ワイドリムとワイドタイヤは本当に効果的なのか?

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時代はどんどんワイドに。

Wider is Better.

なんとなく、ロードバイク界隈ではそんな風潮が一般的になっている気がしています。

キャリパーブレーキの機構的呪縛から解放され、ホイールのリム、タイヤ幅、ともに年々ワイドになってきています。

今やロードバイクでも30cが当たり前、みたいな時代ですからね。
私のような、未だにリムブレーキでリム内幅17cなローディーなんて、今では滅びゆく恐竜みたいなもので。

と、ちょっと愚痴っぽくなってしまいましたが、先日興味深い記事を見かけましたのでご紹介したいと思います。

リム幅の異なるホイール&タイヤによるテスト結果(ICAN)

ICAN社によるテスト

ICANといえば、ロードバイクブーム真っ盛りの時代に颯爽と登場した中華ホイールブランドです。

私がロードバイク始めた頃には、「こんなに安い中気なカーボンホイールがあるけど大丈夫なのか!?」という論争が、あちらこちらで展開されていた気がします。

中華ホイールの中にあっては、比較的ICANに関する事故報告やネガティブな情報は少なかった印象がありますし、だからこそ今でもしっかりマーケットに残っているのかと思いますが。

そんなICAN社ですが、ちょくちょく興味深い記事を上げてくれているんですよね。

今回はそんなICAN社によるテスト結果のご紹介です。

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テスト条件

テスト条件は以下となります。

  • 18mm、22mm、26mmのリム幅のカーボンホイールを用意
  • リムはチューブレス対応、タイヤもチューブレスタイヤ(25mm)
  • 全てのテストホイールで42.5kgの荷重が一定になるよう調整
  • スピードは28.8km/h
  • 温度:21.5〜22.5℃
  • ダイヤモンドプレートドラム表面
  • ドラム直径77cm

テスト結果(タイヤ幅による違い)

詳細は元記事をご確認頂いた方が良いと思いますが、ざっくりサマリはこんな感じ。

  • 空気圧を60psi〜120psiに設定してデータを取得
  • 空気圧が高いほど転がり抵抗は低い
  • リムがワイドなほど転がり抵抗は低い

今回は同じ25mm幅のタイヤを装着していますので、リム幅が広がるほどにタイヤ幅も大きくなっています。(18cで26.4mm→26cで29.8mm)

結果、タイヤの幅が広いほど転がり抵抗は小さくなっています。

蛇足ですが、タイヤ空気圧が高いほど転がり抵抗が低くなる「マジック」については、以下の記事などもご笑覧頂ければと思います。。。

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タイヤ空気圧を調整した場合

さておき。

ここまでであれば「だよねー」で終わる話なのですが、ICANさんはここで止まりません。

ただし、タイヤ幅が18Cリムの26.4mmから26Cリムの29.8mmに拡大したため、この結果を直接タイヤセットアップの指針にするのは問題があるかもしれない。同じレベルの快適性を維持するためには、幅の広いタイヤはタイヤ空気圧を低くする必要がある。

そうなんです。
リアルワールドは、机上の数値だけで語り尽くすことはできないのです。

幅の広いタイヤをセットアップする人は、基本、空気圧も下げますよね?

なぜって、「乗り味がイマイチ」だからです。

それなら、現実世界に即して、タイヤ幅が広がるのであれば、空気圧もそれなりに合わせて調整すべきだし、その場合どうなるのか見てみようじゃないか、ということで、追加で試験を実施しています。

追加のテスト条件がこちら。

  • 異なるリム幅で快適性が同等になるようにタイヤ空気圧を調整
  • 具体的には、22Cリムのタイヤ空気圧は変更せず、18Cリムの空気圧を6%上げ、26Cリムの空気圧を6%下げた
  • 6%の調整はタイヤ幅の変化にほぼ対応している

この調整を踏まえて、異なるタイヤ空気圧の組み合わせ(22cの空気圧で60/80/100/120psiの4種類)で転がり抵抗を計測しています。

この結果が、めっっっっちゃ興味深いものになっています。ICANさんから拝借。

はい、どうでしょうか。

ほぼ、転がり抵抗は同じ結果となり、優位な差がない状態になっています。

この計測結果によると、「タイヤ幅に対して適正な空気圧を設定した場合においては、タイヤ幅が大きくなったとしても、転がり抵抗に変化はない」という結論となっています。

以下は ICAN社の総括。

タイヤ空気圧を同じ快適性レベルに調整した後、リム幅の違いが転がり抵抗に与える影響は最小であることがわかった。タイヤが最適な低転がり抵抗性能を示すのは、リムとタイヤの公称幅の比率が65%から75%の間である。50%から80%の比率の範囲では、タイヤは99%の最高の低転がり抵抗性能を維持する。リムとタイヤの公称幅の比が0.5を下回ると、低転がり抵抗性能は顕著に低下する。しかし、0.3という低い比率であっても、タイヤはピーク時の低転がり抵抗性能の95%を維持している。

タイヤ幅とリム幅、空気圧を最適な設定にする限りにおいては、「今は17cに25mmのタイヤを履かせているけれども、転がり抵抗を少なくするために、21cに30mmのタイヤを履かせる必要はない」という話になるわけですね。

他方、タイヤ幅が広がると空気圧がより低圧となり快適性が上がるとか、実際に凹凸のある路面では低圧の方が車体の跳ねが減ることでトータルではより抵抗少なく走れるといった利点があるのは事実ですが、猫も杓子も Wider is Better な論調が多かった中、こういった冷静なテスト結果が出ているのはとても良いですね。

ちょっとICAN社への好感度が上がりました。

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