【比較レビュー】サイコンの最高峰は?(Wahoo ELEMENT ACE vs Garmin Edge 1050)

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先日発表されたばかりの Wahoo ELEMENT ACE。空気抵抗を可視化できる最初のサイクルコンピューターということで興味津々ではありますが、海外では早速ガーミンのフラッグシップ、Edge 1050 との比較レビューが上がってきました。

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早いですねー。

ということで、ちょっと内容を見ていきたいと思います。

フラッグシップサイコンの比較レビュー(Wahoo ELEMENT ACE vs Garmin Edge1050)

Wahoo ELEMENT ACE

ELEMENT ACE は空気抵抗を可視化できるということで、そちらにばかり目が行きがちですが、各社フラッグシップのサイクルコンピューターとして、項目別に比較が行われています。

それでは一つずつ見ていきたいと思います。

ディスプレイ

まずはディスプレイ。いずれも各社フラッグシップということで大型のスクリーンを有しています。

仕様面では、Wahooが若干大きく3.8インチ(96.7mm)、Garminは3.5インチ(88.9mm)となっています。

その差は小さいものではありますが、地図表示においては少しでも大きい方が有利ですから、気になる人は気になるでしょうね。

解像度に関してはGarminが480×800ピクセルで、Wahooの480×720ピクセルよりも高解像となっています。

レビュワーはこの状況に対して、実際に使用した結果、Wahooに軍配をあげています。

  • Wahooのマットな表面は、ライド時の反射をなくすという点ではプラスポイントだ。Garminのスクリーンは反射率が高く、薄暗い木陰を走ったり、太陽の光を受けたりすると、わずかに気になることがある
  • Garminが透過型液晶ディスプレイを採用したことで、Wahooよりも色とコントラストが鮮やかに見える。これは、太陽光を内側のスクリーン層に反射させ、バックライトへの依存を減らすのに
  • どちらのスクリーンも優れており期待を裏切ることはないが、Wahoo の横幅の広さと反射の少なさが、僅差で優れていると判断

スペック面から僅差だろうなー、とは思っていましたが、引き分けではなく僅差でWahooに軍配が上がりました。確かにライド時のスクリーンの反射は実使用においては確実にアドバンテージにはなりますからね。
(Wahoo の1勝)

セットアップの容易さ

今時のサイクルコンピューターはセットアップも簡単ですよね。以下がよくある流れかと思います。

  • Bluetoothでスマホとペアリング
  • 関連コンパニオンアプリのダウンロード
  • アプリの指示に従って、新しいアカウントとしてスタートするか、既存のアカウントからデータを同期するかを選択
  • 完了

レビュワーは既にGarminのアカウントを登録済みだったため、ガーミンはあっとう間に設定完了、Wahooはアカウント未登録だった為最初から登録が必要だったとしていますが、セットアップの手順、難易度としては「どちらも同じくらい簡単であり、どちらか一方が優れている決定打はない」としています。

ということで、結論としては引き分け。
(Wahoo の1勝1分)

ユーザーインターフェース

今回Wahooもタッチスクリーン対応したことにより、いずれも「タッチスクリーン+物理ボタン」という操作性は共通となりました。

  • Wahooは、既存の多機能3ボタン・インターフェースを使用し、側面にトグル(ズーム)ボタンと電源ボタンを追加し、Wahooとしては初めてタッチスクリーンと組み合わせている
  • Garminは長年タッチスクリーン技術を使用しており、専用のストップ/スタート、ラップ、電源ボタンでこれを補っている
  • 両者の違いとしては、Garmin のボタンは静的に機能が定義づけされているのに対して、Wahoo のボタンは画面によって機能が異なる
  • 画面のカスタマイズに関しては、Garmin はデバイス上で変更するフィールドを選択して表示項目を選択するのに対して、Wahoo はアプリ内で設定を行い、走行中でもズームボタンを使うことで画面上の表示項目を増やしたり減らしたりすることができる

結論として、レビュワーはいずれも優れているということで引き分けにしています。
(Wahoo の1勝2分)

正直、私も両者のサイコンを使ってきましたが、インターフェースに関しては思想の違いが如実に出ています。
どちらが優れているかというよりは、どちらがその人に合うか合わないか、という側面が強いかと思います。

数多くある機能をどのように選択するか、という「機能」に着目した場合はGarmin の設定方法は理にかなっていると思いますが、「ユーザーがその機能をどのように使うか」というUI/UXの観点からすると、個人的にはWahooの方が優れていると思います。

ただ、それも好き嫌いによって大きく変わるところなので、「私は」こちらが好きというだけで、どちらかが明確に劣っているものではないんですよね。

Garmin最高!という人も、一度 Wahoo のUIに触れてみて欲しいですね。何割かの人は Wahoo のUIに感動する人が出てくると思います。

ルート機能やGPS精度

こちらも重箱の隅をつつくような比較になっています。基本的に、いずれもマッピング、コース機能は正確で信頼性が高く、ルート変更も簡単にできます。

地図の鮮明さ、見やすさという観点から Wahoo の軍配を上げています。

Garmin の地図表示は確かに見やすい方ではないんですよね。ルート表示の見やすさは Wahoo の方が私も上だと思います。
(Wahoo の2勝2分)

