タイヤ空気圧の設定って、とても悩ましいです。
私がロードバイクに乗り始めたばかりの頃は、ロードバイクにおけるチューブレスタイヤは黎明期ということもあり、23cから25cのクリンチャータイヤがマーケットの主流派でした。その頃は比較的空気圧はシンプルなもので、7BARにしときな、というアドバイスが最も多く、人によってはもっとガチガチな乗り味ということで7.5BARや8BARで設定して走っているくらいでした。
まだこの頃は「空気圧が高いほど転がり抵抗では有利」という考えが一般的だった時代でしたから、7BARよりも空気圧を下げる、という考えを持つ人が少なかったというのもあるでしょうね。
で、時代はチューブレス真っ盛り。
ディスクブレーキがメジャーになるにつれてホイールのリム幅も広がり、タイヤの幅についてもさまざまな選択肢が登場。
適正な空気圧って何ぞや?という混迷の時代になりました。
適正なタイヤ空気圧については各社考え方が異なる
適正な空気圧はもはや宗教論争の様相を呈する時代に
最初に言ってしまいますが、誰かが唯一の正解を提示してくれることはありません。SNSで有名なブロガーやYouTuberの発言を信じて全く同じ設定にするのは一つの「取っ掛かり」としては良いと思いますが、本当にその空気圧が適正化否かは、誰にも分からない、誰も正解を教えてくれるわけではない、という点は理解すべきです。
後ほどご紹介しますが、タイヤ空気圧を計算してくれるツールを公表してくれているメーカーが幾つかありますが、それぞれに思想、考え方が異なるので、異なるツールを使えば得られる結果も様々。
そこに唯一無二の正解は存在しないのです。
例えば、計算ツールを公開しているウルフトゥース社は、タイヤ空気圧を(無理のない範囲で)低めに設定することを提唱しており、多くのライダーがまだタイヤに空気を入れすぎていると主張している模様。
低い空気圧はトラクションを向上させ、快適性を高め、転がり抵抗を減らすことができる、という考え方はここ最近では主流な考え方となっていますが、どこまでその思想に寄せているかは各社考え方が異なるわけですね。
SRAMのツール(タイヤ空気圧ガイド)
まず最初に紹介するのがSRAMのツール。
コンポーネントもSRAMを使っていることもあり、私が普段使うのはこのツールでした。
適正な空気圧を求めるために入力する項目は以下となっており、「あーなるほど」と納得できる入力項目になっています。
- 最初にライドスタイル(ロード、グラベル、MTB等)
- 走行する路面(ドライ or ウェット)
- 重量(ライダーの重量 + バイクの重量)
- タイヤのケーシング種類
- タイヤの幅
- ホイール径
- チューブタイプ(チューブド or チューブレス(フック or フックレス) or チューブラー)
- リム内幅

こちらが私の条件を入力した際に得られる結果。
私が普段ライド時に設定している空気圧は、基本この数値を使っています。
Silcaのツール(SILCA PRO TIRE PRESSURE CALCULATOR)
続いて紹介するのはSilcaのツール。
入力する項目は以下となっています。
- ライダー、自転車、ギア含めたトータルの重量
- 路面コンディション(舗装路、グラベル等)
- ホイール径
- 走行スピード(レク、グループライド、レース等)
- タイヤ幅
- ケーシングの種類
- ウェイトポジション(前後荷重比率)
SRAMと似ていますが、走行スピードだったり、ウェイトポジションだったりと、「走り方」についての選択項目が追加されている印象ですね。
こちらのツールで、私の条件を入力すると結果はこんな感じになります。

ぜんぜんちゃうやん・・・。
前後ともに1.5BARくらいは空気圧が高くなっています。
ReneHERSE(Tire Pressure Calculator)
続いて紹介するのがReneHERSE。
こちらのサイトは、「実走における空気圧」を求める計算機という点を強調しています。
ついに、実際の道路での転がり抵抗測定に基づいたタイヤ空気圧計算機が登場しました。
研究室のスチールドラムの上ではなく、実際の道路上で、サップルの高性能タイヤは、多くのサイクリストが慣れているよりもかなり低い空気圧で最高の性能を発揮します。低い空気圧は、快適性とタイヤのグリップを最適化しながら、同じかそれ以上に速く転がる。また、パンクも少なくなる: 空気圧が高いタイヤではパンクしてしまうようなゴミでも、柔らかいタイヤなら転がり落ちることが多い。理想的なタイヤ空気圧は、タイヤサイズ、体重(と自転車)、ライディングスタイルや好みによって異なります。
こちらはとってもシンプルです。
- タイヤ幅
- ライダーと自転車の総重量
たったこれだけ。
で、得られた結果がこちら。

SoftとFirmの二つの数値が計算されています。
この計算機では、2つの推奨タイヤ空気圧が表示されます。砂利道や荒れた舗装路、またはより快適な乗り心地をお好みの場合は、「Soft(ソフト)」値を使用してください。しっかりしたフィーリングがお好みの場合は「Firm」値をお使いください。また、「Firm」値は、空気圧が多少低下しても、かなりの安全マージンを提供します。ソフト」空気圧では、タイヤケーシングへのストレスが大きくなり、摩耗が早まる可能性があります。
舗装路前提の場合には、Firmの値を採用すれば良いと思われますので、私の場合は 3.9BARということに。
SRAMよりも若干低めの数値になりますね。
ウルフトゥース(BIKE TIRE PRESSURE CALCULATOR)
最後に紹介するのがウルフトゥース。スマホアプリ版もあります。
入力項目の少ないベーシックと、入力項目の多いアドバンストがありますが、せっかくなのでアドバンストで計算してみます。
入力する項目がこちら。
- 自転車の種類(ロード、グラベル、MTB、FAT)
- 自転車、ライダー、ギアの総重量
- ケーシング種類
- 気温
- タイヤ種類(チューブド、チューブレス)
- 路面コンディション
- ホイール径
- タイヤ幅
こちらが計算結果になります。

ReneHERSE よりも更に低圧の結果が求められました。
実走においては、より低圧が良いのだ、という考え方のあるメーカーのツールは、総じて低圧を推奨する傾向にあるわけですが、この辺りはここ数年で考え方が大きく変わってきた気がしますね。
チューブレスタイヤに乗り始めた頃には、実走において空気圧を調整しながら自分に合う空気圧を探したりと、かなり自分なりのセッティングを追い求めていたこともありました。

最近は横着してSRAMの言う数字をそのまま信じて走っていたわけですが、もうちょい涼しくなってきたら、幾つかのツールの推奨値を比較しながら、自分に合う空気圧がどれくらいなのか、また調査してみようかな、と思いました。












コメント
何をどのくらい目的にするかで圧が違うので、結局は自分の好みですね。
シクロクロスの競技でもコースにより0.1bar単位で調整、ほぼ同じ体重の人が、同じコースをほぼ同じ速度で走る場合でも圧は個人差が大きいです。
ちなみに私は一般道長距離を33km/hで流すなら25Cチューブレスで4.0barくらい、短距離を最速で走るなら、3.0barくらい…踏み込んだ感じは重いですが、跳ねないので廻しただけ速度が出ます…と頑張って廻すときはかなり下げて走ります。
年々タイヤのコンパウンドスペックが上がるにつれ、低くしている気がします。