クロモリロードバイクに乗るようになってから丁度一年が経過しました。





それまで乗っていたのはレース向けカーボンロードバイク、ピナレロのGAN Sでした。





このバイクに乗ることで、「速く走ることの楽しさ」を実感することができましたし、もっと速く走りたいということでローラー台を購入して素人なりにトレーニングもするようになりました。

ただ、レースモデルに4年以上乗って改めて気づきました。
「これじゃない」と。

私の自転車趣味は約30年。
マウンテンバイクやクロスバイクに乗ってツーリングやポタリングを楽しんでいた期間が圧倒的に長く、ロードバイク歴は10年にも満たないのです。

レースバイクに乗って速く走るのも楽しいけれど、私のような「ただの自転車好き」な人間にとっては、それは「少し無理している感」のある乗り方でした。

そして奮発してクロモリフレームのロードバイクを発注。
納車からちょうど一年が経過しました。



「あー、やっぱり自分に合っているのはこっちだな」



そんな1年間を振り返って、クロモリロードバイクの素晴らしさに触れてみたいと思います。








■ クロモリロードバイクの素晴らしさ(CHERUBIM Sticky)



1. まず初めに

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まず初めに。
タイトルこそ「クロモリロードバイク」と大上段に振りかぶっていますが、今回の私の初見はあくまでも「CHERUBIM Sticky」に対する評価となります。

試乗で乗り比べたほかのクロモリロードバイクにも通じるものもあれば、他のクロモリとは全く違うな、と感じる点もあります。

その為、クロモリロードバイク全体を礼賛するつもりはないですし、それこそ「レースに出たい」という人であれば、迷わずカーボンフレームを選択した方が幸せになれると思います。

また、ブレーキもリムブレーキモデルとなりますので、ディスクブレーキ前提で考えると、また違った世界が広がってくると思います。

ケルビムのショップの方とも会話したのですが、「技術的には Sticky をディスクブレーキ化することはできるし、オーダーして頂く方もいるが、リムブレーキモデルとは乗り味が変わってしまって Sticky らしさが損なわれてしまう」とのことでした。
ディスクブレーキにしたいなら、ケルビムであれば Piuma を選択すべきでしょう。

とはいえ、私が色々と感じている点は、その根底にあるのが「クロモリの良さ」であることも事実。

そんな視点で読んで頂ければと。



2. 自分のペースで走ることができる

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これは購入当初から感じていたことですが、クロモリフレームは「懐が深い」と感じています。
カーボンフレームは、そのカーボンの積層や剛性に応じて最適な「走り方」の定義がそれぞれ決まっています。
自分で走り方を選ぶことはできず、フレーム側がそれぞれに最適な走り方を要求してくるわけです。

プロであればフレームに合った最適な走り方を実践することができるでしょうし、体力、脚力に余裕があってペダリングも上手な人であれば、何の苦もなく要求された走り方を実践することができるのでしょう。

これが週末ローディーともなると、なかなかそうもいかず。

かつて試乗でハイエンドのロードバイクに乗ったことも数回ありますが、毎回思うのは「20〜30kmの距離だったり、1時間のライドなら楽しく乗ることはできるけど、100kmをこのフレームで走り切る自信は持てない」というものでした。

難しく考えることなく、「所詮は自転車なんだから、深く考えずにペダル回せば良いではないか」と思うこともあるのですが、そういった割り切った乗り方をしてしまうと、そのフレームの性能は十分に引き出すこともできないのだろうな、と思うのです。

ライド後半に疲労が溜まって、雑なペダリングをしてしまうと、過剰に入力されたパワーはBB周りの剛性に跳ね返され、疲労の溜まった足に問答無用で反射されてしまい、加速度的に疲労が溜まってしまうのです。

スタミナをつけて、綺麗なペダリングができるようになれば問題ないのですが、ライド時間、ライド距離、その日の体調によって一定の「限界地点」が設定されてしまうのは事実なんですね。