主要スペック面

基本的に Garmin は機能面ではとても豊富です。

先日の記事でも触れましたが、Wahoo は率直に「ライバルよりも機能面で劣っている点」を認めています。(リカバリータイムのアドバイス、バーチャルパートナー、ルート共有、天候アラートetc)

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また、今回 ELEMENT ACE の目玉機能となっている空気抵抗の測定機能についてもバッサリ両断しています。

  • エレメント・エースには風速センサーが搭載されており、風速センサーは対地速度と比較することで、追い風か向かい風かを知ることができる
  • センサーは前面にあるため横風を測定することはできず、スクリーンへの秒単位のライブフィードに制限されている(そのため、風の傾向に応じて読み取り値は常に飛び回る)
  • また、空気抵抗係数については、まだ何も教えてくれない
  • 集団の中に避難したほうが走りやすいということを確認する以外には、あなたがまだ感じていないことをこのデバイスが教えてくれることはないだろう

はい。身も蓋も無いですね・・・。

ただ、レビュワーも「この機能はまだまだ可能性がある」と触れています。

Wahoo自身もこの技術はまだ発展途中であり、将来的には空気抵抗係数の測定に使ったり、データを応用したウィンドマップのようなプランニングツールを作成したりする可能性がある模様。

まだまだ発展途上ではありますが、今後どのように成長していくか次第、といったところでしょうか。

とはいえ、現時点では機能面に関しては Garmin に軍配を上げています。
(Wahoo の2勝1敗2分)

サイズ・重量、マウントの選択肢

いずれもサイズは大きく、サードパーティーが提供しているような標準サイズのアウトフロントマウントだと装着できなかったりします。

おそらく、私が現在愛用しているCloseTheGap のカーボン製サイコンマウントだと、いずれもサイズが大きすぎて使えないと思います・・・。

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純正のマウントについては、Wahooのアルミ製マウントはGarmin のプラスチック製マウントよりも高級感があるとしていますが、より軽量、スリム、スマートなのは Garmin だよね、ということで Garmin に軍配を上げています。

画面は大きい方が良いので一部矛盾を秘めてはいますが、サイズは小さく、重量は軽い方が良いのも事実ですからね。
(Wahoo の2勝2敗2分)

バッテリーライフ

スペックシートだけを見ると、バッテリーライフに関しては Garmin に軍配が上がりそうなものです。

  • バッテリー駆動時間が最も長いデバイスを求めるのであれば、Garmin Edge 1050を選んだ方が良いのは事実。但し、最大60時間という謳い文句に近づくには、バックライト、GPSバンド、センサー接続を減らし、マッピングをオフにするなど、デバイスの省電力機能を使う必要がある。実際のところ、すべてをオンにしてコンピュータの記録機能の大半を使用した場合、バッテリー駆動時間は20時間強しかない
  • Wahoo はすべての機能をアクティブにした状態でのバッテリー駆動時間を優先したかった為、Elemnt Aceにはバッテリー節約モードがそもそもない
  • しかし、両者ともに同じセンサーを接続した場合、短いレビュー期間ではあったが、Wahoo は25時間から30時間は持ちそう

限られたレビュー時間ではありますが、機能をフルに活用した場合には Wahoo の方がバッテリーライフは上になりそうとのコメントは興味深いですね。こればっかりは使ってみないと分からない世界ですから。

バッテリーライフに関しては、気温等の外的要因も加わったりしますので色々な環境での比較が必要になると思いますが、今回のレビューでは数時間差で Wahoo に軍配が上がりました。
(Wahoo の3勝2敗2分)

価格

こちらは分かりやすい比較ですね。

米国価格だと、Wahoo が 599.99ドルに対して Garmin は 700ドル。

日本国内の税込価格では、Wahoo が 108,900円に対してGarmin は 126,800円。

2万円近い差額は大きいですね。機能面の違いがある中で単純な価格比較をすることにどこまで意味があるか?というツッコミもありそうですが、「ハイエンド機種として勝ち負けあっても両者ともに良い製品」と言えるのであれば、価格は安いに越したことはないわけで。

価格に関しては Wahooに軍配。
(Wahoo の4勝2敗2分)

サマリ

ということで、ちょっと意外ではありましたがフラッグシップのサイコンとしては(重箱の隅を突いてみると)Wahoo の方が高ポイントとなりました。

とはいえ、各評価項目について「どちらかが若干上回っている」という評価はあっても、「明確に劣っている」という側面もないわけで、いずれを選択しても満足のいくサイクルコンピューターになることでしょう。

ただ、「サイコンの最高峰といったら Garmin で間違いなし!」という暗黙の評価がある中で、目玉機能となっている風速計測機能抜きにしても肉薄する評価を勝ち取った Wahoo ELEMENT ACE はとても良い製品になりそうですね。

風速計測機能も今後の成長があるのであれば、面白い機能になりそうですし、Garmin / Wahoo 両方使ったローディーとしても、ちょっと手を出してみたいサイコンになりそうです。

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