経営再建への長い道のり(Raphaが9年連続の赤字に)

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いやー、さすがに洒落にならん状況になってきました。

高級サイクリングアパレル「Rapha」が9年連続赤字でCEO電撃辞任へ

高級サイクリングアパレルの代名詞として君臨してきた「Rapha(ラファ)」。かつて「おしゃれなサイクリストの制服」として爆発的な人気を誇った同ブランドが、現在深刻な経営の岐路に立たされています。

尾根幹走っていたら、日に何度もすれ違うブランドでしたね。

そんなRaphaですが、2026年9月、9年連続となる赤字を計上し、さらに就任から約2年だったフラン・ミラーCEOが電撃辞任するという衝撃的なニュースが飛び込んできました。ブランドの象徴であるトップの突然の退任、止まらない巨額の損失、そして経営陣が拠り所にしてきた指標の「黒字化失敗」など、ちょっとシビアな状況になってきました。

過去3年で「約60億円(6,000万ポンド)」の損失

Raphaが発表した最新の財務数値(2026年1月期決算)は、非常に厳しい現実を突きつけています。

  • 売上高: 8,900万ポンド(前年の9,600万ポンド、2024年の1億1,000万ポンドから減少)

  • 純損失: 2,530万ポンド(前年は1,560万ポンドの赤字)

  • 累計赤字: 過去3年間だけで約6,000万ポンド(約115億円以上)の損失

これでRaphaは9年連続で赤字を計上したことになります。2017年に米ウォルマート創業者の孫たちが所有する投資会社「RZCインベストメンツ」に買収されて以来、ブランドの財務体質は改善するどころか、泥沼から抜け出せない状態が続いています。

CEOフラン・ミラーの退任と、残された「実行」という名の痛み

こうした中で発表されたのが、CEOフラン・ミラーの辞任です。

元イネオス・グレナディアーズやベルスタッフのトップを務め、2024年にRaphaのCEOに就任したミラーは、「ブランドを原点回帰させ、ファッション性の高い高品質なキットで再び卓越した存在になる」という明確なビジョンを掲げていました。度重なるセール(値引き)に依存してきた過去の販売手法を断ち切り、ブランドのプレミアム感を立て直すことが彼女のミッションでした。

しかし、彼女が主導した「割引からの脱却」は売上の減少に直結し、ブランドは大きな痛みを伴うことになりました。ミラーは辞任に際し、「自身のビジョンは定まったが、次の段階である『デリバリー(実行)』には新しいリーダーシップ構造が必要だ」とコメントを残しましたが、実質的にはこの構造改革に伴う痛みを伴うフェーズから身を引いた形とも受け取られています。

安売りに慣れてしまった消費者に対して、「でもプレミアブランドなんだから、本当は高いんだよ?」と方針転換したからといって、売上を維持することすら難しいですよね。。。

さらにRaphaは、今回の発表に合わせて組織再編とスタッフとの正式な協議(人員削減)を行うことも明らかにしています。

これは本当にまずい状況になってきました。

「EBITDA重視」ですら赤字転落

経営陣はこれまで、買収に伴うのれん代などの非現金減価償却費(年間約1,000万ポンドが今後10年近く続くもの)を除外した「臨時項目除きEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)」こそが実態を表すとして、この数値を重視してきました。

ちょっと小難しい話になってしまいますが、この「EBITDA(減価償却費除き)」の数値を経営目標に掲げる企業は結構多いです。
大型の投資を必要とする企業においては、「過去にあれこれ巨額投資しているけど、ひとまず足元(ここ一年)での売上・利益は堅調なんだから良いじゃない」と主張するには、分かり易い数値なんですよね。
日本だと、NTT、楽天、ソフトバンクのような、巨額な投資が定期的に発生する企業において、EBITDAは重視される数値だったりします。

「純損失や営業赤字は過去の買収の付け(減価償却)があるからで、アパレル事業単体としての収益力は見ている方向に向かっている」。そう主張したかったはずなんです、Raphaも。

しかし、その「EBITDA」の観点ですら状況は悪化しています。 かつて2023/24年度には90万ポンドのEBITDA黒字を計上し、「2027年までの持続可能な収益性達成」に向けて希望を見出していたものの、前年の-260万ポンドから、今回の決算ではトレーディング損失(EBITDAベースの赤字)が560万ポンドへと倍増してしまいました。

割引販売をやめてブランド価値を守ろうとした代償として、肝心のコアビジネスそのものが数字を落としてしまった格好です。

そりゃもう言い訳もできない局面まで追い込められてしまった状況でして、そりゃCEOも引責辞任するわけです。

グローバル展開の光と影、そして今後の行方

一方で、完全に希望が失われたわけではありません。市場や顧客の動きには新しい芽も見られます。

イギリス本国のロンドンをはじめとする伝統的な欧州市場が苦戦する中、アメリカ(ベントンビルのクラブハウスなどでの新規顧客31%増)や中国(上海クラブハウスの驚異的な集客力)といった新天地では熱狂的な支持を集めています。

また、Rapha Cycling Club(RCC)の会員数は年初来で18%増加しており、ブランドのコアなファン層との繋がりはまだ健在です。

Raphaが掲げる、「我々はプラットフォーマーなんだ」という経営方針に対して、その観点では数値は伴ってきている雰囲気なんですよね。

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しかし、MAAPやPas Normal Studiosといった機敏な新興アパレルブランドが台頭する中、かつて「スポーツウェアの枠を超えたファッション」として業界のルールを変えたRaphaは、今やかつての輝きを取り戻すための方向性に迷いが生じています。

「オリジナルの存在であること」に固執するあまり、時代の変化に取り残されてしまうのか。それとも、米国や中国、新たなチームスポンサーシップ(チームUSAとのパートナーシップなど)を軸に全く別の巨大ブランドへと生まれ変わるのか。

2027年までの「持続可能な黒字化」を掲げたRaphaの次の一手、そして組織再編の行方に、業界全体からの厳しい視線が注がれています。

今ではMAAPやPas Normal Studiosのウェアを目にする機会の方が増えた気がしますが、Raphaのウェアをかつてのように目にする日々がまた戻ってくるのでしょうか。

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