夏の暑さと心拍数の関係性について
気温が上がると心拍数が上がります。
ランニング系のブログ記事なんかを読むと、「夏場は逆手に取って心拍トレーニングをやりましょう!」みたいなものがあったりしますが、そこまでストイックな人ってそんなにいらっしゃるんですかね?
夏場のライドはほんと心拍数が上がりやすくて、個人的にはあまり好きになりません。
果たしてどの位違うもんなんだろ?と興味がありましたので、自分のライド記録を振り返って比較してみることにしました。
1. 夏場に心拍数が上がる理由
そもそも何故夏場のライドは心拍数が上がりやすくなるか、という話ですが。
理由は至ってシンプル。
暑い日はいつもより体温が上がりやすくなります。
体温が上がると体は血管を拡張させ、汗をかくことで熱を放散し、体温を下げようとするんですね。
その際に、心臓は頑張って血液を送り出すことになり、心拍が上がるわけです。
感覚的に夏場以外であれば、心拍数140bpm前後で走っている箇所が、同じ速度で走ろうとすると150bpmオーバーになることが多く、10%前後は心拍数が上がる印象がありました。
2. 20℃を境に心拍数は上がりやすくなる
昭和大学の研究によると、気温20℃を超えると、心拍数の上昇に有意な差が確認できるようになるそうです。
気温が高 くなるに伴い 心拍数 は増加をするが, 著明に増加しはじめる気温は運 動負荷強度によらず, いずれも20°C近くであることを示してい る。今回の心拍数の結果からも衣服条件などにより影響はうけようが, 心拍数の著明に増加する気温の範囲は20°C近辺の ごく狭いものと考えられる
ちなみに東京の平均気温で20℃を超える月は5月〜10月。
「花粉がピークアウトするGW明けから、残暑も収まる初秋の頃」はまだまだ心拍数が上がりやすいということになるわけですが、確かに実感としても納得できる内容ですね。
3. ライド時のデータで比較してみた
今年のライドデータで、気温とパフォーマンスを比較してみたいと思います。
理想としては3月〜4月くらいのデータと比較したところですが、コロナ影響もあり適当なライドデータがありませんので、1月のデータと、6月1週目、8月1週目のデータで比較してみたいと思います。
全て同じコースを走れたわけではありませんが、おおよその条件は揃っているかと思います。
- 尾根幹往復プラスα
- 走行距離は50km〜60km程度
- 走行時間は2時間ちょい
- いずれも「頑張って」漕いだライド
但し、逆にいうと「その程度」の比較でありそこまで厳密な比較ではありませんので、「へー」と軽い気持ちで読んで頂ければ幸いです。
(1) 気温
まず気温比較になります。
1月はライド日和というには少し寒いですかね。
6月と8月は平均気温ではそこまで大きな差はありませんが、最高気温はかなりの差が出ています。
6月のライドは曇り空でしたが、8月は真夏の太陽ががんがん降り注いでいましたのでライド終盤には灼熱状態でしたね。
ライド月 | 平均気温 | 最高気温 |
1月 | 3.1℃ | 13.0℃ |
6月初 | 29.6℃ | 34.0℃ |
8月初 | 30.0℃ | 46.0℃ |
(2) 平均心拍
で、それぞれのライドにおける平均心拍はこんな感じ。
コースが基本揃えてありますので、そこまで大きな差にはなっていません。
ライド月 | 平均心拍 | 最大心拍 |
1月 | 89% | 105% |
6月初 | 86% | 106% |
8月初 | 89% | 105% |
(3) 運動強度
で、「どこまで頑張って漕げていたのか?」という点については、IF(Intensity Factor)を使って比較してみたいと思います。
IFについては、こちらの Y’sロードさんの記事が個人的に分かりやすくて好きです。
Intensity Factor=運動強度。FTPを基準にした運動強度の目安。FTPを「1」とした時に、比較対象の運動強度がどの程度かを表す。NP(ノーマライズドパワー)÷FTPで計算する。
例えばあるライドのIFが0.5であれば、FTPの半分の運動強度だったということ。LEVELやZONEと表現は違うが、表そうとしていることは同じ。
パワーの絶対値ではないので、ライダー間の運動強度を比較する物差しとして使える。FTP200WのライダーAと、FTP300WのライダーBだと、同じ耐久走レベルの負荷で運動してもパワーの「値」は異なる。しかし、その時のIFは2人とも等しくなる。仮に2人ともIFが0.75~0.85の範囲に入っていたならば、2人に掛かった身体的負荷は同じ耐久走レベルだったと言える。
今回はいずれも走行時間、距離ともにかなり近いライドを比較していますので、「1月の私」「6月の私」「8月の私」を比較する際に、同じ心拍負荷をかけて走った際に、どの程度運動強度を上げて走ることができていたのか、を比較する形になります。
で、衝撃の結果がこちら。
ライド月 | Intensity Factor | 比較 |
1月 | 1.002(0.96) | 100% |
6月初 | 0.848 | ▲11.7% |
8月初 | 0.749 | ▲22.0% |
1月のIF値が1を超えていますね。
2時間走って1を超えていますので、これはFTP値が上がっている可能性高いということで、この後にFTPを再計測したところ案の定記録更新となりました。
更新後のFTPをベースに再計算した値がカッコ内の数値になります。
で、1月の値を100%とした場合に、6月、8月がどの程度運動強度が低下しているかを表したのが一番右の比較%になります。
同じような心拍への負荷をかけながら走ったとして、冬場であれば限界近くまで走り切れたところ、6月は自分の限界値の約10%ダウン、8月になると約20%ダウンの強度までしか上げることができなかったことになります。
(4) 各ゾーン別の比較
いちおう、パワーゾーン、心拍ゾーンそれぞれを貼り付けておきます。
まずは1月。
我ながらこの日はかなり頑張って走り切ることができたなー、という実感がありましたが、それでも最大心拍数の90〜100%にあたるゾーン5の割合は35%。
80%以上で合算しても73%なんですよね。
パワーゾーンに関しては、ゾーン2(耐久層:56%〜75%)からゾーン6(無酸素運動:121%〜150%)までは右肩上がりで負荷をかけられています。
続いて6月。
最大心拍に近いゾーン5に関しては1月に近く34%。
80%以上で合算すると78%と、1月よりも若干多くなり「心臓頑張ってます」状態に。
それでもパワーゾーンは既に右肩下がりになっていて、全然頑張れていません。
で、一番頑張れなかった8月がこちら。
最大心拍に近いゾーン5に関しては1月の2割増にあたる44%。
80%以上で合算すると92%となり、常に心臓ばくばくいっている状態です。
そのくせパワーゾーンに関しては露骨な右肩下がり。
全然運動強度上げられていません。
改めて振り返ってみると、まー露骨に違いが出ていますね。
今年に入ってからはローラー台頑張って乗れており、特にコロナ渦においては過去類を見ないほどトレーニング継続できており、FTPについては少しずつ右肩上がりで上げられている状況ではありますが、気温が変わるとここまで右肩下がりになるとは、ほんと衝撃です。
ほんと、8月のライドに関しては、ライド後「まったく脚にきてない」状態にも関わらず、疲労感は最もありましたし、走っていても「すぐに息があがって力が入らない」実感がありましたので、数字は嘘をつかないな、というのが正直な感想。
夏場は心拍トレーニングには良いかもですが、パワートレーニングには不向きなんですかね。
良い勉強になりました。
それでも「頑張る!」という方は、ライド前にガリガリくんを3本食べると良いらしいですよー。
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