これがクロモリフレームだと違いました。
過剰なトルクをかけてペダルを踏み込んでも、BB周りで適度に「いなして」くれる為、足へのダメージが少なくて済みます。

それは単純にBB周りの剛性が低いだけで、ペダルにかけられた出力が逃げているのでは?というツッコミもあるかと思いますが、そんなことはないようで。
ペダルを回した分だけ必要十分な推進力は生まれる為、力が「逃げている」感覚は全くないのですが、「過剰な出力」は適度に逃してくれる、とても不思議な感覚があります。

この「適度な塩梅」がクロモリフレームの醍醐味なんだろうな、と感じています。

走り方に関しても、ケイデンス重視で回しても、トルク重視でぐいぐい踏み込んでも、それぞれに応じた走り方をしてくれる為、走りの自由度も高いと感じています。



3. 疲れにくい

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クロモリフレームでよく言われるのが、振動吸収性の高さ、ではないでしょうか。
この点は人によって意見は分かれているようで、様々な意見があります。

  • カーボンフレームよりもクロモリフレームの方が疲れにくい
  • クロモリでもアルミに近い「カチカチ」なものもあり、フレーム次第
  • どんなに頑張っても、振動吸収性を高める為に各種ギミックを搭載したカーボンフレームには勝てない

カーボンフレームと一言に言っても、快適性の高いものもあれば剛性重視でそこまで振動吸収性に重きを置いていないフレームもあるように、こればかりは「フレーム次第」といったところでしょうか。

私がそれまで乗っていた「サードグレードの剛性」で設定されていたピナレロのレーシングモデルと比較した限りにおいては、Sticky は振動吸収性は「高い」と感じています。

ライド中の疲労に関しては、路面の突き上げからくる疲労だけではなく、「脚に来る」疲労もあるわけですが、先に述べた通り、後者に関しては明らかにSticky の方が疲労が少ない乗り方ができます。

前者の路面からの振動吸収性に関しても、Sticky の方がわずかに上だと感じていますので、この点に関しては確実に「疲れにくい」フレームと言って良いかと思います。




4. 疲れた時に走りやすい

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これは若干「概念的」「主観的」な話になってしまうのですが、Sticky は疲労が溜まってからも「走りやすい」バイクだと感じています。

今まで乗っていた GAN S の場合、ライド終盤でヘロヘロになってくると、どうしても軽い力でくるくるペダルを回して走ることになるのですが、その走り方だと「足を止めるとすぐに止まってしまう」感覚があり、とにかく足を回し続けないと行けない感覚が強かったです。

特に向かい風になると顕著で、疲労が溜まった状態での向かい風は、とにかく地獄の苦しみでした。

これが Sticky になると不思議な感覚になるのですが、足が売り切れた状態でも軽いトルクでくるくる回して走ると「それなりに」前に進んでくれる感覚があるんですよね。

もともと私が使っているシャマルウルトラは足を止めた時でも減速感が少ない、よく「進む」ホイールなのですが、カーボンフレームの時よりもクロモリフレームになってからの方が、路面からの摩擦、振動を受けてもうまいこといなしながら推進力を減らすことなく進み続けてくれる感覚が強くなりました。

GAN S だと時速25kmを切って低速で走ると「楽しくない」のですが、Stickyだと時速20kmでも「ぬるぬる」走り続けてくれるので、不思議と「楽しい」感覚になります。
条件を揃えて実際に前後比較を実施できているわけではないので、科学的にこの辺りを証明するのは難しいのですが、1年乗り続けた結果として、この辺りは「確実に違いがある」と信じている違いだったりします。



5. 実は登りも楽しめてしまう

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一般的にクロモリフレームはカーボンフレームよりも重量増となってしまいますので、登りは不利になる傾向にあるわけですが、Sticky は細身(1インチ)のパイプを採用していることもあり、クロモリフレームにあってはかなり軽量な部類となっています。

シャマルウルトラを履き、コンポに SRAM Force eTap AXS を採用した私のバイクは完成車重量で8kgを切ってきますので、今時のディスクブレーキモデルと比較すると重量面での大きな違いはないです。

