してトップに入ってしまう

そもそも肝心の2枚目に落ち着いて止まってくれないんですね・汗
いろいろ試行錯誤したら原因が判明。

  • ロー側がオーバーストローク気味になっていた。リアディレイラーの位置が、最大スプロケットよりも内側(フレーム側)にセッティングされていた為、シフトダウンする際には軽く触れただけでロー側に過敏に反応してしまう
  • 一方でケーブルのテンションが高めだった為、シフトアップする際に軽く触れただけでトップ側に過敏に反応してしまう

トップ側、ロー側双方に過剰に触れていた為に、2枚目で安定してくれなかったんですね。
ディレイラー位置とケーブルのテンションと、2つの要因がおかしな方向で重なってしまった為に原因究明に手こずりました。

ロー側でディレイラー位置の調整を行なったうえで、ケーブルアジャスターでテンションを緩めたところ、スパスパ変速が決まるようになりました。


メンテナンスマニュアルだと、リアシフトケーブル交換の所用時間は45分、リアディレイラーの張り調整が20分となっていますが、ライナーチューブを通すのに四苦八苦したのと、最後にディレイラー調整にもてこずった為、写真撮りながら作業をしたのと合わせて合計3時間くらいはかかりましたね・・・汗


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BB裏の様子です。

上段が交換したばかりのシフトケーブル。
下段がまだ交換していないフロントのシフトケーブルです。

メンテナンスマニュアルによると、リアの方がシフトチェンジの頻度も高い為、リア2回の交換につきフロント1回が目安とありましたが、こちらも交換した方が良さそうですね。


ということで、次回はフロントのシフトケーブル交換にチャレンジです。
リアができたんだから楽勝でしょ、と思っていたら盛大な落とし穴に引っかかってしまい、こちらも四苦八苦してしまいましたが、それはまた次回。






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