加えて、剛性面での不足を感じたこともない為、結果として斜度10%超の峠道を走ってもそれまで乗っていた GAN S との違いを感じることはありませんでした。





GAN S も斜度の小さな緩斜面であればトルクをかけてぐいぐい登ることのできる楽しいフレームだと感じていたのですが、Sticky はその上を行きました。
ここ最近はライド中にセグメントレコードを更新しようと思って走ることはなくなったのですが、それでも幾つかの斜度2〜3%の緩斜面では Sticky になってからプライベートレコードを更新していました。

Sticky はトルクをかけるとぐいぐい加速していきますので、登っていてとても楽しいんですよね。
当然調子にのってトルクをかけ続けるとヘロヘロになるのですが・・・。

クロモリフレームに変えてしまうと、上り坂を避けた走り方をするようになるかなー、と漠然と思っていたのですが、結果としてはそんなことはありませんでした。
カーボンフレームと同じコースを同じように走っても、同じように楽しく走ることができ、結果、この一年のライド毎の平均高度上昇はカーボンフレームに乗っていた時よりも増えていました。

登りも楽しい。
それが Sticky でした。




6. 実は速く走れてしまう

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クロモリフレームに変えてから起きた大きな変化があります。

よく言われる話ですが、「速く走ることにこだわらなく」なりました。
どうしてもカーボンフレームのレースモデルに乗っていると、巡航速度が時速25kmを下回ると焦りを感じたりしていたものですが、Sticky に乗るようになってからというもの、時速25kmでゆっくり巡航したって良いじゃない、と思えるようになりました。

自分のペースで楽しく走る。

それだけ考えるようになったんですね。

こうした気持ちの変化については、よく聞かれる話かと思うのですが、それではどの程度「遅く」なったのか、Sticky に乗った一年と、その前の一年とのライドデータを比較してみました。

まず前提として、私のライド特性はこんな感じです。

  • 暑い日、寒さに負けた日、午後から予定がある日はショートライド(50km前後)
  • 予定に余裕があって気候が良い日はロングライド(100km前後)
  • この2〜3年は、家庭の都合や仕事の関係でログライドの頻度は減ってしまい、結果としてライドの比率はショート対ロングが「1:2」

で、比較した結果がこちら。

  • おおよそ似たようなコースを走ることが多いこともあり、ライド辺りの平均走行距離はカーボン時代もクロモリ時代もほぼ同じ(1kmと誤差がなかったのには驚きましたが)
  • 平均時速は、22.9km/h (カーボン)vs 22.3km/h(クロモリ)
  • 速度差としては、10km走って約43秒の差、距離にして277mの差

乗り方が変わった(遅く走るのも気にならなくなった)こともあり、確実に平均速度は下がったわけですが、事前に予想していたよりは速度差は大きくなかったことに驚きました。

「あれ、かなりゆっくり走っていた時間も結構あったよな?」というのが正直な印象なんですよね。

実際、速く走ろうと思えば走れてしまいますし、一漕ぎ目の加速感こそカーボンの GAN S の方が上と感じることはありますが、その後のスピードの伸びだったり、巡航性能で大きな違いを感じることがないわけで、ライド全体を通した「速さ」でいうと、大きな違いはないのかも、と感じています。


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あくまでも、ピナレロ GAN S と Sticky の比較ではあるのですが、当初覚悟していたネガティブ要素は限りなく少なく、それでいてポジティブ要素が多いと実感しており、クロモリフレーム(というか Sticky)は素晴らしい、と感じています。

レースに出るなら一漕ぎ目の加速が求められるでしょうから、とにかくマッシブなカーボンフレームを選択すべきだと思います。
また、クロモリオーダーフレームの特性上ライダーの柔軟性や体重が変われば、出来上がりのフレーム特性も大きく変わってしまうでしょうから、重量級のローディーであればまた話は変わってくるかもしれません。

私のような軽量級(体重56kg)のローディーであれば、CHERUBIM Sticky はメリットしかない、素晴らしいフレームだな、と思います。


クロモリフレームが気になる方は、ぜひ第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。









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